『和歌山競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月10日
 和歌山競輪場を舞台に開設65周年記念「和歌山グランプリ(G3)」が、10日に幕を開けた。オープニングの1次予選から寒風を吹き飛ばす熱きバトルが繰り広げられ、スタンドはファンの歓声に沸いた。初日のメーン特選の3個レースでは、新田祐大、稲垣裕之、真崎新太郎がそれぞれ白星発進。昨年のグランプリチャンプの武田豊樹は、8着に敗れ2次予選回りとなった。11日の2日目には、初日特選を勝ち上がった9選手による優秀「熊野古道賞」が行われる。
 本場では開催中の毎日、和歌山グランプリのオリジナルクオカードを抽選でプレゼントします。また、「紀州の競輪博士 岡本新吾に何でも聞いてね!」のブースもあります。2日目には「大平サブロー」による爆笑ものまね&トーク、競輪選手のトークライブなども予定されています。和歌山競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<1R>
竹田慎一選手
竹田慎一選手
 前検日はギア規制による4倍未満のギアに不安をもらしていた竹田慎一(写真)だったが、レースでは鮮烈なロングまくりを披露。後続を振り切った。
 「きつかったです。ギアが足りないですね。4.17だったらニュートラルに入るんだけど、このギアだと回転を越えている感じです。もうちょっと引っ掛かりが欲しい。風もあったし、重すぎた」と、レースでのインパクトとは裏腹に竹田自身は、不安一掃とまではいかないようだ。
 有賀高士が竹田との連結を外し、根本哲吏が竹田を追う流れ。戸田康平から切り替えて中団で脚を溜めた児玉広志が、直線で鋭く伸びて2着。
 「自分の伸びは前回から変わらずいいと思う。(前の平沼由充が)どっちに行くかを見て、自分が踏んだんでそのぶん遅くなりましたね」

<2R>
 最終ホームで追い上げた守谷陽介ラインに割り込まれた荻原尚人だったが、5番手で立て直すと最終2コーナーのまくりで前団を飲み込み紺野哲也とワンツー。
 「焦りましたね、3番手に入られちゃったし。あそこがすんなりだったら、(ラインの)3人で決まっていたと思う。それか自分が(最終)ホームで行っちゃえばよかった…。もうああなったんで、ダメでも(まくり)行かないとって思った」
 仲のいい荻原の番手から勝機をモノにした紺野哲也は、区切りの通算300勝を達成。
 「もうオギ(荻原)はあの位置だったんで、守谷君がカマしても対応できると思っていた。そしたらああなってしまったけど、タイミングを逃さずまくって行ってくれたんで。ギアは軽い方がいろいろ対応できるから、自分としてはいいんですけど。今日はちょっと直線で…、4倍以上のギアのときは全然(前が)抜けなかったのもあるし、感覚が違いますね」

<3R>
中野彰人選手
中野彰人選手
 中団の中野彰人(写真)に大澤哉太が赤板で併せ込んだまま打鐘を通過し、前受けの山口貴弘がそのまま成り行き先行。外の大澤が最終1センターで後退すると、中野は4番手から発進。まくりで後続をちぎった。
 「あれじゃ(自分が)下げても意味がないし、(簡単に)下げてっていうこともやらないんで。それでも(大澤を)どかして(仕掛けて)行きたかったですね。自分は脚を使ってなかったから、(まくりは)あんなもんでしょう」
 踏み出しで中野に離れた川木敬大だったが、そこから懸命のリカバー。九州3車を乗り越えて、中野に遅れること5車身差で2着をキープした。
 「(中野の)踏み出しがすごかったし、強かったですね。自分はやばかったけど、なんとか…。きつかったです」

<4R>
 人気の近藤隆司は7番手まくり不発。中団を確保した飯塚隼人のまくり追い込みも車が伸びず、松本大地は最終2センターで内よりのコースを選択。直線では逃げた藤井栄二と市田佳寿浩の間を鋭く抜けて1着。
 「ギア規制サマ、サマですね。飯塚のまくりが出てなくて、近藤(隆)君を止めたらつっかかっちゃって。それで飯塚には悪いけど、行かせてもらった。(ギア規制で)昔みたいな感じで、コースが空けば伸びますね」
 藤井の逃げを利した市田佳寿浩は、絶好の展開も最後は近藤範昌にも交わされ3着。開口一番、藤井の頑張りをたたえる。
 「藤井君が頑張ってくれた。予想以上に長い距離をモガく形だったけど、強風の中を行ってくれた。自分は見ての通りです。腰をやってからはもともとギアを掛けてないので、ギアはあれでいいかなって思います」

