『広島競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:12月10日

 広島競輪場を舞台に開催されている開設69周年記念「ひろしまピースカップ(GIII)」は、12月10日に2日目が行われた。地元で熱い注目を集める松浦悠士、町田太我はこの日も力を見せて順当に1着で二次予選を突破。松浦とともにS班の和田健太郎も勝ち星をマークした。シリーズも正念場、11日の3日目にはファイナルをかけて準決の3個レースで熱戦が展開される。
 なお、広島競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。開催中は先着でカレンダー引換券配布や「サンキューコイコイ395151来場キャンペーン」なども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<6R>

友定祐己選手
友定祐己選手
 赤板過ぎに押さえた藤田大輔を瓜生崇智が叩いて先頭に立って、流しながら後方をうかがう。正攻法の構えから引いて態勢を整えていた野原雅也は打鐘過ぎ2センターからダッシュ良く反撃開始。瓜生の飛び付きを警戒してか上バンクを走りながらラインで出切れるように後ろを確認しながら最終主導権を握ると、番手で絶好展開が訪れた友定祐己(写真)がゴール寸前で野原を交わして久々の白星。
 「野原君が気を使って行ってくれましたね。千切らないように。点数的にも野原君が上だったので任せていました。飛び付けないように上を走ってくれたし、タイミングも良かったですね。2センターでは差せないと思いましたけど、最後は野原君がタレて来た感じですね」
 ゴール寸前でわずかに末を欠いた野原雅也は冷静にレースを振り返りながら修正ポイントを整理する。
 「今日はもう前を取って下げて行ける所からって思っていました。(瓜生の飛び付きも)あるかなって思っていました。でも自分はしっかり仕掛けるだけだったので。最後は余裕がなかったですね。セッティングを昨日と換えたんですけどちょっと重かったのでもうちょっと修正します」

<7R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 後ろ攻めから上野雅彦、中団から山田庸平が赤板手前から上昇すると、正攻法に構えていた佐々木悠葵が誘導員を降ろして先頭に立つ。外に浮かされる形となった上野が態勢を整え直して打鐘から叩きに出るも、佐々木も合わせて踏み込みもがき合いに。後方で戦況を見極めていた山田庸平(写真)が最終バックからシャープにまくってゴール線を先頭で駆け抜けた。
 「佐々木君が前を取るか取らないかで変わってくるので(初手は)前受けか中団で作戦を考えていた。でも作戦にない展開だったので、内に行くか外に行くか迷って仕掛けが遅れました。踏んだ感じとか、脚の入りは良かったし、進みもまくった後の伸びも良かったですね。厳しい展開になると思っていたし、ホッとしています」
 山田のまくりにピタリと続いた大坪功一が2着に入線。二車単の一番人気に応える九州ワンツー。
 「佐々木君が下げると思ったら踏んで、展開が向きましたね。(最終)ホームくらいから緩んでいて、(山田)庸平も構えていたから、後ろでタイミングを取っていた。今日は差せん。強くなっている。踏み出してから伸びているし強かった。出脚で口が空いたので修正します」

<8R>

山中貴雄選手
山中貴雄選手
 地元の三登誉哲が押さえた上を伊藤颯馬が叩いて先頭に踊り出る。打鐘手前から車を外に持ち出した鈴木陸来の気配を察知すると力いっぱい踏み込み気迫の主導権取り。ひるんだ鈴木は江守昇に迎え入れられて中団に収まったが、最終2コーナーから再び反撃に。伊藤をリードしていた中本匠栄は止め切れず、伊藤と鈴木で力勝負かに思われたが、後方で脚をためていた三登がイエローライン付近を踏み込み、さらにその外を山中貴雄(写真)が鮮やかに突き抜けた。
 「とりあえず後ろから押さえてって感じであとは任せていました。バックで前を見た時は遠いかなって感じでしたけど、踏み出した感じで届くかなって。でも内に強い人がいたので三登君は届いても自分は4、5かもって思ったので4コーナーからしっかり踏みました。調子は悪くなかったので。最近は展開が向かないことが多くて。でも今日は1着を取れたので」
 地元バンクの特性を知る三登誉哲は後方に置かれても焦ることなく、冷静にチャンスをうかがって迷わず外を踏み込んだ。
 「ちょっと組み立てが悪かったですね。4番手から行けていればラインで決まったと思うので。今日は後ろから一回切ってどっちが来る感じで見てからと思っていましたけど。3コーナー手前から一番伸びるコースを踏ませてもらいました。昨日よりもちょっと良くなりましたね。疲れが抜けたというか。決勝に乗りたいので明日も頑張ります」

<9R>

島川将貴選手
島川将貴選手
 ライン4車の先頭を任された渡邉一成が正攻法に構え、赤板手前から上昇してきた幸田望夢を突っ張りそのまま主導権取りへ。ひるんだ幸田がズルズルと車を下げ始めると、島川将貴(写真)は内をすくって5番手の位置をキープ。空けた車間を詰める勢いで最終バックからまくり上げると、菊地圭尚のブロックを乗り越えて連勝ゴール。
 「(渡邉)一成さんがどれだけ踏んで幸田君を出させるのか分からず、様子を見ていたら幸田君が下げたのが分かったので内を踏んでいた。5番手で立て直して、登りで菊地さんのブロックを受けないように仕掛けを遅らせた。遅らせたんですけど、合っちゃいましたね。落ち着いて走れたんですけど、後ろにはバックを踏ませてしまった迷惑を掛けた。今日の方が車の出は良かったですね。先行できていないので何とも言えないが、展開が向いているんでしょう」
 あおりを受けて島川との車間が空いてしまった阿竹智史であったが、懸命に外を踏み込み2着をキープ。
 「初手は中団から。一成さんのラインが強いのでそこを意識した組み立てをしてくれた。幸田君の押さえ方が甘かったし(突っ張りも)あるかなと思っていた。島川の仕掛けは早いので2ーナーでもいく気配があったし最後まで踏んでいて強かった。自分は物足りなさと、正直疲れがある」

