『防府競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月3日

 防府競輪開設71周年記念「周防国府杯争奪戦」が10月31日~11月3日の日程で開催された。優勝は地元のエース、清水裕友。打鐘から市橋司優人との踏み合いを制した宮本隼輔の気持ちに応えるバックまくりで地元記念3連覇を飾った。なお6Rに行われた「ガールズ フレッシュクイーン」は逃げる野本怜菜の3番手を確保した久米詩が比嘉真梨代との僅差の争いを制した。

決勝戦 レース経過

 市橋司優人-山田英明が前団に構えて、単騎の小倉竜二。宮本隼輔-清水裕友-桑原大志-柏野智典の4車が中団で、坂井洋-和田健太郎。坂井は早めに上昇を始めて、宮本に併せ込んで青板を迎える。赤板手前で4番手の外併走から坂井が仕掛けるが、前受けの市橋がペースを上げて突っ張る。内にいた宮本は、小倉、山田をすくって逃げる市橋に襲い掛かり、打鐘では両者の踏み合い。最終ホームを通過して宮本が市橋をねじ伏せる。清水は坂井に割り込まれて連結を外すが、2コーナー過ぎからまくりを打つ。宮本をとらえた清水が、そのまま先頭でゴールを駆け抜けて地元V。3コーナーから内を進出した和田が2着に伸び、外をまくった山田は3着。

清水裕友選手
清水裕友選手

 赤板の1センターで宮本隼輔が内をすくったところからレースはゴチャゴチャの展開になる。逃げる市橋司優人を最終1センターで宮本が強引に叩き切ると、坂井洋に追い上げられる形で3番手になっていた清水裕友(写真)はバックから自力に。宮本の頑張りに応えた。
 「(坂井の)あのフタはちょっと予想外というか、九州勢も後ろがヒデ(山田英明)さんなのに、僕らだけ意識して長いことフタして来たので。市橋君が踏んだんで、緩んだところを外かなと思ったらシュン(宮本)が内に行ったので対応が遅れた。僕は外行けるように準備してたので。シュンもけっこう脚を使ってたし、あそこ(最終バック)でバック踏んでたら後ろが来ると思った。シビアな感じになったけど、待ったらないんで申し訳ないけど行かせてもらった。ゴールまで無我夢中でした」
 地元記念3連覇がかかるシリーズ。「今までのシリーズで一番緊張した」と振り返るように、4日間重圧との戦いだったが、前2大会とは違い今回の決勝戦は前後に同県の味方がいた。
 「今までは山口一人での決勝だったけど、今回は前も後ろも山口県。(山口は)選手が少ないなかで地元記念の決勝で地元が3人並ぶってなかなかないと思うので、かみ締めて走りました。3連覇は絶対決めたいと思ってましたし、最近の成績がふがいなかったので地元できっかけにしたいなって感じがあった。ダラダラ夏から低迷してたので、地元で引き締まった感じですね」
 これで今年残すは競輪祭とグランプリだけ。「いい目標があるので、そこに向けて頑張りたい」。地元の重圧に打ち勝った清水が、残り2カ月を全速力で駆けぬける。

 坂井マークから2センターで内に切り込んだ和田健太郎が2着に食い込んだ。
 「坂井君は宮本君にずっとフタをしてジャンで行くって決めていたみたいだし、あれで叩ければ最高でしたね。でも相手がいることなんで。結果的に出られなかったし、それはそれで今後考えるだろうしいい経験になる。まあでも出切れなかったけど坂井君が仕掛けてくれたので自分の踏むコースができた。桑原さんに締め込まれてきつかったけど、最後まで踏めたので。あの展開のなかで自分のできることはやれたと思うし、このメンバーのなかでそれなりに走れたので競輪祭につなげたいですね」

 宮本にすくわれた山田英明は最終ホームで8番手に。2コーナーからまくり上げたが3着に入るのが精いっぱいだった。
 「自分の力不足だったです。(内から来た宮本に)対応できなかったんで、悔しいですね。司優人に前を任せてたし、彼の感性で行ってくれという感じだった。司優人が頑張ってくれたし、自分も行けるところまで行こうと思ったけど、まだまだですね」

