『玉野競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月29日

 リニューアルされた玉野競輪場で開催された開設71周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」は、3月29日に最終日が行われた。決勝は大方の予想通り、地元の中国ラインが主導権。脇本雄太が、ロングまくりで別線を仕留めて優勝。昨年9月の向日町以来、怪我からの復帰後ははじめてとなる記念Vで、通算9度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 牽制したスタートから大外枠の和田圭が前に出た。したがて脇本雄太-佐藤慎太郎-和田の即席ラインが前を固める。中団は山根将太-松浦悠士-柏野智典の中国勢が占め、単騎の松岡辰泰がこれに続く。吉田拓矢-志村太賀の関東勢は後攻めとなった。
 青板周回のバックから吉田がゆっくりと踏み上げると、脇本はペースを落とし誘導員との車間を空けはじめる。脇本はかなりペースを落としたため、誘導員とは大きく車間が空く。赤板前の4コーナーで吉田-志村が脇本の前に出た。更に5車身ほど車間が空き、山根は脇本の動きを警戒しながら3番手に上がり赤板を通過。1センターで山根は猛ダッシュ。吉田も踏み込むがスピードが違いすぎて対応できない。ジャンでは山根-松浦-柏野の中国勢に松岡まで前に出て、吉田は5番手、脇本は7番手となった。3コーナーで脇本がスパート。山根は全開で飛ばしていたが、脇本は異次元のスピードで前団に襲い掛かる。佐藤はきっちり続くも3番手の和田は離れた。脇本は最終ホームで松浦の後ろ辺りまで接近し、更に先頭に迫ると、松浦は1コーナーで脇本に牽制を入れた。だが、脇本を止められないと判断し松浦は2コーナーから番手まくりを敢行。それでも最終バック線で脇本は松浦を飲み込むと、佐藤はじわじわ離れてしまい脇本の後ろには松浦が入った。懸命に差を詰める松浦だが、脇本は1車身振り切り圧勝。2着の松浦から4車身離れた3着にはバックからまくり上げていた吉田が入った。

脇本雄太選手
脇本雄太選手

 過度の疲労からくる腸骨の骨折により、およそ4カ月の戦線離脱を余儀なくされていた。復帰後は自身も満足がいかないなかで勝ち星を量産。圧巻のパフォーマンスを見せていたが、ここまでの3場所は、大宮FIの優勝のみ。2月の奈良記念、前回のウィナーズカップはともに、中四国勢の2段駆けに屈していた。三度目の正直。それだけに脇本雄太(写真)も、思うところがあっただろう。
 「(先行した山根将太は)まくりに構えようかっていうスピードだった。迷いどころだった。けど、まくりに構えると、二の舞、三の舞になる。後悔するくらいなら行きたいなって」
 奈良では8番手、ウィナーズカップでは、7番手に置かれて見せ場なく敗れていた。そのシーンを拭い去るように、脇本が打鐘の3コーナー過ぎから踏み込んだ。
 「正直、出切れるとは思ってなかった。それくらいリスクのある仕掛けだったし、紙一重だった。自分のなかではギリギリでした」
 最終ホームで逃げる山根を視界にとらえると、けん制して番手から発進した松浦悠士を驚異の違う加速力でのみ込む。付けた佐藤慎太郎がバックで遅れて、松浦でさえ1車身差で流れ込むのがやっとだった。
 「次の(大きいレースの)ダービーにつながるレースがしっかりとできたかなと。この感触を忘れずに。多少、得られたものもあったし、これに満足をせずに上積みをって思ってます」
 通算9回目のGIII制覇で、08年7月のデビューから区切りの通算300勝を飾った。
 「(同じく300勝にリーチをかけていた松浦と)300勝対決っていう変な意識はあったけど、レースに入ったら感じなかった。達成できたけど、今後も油断をしないで。(300個の勝利は)1勝、1勝が得られたものです」
 5度にわたりタイトルを獲得。33歳になったばかりの脇本にとっては、300勝も通過点でしかない。次元の違う走りのその先に。脇本だけが見える世界がある。

 最終1コーナーで外にけん制した松浦悠士は、2コーナーから番手まくりに出たが脇本を合わせ切ることはできなかった。
 「奈良、ウィナーズカップと同じような競走になってるし、(脇本も)失敗しないようにきますよね。山根も掛かってたし、これで来るかっていう感じだった。吉田(拓矢)君の横とかから、じわじわ来るイメージだったけど、サッと来られてしまった。自分は(一昨年の)オールスターみたいにヨコが使えてなかった。しっかりと体で止めないといけなかった」

 脇本を目標に最終2コーナーからまくった吉田拓矢は3着まで。
 「(佐藤)慎太郎さんのところにスイッチできれば良かったけど、そんなスピードでもなかった。(今シリーズは)体もキツかったし、このあとはもう1回セッティングとかを練り直して、(次回に)いいパフォーマンスが出せるようにしたい」





次回のグレードレースは、平塚競輪場開設72周年記念「湘南ダービー」が4月7日~10日の日程で開催されます。
本開催は、佐藤慎太郎、平原康多、宿口陽一、郡司浩平、古性優作、清水裕人のS級S班6名に加え、地元神奈川の松坂洋平、松井宏佑、和田真久留ら豪華メンバーが勢ぞろいです。
GIIIに6名のSS選手が出走するのは珍しく大激戦が期待されます。
また、最終日にはガールズフレッシュクイーンも開催されます。こちらは118期、120期のトップ選手による一発勝負です。こちらも大激戦になること間違いなしでしょう。

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