『被災地支援競輪玉野競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月2日
 今日2日から平成28年熊本地震被災地支援競輪・玉野競輪開設66周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」が開幕した。時おり吹く突風に悩まされる選手も多かったが、三田村謙祐は太田竜馬を相手に逃げ切るなど自力選手の健闘も目立った。メーンの特選は神山拓弥、岩津裕介に石井秀治が快勝。明日は優秀の「ももたろう賞」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 明日も引き続き緒方浩一氏、佐々木昭彦氏、山口幸二氏、山田裕仁氏、本田晴美氏によるレース検討会や未確定車券抽選会(未確定車券2000円分で1回抽選)などのイベントを予定しています。明日もぜひ玉野競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。
<1R>
松尾淳選手
松尾淳選手
 オープニングレースを制したのは近況リズムの良い松尾淳(写真)。前受けを選択した川口聖二が一旦中団まで下げると、打鐘過ぎ3コーナーから一気のスパート。宮下貴之を突っ張り先行態勢に入っていた森山智徳を力ずくでねじ伏せると4角ハコ展開を生かして抜け出した。
 「もっとめっちゃ踏み直すと思ってたんでね。ちょっと見栄えの悪い抜き方になってしまった。川口君がタイミングよく行ってくれたおかげでラインで決まってなにより」
 3着に沈んだ川口聖二も反省を口にする。
 「緊張からか重く感じましたね。朝イチだってのもあるかもだけど、踏み直せるかと思ったらタレてしまった。しっかり修正します」
 対照的に2着に入線した田中雅史はにっこり。
 「誰かしらにからまれるとは思ってたので。結果、安東(宏高)君にからまれたけどうまくしのげたので。調子自体は悪くないし勝ち上がれて良かった」

<2R>
 打鐘で押さえた月森亮輔はやる気満々で、すかさず巻き返した橋本智昭も叩き切るまでに時間がかかる。それでも橋本は力でバック過ぎに出切ったが、前団のやり合いで展開が向いた筒井裕哉が直線で外を鋭く伸びた。
 「自分だけ(笑)。橋本君がすんなり(先行)だったらイン粘りだったけど、月森君がやる気でしたね。でも、全然進まんすわ。なんかおかしい。(展開的に)もらったと思ってから2、3テンポ進みが遅い。前がタレてたから行けたけど。まあ前回よりはマシです」
 月森の抵抗を力でねじ伏せた橋本智昭が2着に粘った。
 「すぐ行くつもりだったんですけどね。緩んでくれればよかったけど、ちょっと中団で休んでから行きました。重いですね。今日踏んだんで、もうちょいよくなってくれれば」
 バックから橋本の番手に切り替えた坂本修一は3着で二次予選進出を決めた。
 「ああいう作戦ではなかったし、ツキちゃん(月森)よく踏むなと思いました。(橋本は)回しとったっすね。力が僕らより上なんで。ツキちゃんも脚使ってるし、キツいですよね。バックの接触で止まったし、僕も一杯でした」

<3R>
 人気を背負っていた高橋和也が持ち前のダッシュ力をフルに発揮して別線を完封した。正攻法に構えていた高橋は新山将史の上昇に合わせて中団まで下げると、打鐘で松岡孝高が叩いた上を一気に仕掛けて残り1周で早くも先頭に。番手の朝日勇や後方から巻き返しを狙った新山を堂々と振り切った。
 「(松岡が)打鐘で切ってくれて助かりましたね(苦笑)。風が強くなってきていたけど、そこまで重さは感じなかった。何とか決まって良かったです」
 2着の朝日勇は嬉しそうに高橋の強さを称えた。
 「何度も連係しているから(高橋の)仕掛けるタイミングとかは分かっているので。でも打鐘の所はピリピリでした。最後は抜きにいったけど自分の思っていた以上にまだ伸びてたので抜けなかった」
 3着の新山将史は反省交じりにレースを振り返る。
 「松岡君を突っ張る作戦だったけど、早めだったし風も強かったので…。後ろに迷惑を掛けてしまった。まくりにいったけど松岡君の動きとかを見ながら行ったので失敗しましたね。もっとガツンと踏んでいればまくり切れたと思います」

