『岸和田競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:3月16日


 岸和田競輪場で行われていた開設60周年記念「岸和田キング争覇戦(G3)」は本日(16日)をもって全日程を無事に終了した。決勝を制したのは菅原晃。南修二から村上義弘の番手を奪うと、直線で鋭く伸びて見事に記念初制覇を決めた。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると南修二がいち早く飛び出してスタートを取った。初手は村上義弘―南修二―中澤孝之―光岡義洋の中近勢が前受けし、金成和幸―山田敦也の北勢が中団。坂本健太郎―菅原晃―加倉正義の九州勢が後ろ攻めとなる。
 周回が進み、青板周回のバックから坂本が早めに動いて中団の金成を押さえ、更に上昇して前の村上を押さえる。ジャンで村上が車を下げると、坂本はペースを落として後ろの様子をうかがう。村上が6番手まで下げると、すかさず巻き返して出た。坂本もほぼ同時に踏み込んだが、スピードで優った村上が1センターで叩き切って主導権を奪った。一方、坂本が叩かれるや、菅原は南を飛ばして村上の番手奪取に成功。金成がバックまくりで迫ってくると、菅原はこれに合わせて踏み込んだ。最後は金成、村上との力比べを制して菅原が先頭でゴール。嬉しい記念初優勝を飾った


菅原晃選手
菅原晃選手
 今年、競輪界に旋風を巻き起こしている近畿勢。そのお膝元ともいえる岸和田の地で九州からの刺客・菅原晃が一矢を報いた。レースは打鐘からハナに立った坂本健太郎に対し、村上義弘が打鐘4角から巻き返す展開に。村上が前団をまくり切るやいなや、坂本後位の菅原が南修二をさばき村上後位にスイッチ。直線怒涛の追い込みで自身初の記念タイトルを手中に収めた。
 「今日は、強風の中、気持ち良く行ってくれた健太郎と、前を回らせてくれた加倉さんのおかげ。本当は村上さんを止めるつもりで車を振ったけど、スピードが合って行かれてしまった。でもその後瞬時に身体が反応し、南君をどかすことが出来ました。番手にハマってからはすぐにまくろうと思っていたけど、村上さんのスピードが凄すぎて出られませんでした。直線に入っても、後ろに金成さんが居るのはわかっていたし、最後まで勝利の確信はありませんでしたよ。今回は急きょ追加での参加だったけど、まさかこんな形で記念が獲れるとは思ってもいませんでした」
 練習中の交通事故で腰椎を圧迫骨折し一時は選手生命さえ危ぶまれた。どん底から這い上がり手にしたタイトルだけに感慨もひとしおだ。ゴール後は何度も何度もその拳を天へと突き上げた。
 「記念優勝はずっと夢だったし、まだ信じられない。4年前の事故のあとは1カ月半ベッドに寝たきりだったし、レースからも半年以上離れた。一時は次の仕事も探したりしてたから、その状態からここまで来れたってことは感激です。今までは上位戦では名前負けすることもあったけど、これで臆せず戦えるようになりましたね。ようやくG3が取れたので次はG2を狙っていきますよ」

 4.17の大ギアで最後まで菅原を追い詰めた金成和幸だったが、最後まで前を捕らえることは出来なかった。
 「晃が番手まくりを打つと思って見てしまったのが敗因。あそこは自分で踏んでいくべきでしたね。直線で懸命に踏み直したけど、車が出ませんでした。でも、今回は自分で動けたし、かなり手応えをつかめた。次の共同通信社杯が楽しみですね」

 間髪入れぬ巻き返しで、前団をまくり切った村上義弘だったが、菅原に番手にハマられては万事休す。直線で懸命にこらえるも3着に沈む。
 「(坂本)健太郎もこの風の強い中、思い切り良く仕掛けていたし、今日は九州勢が全て良いタイミングで動いてたね。本当は僕らのラインから優勝者を出したかったけど、現状で出来ることは精一杯やりました。最後は向かい風の中を突っ込んでいくだけの余力が残ってなかった」

 菅原にさばかれた南修二は必死の追い上げ空しく6着。地元記念初制覇は来年以降へと持ち越しとなった。
 「一番嫌なタイミングで菅原さんに当たられてしまったけど、(ハコを)取られた時点で、何の言い訳も出来ません。今度はしっかり頑張ります…」

 坂本健太郎は強豪・近畿勢に臆する事無く、打鐘と共に全開で発進。菅原の優勝を好アシストした。
 「今日は先行と決めていたけど、風がきつくって、とにかく重かった。村上さんに行かれたら粘ろうとも思っていたけど、そんな余力は全くなかったですね。今度こそ僕がって気持ちは強いし、次の高知記念は狙って行きますよ!」

 九州3番手の加倉正義は菅原の優勝を我がことのように喜んだ。
 「健太郎が頑張って、晃が優勝。良い結果が出ましたね。僕は晃が切り替えた瞬間に一瞬見てしまい踏み遅れた。結果、南に降りられてしまいました。あそこがしのげていれば、僕も晃と良い勝負になったんだけどね」


ゴール




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