『高松競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月30日
 高松競輪開設65周年記念「玉藻杯争覇戦」が今日から開幕した。福島栄一の失格は残念だったが、地元勢は5名が二次予選に進出。特選では村上義弘、深谷知広に浅井康太と実力者が順当にシリーズの白星発進を決めた。2日目は優秀の「チータカカップ」に、二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目は日曜日、情熱サーカス大道芸人「タカシェンカ」ショー(10:50~、13:35~)やスピーチーズによるライブ(11:15~、12:35~)、「やしろ優」ものまねステージ(11:40~、14:05~)など盛りだくさんのイベントで開催を盛り上げます。明日もぜひ高松競輪場へご来場ください。
<1R>
 齋藤宗徳が後ろ攻めから押さえて駆けると、中団は畑段嵐士と宿口陽一で併走に。最終ホームで宿口が内をキメようとするが、これで畑段が落車するアクシデントが発生(宿口は反則失格)。齋藤がピッチを上げて軽快に逃げると、番手の武田憲祐がまくってきた宿口を止めて直線鋭く追い込み、オープニングレースを制した。
 「齋藤君が頑張ってくれました。(宿口のまくりは)振ったら止まってくれたので。ワンツースリーが決まったみたいで、それが何より嬉しいです」
 ペース駆けに持ち込みライン上位独占に導いた齋藤宗徳は清々しい表情でレースを振り返る。
 「中団がもつれるようにしたかったし、理想的な展開でした。ホームで(落車の)音がして、少し落ち着けましたね。重かったけどなんとか3着に入れた。記念で初めて一次予選を突破できて本当によかったです」

<2R>
 打鐘前に主導権を握った竹田慎一に対して、前受けから7番手まで引いた山本直が打鐘4コーナーから一気にカマす。山本は最終2コーナーで前団を叩き切ると、最後は番手の立花成泰がきっちりと差し切った。
 「ああなったらもう大丈夫だと。あんな楽なレース、ここ半年くらいないですよ。山本は行ききれるんかなと思ったけど楽勝でしたね。まくりにいくんかなとも思ったけどすかさず行ってくれたし、隅(貴史)も頑張ってくれた。もっと振ってもよかったんだけど、平沼(由充)さんも来てたから」
 タイミングよく仕掛けた山本直は立花には交わされたが、2着で二次予選に駒を進めた。
 「ちゃんと出られましたね。あそこで行かないとないと思ってたんで。(初手は)誰も出なかったら前から行こうと。今回は感じが良いですし、完璧やと思います。1着ならよかったけど、なるさん(立花)が1着なんで。体が動いてるし、明日以降も今日と同じ感じで走ります」
 隅貴史がしっかりと3着に続き、中国勢で確定板を独占した。
 「3着? 4着かと思った、嬉しい。平沼さんが来そうだったし、内を締めるのを必死で。外はあれだと無理だし。4コーナーでも余裕はありましたし、冷静に走れました」

<3R>
 後ろ攻めから打鐘で前に出た清水裕友をすかさず小原唯志が叩いてホームから主導権。7番手の野田源一は2コーナーからまくり上げると、直線で前団を飲み込んだ。
 「ホームで詰まったけど難しかったですね。でも、行ったら3車で決まったかな。思ったより出なかったし、4番(清水)のところで止まったので、そこから我慢。直線が長いし、何とか4着までにと思ってました。もうちょっと切れて欲しいけど、いいときに近い感触にはなってるのかな。最近は負け戦でも勝ち切れてなかったし、プラスに考えたい」
 小原の仕掛けに乗った稲村好将が2着に入った。
 「(小原は清水が)踏んでるのを叩いてくのキツかったでしょうね。4番は引いたんで、あとは(野田)源ちゃんが整えて来るなと思った。しばらく雪で地べたを乗れてなくて、久々の実走だったけど、重く感じなかったので悪くない」
 小原に叩かれたが4番手で立て直して外を踏んだ清水裕友が3着に食い込んだ。
 「出てから流したところを来られたので、(小原に)出られるなとは思った。ただ入れてもらっただけだけど、そこから行けたんで悪くない。前回よりは落ち着いて走れてますね。A級とS級ではペースが違うので、そこに早く慣れていかないと。2日目は先行したいですね」