<4R>
山岸佳太選手
山岸佳太選手
 初手中団の山岸佳太(写真)は「出させるつもりはなかった」と才迫開の上昇を阻んで赤板から動く。1センターで誘導員を下ろしてペースに持ち込むと山本健也のまくりは番手の稲村成浩がブロック。山岸が逃げ切り、ラインで確定板を独占した。
 「ここは1、2班戦でも1回走ってる。軽いイメージもあるし、風も気にならなかった。(直近の決まり手が)先行ゼロで普通の選手になってると思ったし、今日は先行でしっかり出せた。気合いも入ってたんで。やっぱり気持ちの面が大きいですね」
 山岸を交わせなかった稲村成浩だがラインで上位独占の結果を素直に喜んだ。
 「山岸君が頑張ってくれた。全部やってくれました。佐藤君が入って来たけど、気を使って入って来てるしね。ワンツースリーでよかった。状態は特に変わらず。シリーズも始まったし、また気を入れ直して頑張ります」
 2センターから内に切り込んだ佐藤真一だったが3着まで。
 「キツかった。山岸が強いよ。稲村さんと山本がモツれてたし、ヤバい雰囲気だったので。先に踏んだの申し訳なかったけど、遠慮気味に行ったつもり。前回、失敗してるし、その反省を踏まえて走れたのはよかった」

<5R>
 新鋭の竹内翼は後ろ攻めを選択。赤板で上昇を狙うも中団の雨谷一樹ににらまれて動けず、正攻法に構えていた泉文人が腹をくくって逃げる形に。雨谷は後方を気にするあまり前団との車間が空き過ぎてしまい詰めるだけで一杯。北勢がそのまま別線を完封するかに思われたが、2センターから外を踏み込んだ竹内翼が直線で鮮やかに突き抜けた。
 「ずっと見られていたので仕掛けるタイミングがなかったですね。でも内容は悪いですけど、それでも最後は1着まで届いたので。前回からギアを3.92に上げて合っているのかなって思います」
 2着には泉を利した谷津田将吾が入線した。
 「ローリング先行がきつくてきつくて。風も強かったし、自分の方が一杯でしたよ。あれだけ踏んで残れているんだから強いよ」
 泉文人は前回の立川から動きが一変している。
 「前回はオーバーワークで体が動かなかったけど、疲れが抜けてやっと本来の力が出せるように。今年から沖縄に冬季移動をしてて山崎(芳仁)さんにお世話になっているので、簡単に負けたら(沖縄に)帰れないんで(苦笑)。明日も頑張ります」

<6R>
 打鐘で押さえてペースに持ち込んだ金子哲大を4番手外併走から西本直大が叩いてホームから主導権。3番手に入った金子は重倉高史の巻き返しに合わせて2コーナーまくり。西本を飲み込むと、続いた河野通孝がゴール前で金子をとらえた。
 「金子君がすかさず行ってくれた。西本君のカマシに僕が対応できず、金子君には苦しい展開にさせちゃった。来ないかなと思って回しに入ってたし、あれを来るのは強いですね。それを行っちゃう金子君も強いんだけど。(茨城勢)みんな勝ち上がったし、楽しみです」
 金子哲大の冷静な走りが関東勢を上位独占に導いた。
 「ペースに入れてたんで、これで来られたらしょうがない。でも流したつもりもなかったし、来るとは思わなかった。(3番手に入ってから)重倉さんが来たのが見えたんで先に出て行かないと。そこからは無我夢中でした。あんまやらないような形になったんでキツかったですね」
 3番手の戸邉裕将も金子の仕掛けにきっちり食い下がった。
 「けっこう踏めましたね。よかった。セッティングを今年大幅に変えてる。外をあんな踏んで出るとは思わなかった。からまれそうなところをピッタリ付いて行けたのが大きかったです」

