『高松競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月20日

 令和6年能登半島地震復興支援競輪・高松競輪開設73周年記念「玉藻杯争覇戦(GIII)」は、2月20日に最終日を迎えた。注目の決勝は予想以上にモツれる展開となり、最終的に町田太我の番手から自力発進した松浦悠士の後位を浅井康太、井上昌己のラインが追い上げて奪取。完全Vを目指した松浦をゴール寸前で浅井が交わして優勝を果たした。
 なお、浅井のGIII優勝は昨年11月の四日市以来で通算34回目。中部勢を引っ張る強い気持ちで今年初Vを決めた。

決勝戦 レース経過

 スタートで勢いよく飛び出した松浦悠士、菊池岳仁の並走はしばらく続いたが、2周目のホームで松浦が車を下げ、菊池が誘導員の後ろを占めた。菊池の番手は佐藤慎太郎と東龍之介が内外入れ替わりながらの競り合い。浅井康太-井上昌己の即席ラインが中団で、町田太我-松浦悠士-香川雄介-福島武士の中四国カルテッドは後攻めとなった。
 青板周回のバックあたりから菊池が誘導員と車間を空けはじめ、後続の動きを警戒する。赤板で町田がスパートすると、これを見た菊池もフルダッシュ。菊池の番手で競り合っていた佐藤、東はともに離れてしまい、菊池の後ろに町田-松浦-香川が収まってジャンが入る。最終ホームで町田が番手まくりを敢行。松浦は続くが、香川は3コーナーから追い上げていた東に阻まれて続けない。懸命に粘る菊池を町田は1センターでねじ伏せて先頭に立つ。2コーナーから浅井が踏み込むと、これに気付いた松浦がバックで自力に転じる。すると浅井は松浦の後ろに差し込んで東を阻み、松浦にスイッチ。松浦、浅井、井上…で最後の直線へ。松浦が押し切ると思われたが、ゴール寸前で浅井が逆転し、松浦の完全Vの夢を打ち砕いた。3着は井上。


浅井康太選手
浅井康太選手

 人気を集めた中四国勢を打ち破ったのは浅井康太(写真)。今シリーズは急遽の追加参戦となったが、優勝という最高の結果を手にした。
 「初日は良くなくて、最終日に向けて調整ができたのは大きい。修正力、調整面のコンディショニングができたと感じた。しっかりと向き合えたのが結果につながった。それを今後に生かしていければ自信につながっていくのかなって思います」と、開催中に自身と向き合えたことを勝因に挙げた。
 レースは菊池岳仁と町田太我の117期勢による先行争いにも注目が集まっていた。菊池は板過ぎのバックから誘導と距離を空け始め、町田を強く意識する。菊池の後ろは佐藤慎太郎と、東龍之介の競りになっていたが、その後ろにいた浅井は冷静に状況を分析し、仕掛けるタイミングを探っていた。
 「菊池君はやる気がありましたね。バック30本の徹底先行で行きっぷりのいい選手。赤板過ぎに町田君がはまって、厳しくなったけど、自分は余裕があって、東君が追い上げて行ったのを目標にまくりに行きました。(勢いを)止められたけど、あれがなければまくれていたような感触があって、まくり切っていれれば(優勝は)井上さんだったかもしれないし、ワンツーが決まるように仕掛けられたと思う」
 東のけん制を受けた浅井はその後も的確な動きを見せる。瞬時に松浦の後ろに切り替えてゴール前での一騎打ちを制した。「そのあとは切り替えて、立て直した。気持ち、体、脚に余裕があったからできましたね。普通なら2、3回、脚を使って、松浦君の番手まくりを抜けないだろうけど、そこは感触良く踏み込めた」と心技体が整ったレースを披露して優勝をつかみ取った。
 今年の6月に40歳を迎える浅井だが、前回のGIで得た経験、またこれまで培ってきたことの中で、「競輪は気持ち」が大事だということを語った。「前回のGIから各地区の選手に付かせてもらって、今回も松本(秀之介)君だったり、中部でいえば(高橋)和也だったりに付いて、いろいろ経験ができて、決勝の自力につながっている。あとは、競輪は気持ちが大事だなあと。強い選手は気持ちが入っているし、そういうレース、走りをする。テクニックうんぬんよりも気持ちかなって思います」

 一番人気に支持された松浦悠士は町田太我を目標から最後は自らタテへ踏んだが、結果を残せず、あらためて、現状の力を確認することになった。
 「前から突っ張りという感じでしたが、違う展開も考えていました。町田君が(菊池の)番手に入って落ち着いていいかなって思ったけど、(佐藤)慎太郎さんも東さんも内から来るかなって気になった。町田君もタレてきたので出たんですけど、最後は苦しくなりました。踏んだりやめたりがあったけど、今までの自分なら押し切れる距離なので。それが今の自分の状態。自力だとまだまだだなって分かっているので、しっかりタテ脚を出せるようにしていかないといけない。やりたい練習はあるので、焦らずやっていきたい。町田君をサポートできなくて悔しいです」

 井上昌己は浅井の俊敏な立ち回りをしっかりと追走を決めて3着に入った。
 「ちょっといろいろと気になりすぎた。もうワンテンポ早く踏んでいれば面白かったかな。浅井君に合わせて松浦君が出て、浅井君がその後ろに入る時にバックを踏んだので伸び切らなかった」









次回のグレードレースは、令和6年能登半島地震復興支援競輪・奈良競輪場開設73周年記念「春日賞争覇戦」が、2月22日~25日の日程で開催されます。
今シリーズは古性優作、脇本雄太のSS班コンビをはじめ、竜生、将太の三谷兄弟、南修二らが控えていて、ラインの総合力は近畿勢が他地区をリードしています。
第2勢力は新山響平、守澤太志、小松崎大地と自力型がそろった北日本勢です。どこまで近畿勢に抵抗できるか大注目です。

2月14日時点の出場予定選手データを分析した、奈良競輪「春日賞争覇戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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