<10R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 後ろ攻めから上昇の片岡迪之が誘導員を降ろして先頭に立って流す。5番手の位置で不気味に車間を空けて様子をうかがう阿部拓真の動きを見ながら、根田空史は大外を踏み込み一気のスパート。番手の和田健太郎(写真)まではしっかりと出切れたが、3番手の藤原憲征の位置に阿部が飛び付きさばき切る。後方からの巻き返しは一切なく、余裕を持って車間を空けながら根田をリードした和田がちょうど1車輪交わしたところがゴール線。
 「今日は取れた位置からって感じでしたけど、メンバー的にも根田君の先行力が一番あるし、前を取らされることも考えていましたけど、一番いい位置になりましたね。一個(のラインを)見送ってって感じで落ち着いて行ってくれましたし、自分は阿部君の動きを見ながらでしたね。藤原さんはきついだろうなって。ちょっと空きながら(阿部が)追いかけてきているのが見えたので。結局、今日は自転車は換えずにギアだけ3.92に変えただけですね。昨日と今日で展開は違うのでなんとも言えないですけど良かったと思います」
 連日の逃走劇で好調をアピールしている根田空史が懸命に踏み直して2着で準決への切符を手にした。
 「想定通りの流れになったのでタイミングだけみていくだけでした。阿部君が飛び付く作戦なんだろうなって頭にあったので外々を踏みながらいきました。ペースに入れていたんですけど、ちょっと踏み直しが重く感じましたね。2日間とも1周半くらい行って粘れているので、前回の松山で準決勝に上がれなかったのでその分も頑張りたい」

<11R>

飯野祐太選手
飯野祐太選手
 後ろ攻めを選択した中井俊亮が青板周回のバック付近で上昇して中団外まで追い上げると、初手で中団に構えていた町田太我は迷わず車を下げる。赤板手前で中団に収まった中井が叩きに動いたが、正攻法に構えていた飯野祐太が合わせて踏み込み主導権を譲らない。中井は再び打鐘で巻き返しを狙ったが車は思うように進まず外に浮いてしまう。前団の動きを冷静に見ていた町田だが4コーナーの下りを使ってロングスパート。番手の筒井敦史が離れてしまうほどのスピードで後続を5車身も千切ってゴール線を駆け抜けた。
 「フタをされるのが嫌だったので早めに下げました。中井さん達が脚を使ってくれて仕掛けられた。中井さんが浮いたのが見えたけど、自分はバックを取るスタイルの競走でやっているしあそこで仕掛けないとバックは取れないと思って仕掛けた。後ろが離れたのが分かったので目一杯踏みました。感じは良かったですね。初日よりもモガいた距離が短いし、最後まで踏み切れている」
 新鋭の町田を相手にも臆することなく2周駆けに出た飯野祐太(写真)が高橋陽介の援護を受けて2着に踏みとどまった。
 「中井君のことは一回突っ張ろうと決めていました。レースは全体的に見えていましたね。町田君を突っ張るか、突っ張り切れなければ合った所に飛び付こうと思っていた。正直2周踏んで残れるとは思っていなかったので、やった方ですよ。初日よりも2日目の方が断然良かったですね」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 地元の絶対的エース松浦悠士(写真)が正攻法に構えて別線の動向に睨みを利かせる。赤板手前で上昇を狙った磯島康祐に脚を使わせるように踏みながら出させると、その上を藤井栄二が叩いて打鐘から先制。7番手まで下げた松浦は前と空けた車間を詰める勢いで2センター付近から反撃開始。最終2コーナーで北野武史のブロックを避けると懸命に逃げて抵抗する藤井を力ずくでねじ伏せてゴール線へ一番乗り。
 「前を取って引いて行ける所からでしたけど、(打鐘過ぎの)3コーナーから4コーナーにかけて仕掛けられればって感じでした。ちょっと昨日は目いっぱいいったんですけど、今日は7、8割で行ったらスピードの乗りが良くなかったですね。藤井君が強かったのもありますけど、自分的には行けるなって手応えはあったんですけどね。後ろまで出切るまでしっかり踏もうと思っていました。バンクコンディションもありますけど、昨日の方が軽かったですね。疲れもあると思うのでしっかりとケアをしたい」
 松浦を番手でリードしていた池田良は追走で一杯となり、3番手で脚をためていた黒田淳が直線で外を鋭く差し込み2着に強襲。
 「松浦君のいつものレースって感じだったので、おそらくあの辺りから行くんだろうなって集中していました。あおりもあったのでたくさん山を登った感じですけど、しっかりと最後も踏めたので悪くないと思います。ちょっと3コーナーはきつかったですけど必死に踏みました」