『玉野競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:3月1日

 令和6年能登半島地震復興支援競輪・開設73周年玉野記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」は、3月1日に昨日とは打って変わっての好天の下で大会2日目が行われた。メインの二次予選は実力者が次々に勝ち上がっていく順当な結果に。松浦悠士は落車を避けて2着だったが、清水裕友、眞杉匠、山口拳矢の他のS班勢はそろって1着を取り、地元からも取鳥雄吾、隅田洋介が勝利。また、平原康多も連勝で通算500勝を一気に決めてみせた。2日の準決3番勝負で、ファイナリスト9名が出そろう。
 記念シリーズは開催中の毎日、豪華予想陣(西谷康彦さん、井上勝史さん、岡崎優美さん、本田晴美さん、長谷川満さん)による予想会が実施されます。さらに週末の3月2日には長谷川穂積トークショー、ミット打ち体験会に、ハロー植田のトークステージと予想会も予定されています。玉野競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 地元の取鳥雄吾(写真)が号砲とともに飛び出して晝田宗一郎を迎え入れ、中四国ラインが正攻法に構える。高田修汰、岩谷拓磨が切った上を橋本瑠偉が打鐘で叩いて果敢に攻める。晝田は後方7番手に置かれてしまうが、打鐘過ぎ3コーナーから力ずくで巻き返しに出る。前団の煽りもあったが、うまくかわしながら最終2コーナーから再加速。抵抗する橋本を最終バックで捕らえると、追走した先輩の取鳥が直線で有利に抜け出した。
 「離れないようにだけ考えていました。勝ちに近い位置を与えてもらったんでミスをしないようにって考えていました。ジャン前にハイスピードになったので、(晝田は)ホーム過ぎくらいに行くのかなって思ったら早いタイミングで行ってくれたので。ホームの加速が凄くて遅れてしまって、ミスをしてしまったんですけど。なんとかよかったです。(晝田が出切ってからは)もうこれないと思っていたんですけど、早く(抜きに)行き過ぎてしまったんでそこは反省点ですね。日に日に良くなってきているんで。昨日(初日に)ハンドルをいじって良くなったんで」
 今回が橋本と初連係だった石塚孝幸は道中のスピード感に驚きながらも集中して付け切る。晝田のまくりを止めることはできなかったが、最終2センターで岩谷を張りながら外を踏み込むと、直線で鋭く伸びて2着に強襲した。
 「橋本君にお任せしていました。凄いスピードだったので自分もきつかったですね。まくりにきたときは(晝田の)スピードが違って、橋本君も並ばれてからやめちゃったので。もう少し頑張ってくれればどうにかできたかもなんですけど。重い感じはするんですけど、思いのほか伸びてはいますね。バンクとの相性なのかな」


<7R>

隅田洋介選手
隅田洋介選手
 積極的な走りで名前を売っている青野将大と堀江省吾は今回が初対戦で、スタートはけん制が入り隅田洋介(写真)が誘導員を追い掛けて北津留翼を迎え入れる。後ろ攻めを選択した堀江が残り2周点前から上昇したが、正攻法に構えていた北津留が突っ張ってそのまま主導権取りへ。堀江が最終ホーム手前から再び巻き返しを狙ったが、中団外までしか車は進まない。番手で絶好の展開が訪れた地元の隅田が青野を張りながら直線で抜け出して二次予選を突破した。
 「けん制が入っていたので前受けでと。良いペースで北津留さんが行ってくれました。赤板からジャンも良いペースだったし、流石の先行力でした。ゴールまで連れていってくれたので。バンクコンディションも凄い良くて、回転数的にも好きなレースだった」
 地元2人を背負った北津留翼が2周駆けで若手の機動型を圧倒。道中のカカリはもちろん、最終4コーナーを回ってもしっかりと踏み直して2着に粘った。
 「番組を見て地元勢の前だったので、下手なレースはしないように最善策でいこうと。無理して踏んでいました。バックの風が向かっていたので、隅田君に番手まくりして貰うしかないと思ってたけど、残して貰ったので最後まで踏めました。今日は4日分脚を使った感じ。(明日に向けて)頑張って体力を戻していかないと」


