『被災地支援競輪玉野国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 2日目編

配信日:9月25日
 熊本地震被災地支援第3回国際自転車トラック競技支援競輪・晴れの国おかやま! 瀬戸の王座争奪戦(G3)は2日目に突入。優秀「ガッツ玉ちゃん賞」をメインに、二次予選で準決勝への勝ち上がりが争われた。優秀戦は中村浩士が追い込んで1着。二次予選はパーキンス、ブフリが圧巻のレースを披露しました。敗者戦回りとなったドミトリエフも、2日目はしっかり勝って今年初白星を手にしました。
 なお、本場ではたくさんのイベント、ファンサービスが予定されております。まずは開催を通して先着1,000名さまに粗品をプレゼント。また、毎日100名さまに景品(26日は石鹸&タオル3点セット)が当たる抽選を実施いたします。また、地元岡山の選手が1着になった場合には選手によるTシャツの投げ入れ、競輪グッズの販売コーナー、本田晴美氏、山口幸二氏、山田裕仁氏ら元選手による予想会、豪華賞品が当たる未確定抽選会(3,000円分で1回)があります。さらに、明日26日(月)はガッツ玉ちゃんによるお出迎え、KEIRIN EVOLUTION 出場選手特別紹介、山口幸二氏・山田裕仁氏によるトークショー(第7R発売中)が予定されております。こちらもどうぞお楽しみに。
<6R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 ここからが二次予選。青板ホームからレースは早めに動き、上昇した鈴木竜士が中団外で止まると谷口遼平は車を下げた。中団以下の隊列が入れ替わり、鈴木は執拗なまでに谷口を警戒していく。両者のにらみ合いは続き、谷口が打鐘前からカマしていくと、鈴木は合わせて先に出て主導権を奪取した。合わされた谷口は吉田敏洋に切り替えられ万事休す。鈴木が懸命に逃げるなか、上手く中団を取った北津留翼(写真)が2コーナーから一気のスパート。北津留はブロックをかいくぐると、勢いそのまま先頭でゴールを駆け抜けた。
 「レースが後ろで始まってる、ヤバいと思いました。鈴木君が行ってからは『射程内に』と間合いをはかってたけど、ぼくは1周しか持たないので。緊張もしてたから変に脚を使ってたし。行ってからはフラフラしながらでした。行ける感じではなかったし、3人で決まったなんてミラクルです」
 菅原晃はゴール前で詰め寄ったがマークの2着。
 「4コーナーでは余裕があったけど抜けなかったですね。脚自体が落ちているし、新車で何とかなっている感じです」
 松本大地まで続き、九州で上位を独占した。
 「作戦としてはどっちのラインでも打鐘前から凄いスピードでくるし、番手、3番手が離れてくるだろうから、(北津留のスピードが)折り合った所で飛び付いてくれと。後ろが付いてきたけど、(関東)3人が抜け切ってくれたので。北津留も打鐘前の2コーナーで上がって飛び付いてくれたし(中団が取れた)。上手く走ってくれました」
 「もう少しやれればよかったけど…」と話すのは谷口遼平。鈴木にやられガックリ肩を落とす。
 「厳しいですね。考えてはいたけど、まさかあそこまで(警戒される)とは。情けない」
 その谷口に前を託した吉田敏洋は致し方なしといった様子。
 「谷口は(鈴木と)同級生だし負けたくないと意識するだろうから、やり合いにつき合ってもいいとは思っていたけど、ただ暴走して俺だけ勝ち上がっても意味がないので。行かれてからの対応が良くなかったね。1対1になってしまって、谷口はレース全体が見えてなかった。誘導がいるのかいないのか、北津留はどうしてるのか。行くタイミングは3、4回あったのに、逃して最悪のタイミングで行ってしまった。失敗ですけど、これが良い経験になればね」

