『広島競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月9日

 広島競輪開設69周年記念「ひろしまピースカップ(GIII)」が12月9日からいよいよ開幕。グランプリを控える守澤太志の落車は残念だったが、晴天の下、1レースから熱戦が繰り広げられた。地元勢は、ホープ・町田太我が予選で敵に何もさせない逃げ切り勝ちを収めると、メインの初日特選でもエース・松浦悠士が人気に応えた。シリーズ2日目の10日は二次予選7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 なお、広島競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。開催中は先着でカレンダー引換券配布や「サンキューコイコイ395151来場キャンペーン」なども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 残り2周過ぎにゆっくりと押さえにきた松川高大を篠原龍馬が叩いて先頭に。中団外まで追い上げた森川康輔が打鐘過ぎ2センターからカマシを敢行。正攻法の構えから引いてタイミングを計っていた佐々木悠葵が最終ホーム手前から一気の巻き返しに出ると、余裕を持って追走していた菊地圭尚(写真)がゴール寸前で鋭く伸びて白星スタート。
 「特に細かいところは考えてなくて、前を取って引いて行けるタイミングで行くだろうなと思っていた。展開が向いて、(最終)ホームで行ってくれてよかった。本来なら差せてないですよ。朝早いレースだったし、佐々木君はまだ起きてなかったんでしょう(笑)。流れのままレースをしてくれてよかった」
 ゴール寸前でわずかに失速してしまった佐々木悠葵は2着での予選突破となった。
 「自分が先行しやすいかなと思っていたんですけど、前がもがき合いになったので、見てから緩んだ所を仕掛けました。(最終)ホームぐらいから踏み出しました。立ちこぎはいいんですけど、シッティングがちょっと…。今回は分宿で、1レースはキツかったですね。アップ時間も限られてしまうので。明日以降も分宿の影響は出ると思うけど頑張ります」


<2R>

中村一将選手
中村一将選手
 後ろ攻めから押さえた三登誉哲が山口敦也の上昇を許さず打鐘手前で先頭に立ってペースを落とす。冷静に戦況を見極めていた藤井栄二が師匠を連れて打鐘過ぎ3コーナーから反撃開始。番手の中村一将(写真)は大きく車間を空けながら後方に睨みを利かせると、3番手の位置から外を踏み込む三登を張りながら直線で鋭く交わした。
 「それぞれ前と後ろでしっかり仕事をしようって考えていました。焦ることなく様子を見ながら仕掛けてくれましたね。(藤井を)残すつもりでしたけど、問題なく踏めていましたし勝手に残っていましたね。自分自身も問題はないと思います」
 ライン2車でもひるむことなく迷わず駆けた藤井栄二が師匠の援護を受けて2着に粘り込んだ。
 「やっぱり師匠は特別な方なので、師匠の前を回るということをしっかり考えて自力を出そうと思っていました。車番が良くなかったのでできれば前の方から自力を出そうと思っていました。正直、感触は重くてそこまで良くなかったですけど、師匠が残してくれました」


<3R>

 号砲と共に磯島康祐が飛び出して北ラインが正攻法に構える。打鐘まで隊列に動きはなく、中団に陣取った片岡迪之が打鐘過ぎに車を持ち出す素振りを見せると、磯島が慌てて踏み込み主導権。再び中団に収まった片岡が車間を空けて間合いを取ると最終2センターから大外を踏み込み直線で突き抜けた。
 「単騎が多くてイメージしづらくて難しくなるかなと思ってたんですけど、北日本勢が前を取ってくれて展開が向きました。単騎で押さえにくれば、それに乗って先行、(鐘過ぎ)4コーナーカマシでもいいかなと思ったんですけど、踏み出しがバッチリ合ってしまったのでやめました。4番手だったし、仕掛ければいけると思っていた。仕掛けが遅くなってラインに迷惑を掛けましたね。感触がつかめてなくて半信半疑だったんですけど、明日以降は大丈夫だと思う。ペダリングを少し修正します」
 過去に何度も好連係を決めている同県の友定祐己が懸命に続いて2着をキープ。
 「(初手で)あの位置を取れたらいいなと思っていた。(片岡は)仕掛けてくれたけど、もう一個早く行ってくれれば室井(健一)さんとワンツースリーまで決まったと思う。(状態は)良くはないよね。セッティングも含めて変な感じがある」


