『広島競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:12月11日

広島競輪場で開催されている開設69周年記念「ひろしまピースカップ(GIII)」は、12月11日に3日目を迎えた。高額配当が飛び出すなど熾烈なバトルが展開された準決では、S級S班の松浦悠士をはじめ地元から4名が優出を遂げた。また、昨年大会覇者の野原雅也、松浦とならんでS班の和田健太郎も勝ち上がりを決めた。シリーズも大詰め、12月12日の最終日には、スピードバトル必至の決勝の号砲が鳴らされる。
 なお、広島競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。開催中は先着でカレンダー引換券配布や「サンキューコイコイ395151来場キャンペーン」なども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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阿部拓真選手
阿部拓真選手

三登誉哲選手
三登誉哲選手
 号砲と共に村上博幸が勢い良く飛び出したが、周りを見ながら車を下げるとその後ろにいた島川将貴が誘導員を追いかけ、初手は正攻法に構える。前中団に阿部拓真-高橋陽介の北勢が陣取り、その後ろに野原雅也-村上博幸の近畿勢が続いて、地元の三登誉哲は後ろ攻めを選択。赤板手前から三登が上昇を始めると、野原が中国ラインを追い掛けながら上昇して島川に睨みを利かせる。阿部が内へスルスルっと潜り込んだが、打鐘で車を下げて4番手に構える。腹をくくった三登が打鐘過ぎ4コーナーから一気にペースアップ。6番手の位置で車間を空けていた野原が最終バックからまくり上げたが、気配を察知した阿部拓真(写真)が2センターから合わせて踏み込み直線で突き抜けた。
 「最初、村上さんがスタートで出たので理想の並びになったと思ったけど、変わったので。この並びだと順番通りになると自分が先行になると思ったので切って野原君を出させるか、内から行って野原君を待とうと思ったけど、泳がされるのが嫌だったので。とっさの判断でしたけど紙一重のレースでしたね。自分に展開が向いてくれた。野原君が見えてたので態勢は整っていなかったですけど、なんとか届いて良かったです」
 阿部の強襲にこそ屈した三登誉哲(写真)であったが、友定祐己の援護を背に懸命に踏み直して自身初となるGIII決勝の舞台にたどり着いた。
 「今日はもう後ろからって決めていて、一回切って動きを見ながらって思っていました。後ろを見たら見合っていたのでラッキーって。踏んで一本棒にしようと思ってジャン前くらいから踏みました。自分だけラインも長いし後ろがブロックしてくれているのが見えたので後ろの先輩のおかげですね。デキすぎですね(笑)。このメンバーで残れたので自信になりますね」
 人気を背負っていた野原雅也は阿部に合わされてしまい、前団の煽りもあって直線で外を踏み込むも3着まで。大会連覇を目指して決勝進出を果たしたが、悔しさを噛み締める。
 「阿部さんの動きだけイメージになくてそれ以外は頭にありました。まくり切れなかったのは不甲斐ないですね。ある程度、まくりになることは想定していたのに。脚は悪くないと思うんですけど、よくもないですね。セッティングは定まったと思うので、しっかりと体のケアをして決勝は頑張りたいですね」

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大坪功一選手
大坪功一選手

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 後ろ攻めから上昇してきた伊藤颯馬が、誘導員との車間を空けて待ち構える根田空史を押さえて赤板過ぎに先頭に立つ。阿竹智史が中団に追い上げて打鐘が鳴る。7番手まで下げた根田だったが、打鐘過ぎ4コーナーの下りを使ってカマシを敢行して激しいもがき合いに。後方で戦況を見極めていた阿竹が最終2コーナーからまくり上げたが、根田をリードしていた和田健太郎が内で粘る伊藤を警戒しながら4コーナーから外を踏み込むと、伊藤の番手で脚をためていた大坪功一(写真)が根田と和田の間を鮮やかに突き抜けた。
 「(伊藤)颯馬は慌てずに自分のペースで駆けてくれた。仕事をしたかったけど、気持ちの弱さが出ました。最後は、コースが空いてくれたし、待って待って踏んだので伸びないかなと思ったけど伸びてくれましたね。状態は問題ない。自転車も全くいじらずにいきます」 
 前で懸命に踏み続ける根田を庇い気味に追い込んだ和田健太郎は直線で大坪に伸び負けての2着。
 「前受けが良いってことで取りに行きました。根田君はカマシの方がやりやすいと思っていた。基本的に(伊藤との)二分戦だと思っていたし、伊藤君も出させないつもりで踏むだろうから踏み合うとは思っていた。でも結構、抵抗されてしまいましたね。内も気にしながら、外も視野にいれていました。残し気味に踏んだんですけど、(近藤)保がいないのは分からなくて、内を来られてしまった。昨日(2日目)から特に変えていないけど良くなっている」
 阿竹智史(写真)は煽りを受けながらで、外々を踏まされながらもしぶとく踏み続けて3着で決勝進出。
 「理想の形になって、伊藤君がピッチを上げるのか根田君のカマシを待つのか見て。根田君を追って行ってすかさず行きたかったけど、(三宅)伸さんと接触してスピードが全部死にましたね。あとは外にへばりついて。状態は変わらず良くはない。展開が良かったです」

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松浦悠士選手
松浦悠士選手

池田良選手
池田良選手
 充実ラインを形成した地元3車が正攻法に構える。後ろ攻めとなった山田庸平は町田太我の突っ張り策を警戒し、青板周回から上昇を開始して町田と併走。赤板過ぎギリギリのラインで踏み出して押さえてペースを落とす。中団まで追い上げた飯野祐太が打鐘から山田を叩いて先頭に立ったが、町田が2センターから抜群のスピードで一気のカマシを敢行。最終ホーム付近ではライン3車で出切ってしまうと、余裕を持って車間を空けて町田をリードしていた松浦悠士(写真)がゴール寸前で捕らえて3連勝で決勝へ駒を進めた。
 「ワンツースリーが決まって良かったです。明日はこれ以上の歓声を聞きたいですね。もう今日は前でカマシかなって思っていたので。飯野さんが叩くのも想定内でしたけど、町田君の反応が良くて口が空いてしまいました。昨日(の町田は)はちょっと迷っている感じがあったので、迷わずいけば大丈夫だよって走る前に声をかけました。踏み出しも凄かったですけど、いいサポートができたと思います。今日は初日と同じ感じでいけたので良かったですね。気持ちも日に日に高ぶってきていますね」
 ライン決着に導く積極策を披露した町田太我も確かな手応えをつかんで2年連続2回目の決勝進出を決めた。
 「デビューしてから今までの中で一番緊張しました。今日はもう前からで、緩めに来れば突っ張ろう思っていましたけど早めに来たので出させました。飯野さんが行ったので仕掛けやすくなりましたね。感触はすごく良かったです。押し切れるかなって思ったんですけど、まだまだ甘かったですね。でもラインで決まったのが嬉しいですね」
 ライン3番手を固めた池田良(写真)は前の2人に遅れを取るまいと必死にペダルを踏み込み2年ぶりとなる地元記念の決勝へとこぎつけた。
 「町田とマツ(松浦)に感謝ですね。もう全部任せていたので。昨日の脚じゃ勝負にならないと思ったので、今節はシューズを試していたんですけど、戻したら雰囲気がここまでで一番良かったですね。前2人のおかげですけど、とりあえず良かった。もうなにも変えずこのままいこうと思います」