<5R>
渡辺十夢選手
渡辺十夢選手
 岡村潤、山中貴雄、伊藤勝太で中団がもつれたが、強風の中で果敢に逃げた藤田勝也の番手の渡辺十夢(写真)はすんなり。藤田との空けた車間を詰めながら、追い込みメモリアルの200勝を飾った。
 「200勝ですか、恥ずかしいくらい遅い(笑)。でも、自分は勝ちたいけど、自分の仕事をやった上で勝ちたいと思って。それを積み重ねてきたんで。とにかく藤田君が頑張ってくれた。藤田君が(3着に)残ってくれたことの方が、自分の200勝よりうれしいです」
 3着に逃げ粘った藤田勝也が息を整えてホッと一息つく。
 「(最終)バックくらいではアカンと思ったんですけど、なんとか騙せてよかった。(ギアが)足りないし、騙し、騙しです。踏み直せるのも1回くらいですよ」

<6R>
 打鐘で主導権を握った津村洸次郎が、後続を一本棒にしてグングンと加速。労せず4番手を手に入れた小原太樹だったが、思いのほか前団との車間が空いて詰めるのでいっぱい。3着に苦笑いで振り返る。
 「(津村が)あんなに踏むとは思わなかった。1回は流すと思ってたら…。自分が第2先行みたいになってしまった。そんなに脚も使わずに中団を取れたんですけど、今日の感じは良くないです」
 7番手に置かれ万事休すかに思われた松岡篤哉だったが、まくり追い込みで大外を突き抜けた。
 「一番嫌な展開でしたね。自転車は出ていると思うけど、内容が悪いですね。あれで重いと自転車が出ないと思うし、感じはいいんであとは組み立てですね」

<7R>
 角令央奈が坂木田雄介を強引に叩いて、最終ホームで主導権を奪取。和田健太郎が浅見敏也をさばいて坂木田を迎え入れ隊列が再び一本棒になると、すかさずまくって出た宿口陽一が直線で抜け出した。
 「(和田が迎え入れて)あれが自分にとっては誤算でした。でも、いいタイミングでまくっていけたと思う。踏み込んだ感じが軽かったし、調子はいいですね」
 最終2センターで一度は内に降りかけた深井高志が、再度外に出して流れ込みの2着。
 「(宿口が)行き切れないのかと思って、内に降りようと思った。危なかったですね、あれで外(齊藤竜也に )を行かれるところでした。それでもいつもより冷静に見ることができたし、感じはいつもよりいいのかもしれない」

<8R>
 赤板の2コーナーから打鐘目がけて一気に踏んだ荒井春樹が、師匠の上原龍を連れて風を切る。番手の上原は後続からまくりで迫る猪俣康一、山下一輝との間合いを図って早めの追い込み。久しぶりの勝利をモノにした。
 「自分に余裕がなかったです。最後も食われそうだったし、(番手で)慣れないことすると難しいです。本当は(荒井と)ワンツーを決めたかったけど、1着を取れてよかった。もっと技術と脚を磨いてきます」
 長野コンビを追走した高橋隆太は、最終2センターでヒヤリとしたが流れ込んで2着。
 「自分が内に差しちゃって危なかった。落車しちゃうかなっていうのがあった。(荒井は)師匠を連れているし、自分にもチャンスはあると思った。まだギア規制で自分が(前に)付いている感覚が違うんで、そこら辺を直していきたい」

<9R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
 打鐘で篠原忍を押さえて先行態勢を取った坂本貴史に、鈴木謙太郎(写真)が襲い掛かる。抜群のスピードで迫る鈴木に坂本も抵抗を試みることなく、鈴木が最終ホームで主導権を奪取。最後までしっかりと踏み切った鈴木が逃げ切って、関東勢で上位独占を果たした。
 「自分は(今期)もう平を走っているんで、周りの人よりもギア規制にも大丈夫。逃げ切れるかわからなかったけど、ペースで行けたし、ラインで決まるところから踏んだ。直線に入って(後続に)差し込まれるかなって思ったけど、逃げ切れたんで調子はいいと思います」
 3番手の吉田勇人に詰め寄られた安部達也は、冷や汗をぬぐう。
 「前が強いし、自分は緊張しました。練習していてよかったです。それでも自分にとっては紙一重ですね。あれ以上のペースで行かれたら…。最後は(吉田)勇人に抜かれそうになったけどよかったです(笑)」

