『高松競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月2日
 高松競輪開設65周年記念「玉藻杯争覇戦」は2月2日に最終日を迎えた。深谷知広、浅井康太の中部コンビと村上義弘、原田研太朗らが激突した決勝戦。レースは青板3コーナーから動いた村上に対し、前受けの深谷は7番手まで車を下げたが、打鐘から一気の巻き返し。村上の抵抗を力でねじ伏せると、浅井の援護も味方に押し切った。これで深谷は12月伊東から記念3連覇。賞金ランクも堂々のトップに躍り出て、今年最初のG1全日本選抜に挑む。
決勝戦 レース経過
 号砲で浅井康太がゆっくり出て、深谷知広を迎え入れる。深谷-浅井-有賀高士の中部勢が前団、原田研太朗-池田憲昭の地元コンビで中団を形成、後方に村上義弘-南修二の近畿コンビ、単騎の山田英明、石井秀治がこれに続く形で周回を重ねる。
 青板周回のバック過ぎから村上が上昇。前受けの深谷はすんなり車を下げて、村上が赤板前に誘導員の後位に収まる。単騎の2人が続いて、中団に原田、7番手まで下げた深谷は打鐘前の2コーナーから一気に巻き返す。これを確認した村上は懸命に抵抗するも、深谷が強引に叩いて主導権を握る。3番手の有賀を南が外に弾き、叩かれた村上は3番手で態勢を立て直す。最終2コーナーから村上がまくり上げると、浅井がこれをブロック。しかし、村上も持ちこたえて両者で激しくからむ。そのまま4コーナーを迎えると、2センターで内を突いた山田が浅井を飛ばして追い込み、さらに南も中割り強襲。ゴールは深谷、山田、南の3車で大接戦。後続の追撃を僅差で振り切った深谷が記念3連覇を達成した。

深谷知広選手
深谷知広選手
 第一声「キツかった…」は深谷知広(写真)の偽らざる気持ちだろう。村上義弘も深谷に対し、対抗心メラメラ。打鐘から始まった意地のぶつかり合いを力でねじ伏せると、番手の浅井は村上の巻き返しを好ブロック。最後は山田英明、南修二が中割りで強襲してきたが、深谷が僅差で押し切った。
 「村上さんは勝負してくるなと思ったけど、ライン3車の気持ちも違う。相手は2車なんで。でも出切らないと話にならない。村上さんのヨコを通過するのに消耗しましたね。何回も止められてるし、越えるまでは余裕はなかった」
 大宮記念決勝でもワンツーを決めた浅井康太の援護を信じて最後まで粘った。「かなり一杯だった。早めに踏み直して、あとは浅井さん任せ」。その気持ちに浅井も応え、2センターから村上と激しく体をぶつけ合った。
 この優勝で深谷は賞金ランクトップに。今年最初のG1、全日本選抜を前に強い深谷が帰ってきた。
 「去年はいなかった位置。頑張ってキープすればグランプリも近づくと思う。(復活は)G1を優勝してこそだと思うので、次(全日本選抜)に向けていい弾みになりました」

 近畿ライン3番手から組み立てた山田英明は2センターから内に切り込む。浅井をドカして深谷に迫ったが、1/8輪届かなかった。
 「決めてたわけじゃないけど、村上さんがどんな走りをするのか見たかったし、『かっこいいな』と思いながら走ってました。でも最後は勝負だし、中を突っ込んでやろうと思った。あとちょっとだったけど、今まで(記念の)決勝2着もないし、記録更新はできた。レースにも落ち着いて臨めたし、全日本でしっかり戦えると思う」

 山田より先に内に切り込んでいれば優勝は南修二だったかもしれない。
 「あまり作戦もなかった。3番手に村上さんが入って、あとは行けるか行けないかで内か外か。うまいこといけたら突き抜けられたかもしれないけど、脚がなかった。先に(内に入るの)は難しいですね」

 深谷後位で必死の援護を見せた浅井康太だったが、村上をけん制した内を山田、南に次々と割られて4着に。
 「3番手は分かってました。村上さんとしっかりぶつかり合えたし、もうちょいでしたね。感じ的にはよかったけど」

 深谷、村上がやり合ったことで原田研太朗にもチャンスかと思われたが、まくり不発の7着に敗れた。
 「あれで行けんのは力不足です。モガキ合いになる感じになったけど深谷さんのかかりがすごかった」

 原田マークの池田憲昭は直線コースを探して踏んだが5着まで。「行ったと思ったけどね、研太朗は。思ったより余裕はあったけど、コースがなかった」と初めての地元記念決勝を振り返った。

 村上義弘は深谷と真っ向勝負。出られても、3番手から再度アタックして気迫のレースを見せた。
 「精一杯やりました。自力で深谷の強さをまた肌で感じて、最強の深谷が帰ってきた。また競輪も面白くなるなと。俺もしがみついて頑張らな」

ゴール
9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション) レース経過

柏野智典選手
柏野智典選手
 最終日9Rに行われたケイリンエボリューションを制したのは柏野智典(写真)。道中、松浦悠士の後ろにつけると、3番手から仕掛けた松浦、合わせて金子哲大後位から持ち出した松崎貴久の動きで空いたインコースに切り込む。そのまま中割り鋭く突き抜けた。
 「今日は何も考えてない。どうしよう、どうしようと思ったけどスタートで見合ったので後ろになるよりは前かなと。そしたら松浦が来たので飛びついてくれよと思いながら入れました。金子君は一人で来るかなと思ったけど、3番手が空いてたので。最後は1着のコースに入れたけど、(ルール上)当たっちゃダメだ当たっちゃダメだと思って待ったので抜けたかなと思った。(普段と違うレースだが)1着は1着だと思うしよかった。いつも2、3着ばかりなんでね」

 打鐘過ぎから主導権を握った金子哲大は寸前のところで100万円超の優勝賞金を逃した。
 「4コーナー回って、100万円が見えたらバタバタしちゃいました。先行は考えてなかったし、最初は松浦君の後ろが面白いかなと思ったら柏野さんが入れたんで。それなら松坂(洋平)さんより先に仕掛けようと。2着なら上出来ですね」

 周回中から金子後位につけていた松崎貴久にも優勝のチャンスはあった。
 「脚負けですね。取り切って一杯でした。まくってくるのは松浦だろうからかぶらないように無理くり外行ったら柏野か…。金子が強かった。復帰戦で不安だったけど、みんなと一緒にゴールできてよかった」

 人気の松浦悠士はまくり不発。4着の結果に悔しさを隠せない。
 「(松坂がまくって来るのが)見えて慌てて踏んだけど出なかったですね。普段やってないので、飛びつくのもキツかった。行けない感じじゃなかったけど、自分のタイミングじゃなかった分。結局、前の2人も抜けてないし、悔しいですね。また本業で頑張ります」

 後方に置かれた選手に出番はなかった。5番手からまくった松坂洋平は「スタートで後ろになっちゃったので、勝負権がないまま終わった。しょうがないですね」と肩を落とした。

ゴール
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