『防府競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月31日

 防府競輪開設71周年記念「周防国府杯争奪戦」が開幕した。初日から地元、山口勢が大活躍。トップバッターの久保田泰弘が3Rを快勝すると10Rは宮本隼輔、11Rでは桑原大志が1着スタートを切った。中川誠一郎が番手まくりで制したメインの特選は、2車単、3連単ともに初日の最高配当となる波乱の決着となった。
 2日目もラッキーカード抽選会や未確定車券スピードくじ、美濃直樹氏によるレース展望を引き続き開催。初日に続きグルメキッチンカーもやってきます。ご来場の際は検温やマスク着用など新型コロナウイルス感染症拡大防止対策にご協力ください。

<1R>

飯野祐太選手
飯野祐太選手
 オープニングレースを制したのは飯野祐太(写真)。先行態勢に入った小森貴大がひと息ついたところをすかさず仕掛けて押し切った。
 「思いのほか今岡(徹二)も小森も踏まなかったし、小森は出切ってから流してたので行っちゃえと。松岡(健介)さんさえ越えればラインで決まると思ってたし、決まって良かった。体が反応したので悪くない。(1着はほぼ4カ月ぶり)7車で自力で1着取れないのに、9車で取れるなんて。9車のほうが合ってますね」
 番手の大森慶一は詰めをあやまり逆転ならず。
 「最後も余裕があったんで、車間を切って様子を見て詰めたけど自分のミスですね。思ったより直線短くて…。あれはダメですよね。いっぱいとかじゃないけどミスしました。感じは悪くないので判断ミスですね」


<2R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 赤板過ぎに先頭に立った藤根俊貴は、別線の反撃を許さずそのままペースを上げて駆ける。4番手を取り切った掛水泰範のまくりも、永澤剛(写真)の横まで至らず、番手の永澤が直線できっちり抜け出した。
 「全部、藤根君のおかげですよ。600(メートル)行ってくれてますからね。あのスピードじゃ、誰も来ないと思った。でも、あんなにスンナリな展開で(藤根と)ワンツーを決められないなんて…。下手すぎる…、申し訳ない」
 北日本ラインの3車で上位を独占。金成和幸が2着に流れ込んで、逃げた藤根俊貴はゴール前で失速の3着。
 「出切るのに脚を使ったけど、そのあとはペースで踏めました。やっとポジショニングが見つかったので、あとは体の動きが戻ればって感じですね。でも、(前々回のGIIIの)久留米に比べれば、全然良いと思います」


<3R>

久保田泰弘選手
久保田泰弘選手
 金ヶ江勇気が先行態勢に入ると久保田泰弘(写真)は3番手外併走。そこを切って来た恩田淳平に切り替えると、2コーナーまくりで快勝した。
 「めちゃくちゃ緊張しましたね。でも声援がめずらしくあったんで、うれしかった。顔見せから涙が出そうになりました。上出来っすね。(感じも)意外と良かったですね。軽く感じた。とりあえずホッとしました」
 ホームから巻き返した蒔田英彦は合わせて出てきた久保田に続く形で2着に流れ込んだ。
 「金ヶ江がいたんで前からで。恩田のとこか久保田のとこで粘って切ったところを先行だったけど、虫が良すぎましたね。久保田が先に行ったのでとにかく追いかけようと思った。久保田が強かったですね。全然追いつかなかった。(状態は)あんまり良くないですね。ゆっくり休んで2日目に備えます」


<4R>

 3車の九州勢が主導権を握ると、山本伸一は素早い反応で4番手に追い上げて好位を確保する。前団との間合いと取った山本は、最終1センターから踏み込んで、スピードの違いでまくり切った。
 「(初手は)理想は中団でしたけど、誰も出なかったので切り替えて前を取りました。いったん後ろになってしまうので1回動いて、叩ければ叩いてと思ったけど、踏まれたので4番手でと。位置を取ってからのまくりにしてはススッと出ましたね。今回から新車にしたけど、いい感じにまくれました」
 飛び付いた菅原裕太とからんだ神田紘輔だったが、山本後位を守り2着に流れ込んだ。
 「ちょっと(菅原に)からまれてキツかったですね。でも、調子は良いのでしのげました。山本さんが強かったですね。前回、寬仁親王牌を走って上位陣のセッティングや考え方だったりを近くで感じられたので生かしていきたい」


