『広島競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月24日

 広島競輪場を舞台に開設68周年記念「ひろしまピースカップ」が12月24日にスタートした。今年最後の記念シリーズの初日は、117期の山口拳矢と地元の町田太我が人気に応えて勝利。さらに、竹内翼と木村幸希も地元記念で白星スタートを切った。また、メインの特選は、最終2コーナーまくりで後続を離した野原雅也が制した。2日目は二次予選7個レースで準決勝進出が争われる。
 なお、今シリーズは新型コロナウイルス感染拡大防止集中対策に基づき、無観客開催となります。車券の購入は、インターネットや電話投票、場外車券売場をご利用ください。

<1R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 打鐘手前から山口拳矢(写真)にフタをした鈴木謙太郎が、最終ホームで奥村諭志を叩いて先制。後方の山口は2コーナーからまくり出すと、河野通孝のけん制を乗り越えてオープニングレースを制した。
 「オッズも人気になっていたので、しっかり責任をもって走らないとなと思いました。めちゃくちゃ緊張しましたけど、レースが始まってからは落ち着いていました。(河野のけん制を)食らったら絶対に転ぶと思って、外を踏みすぎてしまって前が遠かったです。朝が苦手でちょっと体が重たかったけど、明日(2日目)は遅めのレースになるので、もうちょっと体が動くかなと思います」
 山口マークの北野武史が2着で中部ワンツーが決まった。
 「なんとか食らいついていけました。しんどかった。踏み出しは行くぞと思っているからタイミングを合わせて行けたけど、ぐんぐん伸びていくし、内の人もこっちを見ていると思ったら気が気じゃなかったです(笑)。なんとか期待に応えられて良かった」


<2R>

木村幸希選手
木村幸希選手
 地元の木村幸希(写真)は赤板の2コーナーで東矢昇太を切って、打鐘で雨谷一樹を受けて3番手を確保する。ペースで駆ける雨谷に対して別線は動けないまま最終バックを通過。絶好の位置で脚を溜めた木村は2センターから踏み込んで、直線鋭く突き抜けた。
 「コマ切れだったので良い位置を取れたら行けるかなと思っていました。緩んでいたけど、雨谷さんが踏み上げていった。早めに仕掛けられればラインで決まったけど、力不足でした。(地元記念で)準決にはいってみたいですね。力を出し切るレースをして結果が付いてくれば」
 雨谷一樹は木村の鋭い伸びに屈するも、ペース駆けで2着に粘った。
 「作戦通りでした。前に出てからは自力選手だけを見ていた。誰も仕掛けてこなければ先行しようと思っていました。寒くて重かったけど、何とか頑張れました」


<3R>

 打鐘の2センターで嶋田誠也を切った田中晴基を、最終ホームで今野大輔が叩いて主導権。中団を確保した田中はバックからまくり出すと、前団を一気に飲み込んだ。
 「(スタートで別線が)出ないこともあるなと想定はしていたので、出ないなら前から行こうと思いました。ジャン前に後手を踏みそうだったので追い上げたら、思っていたよりも(嶋田が)流していたので前を切りました。でも、そこからどうする?って自分で思っていたとこで(今野が)来てくれましたね。踏み出した瞬間は重たかったんですけど、そこからは伸びていきました」
 鈴木誠が2着に続いてラインでワンツーが決まった。
 「(田中は)ジャンで切るあたりもタイミングが取れていたし、自分も安心して付いていけました。今回、セッティングの新しいのを試そうと思ってやっているので、もうちょっと噛み合ってくれたらいいですね」


<4R>

竹内翼選手(左)・吉本哲郎選手(右)
竹内翼選手(左)・吉本哲郎選手(右)
 地元師弟コンビのワンツーが決まった。泉谷元樹、新納大輝の順で切った上を竹内翼(写真・左)が打鐘3コーナーで叩いて主導権奪取。そのまま3番手以下を大きく突き放すと、力強く踏み直して逃げ切った。
 「師匠(吉本哲郎)とは広島で何度も連係していてやっとワンツーが決まった。出てからペースが乗れば先行って感じで、臨機応変に対応できた。出たときのスピードが上がっていたからそまま緩めることなく踏めた。2レースで木村(幸希)君が勝ち上がったから刺激を受けましたね。師匠と決まったのが一番嬉しい。残り3日間、気持ちで走って駆け上がります」
 吉本哲郎(写真・右)は弟子の竹内に懸命に追いかけて2着をキープした。
 「離れたというよりも(竹内が)出られなかったときのことを考えて内も見たりとかイメージをしていた。追いついたところで一杯でしたね。付いていけてホッとした。抜く余裕もなかった。練習なら(町田)太我の方が強いが、それよりも今日(初日)の(竹内)翼が強かった。久々に強い翼でしたね。ワンツーが決まって嬉しい。ワンツーなので満足ですね」