 とっさの判断で内に切り込んだ宮本隼輔は打鐘からの市橋との踏み合いを制して地元の意地で先頭に立った。
 「あそこまで(フタをされる)とは思っていなかったですけど、仕方ないですね。とりあえず先頭に出ないことにはって思って踏んだんですけど…。自分的には正直、ちょっと後味が悪いですけど裕友(清水)が勝ってくれたので。結果オーライですね」

 最終ホームで再度、追い上げて清水を追った桑原大志だが、最終2センターのあおりを乗り越えられなかった。
 「裕友の後ろは俺の席だって。誰にも渡すつもりはなかったし、どうにか付け直せたけど、また内から来られてしまいましたね。きつかったです」





6R ガールズフレッシュクイーン レース経過

 野本怜菜、比嘉真梨代、吉岡詩織、柳原真緒、佐藤水菜、久米詩、山口伊吹の隊列で青板を迎える。2センターから6番手の久米が上昇して3番手に入る。吉岡が1車下げて、一本棒のまま打鐘を通過する。佐藤は動かず、最終ホーム目がけて吉岡が踏み込むも、野本もペースを上げて逃げる。野本が主導権をキープして、比嘉が2番手。吉岡は外に浮いて、比嘉を久米が追いかける。前団に迫る柳原の上を佐藤がまくるが、あおりで外を回らされ前が遠い。柳原も不発。絶好の2番手の比嘉に、3番手から踏んだ久米が伸び勝って1着。微差の2着に比嘉、逃げた野本が3着。

久米詩選手
久米詩選手

 最終日6Rにはガールズ114、116回生による「ガールズ フレッシュクイーン」が行われた。優勝は久米詩(写真)。初手6番手から赤板前で上がって3番手に。吉岡詩織の打鐘過ぎ2センターからの仕掛けに合わせて前受けの野本怜菜が踏み上げると、野本後位から抜け出す比嘉真梨代とのゴール前争いを制した。
 「詩織さんが最初に仕掛けてくるかなと思って、そこを押さえた。3番手に入ってからは(佐藤)水菜さん、柳原(真緒)さんの仕掛け待ち。なるべく前にいたいなと思ってました。詩織さんに出切られてしまうと後ろになってしまうので、展開に恵まれました。ゴール線目指して全力で踏んでたけど、どっちが勝ったが全然わからなくて。お客さんからの声も半々に聞こえてたし、比嘉さんの名前がけっこう聞こえて私じゃないのかなと。(勝ったのは)帰ってきてからわかった感じですね。競輪祭(グランプリトライアル)に向けて、いい流れが作れました」

 比嘉真梨代は微差負けの2着。デビュー初優勝はまたもお預けになってしまった。
 「スタート取ろうと思ってて、野本さんが来たのでどうしようか迷ったんですけど風も強かったし、後ろでけん制し合って仕掛けない流れになるかもと思って入れました。バックから行ったんですけど、ちょっと車間が空きすぎちゃったのかな。あと少し足りなかったですね。自分はちょっとずつしか強くなれないのかな」

 逃げた野本怜菜は3着に粘った。
 「穴は出せましたか? (吉岡に)入れてもらえなくて、そしたら比嘉さんが後ろを見てたので入れてくれるのかなと思った。前を取って良かった感じ。ジャン過ぎで吉岡さんが上がってくるのが見えて全開で踏んだ。風が強かったけど、4コーナーぐらいではイケるかもと思ったらタレちゃった。2着なら良かったけど、内容もあったし、最後まで突っ張れたので」



次回のグレードレースは11月5日~8日の日程で、四日市競輪場にて開設69周年記念「泗水杯争奪戦」が開催されます。
S級S班からは、松浦悠士、平原康多、佐藤慎太郎、村上博幸の4名が参戦。
地元からは、S班返り咲きを狙う浅井康太をはじめ、柴崎淳、坂口晃輔、谷口遼平、皿屋豊たちが一丸となって地元Vにまい進する。
10月27日時点の出場予定選手データを分析した四日市競輪場開設69周年記念「泗水杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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