『防府競輪開設61周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:9月14日


 防府競輪開設61周年記念「周防国府杯争奪戦」は9月14日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。好天の下、ベストナインによる決勝戦が最終11レースで争われ、柴崎俊光の先行を井上昌己が豪快にまくって優勝を飾った。2着に中村浩士、3着には西川親幸がそれぞれ入った。人気の海老根恵太は後方に置かれて不発。波乱の結末となった。

決勝戦 レース経過
 4車が飛び出したスタート争いは岩津裕介が制し神山拓弥を迎え入れる。ここに柴崎俊光―山口幸二、井上昌己―西川親幸、単騎の三谷将太と続き、海老根恵太―中村浩士の千葉勢が後ろ攻めとなってレースが進む。
 青板を過ぎると、まず海老根が上昇し、ここに三谷と井上が続く。海老根は赤板ホームで牽制する神山を押さえて誘導を交わすが、さらに井上が海老根の上を斬る。すかさず柴崎がカマし、井上を叩いて先行態勢。三谷は中部勢へ切り替える。ピッチを上げた柴崎は、打鐘が入り神山が迫ってくるも、これを合わせ切った。さらに山口の牽制を受けた神山は外に浮いて失速。神山追走の岩津は三谷の後ろに切り替える。ハイピッチでフカす柴崎に対し、最終バックから三谷が自力でまくるも、脚を溜めた井上がさらにその外を圧巻のスピードで強襲。井上は2センターで前団をまとめてまくり切ると、そのまま後続を振り切って優勝をさらった。2着にはバック最後方から直線で中バンクを鋭く伸びた中村が突っ込み、井上追走の西川が3着入線を果たした。


井上昌己選手
井上昌己選手
 井上昌己が鮮やかな復活Vを遂げた。寬仁親王牌の落車で鎖骨、肋骨を骨折してまだ2カ月あまり。今シリーズも決して万全の状態ではなく、苦しみながらの勝ち上がりだったが、決勝は打鐘から柴崎俊光と神山拓弥で激しくもがき合う絶好の展開が巡ってきた。最終1センターから力強く踏み込むと、前団を一気に飲み込んだ。
 「自信は全くなかったです。とりあえず海老根さんより前にいて先に仕掛けようと思っていました。神山がちょっと邪魔になりましたね。1歩目、2歩目の出は良くなかったんですけど、2コーナーから伸びてくれました。今回は初日、3着に入れたのが大きかったですね。あれで流れが来ました。この優勝は大きいし、この後は地元の競輪祭にピークを持っていきます」

 中村浩士が最終バック9番手の展開から鋭いキメ脚を発揮して2着に食い込んだ。
 「今日の展開は難しかったですね。(海老根)恵太のまくり脚を生かして2着まで何とか届いた感じです。でも、準決の前に届いた新車はバッチリですね。スムーズに車が出てくれます」

 井上マークの西川親幸は神山拓弥にからまれながらも3着に入った。
 「(井上)昌己が強かったです。俊敏な動きで上手いこと全てやってくれました。僕は何もしていない。しかし、みんなガッツがありますね」

 一方、人気の海老根恵太は後方8番手に置かれて不発に終わった。
 「もがき合いは予想していたんですけど、8番手は厳しかったです。(井上)昌己に上手いレースをされたし、ちょっと見ちゃいましたね。ホームでいければ良かったんですが、まだ態勢が整っていなかった」

 神山拓弥は打鐘前の2コーナーからスパートしたが、柴崎俊光を叩き切れず。
 「地元地区の岩津さんに任されたし、ギアを4回転に上げて先行を考えていたんですけどね。本気で踏んだけど、合わされてしまった。33はやっぱり組み立てが難しい。作戦ミスです」

 先制したのは中部コンビだ。番手の山口幸二は「6番(三谷)を無理やり止めても岩津に内を行かれただろうし、今日は難しかった。ラインが3人なら全然違ったんだけどね。でも、今回はやれる手応えをつかめた。年末まで頑張れそうです」と表情は明るい。

 先行した柴崎俊光は「神山君を出させたら、もうないと思って踏んじゃいました。力は出し切れたし、しょうがないですね。今回は追加の割には結果を出せたと思います」と淡々と振り返った。

 単騎の三谷将太は3番手確保からまくって見せ場を作った。
 「力不足ですね。3番手を取って勝手に身体が反応しました。今回はちょっと体調が悪かった。悔しいです」


ゴール




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