『高松競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月30日

 高松競輪場開設69周年記念「玉藻杯争覇戦」が30日に開幕した。一次予選では地元の香川雄介、池田憲昭が人気に応えて1着スタート。四国勢は全員が二次予選に勝ち上がった。メインの特選は太田竜馬の先行に乗った松浦悠士が岩本俊介のまくりに合わせて早めに追い込んだ。2日目は二次予選A、Bの計7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 2日目も馬場圭一氏による当たりすぎて″ごめんなさいね″予想会や芸人の競輪小僧氏と競輪AI搭載ロボットSotaによる予想対決など場内イベントは満載。ぜひ高松競輪場でお楽しみください。

<1R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 後ろ攻めから上昇した佐藤幸治を前受けの阿部拓真が赤板過ぎに突っ張る。前団がもつれたところを竹内雄作(写真)が踏み込んで打鐘から主導権を取る。そのまま軽快に駆けて別線を完封。逃げ切りで今年初勝利を挙げた。
 「朝一でちょっと重たかったですけど、だいぶ体は動くようになってきました。ちょっとずつ上向いてますね。あとはそれを自転車にうまく伝えられれば、もうちょっと余裕を持ってレースができるようになると思います」
 脚を使って4番手を確保した阿部拓真が追い込み勝負で2着に。
 「1回突っ張って脚をかなり使いました。踏んで合ったところって思ってました。終始、いっぱいでしたけど、勝ち上がれて良かったです」


<2R>

 後ろ攻めの松岡篤哉が赤板過ぎに切ると、打鐘を目がけて一気に踏み上げた大石剣士が先制する。2コーナーから久米康平が巻き返してくるが、これをけん制しながら合わせて踏んだ東龍之介が久米との1着争いを制した。
 「大石君が頑張ってくれた。頑張ってくれたから(久米君を)止めたかった。1回振った時に(久米君が)鈍ったから止まると思ったけど、止め切れなかった。思い切り当たれば良かったかも。そこはVTRを見て反省してきます」
 7番手まくりの久米康平は東の執ようなけん制を耐えて外を伸びた。
 「いいスピードは出た。レースはしょうもなかったけど。無理に行けるポイントはあったけど、大石君もけっこう踏んでいたので、落ち着いてと。後ろには迷惑をかけてしまったけど。あかんかったら振られたところで外にふわっとしてダメだったと思うけど、へばりつけたのは練習の成果だと思う」


<3R>

田中誠選手
田中誠選手
 赤板の1コーナーで切った津村洸次郎を菅原大也が2コーナー過ぎに押さえて先行態勢を取る。川村晃司が追い上げて中団争いに。川村ともつれた状態で内にもぐりこんだ津村は柏木伸介をどかして3番手を奪取。3コーナーから踏み上げた津村を太刀川一成がけん制すると、空いた内を突いた田中誠(写真)が鋭く伸び切った。
 「津村は3番手を取って後ろを見るんじゃなくて、すぐに仕掛けないとダメですね。ストレスのたまるレースだった。正月開催(の佐世保FI)でフレームがダメになって前場所(向日町FI)から新しいフレームを使っている。ちょっとセッティングが違うなって感じて、今回いじったら走りやすくなりました」
 最終バック9番手の厳しい展開から松村友和が2着に突っ込んだ。
 「バックを踏んで付け直して9番手だったんでキツかったです。たまたまですけど、コースは見えていたし、何とか突っ込めました。結果オーライですね。デキはいいと思います」


<4R>

 後ろ攻めから動いた高木翔を内で残した櫻井学が打鐘前で突っ張ると、中近勢にとっては絶好の流れに。すかさず高久保雄介が叩いてペースに持ち込むと、別線は身動き取れず。番手の村田雅一がゴール前で抜け出した。
 「だいぶ余裕がありましたね。高久保君のかかりは良かったですけど、バックが向かいで重そうだったので車間を空けて。いつもならあの展開でも抜けるか抜けないかなんですけど、風の影響でしょうね」
 2着に粘った高久保雄介は納得の表情でレースを振り返る。
 「重いバンクは好きなんで。ここぞとばかりに仕掛けました。最近は長い距離を踏めているから早めに出ても怖くないし、(結果に)つながってますね。村田さんには(準決勝で連係し、村田が失格した1月)平で迷惑をかけてしまったので決まって良かった」