<4R>
 松山桂輔が斬った上を、戸田康平が叩いて打鐘から主導権。松山が中団を確保し、人気の佐藤朋也は7番手に置かれる。戸田は徐々にピッチを上げてマイペースに持ち込むと、松山のまくり追い込みを振り切って嬉しい白星発進を決めた。
 「ホッとしました。緊張していたので(笑)。駆けた感じは一杯一杯だったし、最後は行かれて2、3着くらいかと思った。1着でよかったです。今回から新車なんですけど、それが良い感じ。まだ記念で準決勝に進めてないし、明日も頑張りたい」
 まくり追い込みで迫った松山桂輔だったが、わずかに届かず2着まで。
 「うまく中団を取れたし、あの展開なら突き抜けないと。脚がないですね。道中は良いけど、踏み出してからの進みがイマイチかな」

<5R>
 打鐘で主導権を握った掛水泰範が、後ろの動きを警戒しながら4コーナーからペースアップ。一本棒の展開に持ち込むが、中団をキープした西村光太がバックからまくっていく。しかし福島栄一のけん制により西村は2センターで落車のアクシデント(福島は斜行で失格)。掛水は落車をよそにそのまま押し切った。しかし検車場に引き揚げてきた掛水に笑顔はなし。
 「(福島)栄一に申し訳ないです、地元やのに。僕をかばって失格にまでなって。僕が掛かってないから勢いよく来られてしまった。自分のやりたいレースはできたけど、今の掛かりじゃ上のレースになると厳しいですね。あんまりいじりはしないけど、ちょこちょこ調整してみます」
 2着には掛水ラインの3番手から内村泰三が直線突っ込んだ。
 「全部福島がやってくれました。でも地元で気合が入りすぎていたのかも。僕は避けるので精一杯だったし、追走してただけ。でもあれを抜けないのは恥ずかしいですね。もう少し頑張ります」
 落車を避け直線伸びた望月永悟が3着に入った。
 「保科(千春)君とは初めてだったし、初めはやりたいレースをやってもらおうと。彼が1番悔しいでしょう。本人が1番分かってると思います。僕としては、落車も見えてましたし、あとは細かいところを修正していきます」

<6R>
大西祐選手
大西祐選手
 レース内容をしきりに反省する大西祐(写真)だが、結果は原誠宏と香川ワンツー。逃げる冨尾享平をホーム過ぎからの仕掛けで飲み込んだ。
 「4番(冨尾)が行ったときに付いて行かんといかんのに動けず、ヤバイ、ヤバイ。付いてったら何でもないのに、後ろの2人もついてきにくかったと思う。打鐘で叩いてたら気持ちええけど、何かすっきりせん。今日は得意の組み立ての悪さが出ましたね。(展開を)頭で考えてる時点で低調。いつ抜け出せるか不安ですね」
 大西を好追した原誠宏だが逆転はならず。
 「田中(孝彦)君に張られながらでどうなるかと思ったけど、結果脚勝ちしてくれてよかった。前(で駆けたの)が4番だから行けたけど、構えたときはどうなるかと思いました。でも、祐なりに得意パターンで頑張ってくれました。もう少し早めに行ったら抜けたかな? でも抜かないかんし、もう少し修正します」
 まくった瀬戸内3車に切り替えるように外に持ち出した田中孝彦が3着に入ったが表情は浮かない。
 「自分のなかでは物足りない感じ。前に出てないのに一杯になった。大西を警戒しすぎて3番手を取ったけど休めてない感じ。大西より先にまくらなきゃいけないのに一杯になっちゃいました。でもとりあえず勝ち上がれたんで」

