『玉野競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:3月28日

 リニューアルされた玉野競輪場で開催されている開設71周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」は、3月28日に3日目を迎えた。決勝をかけた準決バトルは、S級S班の3人をはじめ、好メンバーにより熱戦が展開された。松浦悠士、脇本雄太は2着で、ともに通算300勝はお預けとなったが順当に優出を遂げた。また、地元からは柏野智典、山根将太の2人がファイナルに進出した。3月29日の最終日には、いよいよ決勝の号砲が鳴らされる。
 なお、玉野競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<10R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手

山根将太選手
山根将太選手
 前受けの太田竜馬は誘導を残したまま早めに下げて、赤板手前で大石崇晴が出る。山根将太は太田を警戒しながら先頭に立ち、2コーナー手前で誘導を交わす。太田は前との車間が空いた7番手。レースを支配した山根が、リズム良くペースを上げて風を切る。最終ホームを通過して2コーナーに入っても、太田はなかなか詰まらない。大石は2センターで外に持ち出すが、まだ山根のスピードは鈍らない。番手の佐藤慎太郎(写真)が余裕をもって追い込んだ。
 「(山根は)早めに出たんで、太田がタイミングで来ちゃうのかなっていうのがあった。でも、そうはさせない感じで(山根が)うまかった。緩むところがなくて、あれはまくれない。他地区の先行選手でもしっかりと仕事をしないと、自分としても次につながらない。逆に気を引き締めていかないと。余裕もあったし、自分も悪くないのかなと」
 3日間続けての先行策を断行した山根将太(写真)が、ホームバンクを軽快に駆ける。太田を不発にして、ラインでの上位独占をメイクした。
 「なにも考えてませんでした。ペースを上げて、カマされないようにだけと思ってた。ガムシャラでした。自分としてはデキすぎですね。(3日目は)風もないですし、天候もいいんで、気持ち的には楽だった」
 山根ライン3番手の和田圭は、前の佐藤との車間を切って間合いを取る。4番手から追い込む大石をけん制しながら3着をキープした。
 「(山根が)ジャンから結構、踏んでくれたんで、どれだけもつかなと。そしたら最後も想像以上踏み直されて抜けなかった。太田にかぶらないように車間を切ったり、自分なりにやれた。(佐藤)慎太郎さんの後ろだと勝っても、負けても、すごく勉強になりますね」

<11R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 7番手に引いた脇本雄太を警戒して、4番手の吉田拓矢(写真)は前との大きく車間を空けて間合いを取る。赤板を通過して2コーナーから脇本が、バンクの大外を踏み込む。合わせるように吉田も詰めるが、脇本のスピードが断然。岩津裕介がわずかに遅れたところを、吉田が脇本にスイッチする。出切った脇本に吉田が追いついて、3番手以下は離れる。脇本、吉田のマッチレースは、差し切った吉田が1着。
 「初日に車間を空けずに失敗しているので、車間を空けて打鐘を目がけて行って、結果、あそこにはまれた。地元勢には申し訳なかったけど、総力戦で挑んだ結果でした。脇本さんは連日の疲れもあって抜けたと思う。(自分は)セッティングを戻して良かった。不安がなく走れた」
 中団の吉田ラインに大きくけん制された脇本雄太(写真)だったが、大外ギリギリを仕掛けて最終ホーム手前で叩いて先行策。2着もパフォーマンスは圧巻だった。
 「行きたいところはいっぱいあったけど、外を回りすぎてコースがなかった。外を無理やり行くのか、内に行くかを迷いながらでした。その場のかぎりでは、最善を尽くしたつもりです。自分が先行態勢になって、岩津さんが後ろにいると思ってラインで決まると。S級S班(の吉田)にすんなり付けられたら、抜かれるかなっていうのはあります」
 脇本、吉田には行かれた松岡辰泰だったが、最終1センターで2人を追いかけるように3番手に入る。そのまま後続にのみ込まれることなく、3着に踏ん張った。
 「打鐘で確認したら、(脇本が)フェンスまでギリギリのところを踏み込んでいた。3コーナーからは自分のペースで踏んでいったけど、泳がされて入れたらいいなと。それで踏んでいて3番手に入れた。(脇本は)打鐘では後ろにいたのに、(最終)ホームで気付いたらすぐ後ろにいて脚が違う」

<12R>

柏野智典選手
柏野智典選手

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘手前で吉澤純平が押さえて出る。単騎の松岡健介、野田源一まで見送った松浦悠士は、3コーナー過ぎからスパート。中四国ライン3車で鮮やかにカマす。番手の柏野智典(写真)には絶好の流れ。直線で楽に松浦に並んだ柏野が1着。
 「2番(吉澤)が切りにいったあとの松浦の追いかけ方が、すぐに(仕掛けて)行くっていう感じがあった。それで自分も構えてました。出切れるのもわかったし、そこは一番集中しないといけないところだった。余力はあったけど、吉澤とかゲンちゃん(野田)も強いんで隙を見せたらっていうのと、松浦なんで(別線は)来られないだろうなって半信半疑だった。松浦を抜いたことがないので、目いっぱい抜きにいって、地元だから抜けたかなと。(今回は)これでダメならダメだろうっていうくらい、悔いなく仕上げた」
 仕掛けどころは逃さない松浦悠士(写真)が、二次予選に続いてアグレッシブに踏んで2着。息を切らせながら振り返る。
 「柏野さんの今回にかける思いとかも知っているんで、しっかりと(最終)バックを先頭で通過しようと思ってた。緩んだらすかさず仕掛けようと。(2日目と比較して)気温も低くて重たかったんでキツかった。タイミングをとって気持ち良くいけた。昨日(2日目は)立ちこぎが長くてもたなかった。それで早めに座ったんですけど、それでも踏み上がらなかった。(前回の)ウィナーズカップよりも状態がどうなのかなと。(決勝が)もう少し暖かくなってくれば、体も動くと思います」
 4番手から車間を詰めた吉澤はいっぱいで、志村太賀が中のコースを伸びて香川雄介、野田との3着争いに踏み勝った。
 「(吉澤)純平的には先行っていう感じだったけど、松浦君の踏み出しが早かったんで出させたんだと。最後はコースを見て純平が踏んだコースと違う方をと。そしたらゲンさん(野田)が入ってきたんで、引っかけながらだった。そこはラッキーでした。自分の感じは日に日に良くなっている」