『玉野競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:3月27日

 リニューアルされた玉野競輪場で開催されている開設71周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」は、3月27日に2日目が行われた。二次予選では、脇本雄太が初日特選に続いて逃げ切りで連勝。地元の岩津裕介も連勝で勝ち上がり、松浦悠士、佐藤慎太郎、吉田拓矢のS級S班3人も順当に準決にコマを進めた。3月28日の3日目には、ファイナル進出をかけて準決で熱戦が繰り広げられる。
 なお、玉野競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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山根将太選手
山根将太選手
 末木浩二が押さえたところを、山根将太が仕掛ける。打鐘で山根が出切り、片岡迪之が続く、和田誠寿は吉澤純平にさばかれて、3番手に末木が入る。最終2コーナーからまくった末木だが、片岡の横まで。皿屋豊のまくりに合わせて吉澤が踏んで、地元コンビをとらえた。
 「末木君は後ろから押さえて、(別線が来るのが)遅かったら先行するっていう気持ちだった。(別線が来るのが)早かったら、自分がなんとか仕事をしてと。そのあとも末木君が頑張ってくれたけど、皿屋さんが来ちゃった。遅れたんでヤバいなっていうのがあったけど、張りながらでした。1着が取れてるんで悪くないと思います」
 打鐘主導権の山根将太(写真)は、一次予選に続く先行策で準決に進んだ。
 「脚質はダッシュなんですけど、自分のペースで駆けるのが一番いいので(ああいう組み立てになった)。(S級では)引いてカマシだと、あまりうまくいっている感じがない。自分のなかではペースが早すぎた。それで(最終)ホームのところではもう半分くらい脚を使ってたんで、バックまでは頑張ろうと。いい感じで走れていると思います」


<7R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 野田源一が先に切った上を青野将大が出るが、水谷好宏が打鐘で押さえる。しかしながら、太田竜馬(写真)の反応も早く、打鐘手前で動いてカマシ先行。切り替えた青野が3番手に入るが、太田の掛かりが良くなかなか動けない。番手の香川雄介、福田知也が追い込んで、ゴールは3車が横一線。太田が僅差で逃げ切った。
 「一瞬、長いと思って迷ったけど、タイミング的にはここだと。セオリー通りに(仕掛けて)行った。ラインで決めるには、あれでしたね。途中まで良かったけど、バックからめっちゃキツかった。沈むかなと思った。今日(2日目)の先行は脚をシンプルに使ったし、出し切れた」
 太田のダッシュに遅れ気味だった香川雄介だが、しぶとく食らいついて四国ワンツー決着。
 「今節はキツいね、マジで。太田の後ろで緊張感があったかもしれないけど、途中で中切れするんじゃないかと。太田は気を遣って仕掛けてくれたのかな。前回の落車の影響なのか、ヤバいです。昨日(初日)もキツかったし、今日もキツい」


<8R>

和田圭選手
和田圭選手
 前受けの根本哲吏は畑段嵐士の上昇に誘導を残したまま下げて、赤板2コーナーから巻き返す。取鳥雄吾を押さえて出た根本が主導権。4番手をキープした取鳥だったが、畑段にすくわれて最終ホームでは7番手に置かれる。根本が敢然と風を切り、まくった畑段は小野大介の横まで。根本の番手から抜け出した和田圭(写真)が1着。
 「取鳥君次第で、あとは(自分たちを)出させてくれるかでした。僕たちのラインの総合力が、(出させてもいい)そんなレベルだったんじゃないですか。真ん中(4番手)に取鳥君が入ってると思ったんで、勢いをつくってもっていこうと。そしたら根本に車輪が掛かって下手くそだった。番手を回っている以上は、もうちょっと援護をしたかった。脚に余裕はあるけど、気持ちの余裕がない」
 取鳥マークの柏野智典は、最終バックで8番手。取鳥の余力を確かめてから、3コーナー過ぎに内に進路を取り強襲した。
 「初手(の位置)は作戦通りだった。展開的には僕らの展開だったけど、(取鳥)雄吾は自信がなかったのか、押さえに行くスピードも自信なさげだった。強気なレースができなかった。それでも(最終)ホームくらいでは、雄吾がまだのみ込めるだろうなと。そしたら2コーナーの詰め方を見て、危ないかなと。早く切り替えても雄吾のコースがなくなるんで、トップスピードがなくなるのを待ってから内に入っていった。(初日のあと)自転車いじったり、(シューズの)サンの位置をいじったりした」