<7R>
古屋琢晶選手
古屋琢晶選手
 松岡篤哉を強引に叩いた大竹歩が打鐘から先制。上手く近畿勢を受けた松岡が3番手を確保し、古屋琢晶が5番手、人気の九州勢は7番手に置かれる展開に。隊列は一本棒のまま最終ホームを通過。松岡が2コーナー過ぎから先まくりを打ち、前団を捕らえたが、このまくりに乗る形から古屋琢晶(写真)がまくり追い込んで直線強襲。激戦を制した。
 「余裕はあったんで、慌てずに行こうと。新田(康仁)さんに付けてもらっていたし、中途半端に仕掛けて浮くのはイヤだったので。中団が上手く取れたので落ち着いていきました。踏んだ感じも良かったし1着なので(調子も)良いと思います」
 先手を打った松岡篤哉だったが、古屋につかまり惜しくも2着。
 「ちょっと仕掛けるタイミングが取りにくくて難しかったです。脚も使っていたのでキツかったし。それでもなんとか勝ち上がれたし、感じも悪くないと思います」
 目標の松川高大が7番手で不発。S班の園田匠は絶体絶命のピンチに陥ったが、直線で外を急襲。3着に食い込み二次予選を突破した。
 「(後方になる展開は)いつも通りなので余裕があった(笑)。今回からセッティングをガラリと変えて伸びが出てきたし、方向性が見えてきた。着順以上に手応えがありましたよ」

<8R>
筒井敦史選手
筒井敦史選手
 竹村勇祐が斬った上を、佐川翔吾が打鐘過ぎに叩いて先行策。すると、前受けから7番手まで下げた原田研太朗が最終ホームから一気の反撃に出た。合わせて出た竹村を力でねじ伏せると、山口富生のブロックも乗り越えてまくり切った。
 「早めに仕掛けようと思ったけど、あの位置だったので。ホームで藤田(竜治)さんが内に差したので、あれで行きやすくなりました。スピードは良かったし、踏んだ感じも悪くないですね。共同杯(共同通信社杯)の調子は維持できています。(地元勢が付いて)プレッシャーもあったけど、地元2人を連れていけて良かった」
 原田マークの筒井敦史(写真)はゴール前で渾身のハンドル投げを見せるも、交わせず2着。それでも、「鬼門の二次予選を突破できて良かった」と胸をなでおろした。
 「スタートは誰も出ないだろうし、作戦は結局まとまらなくて何にも立てていない。行けたら早めに行った方がいいとは言っていました。でも、原田君の駆け出しにはしびれましたね。合わされ気味だったけど、原田君は少しずつ掛かっていったね。加速の距離が長いけど力があるね。最後は抜きたかったけど、今の実力ならあんなものですね」
 3番手の大前寛則は最終2センターから口が空き始めたが、懸命に追いかけて3着に入った。
 「脚がやばくて…。最後は気力です。地元じゃなかったら、3コーナーでくじけていた。今日は自分で自分を褒めます」

<9R>
佐藤幸治選手
佐藤幸治選手
 シェーン・パーキンスが異次元のスピードで2連勝。軽々と準決勝進出を決めた。レースは赤板前から動き、金子哲大が打鐘で先頭に出て主導権。パーキンスは8番手に置かれたものの、残り1周からスパートすると、片寄雄己が離れ、他の選手も誰も付いていけず。パーキンスはスピードの違いを見せ付けると、後続を8車身引き離して圧勝した。
 「今日は4分戦だから、3分戦より難しかった。最初は496の(中近)ラインに付いて行こうと思ってたけど、別の方法にチェンジしました。後閑(信一)さんはグッドレーサーだし、彼を見ながら。後閑さんのラインが1番強いけど、私も良い所でスパートできた。普段は腰を上げて行くんだけど、片寄(雄己)さんに付いてきて欲しいから、腰を下ろしたまま行きました。昨日も良かったけど、今日の方がさらにスピード、ダッシュが良くなっているね。初日は走る前は緊張したけど、今日は走り終わってからホッとしたし、やっと日本に帰ってきた感じがしたよ(笑)」
 2着に入ったのは佐藤幸治(写真)。逃げた金子の3番手を取ると、最後はしぶとく伸びて準決勝進出。
 「ああなったら3番手は譲れないと思ったので。取ってからまた藤井(昭吾)君が追い上げてきましたね。でも、そこからは後閑さんを見ながら、最後に外を踏みました。練習の成果が出たのか、久しぶりに手応えを感じました」
 片寄雄己は離れたものの、自分で必死に前に踏み、かろうじて3着を確保した。
 「ギアをパーキンスと同じ(3.92から3.93)に(当日)変えたけど、全く合ってなかった。もう踏んでいてスカスカで。今日はとにかくこれが原因。もう1回考えてみます。でも、明日に繋がったんでよかった」