<10R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 ハナに立って一度はペースを落とした新田祐大(写真)は、別線の動きをギリギリまで引きつけて最終ホームから再スパート。カマした稲毛健太を合わせると、まくった吉本卓仁を不発にして逃げ切った。
 「ギア規制に関してはみんな一緒だし、自分もとくにすごくなにか違いを感じたってことはないですね。まだ一走だから、これがいいとかもわからない。ただ、今日の感覚からは、自分の力を出せればいいレースができるんじゃないかと思う。やっぱり神山(雄一郎)さんだからこそ、自分はゴールまでもつことができたと思う。神山さんだからこそ、横にいても(稲毛は)休めないだろうし。調子はいつも通り、いい状態です」
 「疲れたな~」とは、新田を交わせず2着の神山雄一郎。こう続ける。
 「離れちゃったりしないかなって、怖い感じがある。前は先行選手よりギアが掛かっていたけど、いまは同じですから。難しい…。苦しかったし、やっぱり進まなかった」
 稲毛は不発もソツなく神山後位に降りた東口善朋が3着。
 「(稲毛)健太の気持ちも伝わってきました。もっとギア規制の影響があるのかなって思ってたけど、それよりも大丈夫そうですね。いつもは(地元記念で)集中しすぎてパンパンになって失敗するけど、今日は集中できているんでいいですよ。まだ(初日が終わって)4分の1なんで、最後(決勝)に笑えるように頑張ります」

<11R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 東龍之介もペースを上げるが、強引に稲垣裕之(写真)が叩いて出るとそこからはワンマンショー。菅田壱道、松岡貴久と別線の機動型をすべてシャットアウト。完ぺきな逃走劇を披露した。
 「ゴールしてからは後味が悪い感じがした。感触としては悪かったし、そのぶん自分でヨコにも動いてしまう。早くこのギアに慣れたい。(2日目からも)いろいろ考えて走ります。これからの一走、一走が大事になってくるし、しっかりと走りたい」
 稲垣と接触した松岡貴久が落車。合志正臣は落車を避けると、そのまま菅田との併走から直線でしぶとく伸びた。
 「今日はなにしろ稲垣が強かった。それでも自分の感じも悪くなかったし。このギアで楽になっているし、ストレスにもなってない。前の大ギアだったらバックを踏んだところで終わっていた。けど、今日はそのまま付け回っていけたから」
 東をキメて競り勝った村上博幸は、最終ホームで内藤宣彦と絡んで稲垣の番手を菅田に明け渡すも3着。
 「流れの中で誰か来るとは思ってました。1回目は凌いだけど、2回目で(稲垣との車間が)空きましたね。早く4倍未満のギアに対応していくことが大事だと思うし、一戦、一戦が勉強です」

<12R>
真崎新太郎選手
真崎新太郎選手
 神奈川トリオがレースを支配。逃げた村上直久との車間を大きく空けた内藤秀久が、まくり迫る中村一将をブロック。後ろの白戸淳太郎が武田豊樹を止めて波乱の展開。武田ラインの3番手から内、内に進路を取った真崎新太郎(写真)が横一線のゴールを制して1着。
 「今日は顔見せから気持ち良かった。俺の声援じゃないけど、武田さんとか金子(貴志)さんの声援がすごくて、自分もこんな中で走ったことがないんで。(ギア規制は)それなりに準備はしてたし、今日は引っ掛かりもあった。これに満足せずに一走、一走しっかりと走りたい」
 金子が中村と連結を外し、武田豊樹が中村を追う形でまくるも不発。
 「ギアのことは関係ない。今日は僕がミスをしただけ。明日(2日目)また出直します」と、2次予選に気持ちをスイッチ。
 直線で狭いコースをこじ開けた芦澤大輔が2着。
 「武田さんは白戸さんにいいのをもらっていたけど、それでも行っちゃうと思った。真崎さん(内に)行ったのを見て、自分はタイミングが遅れたけど余裕はありました。明日は稲垣さんの番手に挑戦させてもらいます。神山さん、真崎さんがいるけど、自分は4番手をまわっている場合じゃないんで」
 「自分だけになってしまった…。(最終)2センターでは(神奈川の)3人で決まったと思ったんですけど」と、3着の内藤秀久は悔しそうに振り返る。
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