<7R>
松村友和選手
松村友和選手
 積極タイプがそろい出入りの激しい一戦に。打鐘でまず磯島康祐が先頭に立つと、打鐘前から栗山俊介の内をすくった掛水泰範がそのまま前に出て主導権を握る。この動きに番手の野本翔太が離れ、代わって番手に入った栗山俊介はすかさずまくって行くが一度は掛水に合わされる。番手に入り直した栗山は2センターから再度仕掛けて粘る掛水を飲み込むと、番手の松村友和(写真)が差し脚を伸ばした。
 「栗山君は底力があるからね(笑)。迎え入れてももう1回仕掛けてくれると思ったので。最近は良くなってきているし、久々に1着が取れて良かったです」
 掛水に合わされて一瞬ヒヤッとした栗山俊介だったが、立て直して再度まくると人気に応えた。
 「松村さんに入れてもらったおかげですね。でもずっと踏みっぱなしだったし、脚自体は悪くない。もっとメリハリを付けられれば戦えると思います」
 直線で失速し5着に沈んだ掛水泰範だったが大いに見せ場を作った。
 「目一杯踏んでいたので。もう少し粘れれば良かったですけどきつかった」

<8R>
 後ろ攻めから動いた堀内俊介だったが、その後各ラインが動いて再び7番手に。それでも最終ホームから仕掛けると、好回転で前団を飲み込んでしまう。最後は山田幸司が絶好の展開を生かして抜け出した。
 「動いて7番手になっちゃってヤバいなと思ったけど、(堀内は)スピードありますね。このところいいからね。いいスピードで行ってくれて、後ろに付いてる分には自分も余裕ができますからね。粘られそうだったし、バックで接触もあったけど僕は影響なかった。ラインで決まってよかったです」
 ゴール前で交わされた堀内俊介だったが力強い走りが光った。
 「とにかく風が強くて…。出るときは回せたけど、そこからはずっと風を受けて踏みっぱなし。バックからけっこう一杯で、4コーナーからも余裕がなかった。でも、タイミングよく仕掛けられたかなとは思います」
 3着に流れ込んだ大木雅也はホッと胸をなでおろす。
 「いいスピードで行ってくれたし、付いて行けてよかった。バックでガシャンって音がして焦ったけど、僕のところに飛びつかれないようにと思ってた。うまく決まってよかったです」

<9R>
三田村謙祐選手
三田村謙祐選手
 駆けてこそ強い三田村謙祐(写真)が自慢のパワーを発揮して新鋭の太田竜馬を破る大金星。強風にも負けずに堂々の逃げ切りで一次予選を突破した。
 「みんな太田、太田って言ってたからこっちも力が入りましたよ。相手2人は脚があるから緩めたら来られると思って(ホームからは)全開でした。今日は展開と天候(強風)のおかげ。この風はまくりの方がきついですから。うまくいきました」
 2着の小田倉勇二だが、太田の上を乗り越えたスピードは悪くなかった。
 「打鐘でどうするか迷ってしまった。脚の感じは悪くないけど、やっぱり三田村さんが強かった」
 3着で辛くも勝ち上がった太田竜馬だが人気に応えられず肩を落とす。
 「まくりにいったタイミングは悪くないけど、車を外に外した瞬間に突風が吹いて止まってしまった。もう少しレースでの対応力を付けないとですね。新しいギアの感じは悪くないので明日以降もそのまま使います」

