『高松競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月30日

 高松競輪場で開催された開設71周年記念「玉藻杯争覇戦(GIII)」は、1月30日に最終日が行われた。地元3人を含め四国勢が大挙勝ち上がった決勝は、古性優作のまくりをゴール前で交わした山田久徳が優勝。昨年2月の奈良記念以来となる通算3度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲でいち早く飛び出した松浦悠士が古性優作を制して正攻法の位置を確保。松浦-佐藤慎太郎、古性-山田久徳、小川真太郎-香川雄介-池田憲昭-原誠宏、中川誠一郎で隊列は落ち着いて周回を重ねる。
 赤板ホーム入り口から小川が上昇を始めると、合わせて古性も動く。赤板経過で誘導を切って踏み出す松浦をまず古性が押さえ、この上をさらに小川が叩いて主導権を握る。古性は四国4人を出させて5番手に構え、松浦は7番手、中川は依然として9番手のまま打鐘を通過。後方の仕掛けを警戒した後、小川は2センターあたりからペースアップしていくが、最終ホーム入り口から松浦が襲い掛かる。ロングスパートに出た松浦は2コーナーで小川をねじ伏せて先頭に。しかし、古性の反応が良かった。松浦-佐藤にスムーズに切り替えていくと、松浦に呼吸を入れる隙を与えることなく2コーナー過ぎにはまくって出る。佐藤は止められず、松浦が3コーナーで自ら止めに行くが、スピードが落ちなかった古性は2センターで松浦を仕留める。直線では近畿2人の一騎打ち。粘る古性をゴール寸前で交わした山田が1年前の奈良以来の記念Vを飾った。終始最後方で脚を溜め、近畿勢の仕掛けに乗って一発を狙った中川は伸び切れず、松浦を交わした佐藤が3着に。


山田久徳選手
山田久徳選手

 地元、四国ライン4車の先頭を務めた小川真太郎が、迷いなく主導権。5番手にポジショニングした古性優作と、7番手で十分な間合いを取った松浦悠士との見ごたえのスピードバトルの幕がラスト1周で上がった。
 「チャンスをモノにできたことはすごく良かった。(昨年11月の)競輪祭(決勝)で連結を外している。それが頭の片隅にあった。まずは付いていくことが大事だった」
 最終1センターで松浦、佐藤慎太郎に古性が俊敏にスイッチ。前団をとらえた松浦の上を、尋常ではない加速力で古性がまくる。古性と松浦の意地のぶつかり合いは、古性に軍配。だが、松浦マークの佐藤と山田久徳(写真)の体が3コーナー過ぎに重なった。
 「松浦君と(佐藤)慎太郎さんを越えるあたりが、からまれる感覚があって嫌でしたね。そこは(村上)博幸さんにも言われているところ。しっかりと追走できたのは良かった。一流の追い込み選手からしたら、まだ甘いところはあると思うんですけど」
 練習仲間でもある村上のテクニックとまでいかないながらも、佐藤にブロックの隙を与えず追走。古性との直線勝負に持ち込んだ。
 「あそこまで連れていってもらったら抜かないと。僕も自力でやっているので。ギリギリだったけど、抜けて良かった」
 最後のハンドル投げで古性を差し切り優勝。昨年は2月に奈良記念を制して、11月に競輪祭で優出を果たし、初のGI決勝の舞台を踏んだ。さらなる飛躍を誓う今年は、前回の奈良FIに続いて、高松記念をV。早くからビッグ戦線に身をおいた山田に脂が乗ってきた。
 「古性君には前を任せているけど、自分も自力選手として、前を回れるくらいに脚をつけないと。練習をしっかりして、そういうレースをしていきたい。最近成績がまとまってきているんで、調子をキープして取手(全日本選抜)にいきたい」
 これからの京都、そして近畿の主軸を担うまでに、山田の存在感が増している。

 カマシ気味にまくった松浦のスピードも抜群だったが、古性優作のデキがそれを上回った。衝撃のまくりで松浦、佐藤のS班コンビをグランプリ王者が仕留めた。
 「(松浦は)さすがですね、すごいスピードだった。そこにすぐにスイッチした。でも、松浦君の斜め後ろくらいで自分のフォームが崩れた。(自転車との)一体感、そこが今後の課題です。あとは僕と(山田)久徳さん(の勝負)。いかれてしまったのは甘いっすね。そこは普通に悔しい。和歌山は原因がわかってたし、そこを修正できた。和歌山よりだいぶ良くなっている」

 松浦に付けて3着の佐藤慎太郎は、古性、松浦の両者をたたえて汗をぬぐう。
 「(松浦は)前の掛かりがどうあれ、古性がどうこうじゃなくて、自分のタイミングで仕掛けようと。(相手よりも)それ以前に自分との戦い。力を残して終わらないっていう感じだった。(松浦の踏み出しは)余裕をもって付いていける掛かりじゃなかった。全開で追走した。このスピードならまだ(古性は)来ないなって思ってしまった。このタイミング、このスピード域で来るのかって信じられなかった。さすがグランプリチャンピオン。一緒に走っていながら、なんてすごい選手なんだって思った。仕事ができなくて悔しい」





2月最初の記念開催は2月3日~6日の日程で、静岡競輪GIII静岡競輪場開設69周年記念「たちあおい賞争奪戦」が開催されます。昨年のグランプリが開催されたこの地で、S級S班から佐藤慎太郎、平原康多、郡司浩平、清水裕友の4名、地元静岡からは萩原孝之、岡村潤、深谷知広、渡邉雄太ら8名がしのぎを削ります。
今年の記念で早くも4連勝完全優勝を決めている郡司と平原を筆頭に、地元の強力先行型の深谷と渡邉(雄)、他地区の強豪浅井康太や野原雅也、小倉竜二など、好選手が揃ったハイレベルな4日間に注目です。

1月24日時点の出場予定選手データを分析した、「静岡競輪GIII たちあおい賞争奪戦」の出場メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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