『防府競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:12月26日


 防府競輪場開設59周年記念(GIII)「周防国府杯争奪戦」は本日無事全日程を終了した。有坂直樹、小倉竜二、小野俊之らの実力者たちが準決勝で姿を消し、決勝戦はやや小粒な顔ぶれに。レースは稲垣裕之ラインの三番手を固めた山口富生が空いたインコースを鋭く突いて快勝。来期へ向けて弾みを付ける優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、長塚智広が真っ先に飛び出して前受け。長塚はすかさず福田知也を迎え入れて、福田-長塚-坂上樹大-富弥昭-柏野智典-筒井敦史-稲垣裕之-伊藤保文-山口富生で並びは落ち着いた。
 青板二角で稲垣が上昇を開始。バックで福田に並び掛けた稲垣は、そのまま福田にフタをするように併走を続けた後、赤板で誘導を交わして前に出る。対する福田は一旦、中団まで下がるが、1センターで稲垣ラインが内を大きく空けると、一気にインを切り込む。二角過ぎには内から稲垣を抜いた福田が先頭に立ち、福田の動きに一瞬立ち遅れた長塚も強引に内を突いて福田に続く。対する稲垣は2車出させて三番手の位置を確保するが、福田が2センターあたりから一気にペースを上げると、前との車間が大きく空いてしまう。レースはこのまま福田が長塚を連れて逃げまくり、稲垣が徐々に車間を詰めながら追い掛ける展開。稲垣は2センターでようやく前に追い付くが、脚を使っていて、そこからの伸びは一息。しぶとく逃げ粘る福田を長塚がゴール寸前で交わすが、中コースを鋭く伸びた山口が一気に頭まで突き抜けて久々のV奪取を果たした。長塚は内抜けで失格となり、2着には福田が繰り上がる。後方で脚を溜めての一発に賭けた地元の富は伊藤との3着同着まで。


山口富生選手
山口富生選手
 自力タイプがごっそりとそろった決勝戦。山口富生は稲垣裕之ラインの三番手から虎視眈々と牙を研いでいた。最終四角でぽっかりと内が空くと、まるで吸い込まれるようにコースをたどり、ゴール寸前、渾身のハンドル投げで1着をもぎとった。
 「展開が向きましたね。今回は三番手だし、前がやっさん(伊藤)でしょ。だから出番も無いだろうなと思ってました。だけど、前にいたのは全員自力型だし、みんな外に踏んでくれたからコースができた。2センターでは、もう行ったれ!って気持ちでした。チャンスをつかめて本当に嬉しい」
 平成18年1月大宮以来、久々の記念Vとなった。今年はチャンスを幾度と無く逃してきただけに、最後の最後で結果を出せた事は、山口にとって大きかった。
 「兄貴(幸二)も頑張ってるし、良い目標になる。終わり良ければ全て良し、じゃないけど、やってきた事に結果が伴って嬉しい。これからも一戦一戦を大事に戦っていきたいです」

 福田知也は、打鐘前二角で稲垣裕之が空けた内を巧みに突いて主導権を奪取。2車ながらそのまま一気にスパートして2着に逃げ粘った。
 「稲垣さんが後ろ攻めだったし、押さえて来たら引いてカマシでも良かったし、内を突いて逃げようとも思ってた。もし閉められたら(番手の)伊藤さんと勝負すれば良いわけですからね。結果的に内を突いたけど、行けたかどうかは半信半疑で自分も失格だと思った。だけど、最終的に2着に粘れたしこれで競輪祭の権利も得られた。良い追加になりましたね」

 3着には伊藤保文と富弥昭が同着で入線。
 伊藤保文は「稲垣が思ってたより早く駆けたから、離れそうになってしまった。だけど何とか付けたし、これで競輪祭の権利も獲れたし、いいでしょう」と話せば、富弥昭は「勝負圏にいられなかった。最後はあの展開じゃ外には踏めんでしょう。仕方なく中へ行った。後ろの二人には悪い事をしてしまった」とそれぞれレースを振り返る。

 稲垣裕之は福田の出色のダッシュに苦戦。大きく車間が空き、その差は縮まらなかった。
 「作戦は臨機応変にと。福田は打鐘でもう全開に踏んでいたし、ダッシュがえらい良かった。自分のタイミングで踏めなくてきつかったけど、もっと早く追い付いて、そのまままくらないとダメですよね」

 長塚智広は、稲垣の内を突いた福田を追った際のプレーが審議対象となり、失格となった。
 「作戦は前を取ってくれとだけ。あとは福田任せでした。連日、強いところを見せてくれた彼を目標に出来たわけだから、流れは良かったんですけどね…」

 坂上樹大は最終2センターからまくり気味に追い込むも、仕掛け及ばず着外に。
 「位置取りにもっとこだわれば良かった。そうすれば展開的に違ってたかもしれませんね。(記念V)を獲れるチャンスだっただけに勿体無かったです」


ゴール




↑ページTOPへ


情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.