『広島競輪開場57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月15日


 広島競輪場開設57周年記念「ひろしまピースカップ」は神山雄一郎のピースサインで幕を閉じた。石橋慎太郎、柴崎淳ら若手が関東勢に挑んだが、グランプリを控えたSS軍団が圧倒的な力でレースを支配し、他のラインは手も足も出ず。展開有利に抜け出した神山が勝機をものにし、暮れの大一番へ向け大きく弾みを付けた。これで神山は55周年に続き、広島記念を連覇。通算96度目の記念優勝となった。

決勝戦 レース経過
 号砲ですんなりと前を取った石橋慎太郎に加藤圭一が続いて南関勢で前で受け。3番手以降は武田豊樹―神山雄一郎―諸橋愛―飯野祐太―柴崎淳―山口富生―西郷剛の並びで周回を重ねる。
 赤板前から車間を切っていた柴崎が1コーナー過ぎから上昇し打鐘前で誘導員を下ろす。合わせて動いた武田が中団を確保すると、単騎の飯野が4コーナーから叩いて先頭に。その飯野がペースを緩めたところを、ホームからすかさず武田が3車でカマして出る。この動きに上手く続いた石橋が4番手を確保。飯野は5番手。6番手からバックまくりを打った柴崎だったが、武田のスピードがよく飯野の外で一杯になる。石橋が2センター過ぎからまくり追い込みに出ると、これを見た神山が番手から踏み込んで優勝。3番手から中を割った諸橋だが届かず2着まで、外を踏んだ石橋が3着に食い込んだ。


神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 これ以上ない展開に恵まれた神山雄一郎。武田豊樹をズブリと交わし、いとも簡単に優勝を手にした。競輪祭での落車でフレームを破損し、急造の自転車での参戦。セッティングを微調整しながらの戦いを強いられたが、「何日かいじってれば合ってきますよ」と話していたとおり、神山にとっては何のハンデにもならなかった。
 「前検日からずっと調整を繰り返してきて、2日目に当たりが付きましたね。準決勝が終わってから少し触ったけど、今日は面倒なので何もしませんでした(笑)。自転車に関しては、残っていることはほんの僅か。1mm以内の調整だけです」
 誰の目にも、神山の本来の目標がグランプリにあることは明らかだ。しかし、その調整途上でのVには大きな意味がある。
 「(グランプリは)色々な裏付けがないと出られないレースだし、今年に関しては僕もしっかりとやってきた自信がある。もちろんグランプリとは違うけど、武田と走れたことは大きいし、収穫は多かったですね」
 本番まではあと2週間あまりとなった。「武田のスピードは凄かったね。今度は平原がいる分、前が遠くなっちゃうけど、しっかり頑張りますよ」

 武田豊樹は清々しい表情で引き上げてきた。4着という結果には「このレースで3着に残れないのは…」と納得していないものの、若手を相手に力を出し切って、迎える大一番に改めて気合を込めている。
 「発走機に付いた瞬間、『さあグランプリに向けて!』という気持ちになりました。もちろん、主導権を取るのがテーマですけど、柴崎君とモガキ合っては意味がない。それを避けながら、どう先行するかが、これから僕の課題になっていくだろうし、来期に向けても良い位置を取りながら先行していきたいと思っています。残れなかったのは悔しいけど、レースを作ったのは僕らのラインだし、こういう走りを積み重ねてラインの信頼を得ていかないといけませんからね。3番手をしっかり固めてもらってのレースですし、4番手までラインができるような選手になりたいですね」

 諸橋愛は突っ込みを狙ったが「今日は余裕がなかったですね。あのタイミングで外から神山さんを抜くのは難しいから、中に行ったんですけどね。差し込めてるんで調子は悪くないと思います。抜けなかったのは力不足」と惜敗を振り返った。

 石橋慎太郎は3着入線にも微妙な表情を見せる。
 「良く反応したなとは思うんですけど、武田さんのスピードが凄すぎて、仕掛けられなかったですね。(今回は)何より4日間を無事に走られたのが大きいですね。今日は展開に恵まれての結果です…」

 柴崎淳は憮然とした表情。柴崎にとっては飯野祐太のカマシは想定外だった。
 「下げてしまったのが失敗でしたね。それにしても、飯野さんはあそこで駆けないとチャンスがないでしょう」


ゴール




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