<5R>

 赤板の1センターでハナに立った藤根俊貴がスピードを上げて逃げると、中団の宗崎世連は最終ホームから反撃に出る。前受けから下げた皿屋豊は隊列が短くなった2コーナーから一気にスパートして、段違いのスピードで前団をとらえた。
 「(初手は)中団から行きたかったんですけど、けん制しても仕方ないので、受けて立つ形で前を取りました。藤根君のカカリが良かったので宗崎君は構えるのかと思ったけど、そこは予想外でしたね。展開が向いたっていうのもありますけど、踏み出した瞬間に行けるなって感じはありました」
 皿屋マークの原真司が2着に続いた。
 「(皿屋に)任せていました。今日(初日)は感じが良かったので付いていけました。スピードが上がっていたぶん、付きやすかったのかもしれないですね」


<6R>

 前受けした谷口遼平は6番手まで車を下げると打鐘4コーナーから一気に反撃を開始。先行態勢に入っていた小林史也を1センターでとららえる。最終バックで別線の巻き返しはなく絶好展開を迎えた吉田敏洋が差し切った。
 「久々の1着ですね。3番手を回ってくれた山下(一輝)も勝ち上がって最高ですね。谷口君はいいですね。1年半前ぐらい前に連係して以来で、その時よりも脚力が上がっていて、ピリッとしましたね。余裕はあった。フレームと体が前回より合ってきている」
 中部コンビの後位を選択した山下一輝が吉田に続いて2着に入り笑顔。
 「中部勢を選んでよかったです。スタートを取れてホッとしましたね。谷口君が強引に仕掛けてくれてありがたい。最後も伸びるコースを踏めたし、引き続き感触は良かった」


<7R>

町田太我選手
町田太我選手
 赤板手前で森川康輔が町田太我(写真)を押さえて主導権を握る。庄子信弘が中団に続き、7番手まで下げた町田は打鐘の4コーナーからスパート。鋭いダッシュで後続を突き放すと、そのままゴール線を駆け抜けて、初めての地元記念で好スタートを切った。
 「(1レースで同期の山口)拳矢さんが1着を取った瞬間から緊張しかなかったです。本当は前を取ったら突っ張って先行しようと思っていたけど、森川さんに上手く出られてしまって、しかも誘導も残してしまったので、最悪ホームからは行こうと思って行きました。広島は雨が降った方が僕の中では軽く感じるので、今日(初日)も軽かったです。この流れで二次予選も準決勝も1着を取って、決勝に行けるように頑張ります」
 西岡拓朗は町田の踏み出しで離れてしまい、森川の後ろから伸びた山内卓也が2着に入った。
 「スタートで前を取るつもりだったので、ジャンまでの展開は想定外でした。あのカカリで来れるのは、一人か二人だと思っていたし、(町田の)ものすごい音も聞こえたけど、(森川)康輔が頑張ってくれました。自分は道中も余裕があったし、康輔を(3着に)残すこともできたので悪くないです」


<8R>

 打鐘手前でハナに立った水谷好宏を、3コーナーで蒔田英彦が押さえて先行態勢に入る。4番手は追い上げた山本直と水谷で併走になり、最終バックも両者は併走状態で通過。絶好の展開となった岡村潤は直線鋭く抜け出して白星をつかんだ。
 「みんなが動いてくれて、(蒔田は)打鐘ですかさず行ってくれましたね。前回、蒔田君に付いて、こういう走りっていうのが分かっていました。後ろ(山本と水谷)が併走していたのも見えていました」
 蒔田英彦は別線を封じて3着に粘った。
 「積極的な人がそろった4分戦だったから、一回転してくれると思って前を取りたかった。でも想定より早く順番が来てしまって、長かったですね。感じはめちゃくちゃ悪い。寒くて重たいからですかね。今日は後ろに残してもらった感じです。修正します」