<5R>

市橋司優人選手
市橋司優人選手
 赤板前に切った市橋司優人(写真)は久米康平を受けて中団4番手を確保。北野良栄の巻き返しに合わせて最終バックから仕掛けて前団をとらえた。
 「とりあえず切って久米さんの動きを見てかなと。早めに来てくれたんで自分は中団でって感じでしたね。正直、バンクは重いかな。それで弱気というか、まくり追い込みになったけど感じは悪くないですね。記念の初日1着発進は今までない。前回からいいんで、その流れを切らないようにしたい」
 久米マークの筒井敦史が2着に食い込んだ。
 「(久米の)勝ち上がりのことを考えたら早めに踏めないから。1着取る展開だけど残さないといけないのであんな感じになる。もっと車間を空けたほうが良かったのかな。もうちょっとやりようがあったと思う。僕は余裕もあったんで悪くない」


<6R>

 上昇した藤原俊太郎ラインを受けて4番手に入った松川高大は、7番手の片折亮太を警戒しながら赤板を通過する。1センターで巻き返した片折を外に張った松川が、打鐘の4コーナーからロングまくりを打つ。3番手の藤原浩は打鐘で岡部芳幸にすくわれたが、前団を仕留めた松川に合志正臣はしっかりと続く。熊本両者のゴール勝負は、松川が押し切って1着。
 「ちょっと予想外の展開でしたね。片折さんに切られて7番手に置かれることを想定していた。7番手になったら早めに巻き返すつもりでしたけど、中団に入れた。片折さんを張ってそのまま休まずに仕掛けられているので悪くない。悪い時なら(最終)ホームから行けてないと思う。隙のないレースはできた思う」
 合志正臣は、危なげない追走で松川とのワンツーを決めた。
 「松川の波を作る動きにも対応できているし、踏み出しにもしっかり続けた。あとはもう抜く抜かないの展開でしたけど、松川がタレなかったのでこのままかなって思ったら意外と差し込めた。思った以上に出てますね。松川とは久々だけど相性が良いので」


<7R>

門田凌選手
門田凌選手
 竹内雄作が赤板ホームから主導権。3番手の真崎新太郎を飛ばす山中貴雄の好アシストで3番手に入った門田凌(写真)が2センターからまくり気味に追い込んだ。
 「着はワンツーでうれしいです。あと半周仕掛けが早かったらと思う。(竹内が)どれだけ踏み上がるっていうのもわからなかったので落ち着いて行こうと。(組み立ては)合ったところで。出られたら4番手だけど、貴雄さんが全部やってくれた。そのおかげですね。最後はただタレてるところを踏んだだけ。練習ではすごくいいのに、それがレースでなかなか出ない。難しいですね」
 山中貴雄はけん制する川口公太朗の内に切り込んで鋭く伸びた。
 「(3番手の真崎新太郎が遅れてくる)そこは可能性あるなって話はしてた。門田が前々に踏んでくれたんで。難しいレースだなと思ってた。車番も良くないし、とりあえず取れた位置からと思ったけど、(色々考えてた)そのなかのひとつにはまったんで。すごい感じは良かった。見ながら間に行ったんで、迷わず行けたら門田と1着勝負できたんじゃないかと思う」


<8R>

 打鐘から主導権を握った月森亮輔の3番手をすんなりと確保した金子哲大は2コーナーまくり。上がり9秒2の初日一番時計で快勝した。
 「前は取りたくなかったけどメンバー的に取らされるかなって。月森君が叩いた上を叩くつもりでしたけど、八谷さんがいっぱいそうで空いていたので入りました。余裕はありましたね。ラインで決まって良かったです」
 柿澤大貴が金子に続いて関東ワンツーが決まった。
 「金子さんが強かったですね。最後まくっていくときも強烈だったので離れないように必死でした。(岡山勢を)乗り越えた時点で抜けないと思った。差せる感じはまったくなかった」