<8R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 正攻法に構えた東矢圭吾が後ろ攻めから上昇してきた森田優弥と残り2周手前からつば競り合い。東矢が突っ張る形を取って森田は一旦7番手まで車を下げたが、打鐘過ぎ3コーナーから詰まったタイミングを逃すことなく一気にスパート。初日特選を制している平原康多ですら口が空いてしまうほどの加速力で前団を叩き切ると、3番手の松永将が離れて東矢が3番手にはまる形に。単騎の阿部拓真が中団に追い上げる流れから小岩大介を掬い、東矢の内まで潜り込んだがいっぱいに。森田に付け直してからは余裕を持っていた平原が東矢を引き付けながら直線で抜け出して節目の500勝を達成した。
「(500勝を達成しての率直な感想は)年をとったなって(笑)今日のレースは車番が悪かったのでかなり不利な展開になるなって思っていたんですけど、森田が頑張ってくれたと思います。大方の予想でああなるなって腹をくくっていたのが良かったんじゃないですかね。(森田が)めちゃくちゃすげーダッシュでした(笑)。自力選手(東矢)が後ろに入ったので、後ろを連れてこられると厳しいなって思っていたんですけど。うまくけん制できたのかはわからないですけど、ワンツーが決まって良かったです。前回と同じ自転車ですけど、セッティングをさらに煮詰めたのが上向いた要因だと思います。初日特選での1着も自信になりましたね」
 車番的に不利だった森田優弥(写真)は東矢の突っ張りは想定済みで、走る前に対策を練っていたことが結果へと結びついた様子。
 「前が取れたら良かったですけど。(東矢に)前を取られたら突っ張られるなって思っていたので。想定はしていたので、すぐに巻き返せるようにと思っていたのが良かったと思います。東矢君は一回突っ張って追い風を浴びていたので、その分スピード差が生まれたのかなって。バックが向かい風で、踏み上がるというよりは(スピードを)落とさないようにするので精いっぱいだったので。平原さんが全部やってくれたおかげです」


<9R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 後攻めから上昇の橋本智昭の気配を察知した山口拳矢(写真)が先にインを切って中団取りに動く。正攻法から7番手まで下げた吉田有希は打鐘過ぎ3コーナーから力ずくで巻き返して主導権を奪い取るも、最終ホームから俊敏に関東勢の後ろへとスイッチしていた山口が、芦澤辰弘のけん制を乗り越えてゴール線を一番に駆け抜けた。
 「中団中団ってイメージで組み立てようと。すんなり中団でした。吉田君が仕掛けていったので、スイッチしてみようと思った。体が反応してスピードにうまく乗せられたし、そのままの勢いでまくっていきました。ずっと踏みっぱなしで、最後は合されそうになった」
 山口のまくりこそ止め切れなかった芦澤辰弘ながら、遅れ気味だった長尾拳太を張って、吉田をうまく庇いながら抜け出して自身は2着に入線。
 「スタートで(吉田が)2番車なので、後ろになるリスクは避けた感じです。吉田君が力勝負をできる形を取りたいと思って、あの展開になりました。気合の入った巻き返しだったと思う。(橋本を叩き切ったあと)僕の仕事はバックに入ってからだったけど、山口君のスピードが良くて乗り越えられてしまった。(長尾を捌いたところは)気持ちですね。僕の調子うんぬんではなく、ラインでの戦いだと思うので、明日もいつも通り準備してレースをしたい」