<9R>

 打鐘手前で先頭に立った飯田憲司を、4コーナーで池野健太が叩いて先制。久米康平は最終ホームで中団に追い上げると、2コーナーから仕掛けて池野をとらえる。最後は番手の山中貴雄がきっちり久米を交わした。
 「(久米が)すかさず行ってくれて、バックを踏むことなく、外を踏んでいってくれました。久米は行き切るやろなって感じでしたね。(自分は)ここ最近と変わらず余裕はありました。調子は良いと思います」
 別線を一蹴した久米康平が2着で四国ワンツーが決まった。
 「作戦は取れたところからしっかり仕掛けて勝負しようと思っていました。(中近ラインに)付いて行って、飯田さんがすんなり4番手に入るなら、すぐ行こうと思っていたけど、ちょっと遅れている感じだったので、一回、入ってから行きました。まくり切ってからはちょっとスカスカする感じがあるけど、自転車は変えずに、こういうものだと思って回す方のイメージに変えて走ろうと思います」


<10R>

佐藤友和選手
佐藤友和選手
 後ろ攻めの坂本周作が先頭に立つと、酒井拳蔵はこのラインに続いて中団に収まる。前受けから7番手まで下げた取鳥雄吾は打鐘の3コーナーから反撃開始。最終2コーナー過ぎに坂本をまくり切るが、マークの池田良は離れてしまう。バックで取鳥の後位にスイッチした佐藤友和(写真)が直線で鋭く差し切った。
 「イメージ通りにレースを運べたけど、坂本君が取鳥君を引き付け過ぎたのもあり、残念なレースになってしまった。スピードの違いもあり、取鳥君に出られてしまった。池田君が遅れていたから切り替えさせてもらった。脚の状態はいい」
 ロングまくりの取鳥雄吾は佐藤に交わされて2着に。
 「中団が良かったけど、前受けになって、酒井君と併走も考えたけど、ラインで共倒れになると思って引いて行けるところからと。佐藤さんが持ってくると思ったし、坂本さんのかかりもよくて。池田さんが少し離れていることも考えて少し外を踏んだけど、途中からは自分のことで精いっぱいでした。今回は尻上がりに良くなるような状態だと思う。体が軽くなっていくと思う」


<11R>

佐藤壮選手
佐藤壮選手
 吉川起也が打鐘の3コーナーで鶴良生を叩いて先行勝負に出る。後方の太田竜馬は2センターから反撃に出るが、最終3コーナーで谷田泰平の横でいっぱいに。好展開となった谷田は直線で抜け出しを図るも、桐山敬太郎マークの佐藤壮(写真)が2センターから内に進路を取り、逃げる吉川をもすくって白星を挙げた。
 「桐山(敬太郎)さんを信頼して付いていけば着があると思っていたので、僕はくっついているだけでした。最後は桐山さんと逆を行くって決めていたので内に行きました。まさか、あそこまで空くとは思ってなかったです」
 佐藤に先着を許した谷田泰平だが、吉川の番手から伸びて2着でゴールした。
 「(吉川が)先行してくれて、太田君を合わせてくれて、僕は付いていただけでした。順番的に太田君が来るだろうと思って、僕も何かしないとって思っていたんですけど、僕の隣で止まったので、あとは交わしにいくだけと思ったんですけど…。(佐藤が)僕のところに来るかと思ったら、もう一つ内に行ったのでしまったと思いました。寒くてちょっと重たかったんですけど、感じ的には悪くないです」


<12R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 赤板の1センターで鈴木竜士が先頭に立つと、中団に下げた野原雅也(写真)は後方の北津留翼をけん制する。バンクの上の方に上がった北津留は、打鐘の2センターから強引に仕掛けて最終2コーナー手前で鈴木を叩く。そこへ野原が抜群のスピードで迫って北津留を抜き去り、後続を突き放して初日特選を制した。
 「(初手は)車番が悪かったので、前か後ろか選んだ時に、前の方がチャンスがあるかなと思って前から行きました。(鈴木)竜士と北津留さんがモガき合ってくれたので、自分は仕掛けやすいタイミングになりました。ラッキーパンチですけど、仕掛けた感じは悪くなかったです」
 坂口晃輔は野原の踏み出しに離れるも、なんとか2着に食い下がった。
 「久々にあんなに踏み出しから車間が空いてしまったので、自分でもびっくりしました。そこからは慌てるとモガけなくなると思って、ごまかす感じで踏んでいきました。野原が強かったのと、いつ行くかで自分が踏み待ちしてしまって、それが結果的に消耗してしまいましたね。苦し紛れでも2着に来れたのは良かったです」
 北津留の後ろから踏んだ阿竹智史が3着に入った。
 「(北津留は)かなり外を走らされたけど、その後は力で行ってくれました。内の鈴木君を気にしていたのもあるけど、野原君が見えんくらいのスピードでまくって行きましたね。(自分の)感触は悪くないと思います」