<10R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 後ろ攻めから上昇し、誘導員の後ろに収まった戸田康平が、打鐘で誘導が退避するとそのまま先行態勢に入る。好位をキープした稲毛健太が2角からの先まくりを決めて3コーナー過ぎに先頭に立つ。稲毛は懸命にゴールを目指したが、その後方からマティエス・ブフリがみるみる迫り、ゴール前で抜き去った。
 「今日はうまく2番(稲毛)のラインに乗っていけた。2番が良い選手だし、彼より前にいるよりも、後ろで(稲毛を)見ていた方が良いと思った。体が思い出してきたし、昨日よりも今日の方が良かったです」
 先まくりであわやのシーンを作った稲毛健太だが金星はならず。
 「ホームでカマそうとして一度踏んだんですけど、(前がペースを上げたので)戻って3番手から。普段なら1着の展開ですけど、スピードが違ったし、後ろもいなかったので仕方ない。調子は良くも悪くもない感じです」
 ブフリをマークした海老根恵太(写真)が必死に食い下がり、3着で確定板入り。
 「もういつ(ブフリが)行くんだろうって(苦笑)。とにかく後輪だけ見て追走に集中していたので、前の状況はわかりませんでした。なんとか勝ち上がれたので良かったです」

<11R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 中団から合わせて出た取鳥雄吾が、その上を叩きに来た小笹隼人を突っ張って出せない。取鳥が全開で駆けていくと、番手の岩津裕介(写真)は車間を切ってアシスト。最後は直線で追い込んだ。
 「小笹は躊躇なく主導権を取りにきているし。(取鳥は)強いから4コーナーまではもっているけど、本当なら矢口(啓一郎)さんの展開ですもんね。難しいレースでした。(声援は)地元なんで、知り合いとかがきてくれて嬉しいですね。明日も与えられたところで頑張ります」
 前受けから下げた矢口啓一郎は後方で戦況を見極めると、最終1センターからスパート。ジワジワと前団との差を縮め、2着に入った。
 「おおよそ踏み合いになると思っていたので、いつでも仕掛けられる態勢をとっていました。でも、意外と早く終わってしまいましたね。雨も降っていたので、イメージよりも車の進みは悪かったです」
 小笹が突っ張られると、澤田義和は森岡正臣をキメて3番手を奪取。ピンチをくぐり抜け、3着で準決勝進出。
 「小笹が仕掛けてくれたおかげです。森岡君が離れたのが見えたし、小笹も後ろに下がったので(3番手を奪った)。岩津が仕事をしたら内にいこうと。矢口は伸びないかなって思ったけど、行かれてしまいましたね。でも、上出来ですよ」

<12R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 優秀「ガッツ玉ちゃん賞」は前受けの渡邉一成が、押さえに来た郡司浩平を突っ張って主導権。そこを武田豊樹が反撃に出てもつれると、立て直した郡司が一気のスパート。最終1センターで前団を抜き去ると、南関コンビでマッチレースに。最後は中村浩士(写真)が差し切って2連勝。
 「郡司君サマサマですね。郡司君が突っ張られたので、とりあえず先に内に下りて、(郡司が)引いてきても良いようにと。そこで武田さんが行くと思ってたし、踏み合ってくれたので展開が向きましたね。僕の状態は本音をいうと全然良くない。連日流れが良いだけ。練習はできているけど、体が硬くなってて。セルフケアをして、日に日に良くなっていってくれれば」
 郡司浩平は落ち着いた走りで強敵を退けた。
 「早めに押さえに行ったつもりだったけど。突っ張られたので、武田さんにしゃくられないように内を締めて。武田さんが行ったときに渡邉さんもヤル気だったから、突っ張ってくれて展開が向きましたね。僕も状態としては問題ないです」
 武田豊樹は叩けずも渡邉の後ろで外併走に耐えると、南関勢の後ろに切り替え3着に流れ込む。
 「切りに行ったつもりだったけど、行けなかったね。脚を使っていて余裕もなかったし、バックでまくれる感じではなかった。課題の残るレースだったけど、明日は矢口(啓一郎)君とお互い頑張るだけなので。相手は強いけどね」
 逃げた渡邉一成は9着に沈み、「郡司君が来るのは予測できるんだし、合わせ切らないとダメですよね。買ってくれるお客さんもいるのに。凡走でした」と悔しがる。
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