<7R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 久米康平が打鐘過ぎにカマして主導権を握る。グングンと加速していった久米が後続を大きく引き離すが、5番手の矢口啓一郎(写真)が2コーナーから反撃を開始すると、猛スピードで襲い掛かり、直線で前団を飲み込んだ。それでも内容に不満があったようで、苦笑いでレースを振り返った。
 「ちょっと焦ってしまいましたね。引いて巻き返せば良かったんですけど(打鐘で)吸い込まれるように内へ行ってしまった。それで後ろに悪いことをしました。先行みたいなレースをしたいと思ってたんですけど微妙な感じですね」
 打鐘過ぎに前の矢口と連結を外した山口貴弘だったが、切り替えて立て直すとまくり追い込みで2着に強襲。現地集合を果たした。
 「(矢口が)内にいくと思わず…。後ろの関(貴之)に悪いことをした。ただリカバリーできたし脚の状態は全く問題ないです」
 4着で何とか二次予選に勝ち上がった久米康平は「いい感じで行けたけど、バックぐらいから急にキツくなった。最後はバタバタでしたね」とレースを振り返った。

<8R>
有賀高士選手
有賀高士選手
 赤板で飯塚隼人―大竹慎吾が正攻法の川口聖二を押さえて前に出たが、川口は打鐘前に踏み上げ再び先頭に立つ。川口は4コーナーからペースアップ。最終バックでは一本棒の展開に持ち込むと、最後は有賀高士(写真)が番手有利にゴール寸前差し切った。
 「今日は作戦的に前になると思ってなかったので、(誘導を追って)脚に結構きてましたね。スタートで一杯の分、ゴール前も踏めなくて。1着だとは思わなかったです。なので1着発進できてすごく嬉しいです。展開もよかったですね」
 川口聖二は有賀には交わされたが2着に逃げ粘った。
 「(赤板2コーナーで)8番(屋良)があんまりにも流してるからヤバイと思って、とりあえず前に行こうと。それで杉山(正和)さんには迷惑かけました。あとは僕があんまり掛からんかったですね。今の感じやとちょっとヤバイですね。高松バンクはクセはなかったです。ただ僕がスピードに乗れなかっただけです。ウンショ、ウンショといった感じでした」
 3着には屋良朝春との競り合いを制した松本大地が入った。
 「ペースが落ちたら川口君の番手狙いに行こうと思ってました。でも川口君と仕掛けどころがかぶって3番手になってしまった。番手狙いってことで、屋良君と考えていることが一緒だったのかもしれないですね。それで競り合いになりました」

<9R>
木本賢二選手
木本賢二選手
 後ろ攻めの藤井栄二の動きに合わせて中団の小林則之が上がってイン斬り。そこを打鐘で藤井が叩く。引いた野口大誠は4コーナーから巻き返すが、これを木本賢二(写真)が好ブロック。一発で野口を仕留めると、粘る藤井をゴール前でとらえた。
 「前(藤井)が強かった。残るように駆けてくれたからね。(ブロックは)引っかかって大そうに見えたけど、転ばんでよかったです。鷲田(幸司)が前を回してくれたし、絶対止めてやろうと思ってた。僕はパワーがないんで、大ギアのときより走りやすいですね」
 逃げた藤井栄二は2着に粘った。
 「すんなり先行させてもらえる展開だったので。ペースで行けました。後ろに仕事してもらってるのも見えたし、それもよかったです」
 任せた野口は不発に終わったが、俊敏にコースを縫った坂本亮馬が3着に食い込んだ。
 「危なかった。何回も(転びそうになって)ハンドルを抜いた。最後、藤井君がタレてたにしては伸びてないな。これじゃ特選クラスでは…。前が飛んでも(3着に)来れたのがギリ及第点です」

