『岸和田競輪場開設58周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:5月27日


 5月24日から始まった岸和田競輪開設58周年記念「岸和田キング争覇戦」は27日に熱戦に幕を下ろした。近畿勢のファイナリストはおらず、佐藤友和、岡部芳幸の北日本コンビが人気を集めた決勝戦。その激闘を制したのは志智俊夫だった。逃げる浦山一栄ラインの三番手を選択すると、直線一気の伸びで嬉しい記念初優勝を飾った。

決勝戦ダイジェスト

 号砲と同時に佐藤友和が勢い良く飛び出し、正攻法に構える。隊列は佐藤-岡部芳幸の東北コンビに紫原政文が付けて前団、中団に高木竜司-島田竜二の熊本コンビが入り、後方には浦山一栄-石毛克幸の東日本勢に志智俊夫-浜口高彰の中部コンビが続く形で淡々と周回を重ねる。
  赤板過ぎの1コーナーから浦山が上昇。志智もこのラインを追走するが、打鐘手前で紫原と高木が接触して落車。残り7人でのレースとなる。落車を避けた島田は岡部の後ろに切り替え、一列棒状の展開に。先行態勢に入った浦山は後続の様子を窺いながら徐々に踏み上げ、最終ホーム手前から全開でスパート。逃げる浦山のかかりは良く、三番手の志智、五番手の佐藤ともなかなか仕掛けることができない。3コーナーで佐藤がようやくまくり上げるも、3着までが精一杯。直線は石毛と志智の一騎打ちとなり、外を鋭く伸びた志智が嬉しい記念初優勝を飾った。



志智俊夫選手
志智俊夫選手

 デビューから15年、ようやくつかんだ記念初優勝。それでも「順調ですよ」と笑顔で喜びを口にする。佐藤、岡部が圧倒的な人気を誇った決勝戦だが、勝利の女神は志智俊夫(写真)に微笑んだ。
  「西武園記念の時に手島(慶介)君が先手ラインの三番手から優勝したし、あの位置を回らないと勝てないと思ってた。今日は関東勢の後ろが良い位置だと思ったし、僕にもチャンスはあると思ってました」
  実際に浦山が打鐘から先行。そのまま三番手をキープすると、直線では石毛克幸や佐藤、さらに番手の浜口高彰との直線伸び比べを制した。
  「浦山さんも落ち着いて駆けてたし、流れが向きましたね。あとは佐藤君が早めにくれば先まくりか、行かれたら飛び付こうと思ってました。佐藤君も動く気配はなかったし、直線勝負だなと。あそこまで行ったら優勝しないとと思ったけど、なかなか伸びなかったですね。同期(原司)に先を越されてたし、記念を取ってこそ一流だと思ってたので達成できて良かったです」
  記念初Vで気持ちを新たに次の高松宮記念杯に乗り込む形に。次はビッグレースで…、と期待は高まる一方だ。
  「(記念優勝は)ほぼ最終目標に近いので(笑)。でも去年は競輪祭で決勝に乗れたし、もう一回そこにとは思ってる。宮杯でも頑張ります」

 浦山の番手で絶好の態勢になった石毛克幸。しかしゴール寸前で記念Vはその手からこぼれ落ちた。
  「しようがないですね。2コーナーでまくって来たら番手から出ようと思ってたけど来なかったし、浦山さんもあれだけ頑張ってくれてますからね。できるだけ残そうと思ってました。(志智と直線勝負になって)最初は粘ってたけど、最後は少し負けたと思ってました。それにしても浦山さんは強いですね」

 打鐘で紫原政文、高木竜司の2名が落車し、労せず中団の五番手を確保する形になった佐藤友和だったが、巻き返しも届かず3着まで。
  「落車はビックリしたけど、五番手に入れて展開が良くなったなと思ってました。バック追い風で浦山さんも掛かってましたね。僕も車間を切ってたしいつでも行けそうだったけど、志智さんに見られてたしタイミングも仕掛けるには微妙だった。本当は優勝しないといけない展開だったのに」

 打鐘の落車は浜口高彰にも影響を及ぼしていた。「あれで車体故障をしてしまった」。何とかレースを続行したが、伸び切れず4着に。
  「でも、理想の展開になったし、あのラインを選んで正解だったね。僕はあの(車体故障)時点で優勝は無理だなと思ってた。あとは志智が頑張ってくれればと思ってたから良かったです」

 初めての記念決勝でも浦山一栄は存分に持ち味を発揮した。
  「佐藤はどうするのかな? と思ってたけど、すんなり前を取ったし、あとは高木が中団。僕も打鐘ガマシにするか、ふつうに押さえるか迷ったけどね。とりあえず出てから考えようと、1センターで思った。ホームから全開だったし、あとは無我夢中。でも何かやけに掛かってましたね。石毛が優勝してくれればと思ってたけど、残念です」

 岡部芳幸は、「友和に任せてたし、仕方がない。友和の踏み出しに集中してたし、前を見る余裕もなかった」。紫原政文も、「残念ですね。何か…」と言葉少なに帰り支度を整えた。



ゴール




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