<5R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 打鐘過ぎから泉谷元樹、山本紳貴で踏み合いになる。打鐘前まで山本にフタをされていた取鳥雄吾(写真)だったが、前団の隊列が短くなってまくり頃の展開に。ホームからまくって押し切り、ラインで上位独占も決めた。
 「(最後)振り過ぎてしまった。悪さをしちゃいましたね(笑)。重かったですね。でも見えているし、4番手の位置も取れた。あの展開になるとモガき合いますよね。もしフタをされたままならもうひとつ、ふたつしゃくっていくつもりだった。出が良くなかったのは修正しないと。最近、こういう番組でチョンボすることが多かったので、クリアできて良かった」
 ゴール前、取鳥に迫った福島武士だが、逆転はならなかった。
 「抜かないとダメですね。余裕を持って走っていたけど、最後ハウスして、それもあって差し切れなかった。別線が踏み合ってくれたので、バックでは仕掛けてくる人はいないだろうと思ったので安心して追走した。ガチガチの番組で緊張した。抜けなかったのは修正する。脚自体は悪くないので。二次予選から厳しくなってくると思うので、集中してひとつひとつ勝ち上がっていきたい」


<6R>

山口富生選手
山口富生選手
 赤板過ぎに切った瀬戸栄作を古川宗行が2コーナーで押さえる。前受けから7番手まで下げた不破将登はすかさず反撃。打鐘の2センターで古川を叩いて逃げる。藤田竜矢は近藤範昌を弾いて、この3番手にスイッチ。後方からジワジワとまくり上げた瀬戸を山口富生(写真)が軽く振ってから追い込んだ。
 「ジャンで古川がけっこう踏んでいたのに、(不破は)強引に行ってくれた。よく頑張ってくれました。全部、向かい風でキツかったと思う。後ろが藤田で瀬戸が来たのも見えたので、最後は締め気味に踏んだ。二次予選はレベルが高くなるので、気合を入れて走ります」
 瀬戸のスピードをもらった菅原晃が2着に強襲した。
 「絶好の展開になったと思って踏んだら脚がカクカクした。練習はやってきているので状態はいいですね」


<7R>

 山本直、尾形鉄馬が切ったうえを打鐘から一気に野口裕史が踏み上げて最終ホームで先頭に。内藤秀久と接触してバランスを崩した近藤俊明が内によれると尾形が落車。近藤も離れてしまう。落車を避けた菊地圭尚が詰め寄るが前の2人には届かず。逃げた野口が力強く押し切った。
 「自分にはちょっと風とかよく分からなかったですね(笑)。押し切れたし、いいコンディションだったと思いますよ。本当はジャンで行きたかったんですけど、引いているときに踏まれたのでおっおっおってなって、ちゅうちょしてしまった。でも3番手の近藤さんまで脚があるからタイミング的に悪い登りで仕掛けても付いてこれるだろうって」
 8分の1輪差で逃げ切られてしまった内藤秀久は悔しがることしきり。
 「ホーム過ぎに(近藤と接触して)ジュっていってそのあとガシャンって。ヤバいかなって思ったけど、野口君の動きについて行っただけだったので。最後は寸前で差し切れると思ったんですけどね…。自分から買ってくれたファンには本当に申しわけないです」


<8R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 後ろ攻めの小林申太が赤板過ぎ出る。いったん中団に入ろうとした島川将貴だが、打鐘前から一気に踏み込んで主導権を取る。3番手の西田雅志は離れるが、池田憲昭(写真)を連れて別線を引き離して最終バックを通過。ゴール前で池田がわずかに交わして地元記念で白星スタートを決めた。
 「島川が強かった。ジャンのところも対応できた。後ろを見ないつもりだったが、後ろを確認したら誰もきていませんでしたね。余裕はありましたし、体も問題ない。前回(宇都宮)3日間も動けていたし、その後に練習したのもあって、思った以上に仕上がっていますね。静かに決勝までいければ。今日(初日)脚を使っていないので、明日(2日目)以降、脚が残っている」
 島川将貴は別線を突き放すスパートを決めて2着の結果にも改善点がある様子。
 「小林さんが踏んだので、ジャン前で中団に入ろうとしたけど、八谷さんも内から来ていたので、思い切って仕掛けようと。粘られることも考えて上の方を踏みました。アップの感じが良くなかったのでどうなるかと思った。久々のレースだったのもあるのかな。もうひとつガツンと踏める感じをつかめればいいんですけどね」