<10R>
村上義弘選手
村上義弘選手
 後ろ攻めの山田久徳が打鐘から先制し、阿竹智史と小松崎大地で中団を取り合う展開に。外併走から小松崎がまくり上げると、山田の番手で車間を切っていた村上義弘(写真)が小松崎を張りながら自力に転じる。しぶとく踏み続けた小松崎や、直線外を伸びた阿竹の追撃をしのいだ村上が先頭でゴールを駆け抜けた。
 「山田と小松崎君は競輪祭の2次予選でも戦っていたし、これからもぶつかる相手だろうから、頑張ってもらいたかった。(山田が)バックで力尽きてきたから、(小松崎を)持っていきながら踏む形になりました。(落車後のシリーズだが)ひとつひとつ積み重ねて頑張るだけです」
 中団にこだわった阿竹智史は、3コーナー過ぎに車を外へ持ち出すと、直線で鋭く伸びて2着に入線した。
 「ちょっと危ないところもあったけど、最後は外へ持ち出せたので。周りがよく見えるようになってきたし脚もそこそこ回せている。準決勝の権利を得られたのは大きいですね」
 外併走からまくり上げた小松崎大地は、村上に合わされて万事休すかと思われたが、懸命に踏み続けて確定板を確保した。
 「(仕掛けが)中途半端でした。ラインに迷惑をかけてしまった。思い切りが足りなかった今日の分も、明日以降は頑張りたい。脚の感じ自体は良かったので」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広(写真)の強さが光った。前受けから7番手まで引いた深谷だったが、赤板で先頭に立った根本哲吏が流していると、2コーナーからすかさず仕掛ける。打鐘過ぎに根本を叩き切ると、そのまま別線に反撃の隙を与えず力強く押し切った。
 「前受けになることは想定していました。8番(根本)が流してたんで行きやすいと思って先行態勢に入れました。落ち着いて自分に自信を持って行けましたね。バンクは重かったけど、先行して残れているんで感じ的には良いですね」
 深谷を交わせずも志智俊夫が完璧マークでワンツーを決めた。
 「前が踏んでなかったらすぐ行きますって深谷が言ってくれてたんで。深谷も力が戻っているじゃないですか。ワンツーでよかったです。展開もよかったですし、流れもいいですね。これでリズムが変わってくれればいいんですけど」
 山田英明が大槻寛徳との3着争いを制し、明日の優秀戦へ駒を進めた。
 「今日は楽でしたね。余裕もありました。バックで石井(秀治)さんの動きも分かってたし、あそこで行かんと押し込まれたりしてたと思うんで。園田(匠)さんも付いてますしね。4コーナーから(大槻との)踏み合いは意地ですね。新車も重かったけど流れてたんで、前回よりはすごい楽でした。とりあえず3着でよかったです」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 浅井康太(写真)がスピードの違いを見せて圧勝。目まぐるしくレースが動き、最終ホームで友定祐己にからまれるなど、すんなりのレースにはならなかったが、2コーナーからのまくりで後続をぶっ千切った。
 「レースの動きが早かったし、中団中団と思ったけど。(打鐘で原田研太朗に)突っ張られたので気持ちを切り替えて位置を取りに行った。自分のタイミングで仕掛けたわけじゃないけど車は出たので。展開はダメでも勝ち切れたのでいいでしょう」
 岩本俊介を飛ばしながら行くのに浅井と口が空いてしまった笠松信幸だったが直線鋭く伸びて2着をキープ。「必死です、とにかく。それだけですね。強い…、あいつヤバイです。さすがですね」と、レース後は勝った浅井を褒めちぎった。
 坂本貴史後位から四国3番手に入った十文字貴信が直線中を割って3着に入線した。
 「坂本君は『あの展開にして行く』と言ってくれてた。でも原田君も出させないと思ったのでホームで内に降りました。坂本君は調子がいいから行ってくれたんでしょうね。僕は今回から使う自転車がいい。怪我が治って練習量も増えてるし、内の重いところから原田君を抜けてるので」
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