『観音寺競輪開設60周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:11月2日


 観音寺競輪60周年記念「ことひき賞争奪戦」は11月2日、4日間の熱戦に幕を下ろした。タイトルホルダーが8人とG1の決勝戦ばりの好メンバーが激突した決勝戦を制したのは小嶋敬二。今年初の記念決勝でいきなり優勝と勝負強さを発揮した。

決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、いち早く飛び出した武田豊樹が正攻法の位置を確保。小嶋敬二も前受けを狙って武田と併走するが、武田は前に入れず、小嶋は後退。武田―飯嶋則之、菅田壱道―伏見俊昭、小倉竜二、村上義弘―加倉正義、小嶋―山口幸二で並びは落ち着いた。
 青板2センターで村上から上昇を開始。ホームで武田に並び掛けた村上は併走を続けた後、2角で誘導を交わして主導権を奪いに出る。しかし、内の武田も引かず、打鐘から両者でモガき合いとなる。このときに加倉が踏み遅れて、武田は2センターで加倉をドカして村上の番手を奪う。このまま村上の先行で、武田―飯嶋が続く態勢となるが、ホーム手前から後方の菅田が一気に巻き返す。好スピードで前団に迫る菅田を武田が再三のブロックで止めようとするが、菅田は飛ばずに激しく抵抗。この前団のモツれを見て、バック手前から伏見、さらにそれを追って小嶋もまくって来る。特に山口を連れた小嶋の加速は強烈で、2センターで村上をまくり切ると、その後はグングンと3番手以下を引き離す。結局、小嶋は山口の追撃も全く寄せ付けず、今年の記念初Vを飾った。
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 

 打鐘から村上義弘と武田豊樹でモガき合い。村上後位に武田が入ると、そこに今度は菅田壱道が襲い掛かった。小嶋敬二にとっては願ってもない展開。「乗れば獲れる」と前検日に話していたとおり、バックまくりで前団を飲み込んだ。
 「最終日は強いね、やっぱり(笑)。展開が向きました。武田が正攻法に入れてくれなかったし、何かやりそうな雰囲気があったので引いた。でも、まさか突っ張るとはね。菅田の番手から伏見もまくって行ったので、僕はスピードを殺さず行けました」
 これが今年初の記念決勝。状態は変わらないが、なかなかここ一番で結果を残せずにいた。
 「どこかの勝ち上がりで僕の後ろに神山(雄一郎)さんが付いてくれたときに『脚は落ちてないのに、きっかけがつかめないから苦しいよね』と言われた。昔からの選手に付いてもらったり、今回も幸二さんに付いてもらって励みになる。今日の武田みたいにスケールの大きいレースをする後輩を見ると、自分も頑張らなきゃなと思います。教えられることは多いからね」
 これで賞金ランクは20位付近までジャンプアップする。「これで来年の競輪祭に出られる」と冗談で笑い飛ばしたが、競輪祭に弾みが付いた今、S級S班にGP出場も遠い夢ではなくなった。

 小嶋マークの山口幸二が準決勝に続いての2着。
 「前が混戦になってたからね。小倉にすくわれたときにどうするかなと思ったし、俺はちょっと焦った。小嶋が強かったし、抜けなかったね」

 菅田の仕掛けに乗ってバックから自力に転じた伏見俊昭だが、3着が精一杯だった。
 「打鐘からホームはかなりスピードが上がってたし、壱道はまくりで良いと思ってた。それを無理矢理行ってくれて、嬉しかったですね。壱道は頑張ってくれたけど、僕のタイミングもなかったし、あれが精一杯です」

 4着に敗れた武田豊樹だが達成感溢れる表情でレースを振り返る。
 「(打鐘で)村上君が止めてくれたらと思ったけど、止めなかった。これじゃ後ろに展開が向くので、番手に切り替えた。早めに仕掛けようと思ったけど、6番(菅田)とかぶってしまった。まだまだ勉強ですね。負けたけど、面白かった。しっかり人気に応えるレースをしたかったけど、小嶋さんのレースにしてしまいました」

 逃げた村上義弘も見せ場を作った。
 「しゃくられたら勝負権がないし、あそこ(打鐘)は勝負どころでしたね。武田さんに入られたのは分かったし、流れを見ながら走ったけど。判断は間違ってなかったし、あの展開の中では力を出せたと思う。あとは脚不足です。今開催はきっかけになると思うし、また年末に向けてエンジンをかけていきますよ」

 武田に番手を奪われた加倉正義は「情けない…。村上に迷惑をかけた。武田は引かないし、おかしいなと思ったけどね。どこかに入ろうかと思ったら、武田が引いて来たので対応できなかった」とがっくり肩を落とした。

ゴール




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