<4R>

上野雅彦選手
上野雅彦選手
 挑戦者の松田大が中団外で中四国ラインにフタをしてから打鐘で叩いて先頭に立つ。すかさず城幸弘が叩き返したが、上野雅彦がスピード良く巻き返して最終主導権。阿部拓真が西岡拓朗を掬い香川勢にスイッチして最終バックからまくり出たが池田憲昭が懸命にブロック。道中で連係を外していた五日市誠であったが最終2センターで阿部に付け直すと直線で鮮やかに前をのみ込んだ。
 「イメージというか理想は上野君ラインの後ろからでしたけど、けん制が入ったので阿部君は前からになったと思います。本当は連係を外さずに行ければ良かったんですけど、内から外から来られて踏めなくて引いてしまいました。あとは追っかけていってチャンスがあればって。阿部君が池田さんを乗り越えたのでいいかなって踏みました。踏んだ感じは良かったですね。前回よりも全然いいし、このリズムでいければ」
 長い直線にも負けず懸命に踏み直した上野雅彦(写真)が2着に粘り込み一次予選を突破した。
 「4分戦だったので切って切ってでそこですぐ叩こうと。あのタイミングじゃないと間に合わなかったと思うので良かったですね。出切ってからも脚を回せたしペースに入れて最後まで踏めました。(今回から使っている石原颯の)フレームの感じはすごくいいですね。。修正するとすればちょっとフタをされたときに引くか迷ってしまったのでそういうところですね」


<5R>

 高橋陽介が押さえた上を打鐘手前の3コーナーで瓜生崇智が叩いて先頭に踊り出る。ライン3車の吉本哲郎が打鐘から反撃に出ると瓜生はシビアに番手に飛び付く展開に。地元の意地ある今岡徹二が懸命に抵抗してみせたが、最終バックで番手を取り切った瓜生が単騎逃げとなった吉本をまくってゴール線を一番に駆け抜けた。
 「飛び付きは決め打ちではなかったです。最終バックを中団以内では回りたかったし。切ったときに吉本さんが来て、下げたら後手になりそうだったので飛び付いた。合志さんとは名古屋で失敗していたし、地元勢には申し訳ないですけど、その失敗を取り返したくて引けなかった。自力で1着を取れているし、名古屋の時よりは5点分くらい脚は上がっている。4コーナーを回って合志さんとゴール前勝負が目標だったしよかった。少しモコモコしていたし、踏み出しを少し修正したい」
 弟子をリードしてワンツーを狙った合志正臣であったが直線で伸びを欠く。熊本勢の真後ろにいた高橋陽介が直線外を強襲した。
 「スタートで前を取るよりも押さえて位置を取って組み立てたかった。本当は瓜生君のやったことをやりたかったですね。その辺は熊本勢に作戦で上回られた感じです。人の動きを見て対応できた。9車しか走ってこなかったし、やっぱりこっちの方がやりようがありますね。選手紹介の時から軽くて、ゴール前も伸びたし、思ったよりも調子は良いです」


<6R>

堤洋選手
堤洋選手
 金澤竜二が後ろ攻めから押さえた上を阿竹智史が打鐘で叩いて主導権取り。最終ホーム手前から巻き返しを狙った菊池竣太朗の仕掛けを阿竹が見事に合わせ切ると、番手を回っていた堤洋(写真)が直線で鋭く交わした。
 「もう阿竹に全て任せていたので。1番車だったし好きに走ってくれればって思っていました。もう阿竹は粘り強いのを知っているので。ちょっと当たりたいところで菊池君に差し込まれてしまってもっていけなかったけど(阿竹が)自分でもっていってくれたので。全部やってくれましたね。なんか知らないけど自分が付くと長い距離を行ってくれるので。セッティングがマッチしてきて前回よりもいいですね」
 後方でまくりに構えることなく攻めの姿勢で若手を完封。ライン決着に導いた阿竹智史がしぶとく粘り込み2着に入線。
 「中団からだったら位置も取れるし、最悪逃げてもって思っていました。でもちょっと長かったので菊池君を見ながらでしたね。金澤(竜二)君も踏んだのでやめても仕方ないのでとりあえず出てからって感じで。あとはどこまで粘れるかって感じでしたけどきつかったですね」