<10R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 正攻法に構えた福永大智、中団の佐藤一伸が、ともに後ろ攻めとなった中四国ラインを警戒する中で福永がイン切りを狙った佐藤を出させず一旦突っ張る。冷静に別線の動きを見ていた石原颯が打鐘手前からタイミング良く叩いてでる。後方に置かれた佐藤が巻き返しを狙うと、流していた石原が気配を察知してペースアップ。中団にいた福永と佐藤でもつれる展開となり、終始石原ペースでレースが展開する。最終3コーナーから自力に転じた村上博幸があわやのスピードで迫ったが、清水裕友(写真)が外を張りながら抜け出して人気に応えた。
 「(赤板から打鐘にかけての展開は)ほかのラインは石原君を警戒しての動きだったと思うんですけど、落ち着いて走ってくれましたね。(中団争いは)見てわかっていたので、あと仕掛けてくる人はいないなって思っていたら凄い勢いで村上さんがきたので。あそこで待つと岩津さんと決まらないなって思ったのでそこからは前に踏みました。(同じ玉野バンクでも6連覇を達成した防府記念の時とは)また別の緊張感がありますね。今回は玉野記念なので。やっぱり一人でも多く地元の人と決勝にっていう思いがあるので」
 中四国ライン3番手を固めていた岩津裕介はもつれていた後ろの状況を冷静に把握しながら清水を追走。直線外を迫った村上になんとか伸び勝ち2着でゴール線を通過した。
 「石原君も見過ぎたら(福永の)スイッチが入ってしまうと思うので。いいタイミングで叩いてくれたと思います。後ろが結構もつれていたので、内は空けられないなって気にしていました。村上さんのスピードが良かったのでまずい、いかれたなって思ったんですけど。内だったので意外と残っていましたね。地元の緊張感もあって、ちょっと固いなっていうのはあるんですけど。体調を整えて頑張ります」


<11R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 後方8番手から動いた立部楓真が正攻法に構えていた眞杉匠(写真)の動向を窺いながら赤板過ぎに押さえたが、流していたところを竹内翼が叩いて出る。山田久徳は一旦3番手に追い上げる形となったが竹内を叩いて先頭に立つ。眞杉は別線の動きを見ながら機動力の違いを示して一気にスパート。最終バックでは後ろを見ながら状況を確認しつつ、ゴール前の踏み直しも抜群で、強風にも負けず圧巻の逃げ切り勝ち。
 「(立部が)来るのが遅かったから突っ張るべきだった。状態に応じた走りになったので甘いなって思いました。これに慣れないように、元通りに走って(体を)戻していきたいので。そういう意味では今日のレースではダメでした。いつもだったら突っ張っているので」
 眞杉の仕掛けに呼吸を合わせて続いていた恩田淳平は直線で踏み込むも4分の3輪差の2着。
 「(スタートは)出たとこ勝負で行ける所からでと。自分はしっかり離れないで追走することが一番でした。1コーナーで(山田が)来た時は対応できるように準備はしていた。風が強くて重たかったので、もっとワットというか底力を付けていかないといけないなって思った。感触的には昨日の方が良かったです」


<12R>

長島大介選手
長島大介選手
 スタートで出遅れてしまった長島大介(写真)は8番手からの組み立てとなり、赤板で山根将太に突っ張られないように早めに上昇していき誘導員を降ろす。林慶次郎が長島を叩いて先頭に立つと、箱田優樹が長島の外に追い上げて併走する形に。打鐘で箱田が塚本大樹と接触して落車するアクシデントがおきて隊列がばらける。落車を避けた山根が打鐘過ぎ2センターから巻き返しを狙ったが、林に抵抗されて思うように車が進んでいかない。山根が出切れないと判断した松浦悠士は最終バックからまくりを発動。最終1コーナーから車を外に持ち出しながらうまく松浦の後ろへとスイッチしていた長島がさらに上をまくって白星をつかみ取った。
 「後ろになってしまったので、突っ張られないようにだけって気をつけて。あとは流れでしたね。箱田君の動きで山根君が行きやすくなったので、終わったかなと思ったんですけど、(山根が仕掛けを)待ったので展開が向きました。(最終バック手前で)山根君が止まって、松浦さんがタイミングを取らずにいったので。そこで(前から数えて)4番手にいれたので。松浦さんも苦しそうだったので(最終3コーナーから)いってみました。踏み勝てたのは大きいですね」
 打鐘で落車を避ける動きもあり、道中での脚力の消耗が否めなかった松浦悠士だが、山根が不発を見るや否や間髪入れず自力を発動して2着で準決に進出した。
 「やばかったです。ジャンで(落車を避けて)半分使いましたね。北が前なら前中団ってかんじでしたけど、出なかったので前からっていう感じですね。(最終2コーナーから自ら踏んだのは)山根君が内を気にする素振りをしたので、あのままいければ決まったと思うのでもったいなかったですね。久保田(泰弘)君がいると思って踏んだんですけど後ろは長島さんでしたね。昨日より体は良くなっていますけど、まだ自転車と体の一体感がないですね。ローラーの感じはいいけど、実走であれっていう感じなので」