号砲が鳴ると佐藤友和と荒井崇博が飛び出しS取り合戦となるが、1番車の佐藤がスタートを取った。初手の並びは佐藤―斎藤登志信に手島慶介―稲村成浩の群馬が続き、深沢伸介―渡辺晴智―土屋裕二の静岡勢、荒井―山田裕仁の順となった。周回が進み赤板から荒井が動くと、合わせて深沢が上昇して前を押える。打鐘が鳴り、深沢が先頭に立つと、前受けの佐藤は引いて中団四番手を手島と争う展開となる。深沢が懸命に逃げるなか、荒井がホーム過ぎから早めにスパート。荒井はグングンと加速し、バックで深沢を抜き去った。荒井のまくりを止められなかった渡辺だったが、番手に飛び付きを狙った。山田も懸命にこれを堪えるが、力尽きて飛んでしまう。結局、まくった荒井が、追い込む渡辺を振り切って優勝。3着には外を鋭く伸びた斎藤が入った。
「スタートで前を取れなかったのが誤算だった」と、まず荒井はレースを振り返る。周回中は八番手、赤板ホームで押さえに行くが、中団の深沢伸介に動きを阻まれた。中団がモツれてはいたが、最終ホームで置かれた位置は結局八番手。しかし、1コーナーからの巻き返しはすごかった。
「山田さんに脚を溜めて行けって言われてたし、タイミングもあそこしか取れなかった。仕掛けた時点では山田さんとワンツーでも、抜かれるなと思ってた。でも、どっちが勝ってもワンツーなら気持ち良く帰れると思ってたから。ゴールも斎藤さんとどっちが勝ったか分からなかったですね」
とはいえ、これで今年三度目の記念V。直前の全日本選抜でも決勝に進み、来年はさらなる活躍が期待される。
「まあ来年も1年間、無事完走してね。そして12月30日(GP)に走りたい」
2着には逃げる深沢後位から荒井にスイッチした渡辺晴智が食い込んだ。
「前があんなに頑張ってくれたのにね。悔しいです。飛び付くのがワンテンポ遅かった。それでも最後は脚で負けました」
目標にした佐藤友和が内に詰まり、最終バックは九番手で通過した斎藤登志信。最後は大外を強襲したが、3着まで。
「友和が先行すると言ってたし、僕は任せてたので。仕方ない。何も言うことはないです」
自ら正攻法に構えた佐藤友和は先行するつもりだった。
「スタートを取って、荒井さんが八番手から押さえに来たら突っ張ろうと思ってた。結果、深沢さんが来たけど、手島さんがすかさず来たから。ホームで引いたら(チャンスが)ないと思ったけど、内に差し過ぎた。2コーナーで一度当たって、荒井さんに付いて行ければまだチャンスがありましたね」
渡辺の切り替えに遭い、4コーナーで浮いてしまった山田裕仁は、「キツかったね。荒井のタイミングが良かったし、付いて行っても抜くことはなかったと思うよ。今日は荒井が強かった」と、勝った荒井を称える。
外併走から荒井のまくりに続いた手島慶介だったが、6着の結果に終わり、「作戦はなし、出たとこ勝負だったんですけどね。しょうがない。脚がないです」言葉少なく検車場を後にすると、代わりに番手の稲村成浩が、「1センターでハウスしそうになって、脚をつかったんでしょうね」と手島を気遣った。
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