<7R>

 幸田望夢、久島尚樹の順番で切った上を三好陽一が打鐘過ぎに叩いて先頭に立ったが、正攻法の構えから引いて態勢を整えていた鈴木陸来が後方からダッシュ良くカマシを敢行。踏み出しに離れかけた近藤保であったが冷静に付け直すと、後方からまくり上げてきた幸田を張りながら直線でシャープに抜け出して白星スタート。
 「後ろ攻めよりも前受けの方がいいと思っていた。他が切ってくれる選手でしたし、全引きする必要はなかったですね。ちゃんと自分がその辺をアドバイスしておくべきでした。(まくりを)本当は止め切れればよかったんですけど、技量不足です。2場所前の落車の影響はあるんですけど、脚自体は悪くない」
 近藤のブロックにも耐えて外々を踏み続けていた幸田望夢が欠場空けの不安を払拭して2着で予選を突破した。
 「車番が悪かったので、切ってから考えようと思っていました。後手踏んで焦っちゃったんですけど、鈴木さんの仕掛けが早かったので、まだいけるなと。ワクチン接種の副反応と、宇都宮バンクが使えない影響で不安要素しかなかったけど、バンクは軽かったし調子は良かった。押さえ先行をずっとやっていたんですけど、切ってから一回考えるスタイルに変えてから感じが良い。間違っていないなと思います」


<8R>

黒田淳選手
黒田淳選手
 初手で6番手に位置した高橋和也が、伊藤颯馬の上昇に合わせて動きインを切って待つ。伊藤が打鐘で叩いて先頭に立つと、藤田大輔が高橋の外まで追い上げて4番手の位置で併走に。伊藤颯が中団のもつれを尻目にペース駆けに持ち込んだが、月森亮輔を捨てて南関勢にスイッチしていた黒田淳(写真)が自らまくってゴール線を先頭で駆け抜けた。
 「ほかのみんなが脚を使っていましたし、僕だけサラ脚だったので。月森君は戦法的に前々に踏んでくれるので信頼していましたけど、ホームで詰まった所で外をいかれてしまったので邪魔をしないようにスイッチさせてもらいました。とりあえず行き切るようなら付いて行ってって感じでしたけど、あんな感じだったので行けそうだったし仕掛けました。余裕はありましたね」
 2着には伊藤颯をリードしていた大坪功一が外を張りながら直線で抜け出した。
 「(初手は)前でも良かったんですけどね。伊藤君は押さえて駆けるのが苦手だと思うんですけど、4番手を取り合う感じになったので。(黒田の)影は見えましたけどあれは止められないですね。藤田君の車輪もかかっていましたし。ちょっとスカスカした感じなのでちょっと修正します」


<9R>

 巴直也が後ろ攻めから押さえて先頭に立ち、池田勇人が中団へと追い上げて打鐘を迎える。人気を背負った島川将貴は7番手まで車を下げてじっくりと様子を窺う。中団で車間を空けた池田が最終バックからまくりを狙ったが、最終2コーナーですでに車を外に持ち出していた島川将貴が抜群のスピードで前団をまとめてのみ込んだ。
 「スタートは前からと思っていて、(巴が押さえてから)池田さんが切るかどうか様子を見て、切ったら追って行って叩く、切らなかったらカマシと思っていた。まくりの出自体はよかったんですけど、池田さんの蛇行でタイミングが狂った。バックで狂ってしまって、乗り方もバラバラになったんですけど、2センターくらいから自分の踏み方にできた」
 前団の煽りを受けて外に膨らんでしまった筒井敦史であったが、懸命に外を踏み込み2着をキープした。
 「赤板を過ぎてから、しまちゃん(島川)が何回も前と接触しそうになっていて心配して見ていた。巴君は96点の先行じゃなかったね。隙がなかったし、隙があればカマしていた。池田君の巧さもあったけど、それも想定内の作戦だった。久しぶりのしまちゃんとの連係で、珍しく緊張しましたよ」


