打鐘から村上義弘と武田豊樹でモガき合い。村上後位に武田が入ると、そこに今度は菅田壱道が襲い掛かった。小嶋敬二にとっては願ってもない展開。「乗れば獲れる」と前検日に話していたとおり、バックまくりで前団を飲み込んだ。 「最終日は強いね、やっぱり(笑)。展開が向きました。武田が正攻法に入れてくれなかったし、何かやりそうな雰囲気があったので引いた。でも、まさか突っ張るとはね。菅田の番手から伏見もまくって行ったので、僕はスピードを殺さず行けました」 これが今年初の記念決勝。状態は変わらないが、なかなかここ一番で結果を残せずにいた。 「どこかの勝ち上がりで僕の後ろに神山(雄一郎)さんが付いてくれたときに『脚は落ちてないのに、きっかけがつかめないから苦しいよね』と言われた。昔からの選手に付いてもらったり、今回も幸二さんに付いてもらって励みになる。今日の武田みたいにスケールの大きいレースをする後輩を見ると、自分も頑張らなきゃなと思います。教えられることは多いからね」 これで賞金ランクは20位付近までジャンプアップする。「これで来年の競輪祭に出られる」と冗談で笑い飛ばしたが、競輪祭に弾みが付いた今、S級S班にGP出場も遠い夢ではなくなった。
小嶋マークの山口幸二が準決勝に続いての2着。 「前が混戦になってたからね。小倉にすくわれたときにどうするかなと思ったし、俺はちょっと焦った。小嶋が強かったし、抜けなかったね」
菅田の仕掛けに乗ってバックから自力に転じた伏見俊昭だが、3着が精一杯だった。 「打鐘からホームはかなりスピードが上がってたし、壱道はまくりで良いと思ってた。それを無理矢理行ってくれて、嬉しかったですね。壱道は頑張ってくれたけど、僕のタイミングもなかったし、あれが精一杯です」
4着に敗れた武田豊樹だが達成感溢れる表情でレースを振り返る。 「(打鐘で)村上君が止めてくれたらと思ったけど、止めなかった。これじゃ後ろに展開が向くので、番手に切り替えた。早めに仕掛けようと思ったけど、6番(菅田)とかぶってしまった。まだまだ勉強ですね。負けたけど、面白かった。しっかり人気に応えるレースをしたかったけど、小嶋さんのレースにしてしまいました」
逃げた村上義弘も見せ場を作った。 「しゃくられたら勝負権がないし、あそこ(打鐘)は勝負どころでしたね。武田さんに入られたのは分かったし、流れを見ながら走ったけど。判断は間違ってなかったし、あの展開の中では力を出せたと思う。あとは脚不足です。今開催はきっかけになると思うし、また年末に向けてエンジンをかけていきますよ」
武田に番手を奪われた加倉正義は「情けない…。村上に迷惑をかけた。武田は引かないし、おかしいなと思ったけどね。どこかに入ろうかと思ったら、武田が引いて来たので対応できなかった」とがっくり肩を落とした。