『玉野競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月3日

 玉野競輪場を舞台に開催された開設68周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦(GIII)」は、3月3日に最終日を迎えた。雨が降る中で行われた決勝戦では、2つに分かれた徳島トリオと中国勢が激突。主導権を握った太田竜馬の番手から阿竹智史が抜け出して、12年6月豊橋以来、6年8カ月ぶり2度目の記念制覇を達成した。また、6Rに行われた「S級ブロックセブン」では、人気を集めた園田匠が、宗崎世連の番手から鋭く伸びて白星を挙げた。

決勝戦 レース経過

 号砲で、大外の野田源一が勢い良く出て前受け態勢。これに、松浦悠士-柏野智典-西岡拓朗の中国勢が続き、以下は芦澤辰弘-志村太賀の関東勢、太田竜馬-阿竹智史-北村信明の徳島トリオの順で周回。
 赤板周回に入り、松浦が前との車間を切ってけん制する中、太田は1コーナーからダッシュ。これを見て松浦も踏み出すが、2コーナーで松浦を一気に叩いて太田が主導権を握る。松浦は徳島勢を出させて中団に引き、野田や関東勢は後方に。レースは完全に太田が支配し、最終2コーナーで松浦がまくるが思うように車は進まない。結局、車間を切って備えた阿竹に合わされて松浦は不発。阿竹はそのまま2センターあたりから踏み出すと、後続の追撃を振り切ってV。徳島勢後位に切り替えた柏野が、ゴール前で阿竹と北村の中を割って猛然と迫ったが、1車輪差で及ばなかった。


阿竹智史選手
阿竹智史選手

 「弱っていた時も、師匠(小倉竜二)には世話になった。ケガもあったけど、これで吹っ切れました」
 昨年は、レースで計6回の落車。今シリーズも、初日特選で落車のアクシデントに見舞われたが、これまで何度も這い上がってきた阿竹智史(写真)は、それをモノともしない走りで優勝をつかみ取った。
 「すべて太田(竜馬)と、後ろを固めてくれた北村(信明)のお陰です。太田は、しっかり先手を取ってくれた。それが、一番大きいですね」
 太田が赤板から一気に仕掛けて主導権を握ると、阿竹は徐々に車間を空けて太田を援護。まくってきた松浦悠士を完ぺきに合わせ切ると、直線で鋭く抜け出して、力強く右の拳を突き上げた。
 「豊橋(記念の優勝)から6年もかかったんで、ガッツポーズが出ました。(優勝を確信したのは)ゴール線ですね。柏野(智典)さんも見えていたんで、合わせて踏みました。4コーナーを回って、最後は必死でした」
 寛仁親王牌で鎖骨を骨折し118日間の欠場を経て、復帰した2月大垣FIは622着。続く西武園FIでも、決勝2着の成績を残して今開催を迎えた。
 「今回は番組に恵まれたんですけど、まさか復帰3場所目で記念を獲れるとは思わなかったです。(復帰して)感覚が走るごとによくなって、戻っていたし、脚よりもレース感やなと思っていました。うれしいです」
 今回が12年6月豊橋以来、通算2度目の記念制覇。「次はGIの決勝に乗りたい」。若手、ベテラン共に勢いがある徳島勢の一員として、次の目標に向かって突き進んで行く。

 松浦悠士が不発と見るや、冷静にコースを探した柏野智典が2着。地元記念初優勝はお預けとなったが、連日気持ちの入ったレースで開催を盛り上げた。
 「中四国のみんなで力勝負して、レースとしては面白かったと思います。(松浦は)しっかり仕掛けてくれて、気持ちも伝わりました。最後は伸びる感じがありました。北村(信明)君が外に行けば中だし、中なら自分は外だと思っていた。早く決めてほしいなって思ってました」

 徳島ラインの3番手を固めた北村信明が3着。初めての記念決勝で確定板入りを果たした。
 「太田君のお陰です。阿竹さんが番手で車間を切ってる感じだったんで、どうしようかなと。外を踏んだら、やっぱり(柏野が)来ますよね。最後は経験不足でした。でも、3着に入れてうれしいです」

 太田竜馬は、迷いのない先行策でレースを支配した。
 「松浦さんは強いし、後ろから全開で行こうと思っていて、その通り走れました。雨もあって、ジャンで結構、踏んだので重かったです。阿竹さんが優勝できるように走れば、自分にもチャンスがあると思ってました。(初日に落車したが)先行するぶんには大丈夫です」

 地元の柏野に前を任された松浦悠士は、太田の仕掛けに合わせて踏み込んで中団を確保。最終2コーナーからまくったが、太田のスピードに車は出なかった。
 「(太田には)もうちょっと早く来てほしかったですね。一緒に踏んで、めちゃくちゃ踏ませて出させようと思ったんですけど…。(仕掛けた時は)行けそうなカカリじゃなかった。まだ、脚も気持ちも足りないですね」

 目標がなかった芦澤辰弘は、レースの流れに乗れなかった。
 「いろいろと考えてたんですけど、初手は太田君が前受けと思っていたし、全然、読みが違いました。太田君に後ろからカマされたらどうしようもない。あれなら迷いなく競りにいけばよかった。ああなってしまって踏んだけど1車しか進まなかった。本当に情けないです」





次回のグレードレースは3月7日~3月10日まで松山競輪場で開催予定の開設69周年記念「金亀杯争覇戦(GIII)」となります。また最終日の3月10日はルーキーチャンピオンも行われます。
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