『和歌山競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月14日
 和歌山競輪開設64周年「和歌山グランプリ」が1月11~14日の日程で開催された。決勝戦は逃げる稲垣裕之に対し、バックから田中晴基がまくる。これを村上義弘がブロックすると、空いたインコースを逃さず林雄一が突き抜け、嬉しい記念初優勝を飾った。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に出た飯嶋則之がスタートを制し、池田勇人―牛山貴広を迎え入れ関東勢が前受け。以下の隊列は稲垣裕之―村上義弘、田中晴基―林雄一―福田知也、単騎の新田祐大が最後方に構えて周回を重ねる。
 赤板手前から6番手の田中が上昇を開始。田中が前の池田に併せ込むが、その上を2コーナーから稲垣が踏み込んで打鐘で先行態勢を取る。稲垣に村上、田中―林―福田と続き、単騎の新田が3番手に追い上げるが田中に捌かれ後退。新田は6番手に収まり、関東勢は後方で最終回を迎える。ホームから7番手の池田が巻き返して出るが、新田に弾かれ外に浮いて終了。2コーナーから3番手の田中がまくりを打つと、逃げる稲垣後位の村上は懸命にブロック。バックを過ぎて新田もまくり追い込みで前団に迫るが、2センターで村上にけん制された田中のあおりを受ける。田中が不発で空いたインを林が突くが、福田はその内に詰まりコースを縫った飯嶋が林に続き直線へ。
 後続のもつれをしり目に逃げ込みを図る稲垣との差を、林が一歩、一歩と詰める。直線半ばで稲垣を交わした林が記念初V。飯嶋が伸びて2着。稲垣が3着に粘り、ブロックし田中ともつれた村上は8着。


林雄一選手
林雄一選手
 林雄一(写真)が大一番で持ち味を遺憾なく発揮した。任せた田中晴基がバックからまくりに行くと、バックで村上義弘がけん制。2センターで2発目のけん制を入れると、大きく空いたインコースを林は見逃さなかった。
 「待ったけど、(村上が)大きく持っていったときにここしかないなと。作戦は稲垣さんが初手で中団だったら2車出させて3番手。あとは行けるところからだったけど、晴基が無理やり行ってくれたのが大きかった。ありがちだけど昨日、今日とラインのおかげです」
 昨年は5月の別府記念で落車、復帰してようやく調子が戻り始めた9月オールスターでも落車した。「去年は前半よかったけど、後半はろくに走れなかった。調子が戻り始めたのは(12月)久留米くらいからですね」。復調を実感した矢先の記念優勝に目を丸くする。「記念優勝と特別の決勝が目標だったのでまずひとつ。これからも少しずつ段階を踏んでいきたい」。目標はひとつクリアした。次はG1決勝戦だ。アクシデントを乗り越え、林の挑戦はまだまだ続く。

 関東ライン3番手から最後は林の後ろにスイッチした飯嶋則之が2着に突っ込んだ。
 「(上手い位置取り)僕はそれで食ってるんで。でも惰性で走ってただけで、伸びてるって感じではなかった。今日もずっと重かったです。今回は初日苦しかったのに、最後は決勝2着。競輪は分からないですね」

 逃げた稲垣裕之が3着に粘った。
 「思ったよりホームでスピードに乗せきれなくて、田中君のまくりに僕も苦しめられた。村上さんもあれだけ仕事しないといけなくなってしまいました。距離は僕の距離だったし、ホームで乗せきれてたらもうちょっと楽な展開になったと思う」

 村上義弘は外には対応できたが、内をこられては打つ手がなかった。
 「精一杯やりましたけど、内ですからね。あるかなと思ってたけど、(外に)行かないとどうしようもない。直線の難しいところで一度当たれたし、そこからと思ったけど難しい形になってしまった」

 単騎の新田祐大は田中の外をまくって行ったが、2センターであおりを受けて不発に。
 「池田君が来たときに合わせて出ないと、かぶっちゃうし、そのライン3車を待たないといけなくなる。晴基が止まってたんで、そこ目がけて行ったけどコーナーの上りだったので手遅れでした」

 後方に置かれた池田勇人は「晴基がどうするかだったけど、打鐘で踏ませれば稲垣さんとやり合ってくれるかなと思った。難しいですね」とレースを振り返った。


ゴール
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