『被災地支援競輪玉野競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月5日
 平成28年熊本地震被災地支援競輪・玉野競輪開設66周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」は3月5日に4日間の熱戦に幕を下ろした。決勝戦では吉田拓矢、原田研太朗の若手2人がラスト1周激しく火花を散らした。単騎の早坂秀悟が2コーナーからまくると、察知した岩津裕介も徳島後位から応戦。これでようやくコースが空いた村上義弘が石井秀治を飛ばして4コーナーから外に持ち出すと一気に突き抜けた。村上の記念優勝は昨年4月の高知以来。通算32回目の記念優勝となった。なお、第9レースで行われた災害復興支援レースは郡司浩平がまくって圧勝した。
決勝戦 レース経過
 号砲で石井秀治がいち早く飛び出してスタートを取った。初手は石井、村上義弘-金子貴志、原田研太朗-堤洋-岩津裕介、早坂秀悟、吉田拓矢-神山拓弥の順で並んだ。
 レースが動いたのは青板周回の3コーナーから。まずは吉田が上昇し、原田の横で止まってフタをする。そのままで赤板を通過すると、吉田は打鐘を目掛けて踏み上げていき、前を叩いて先頭に立った。合わせて踏んだ村上が吉田の3番手をキープする。すると、原田が早めに巻き返して行くと、吉田もこれに反応してトップギアに入れ両者でモガキ合いになった。最終ホームを通過し、2人で踏み合うなか、2コーナーから早坂もスパートすると、さらに岩津も自分で前に踏んでいく。最終バックを過ぎ、主導権争いは原田に軍配が挙がり、早坂、岩津で力比べとなり4コーナーへ。この3者でV争いかと思われたが、その後ろから村上が強襲し、直線で外を突き抜けた。岩津は惜しくも2着となり、村上を追った金子が3着に入る。


村上義弘選手
村上義弘選手
 最終ホームから吉田拓矢、原田研太朗で壮絶なモガき合い。これで内に詰まっていた村上義弘(写真)だったが、バックでようやく視界が開けるとすかさず外に持ち出した。早坂秀悟、岩津裕介に続こうとした石井秀治を2センターで飛ばすと4コーナーから山おろし。直線一気に突き抜けて激戦を制した。
 「ほんとに強かったです。意地の張り合いというか、2人が。僕はたまたま自分の流れになっただけ。研太朗が出切ったらその外。吉田が合わせたらこじ開けて行こうと思ってたけど、踏むコースが最後まで見つからなかった。たまたまですね」
 1月和歌山、2月奈良と今年は記念でいずれも決勝に乗ったが勝ち切れず。全日本選抜は準決勝で敗退。「この(チャンピオン)ユニフォームを着てるし、そのなかで自分自身にプレッシャーをかけてきたけど、なかなか結果がともなわないんで、そういうストレスはあったし、ファンもあったと思う」。今年はここまで歯がゆい思いがつのるばかりだった。それだけにこの優勝で少しは胸のつかえが取れたはず。「何とか(記念)1勝できて、とりあえずホッとしています」。次は17日から高松で開催されるウィナーズカップ。そこへ弾みをつける貴重な1勝となった。

 好判断でバックから自力に出た岩津裕介だったが、地元勢最多となる4度目の玉野記念優勝はならなかった。
 「(原田が)いいレースをしてくれました。(後ろで)気配がしたんで行くしかないなと。優秀は合わされたけど、原田君は出切ってくれたんで。僕も何とか見せ場を作れたかな」

 村上マークの金子貴志は3着。ラスト1周のバトル、そして村上の勝負強さにレース後は目を丸くした。
 「もう訳わからん。すごいっすね。バックで村上さんが持ち出せる態勢になって、7番(石井)もいたけど張ってくれたんで。もう少し早く踏めたら2着まであったかな。感じ的にもいい感じだし、また次につなげられるようにですね」

 原田、吉田の主導権争いで単騎の早坂秀悟にも記念初優勝のチャンスはあった。2コーナーから仕掛けたが、岩津に合わされ5着に。
 「岩津さんのまくりは想定外でしたね。でもしょうがない。岩津さん脚力あるから。今日のレースは自分のなかで悪くなかったし、悔しいけどしょうがないです」

 若手機動型の主導権争いは見ごたえ十分だった。ラインから優勝者こそ出せなかった原田研太朗は満足げにレースを振り返る。
 「優秀は自分で踏み上げてだったけど、今日は上げてもらってからだったので。出切ったので収穫はあった。次につながったらいいかなと思います」

 主導権争いに敗れた吉田拓矢だが、今シリーズは連日気迫あふれる走りを見せた。
 「先行じゃないと勝ち目がないと思ってました。今日は原田さんがすぐ来ましたね。悔しいけど、また練習を頑張って、次頑張ります」


ゴール
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