<10R>

 正攻法に構えていた根田空史が赤板手前で誘導員との車間を空けると、後ろ攻めから上昇してきた小原周祐が押さえて先頭に立つ。中井俊亮が中団へと追い上げ、根田は冷静に6番手まで下げて打鐘を迎えたが、3コーナーを登りながらダッシュ良くスパート。番手の二藤元太は踏み出しで離れてしまったが、セーフティーリードを保ったまま一人でゴール線を悠々と通過した。
 「車番的に外枠だったので前か後ろしか取れないと思っていたので、だったら前の方が自分的にやりやすいかなって。前の流れ具合で踏んだら見ようと思いましたけど、緩んでいたので自分的にこのチャンスを逃したらきつくなると思っていきました。後ろを見ながら行ったんですけどすぐにいなくなっちゃったので。飛び付かれないように上の方を踏んだんですけどね。瞬間的な踏み出しは硬いフレームの方がいいですけど、後半の伸びは今回の柔らかいフレームの方が良いので4コーナーからの踏み直しはできたと思います」
 脚を使わずに、もつれる前団の状況を冷静に見極めていた中井俊亮が最終2センターから大外を踏み込んで2着に強襲。
 「初手は中団でしたね。(二藤が)離れていたのは見えましたけど、自分は間合いを取りたくてそこで入られてしまいましたね。自分だけ動いていなかったので余裕はありましたけど、前がもつれていたので見てしまいましたね。前回に比べて自転車の進みは良いので戦えると思います」


<11R>

町田太我選手
町田太我選手
 断然の人気を背負った地元の町田太我(写真)が堂々と正攻法に構えて周回を重ねる。後ろ攻めから上昇してきた加賀山淳を赤板過ぎに突っ張ると、打鐘過ぎに自ら誘導員を降ろしてペースアップ。別線に手も足も出させることなくレースを支配して力強く押し切った。
 「もがき合う覚悟で、突っ張り先行と決めていました。マイペースで駆けられて、いい感じで先行できた。(赤板過ぎ2コーナーで)ペースを上げたけど、後ろを見て緩めるよりも自分のペースにした方が良いと思って踏んだ。2周先行して(池田)良さんに差されていないので仕上がっていると思います。疲れは問題ないですし、刺激が入っていい感じになると思う」
 地元同士の池田良は町田をリードして直線で逆転を狙ったが、4分の1車輪で届かずの2着まで。
 「4車なので、前を取ったら突っ張りだと思ってました。町田のおかげですね。仕事をすることもなく、しかも抜けずなので…。町田が仕上がっている。自分の調子自体は悪くないと思いますよ」


<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 山田庸平が後ろ攻めから上昇してきて赤板過ぎに誘導員を降ろして先頭に立つと、松浦悠士(写真)が俊敏に反応して切って待つ。別線の動きを見ていた渡邉一成が打鐘で叩いて出たが、正攻法の構えから引いて態勢を整えていた野原雅也がその上をさらに叩いて先行態勢に。6番手に置かれた松浦は最終ホーム手前から一気に巻き返しに出たが守澤太志と接触してスピードが鈍る。守澤と芦澤大輔の2名が落車するアクシデントにも落ち着いて対応して4番手の位置で態勢を整え直した松浦が渡邉と村上博幸の間を鋭く突き抜けてゴール線を駆け抜けた。
 「ちょっと前がいいなっていうのはあったんですけど、前から2番目でも野原君と一成さんが仕掛けるだろうから位置を取ってもいいかなって思いました。一成さんが駆ければ中団ですし、駆けなければ4コーナーから行こうと思っていました。ちょっとスピードが違ったので跳ねる感じになってしまいましたね。感触的に太ももに当たってしまったんだと思います。接触でスピードがダウンしたので休みましたけど、かなり出は良かったですね。そのまま行ければ良かったですけど、事故レースで喜べないですけど脚はバッチリですね」
 松浦にこそ伸び負けた村上博幸ではあったが、野原を巧みにリードしながら渡邉を張って抜け出し2着に強襲。
 「野原君が前からになったので何も言うことなく任せる感じになりましたね。前に付いた時よりもペース配分が変わっていたので成長していますね。追走するのに集中していました。直線でこられてしまったので。苦しくはなかったですけど、ちょっと行き過ぎて内から行かれる可能性があったのでそこは反省点ですね。松浦君か守澤君かは分からなかったけど伸びるコースをいかれてしまったのであそこは仕方ないですね。今日の感触は凄く良かったと思います」
 和田健太郎は松浦の強烈な踏み出しに離れながらも落車を避けて態勢を整えると、松浦との車間を詰めながら追い込み3着に入線した。
 「今回は新車にしたんですけど3.93ギアが合っていないのか、踏んだ感触が良くなかったですね。ちょっとフレームを換えるかギアを換えるか考えます。離れておいてなんですけど、そのあとはそんなに苦しくはなかったので、松浦君もまだ余裕がありそうでしたし付け直してって感じでしたね。2着まで行きたかったですけど、さすが村上さんですね。明日までになにかしら変えて対応したい」