<9R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 野口裕史を警戒しながら、赤板手前から踏んだ伊藤颯馬が先頭に立つ。2コーナーから叩きに出た野口を伊藤が合わせてペースを上げて逃げる。野口は中団の外でいっぱい。野口のスピードが鈍ると、佐藤慎太郎(写真)は最終1センターから切り込んで、4番手まくりの大石崇晴を追いかける。佐藤がまくり切った大石を交わして1着。
 「野口とは(連係が)初めてなので、出切れるかわからなかった。あれでいっぱいなのか。またあそこから伸びていくようなレースも見ているし、判断が難しかった。伊藤颯馬は、野口だけを意識していてキツくなりますよね。先行選手のプライドに付き合ったレース。(野口が)遅れてきたので、(切り替えて)あとはへばり付いてどこまでいけるかでした。危ない部分があったし、相手が(自分の)目標を倒すようなレースをしてきた、そのなかで1着でしのげました」
 抜かりなく中団を確保した大石崇晴は、仕掛けどころを逃すことなくまくった。
 「(別線に)降りてこられても、対処をする準備はしていた。踏み出した感触は良かったが、前がモガき合って、展開が向いたおかげ。着もそうだけど、ここ最近のなかでは一番いい」


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神山拓弥選手
神山拓弥選手
 赤板2コーナーで押さえて出た松岡辰泰は、切りに来た藤田大輔を突っ張る。両者で脚を使ったところを、吉田拓矢が打鐘の2センター過ぎに出て先行策。4番手に松岡、6番手に藤田で最終ホームを通過する。伊藤稔真のまくりは中団までで、関東ラインの勝負となり直線を迎える。番手の神山拓弥(写真)が、きっちりと差し切った。
 「(吉田が)風を切って駆けたいってことだったんで、僕と志村(太賀)さんでしっかりと援護をしようと。風も強かったんで、(吉田は)すごい苦しかったと思う。でも、S班らしい仕掛けだった。自分は今日(2日目)しっかりと1着が取れたんで、明日以降につながると思います」
 ラインを上位独占に導いた吉田拓矢は、S級S班らしい力でねじ伏せる走りを披露した。しかしながら、まだ変わり身も残っているようだ。
 「(周回中は)前からで力勝負をしようと思ってました。今日(2日目)は行くところでちゃんと(仕掛けて)行ったけど、セッティングが全然ダメでした。かみ合ってない感じがあるんで、なんとかしたい。踏み上がっていかないし、引きずっている感じがある。今回は(セッティングを)変えてみたんですけど、戻せばそれなりには走れると思うんで、戻そうと思います。腰だったり、疲れているところもあるんでケアをしたい」


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脇本雄太選手
脇本雄太選手
 誘導を残しながら早めに下げた脇本雄太(写真)は、赤板で早くも7番手まで引き切る。2コーナー手前で出た太田龍希が先行態勢も、ペースは上がらない。打鐘の3コーナーから脇本が仕掛けて、スピードの違いは明らか。叩き切った脇本に松岡健介、成清貴之まで出切るが、ラインの2人も徐々に脇本から置いていかれる。後続をちぎった脇本が連勝。
 「(組み立ては)連日、一緒です。けん制が入ったら、前で受ける。早い段階でレースを動かしてですね。若い子で先行したい相手にどう対応するのかっていうのが、今日(2日目)の課題でした。成清さんまで付いてもらって、先行しないといけないっていう責任感もあった。かみ合っていないところがある。自分の踏んだ感触とフォームがわかっていない」
 最終3コーナーを過ぎると脇本との車間が徐々に空いた松岡健介だが、後続にのみ込まれることなく2着をキープした。
 「(脇本は)残り2周からずっとすごかったです。離れての2着なので、なんともいえないけど(脇本が)強かった。(状態は)思っていたよりも悪くない。(修正点は)たくさんありますね」


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岩津裕介選手
岩津裕介選手
 宮崎大空が切った上を酒井雄多がスムーズに押さえて先行態勢。7番手で態勢を整えた松浦悠士は、打鐘の3コーナーから車間を詰める勢いで踏み上げる。酒井もスピードを上げるが、松浦が最終2コーナー手前で仕留める。3番手の大崎飛雄馬がからまれて、番手すんなりの岩津裕介(写真)と直線勝負。松浦をわずかに交わした岩津が、地元シリーズを連勝で勝ち上がった。
 「相手も完ぺきなレースをしてきたけど、松浦君が力でねじ伏せてくれた。(松浦との連係は)初めてじゃないので、(仕掛ける)雰囲気はなんとなくわかる。ギリギリ差せたかなっていう感じだったけど、それで届いてないこともたまにあるんでね。初日に(取鳥)雄吾が頑張ってくれて、自分は気持ち的には楽になった。いい状態だと思います」
 後方になった松浦悠士だったが、ラインを気遣ったさすがの仕掛けで大崎までを引き込んで上位独占を遂げた。
 「いつもより踏めている感じはあったけど、(酒井と)踏み合いになったんでキツかった。(最終)2コーナーで出切った時点でかなりキツくて、休みたかった。でも、そうすると大崎さんがからまれてしまうんで、そのままマックスでいきました。(踏んだ距離が)いつもより50~100メートルくらい長いけど、いい時はああいう仕掛けができる。迷いなく走れた」