<10R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 後ろ攻めから動いた近藤隆司に対し、北津留翼は誘導員を残して車を下げる。そこを打鐘前から吉田拓矢が一気に叩いて主導権。7番手まくりの北津留、中団から巻き返した近藤がそろって不発に終わると、茨栃ライン3番手から神山拓弥(写真)が直線外を突き抜けた。
 「前2人が頑張ってくれたおかげ。拓矢が強かった。自分は流れだけですね。脚は引き続きいいと思う」
 強風をものともせず力強く逃げた吉田拓矢が2着に粘った。
 「後ろを信頼して行けたんでよかった。主導権は絶対取ろうと思って行きました。風はあったけど、バンク自体軽かったんで最後まで踏めました。ラインで決まったのでよかったですね。いいレースはできたけど、これで終わりじゃなくて、(2日目以降も)今日みたいな積極的なレースができれば。それを忘れないようにしたい」
 番手絶好の芦澤大輔だったが、吉田を交わせず3着に終わった。
 「拓矢には『自分を信じて頑張れ。自分は自分の仕事を頑張るんで』と言ってた。拓矢らしいレースだったし、今日は風も強いのに拓矢が強かった。(調子は)見てのとおりだし、拓矢に連れてってもらったぐらいです」
 中団確保からまくった近藤隆司だったが4着まで。吉田の強さをあらためて思い知らされた。
 「ホームで行こうかと思ったけど、吉田君がペースを上げたのが見えたんで。あそこで行ければ面白かったですね。(吉田は)すごいですね、ペース配分というか。まくれなかったけど走路は流れるし、相性はいいなと感じました」

<11R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 S班の岩津裕介(写真)が好展開を生かして白星をゲット。逃げる原田研太朗を巧みにリードして3番手を固めた先輩の三宅伸とライン3人で優秀戦への切符をつかんだ。
 「いいスタートを切れました。原田君は2コーナーからかかっていきましたね。誰も来れる感じはしなかったので。余裕もありました。全日本選抜から修正して感触も良くなりましたね。なによりライン3人で決められて良かった」
 「昔を思い出した」と打鐘からの1周半駆けに出た原田研太朗も笑顔を振りまく。
 「作戦は2人に全部考えてもらって。3人で決められたし100点ですね。しっかりと先行できたのが良かった」
 3番手で続いた三宅伸は「前2人が小さいから風を受けてキツかった」と冗談交じりに話すが、最後は「ラッキーで特選に乗れて初日3着だけど、いいことはそんなに続かない」と明日以降の戦いに気持ちを入れ直していた。
 中団を確保した山田久徳だったが仕掛けることはできず。
 「久々のレースだったけど動けてはいた。いい位置を取れたし、レース勘は問題なかったけど、ハラケン(原田)が強すぎて全く車が出なかった」

<12R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 早坂秀悟にフタをして打鐘前から飛び出した中井俊亮が主導権を握るが、すかさず早坂も巻き返してこの両者で激しいモガき合いに。これで展開が向いたのは石井秀治(写真)。1センターから仕掛けると、合わせて踏んだ村上義弘を豪快に飲み込んだ。
 「今日は風が強かったから余計に俺向きでしたね。村上さんが出て行ったときに合っちゃうかなと思ったけど乗り越えられてよかった。状態は悪くないけど、首が痛くて(後ろが)確認できない。(状態は)上がっていくとは思うし、二次予選を走るプレッシャーがないのはいいですね」
 石井に続いて2着に入った佐藤龍二は第一声「初めて優秀に乗った」と笑顔。満足げにレースを振り返った。
 「外に外したら村上さんがしゃくって来るんで、締めて回ろう。そしたらラインで決まるかなと思った。落ち着いて走れましたね。今日は秀治さんさまさまです」
 内で村上に粘られるような形になった林雄一だったが、外併走を耐えて3着に続いた。
 「9番手でこの風のなかでも反応もよく余裕も少しあった。村上さんと2センターから併走になったのでやられないように。最低限の仕事はできました。明日も(南関)3番手ですね」
 中井マークの村上義弘は石井のまくりに対応が遅れて4着に。
 「秀治の行き頃になってしまいましたね。立て直して行かなアカンときにはもう秀治が来ていました」
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