『防府競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月15日


 防府競輪場開設60周年記念「周防国府杯争奪戦」は15日が最終日。激戦を勝ち抜いたベストナインによる決勝戦が最終第12レースで争われ、浅井康太が巧みなイン突きから村上義弘をまくって記念初優勝を飾った。ラインの山口幸二、加藤慎平がそれぞれ2、3着に流れ込み、中部勢で上位独占を果たした。また、第11レースに行われた「災害復興支援レース」は齋藤登志信が直線一気に追い込んで快勝した。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると浅井康太がスタートを決めて正攻法の構え。間もなく山口幸二―加藤慎平が続き中部勢が前受け、中団に渡部哲男―中村淳―小宮剛、後方に村上義弘―市田佳寿浩―望月裕一郎の隊列で落ち着き周回が進んでいく。
 青板を迎えると早くも村上が上昇を開始、バックで浅井を押さえると浅井は車を下げた。2センターから渡部が踏み込むも、村上が突っ張り外に浮いた渡部は浅井と中団を取り合う形となる。村上は後方の動きを窺いながら徐々にペースを上げ、赤板から誘導を交わして先行態勢に出る。打鐘では一旦渡部が中団を取り切るかに、浅井もホームまで懸命にインで粘り込み渡部をドカしにかかる。市田が1センターで大きく外に牽制すると、浅井が一瞬空いた内を斬り込み、市田をさばいてバックからまくる。山口―加藤が市田の締め込みを凌ぎながら懸命に続いて四角を回る。浅井が山口の追撃を振り切って記念初V、山口が2着、加藤が3着で中部独占を決めた。 

浅井康太 
選手
浅井康太選手
 オール2着での勝ち上がり。通算100勝にリーチをかけていた浅井康太が決勝でワンチャンスをモノにした。勝負どころで中団の内に包まれる展開となったが、一瞬の隙を見逃さず、イン突きから村上義弘をまくって待望の記念初Vを達成した。
 「今日は先行するつもりだったんです。村上さんは4回転だし、七番手まで引いて、かかり切る前に巻き返そうと考えていました。でも、(渡部)哲男さんが仕掛けそうだったので迷ってしまった。結果的に中団で併走になってしまい、哲男さんをさばけなかったから内に行くしかなかった。内容は良くなかったですね。記念初優勝という実感もあまり沸かないです。後ろの先輩が付いてきてくれて良かった」
 優勝賞金350万円を獲得し、S級S班も見えてきた。5日後には競輪祭が控えている。この勢いで次はGI初制覇を狙う。
 「SS班のチャンスも出てきたと思いますが、あんまり意識すると良くないですからね。競輪祭は獲るぐらいの気持ちで一戦一戦集中して頑張ります」

 山口幸二が浅井を懸命に追って2着に流れ込んだ。優勝こそならなかったが、これでグランプリ出場にまた一歩近づいた。
  「よく付いていけた。俺と慎平じゃなかったら付いていけなかったと思う。ここで優勝しても、競輪祭で決勝に乗らないと(グランプリ出場は)厳しいからね。(柴崎)淳は2回(記念を)獲っているし、浅井が獲ってくれて、中部にとっては良かったんじゃないかな」

 中部ライン三番手の加藤慎平もしぶとく前の2人を追って3着に入った。
  「浅井は引くと思ったけど、中団で粘って乱戦になりましたね。厳しいレースでしたが、よく付いていけたと思います。自分で自分を褒めてあげたいですね(笑)」

 村上義弘は当日にギアを4回転に上げて先行勝負に出た。
  「昨日がすごく重く感じたんですが、どうせ重いならギアを落とすよりも4回転に上げた方がひと踏みでよう進むかな、と思って上げました。(最終)バックからはどうしようもない展開になってしまいましたね」

 内をすくわれた市田佳寿浩はさすがに言葉が少ない。
  「いい展開になったと思ったんだけどなあ。(内から来たのは)分からなかった」

 渡部哲男は村上に突っ張られ、終始、外に浮く苦しい展開となった。
 「赤板前に村上さんを叩いてそのまま駆ける気だったんですが、出させてもらえなかったですね。後ろまでは下げられないし、浅井君と中団で勝負するしかなかった」


ゴール



災害復興支援(11R) レース経過
 スタートで齋藤登志信が飛び出して誘導後位へ。岡部芳幸を受けて北勢が前団。池田良―小倉竜二、小嶋敬二―澤田義和、鈴木雄一朗―小橋正義と細切れ戦で単騎の坂本亮馬が最後方で様子を見る。
  青板バックで鈴木が上昇開始、小嶋を押さえ込んで牽制する。赤板で池田が岡部を押さえたところで鈴木が踏み込み主導権を奪う。坂本が三番手キープし、池田―小倉が続く。この後ろで岡部と小嶋の併走になったが、打鐘で小嶋が下げ八番手となる。池田が打鐘過ぎの四角から仕掛けると鈴木を飲み込んで全開で逃げる。切り替えた小橋と岡部で最終バック併走になると、岡部が三角まくりを打つが小倉にブロックされて失速。内をすくった小橋を小倉がキメながら抜け出すも、岡部後位から直線伸び切った齋藤が突き抜けて復興支援レースを制した。

 齋藤登志信が岡部芳幸マークから鋭脚を発揮。平成14年にふるさとダービーを制した思い出の地で再び勲章を手にした。
  「岡部さんが行けない感じだったので、内に入りました。判断良くいけたし、自分は無風でしたから。これをきっかけに、次の競輪祭も頑張ります」

  まくった岡部芳幸は小倉竜二にブロックされて不発に終わった。
  「小橋さんが無理やり内に来たのが気になった。まだ、落車の影響でレースになってないね。ぎっちり持っていかれたし、さすが小倉です」

  番手絶好の態勢から追い込んだ小倉竜二は齋藤の強襲に屈した。
  「池田(良)の仕掛けが思った以上に早かったね。頑張ってくれました。小橋(正義)さんが内に来たのが気になったし、ちょっと勢いが違いましたね」

  澤田義和が目標不発の展開からしぶとく伸びて3着に入った。
  「小嶋(敬二)さんが後方に置かれて厳しい展開でした。車も思ったより進んでいない感じでしたね。この展開で3着なら上出来です」

災害復興支援ゴール
災害復興支援ゴール
齋藤登志信選手
齋藤登志信選手




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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