<9R>

 ライン4車の坂井洋は水谷好宏が切ったうえを赤板前から叩いて主導権を握る。番手絶好の佐々木雄一がゴール前で交わして、坂井の番手では3連勝。3走全てで坂井とワンツーを決めた。
 「勝てるレースでいいよと言ったけど、ラインのことを考えてくれて早めでも駆けてくれた。すごいっすね。本来は得意パターンじゃないはずだけど、いつも頑張ってくれる。3回ともワンツーですからね。僕は付いてるだけでした。脚は問題ない。前回みたいな脚の重さも特にないです」
 逃げた坂井洋は今回も押し切らせてもらえなかった。
 「4車を生かして、4車でゴールしたいんで(初手は)中団のほうがいいかなと。前とか後ろだとダッシュ戦になるので。出れるところで出て、あとは見ながら自分のペースで走りました。ラストの1周切ってからは雄一さんに勝ちたいと思って必死に踏みました。今回こそと思ったけど雄一さんが強かったです。勝ち上がれたんでホッとしてます。脚は問題ない。あとは気持ちなんで、しっかりメンタルケアして決勝に乗りたいと思う」


<10R>

 伊東翔貴が赤板で叩いて出たが、柏木伸介が3番手へと追い上げて栗山俊介と併走に。車間を空けて後方で態勢を整えた宮本隼輔が打鐘前から仕掛けると、抜群のスピードで3番手以下を5車身引き離して快勝した。
 「いつも通り自分が緩んだと思ったところから仕掛けられた。前回の久留米もそこまで良かったわけじゃないけど、ここ1週間でまた上がった感じだったので走る前から行けると思っていました。8レースくらいからお客さんも増えてきていい感じで走れた」
 宮本のスピードにも対応してソツなく追走した柏野智典が2着をキープ。
 「宮本君とここ最近連係した中でも一番強かった。駆け出し5歩くらいで、はいワンツーって感じで。でも吉永さんはキツいかなって。前を残す、残さないが関係ないくらい後ろが離れていたけど、強くて抜けなかったですね」


<11R>

桑原大志選手
桑原大志選手
 前受けから下げた島川将貴は根本哲吏を強引に叩いて最終ホーム手前で先頭に立つ。西田雅志まで続いてライン3人で後続を引き離すと、続いた桑原大志(写真)が直線鋭く抜け出した。
 「島川は出るのに脚を使った部分がね。根本の抵抗がすごくあったので。(島川は)無理やり出て、流れる感じなく踏んで踏んでだったと思う。(後ろを見て)3人かと思って思い切り行った感じ。今日(初日)は楽な展開で、恵まれたっていうのが8割、9割だから(状態は)何とも言えない。(フレームを)戻して前回までとは全く違う。良かったです。ここ最近では抜群にいいって感じ。(ファンには)走る前から桑原と言っていただいて、そこは絶対島川だろうと思ったけど競輪冥利というかうれしいですね。力をもらいました」
 島川ライン3番手を回った西田雅志が2着に食い込んだ。
 「番組を見てからずーっと緊張してました。踏み出しだけ集中と思ってた。3連単も一番人気だったので。踏んだら思いのほか伸びて、あれ?アタマまで?と夢見るぐらい伸びましたね。いいですね。島ちゃん(島川)のおかげ。地区内あっせんで敵のときもあったけど、味方だと頼もしいですね」


<12R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 逃げる山田英明を郡司浩平が打鐘から巻き返すと、これを振りながら中川誠一郎(写真)が最終1センターから番手まくり。好メンバーがそろった初日特選を制した。
 「あれだけ行ってくれたんで、特選だしちょっと行ってみようかなと。もう少し早ければ出してもいいかなと思ったけど、けっこうヒデ(山田)も踏んでた。ここで行かれるとないかなと思ったし、外しても止まりそうになかったので。今日(初日)はもうただ出ただけ。参考にはならないと思う」
 2コーナーからまくった清水裕友は郡司との外併走をたえて2着に入った。
 「状態は悪くないかな。ただ(審議対象になって)1走で終わるところやったです。前回、同じようなメンバーで郡司さんに突っ張られてるので、そこだけ。郡司さんにスイッチしてその上を行こうと思ったら、番手まくりしたのでその上はキツかったけど、ツケマイでうまく走れてるんで。地元ということもあって気合いは入ってます。1走して良くなる感じがあるんで、しっかり頑張りたい」
 清水マークの小倉竜二が3着に流れ込んだ。
 「付いて行っただけで、余裕はなかったかな。郡司より先に行ってれば行けたんだろうけど、裕友もタイミングを取ってるところで行かれたんだと思う。最後、裕友は車体故障でブレーキがかかってた。あれがなければ裕友は1着までいったんじゃないかな」