<9R>

山形一気選手
山形一気選手
 赤板過ぎに切った今野大輔を天田裕輝が打鐘前に叩いて出る。天田が少し緩めた隙を逃さずに元砂勇雪がスパート。ホームで天田を叩いて主導権を握るが、今野が2コーナーからすかさずまくって前団を飲み込む。続いた山形一気(写真)が直線で逆転。久しぶりの勝ち星を挙げた。
 「展開的には苦しかったけど、みんな早く動きましたからね。今野は無理やり行って、出が悪かったんで、どうなるか見ながらでした。セッティングを元に戻して楽になった。バックから余裕はありました。久しぶりの1着。(通算200勝まで)あと3勝か」
 まくった今野大輔が2着で四国ワンツー決着。久しぶりの記念参戦で初日をクリアした。
 「(展開が早くて)目が回った。脚はないけど頑張りました。奇跡に近いです。何も考えてなくて、タイミングを逃さずに行こうと思っていたけど、後ろになってしまった。冷静さはなかった。とりあえず良かったです」


<10R>

 赤板過ぎに飛び出した船瀬惇平を新納大輝が打鐘で叩いて逃げる。人気を背負った新山響平は前受けから引いて7番手に構える。最終バックで新納の番手から屋良朝春が自力を発動。さらに三登誉哲も船瀬を見切って自ら踏み込んだが、新山が大外を豪快にまくり切った。
 「ジャンで1回、先行できるポイントがあったのに見てしまいました。7番手からのまくりなので反省が多い。最近はまくり主体になってしまっているし、もっとバンバン主導権を取っていけるようにしないとダメですね。車の出は思ったより良くなかったので、セッティングを微調整します」
 新山に続いた阿部力也が2着をキープして北日本ワンツー決着。
 「差すどころか千切れそうになった(苦笑)。ほんと離れなくて良かったです。登りなのに加速がヤバかったですから」


<11R>

 久木原洋が赤板過ぎに押さえ、前受けから下げた松本貴治はすんなり5番手に収まる。打鐘の2センターから一気に踏み上げた松本が合わせて踏んだ久木原を最終ホームで叩き切る。ライン3車でしっかり出切って完全に四国勢のペース。最後は粘る松本を香川雄介が鋭く差し切った。
 「ホッとしました。松本君がポイントで仕掛けてくれて、あとは差すだけだなって。肋骨は痛みはあったけど、すぐに治ったし、大丈夫ですね。松本君が出切ってからはまくってくる人はいないだろうと。木村(直隆)君のまくりも見えたが、松本君ならまくられないだろうと。勝てて良かったです」
 松本貴治は別線を完封する逃げで、ラインを上位独占に導いた。
 「行けたのは行けたんですが、もっと早く行けるタイミングがあったのに、そこで見てしまいました。香川さんと決まったのは良かったです。感触は悪くなかったです。明日(2日目)もラインでの役割を全うしたい」


<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 後ろ攻めから動いた岩本俊介が赤板の1コーナーで切る。7番手となった太田竜馬は2コーナーから一気に踏み込んで主導権を奪う。これを受けた岩本が4番手に収まり、三谷竜生が7番手で最終ホームを通過。ハイピッチで駆ける太田に対し、岩本が2コーナーから襲いかかる。車間を空けて準備していた松浦悠士(写真)は懸命にブロックするが、止まらないと判断するや早めに追い込んだ。
 「太田君がフカして、岩本さんが来たのが見えて、出ないといけない苦しい判断になりました。けっこう持っていったんですが、あれ以上は持っていけないし、ああなった以上は前に踏まないといけなかった。止まんなかった。太田君には申しわけなかったです。終わってみれば、もう少しなんとかできたんじゃないかと思いますね。でも高松のバンクは踏んだ感じが合ってます」
 岩本マークの和田健太郎が松浦にスイッチする形で2着に入った。
 「岩本が頑張ってくれたおかげです。位置を取って、しっかり仕掛けてくれたので。あれで行ければ良かったんですけどね。乗り越えられない感じだったので、切り替えさせてもらいました。イレギュラーな展開だったし、状態は何とも言えないですね」
 不発になったとはいえ、岩本俊介のスピードは光っていた。
 「まくりの展開になったけど、しっかりレースを作って仕掛けられました。松浦君に前に踏まれてしまったのでキツかったです。でも力は出し切れました」