『小松島競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月1日

 21年、後半戦のG戦線は小松島から。リニューアルされた小松島競輪場で開設71周年記念「阿波おどり杯争覇戦(GIII)」が、7月1日に幕を開けた。初日の一次予選を地元の小川真太郎が白星で締めて、メインの特選では小倉竜二、阿竹智史の地元コンビが上位を独占した。7月2日の2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 今シリーズは、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から事前申し込みで当選された700人(4日間共通)の方のみの入場となります。入場証をお持ちでない方の入場はできません。また、ご来場の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。本場だけでなく、テレビ、インターネット中継などでも観戦をお楽しみください。

<1R>

金子幸央選手
金子幸央選手
 横関裕樹が先頭に立ってペースを握るが、打鐘の2センターで坂井洋が6番手からカマす。3番手の小沼良は付け切れず、栃木コンビがスピードの違いで出切って3番手以下を離す。番手で車間を空けた金子幸央(写真)は、詰め寄る後続との間合いを計り、楽に追い込んだ。
 「坂井君はダッシュ、スピードがあるので、そこだけ集中してって感じでした。練習では何度かあるけど、レースでは初連係でした。坂井君が落ち着いていたので、(仕掛けて)行った時には安心してもう大丈夫だと。横関さんが後ろにいたのがわかったから、坂井君を残すのが仕事だと。余裕はなかったけど、やれることをやろうと。坂井君のおかげでいいイメージでスタートできた」
 機動力の違いを見せた坂井洋は、金子との栃木ワンツーで2着。
 「切って切ってで引かないつもりだった。赤板過ぎに(九州勢に)入られたけど、出しても4、5車なので落ち着いてと。じめじめしていて多少重たいが、前検日みたいな風はなかった」


<2R>

 赤板の1センターで岡山コンビが出ると、3番手に引いた蕗澤鴻太郎と津村洸次郎で併走になり、そのままレースが流れる。外の津村洸は仕掛けずに、最終ホームで多田晃紀がペースを上げて駆ける。番手絶好の内藤敦が、多田を交わした。
 「多田君も駆ければ力のある子だから、あとは落ち着いてと。いいペースだったんで、それがはまった。(1着は)デキすぎですね。ただ、練習でも踏めるようにはなってきた」
 津村の追い込みを僅差でしのいだ多田晃紀が逃げ粘った。
 「たまたま後ろ(津村、蕗澤)が併走になったんで、僕はすんなり駆けられた。でも、あれは予想してなかった。自分も戻ってきている感じもある。展開もあるけど、残れたことは自分がこれまでやってきたこともあるのかなと」


<3R>

渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 打鐘で主導権を握った今岡徹二が、後続を一本棒にして駆ける。6番手でじっくりと構えた坂本周作は、最終2コーナー手前からまくりを打つ。中団の小林申太は仕掛けられず、前団をのみ込んだ北日本3車の勝負。外から伸びる庄子信弘をけん制しながら、渡部幸訓(写真)が番手で勝機をモノにした。
 「疲れが抜けて前回よりいいですね。余裕もあって残り3日間も大丈夫かなと。タテだけじゃなくて、ヨコにもしっかりと動けているのは、軸がしっかりしている証拠だと思う」
 3番手から伸びて渡部に迫った庄子信弘が2着。
 「前検日の指定練習で走った時は(バンクが)まぶしかったけど、今日(初日)は曇っていたので良かったです。前期はセッティングとかいろいろと試していたけど、ダメだったから今回から戻した。悪くないですね。渡部君まで抜ければ良かったんですけど」


<4R>

 押さえて出た笠松将太は、6番手の上田尭弥を警戒しながらペースを落として打鐘を迎える。その後、徐々に踏み上げた笠松が、そのまま主導権。上田は最終1コーナーからのロングまくり。合わせて出た藤木裕をのみ込んだ上田が1着。
 「引いて自分のタイミングでカマすか、(笠松が)駆けたら早めにまくろうと思ってた。ジャンで(ペースが)遅かったんで、行こうかと思ったら(笠松が駆けた)。そのあとは(最終)1コーナーで詰まってきたんで行った。雨があんまり好きじゃないのでちょっと怖かった。出切ったあとの3、4コーナーも、うまく回れなかった感じがある」
 およそ1カ月半ぶりのレースとなった牧剛央は、きっちりと上田に付け切った。
 「(上田が)最初にホームで踏んだ時にはあれっていうのがあったけど、そこからの加速がすごかった。近畿勢の上を行くスピードは点数以上のものがある。自分は長欠明けで実戦は不安だった。脚のたまりも(休む)前と違ったけど、スピードは高いところでキープはできている」


<5R>

 赤板の2コーナーで前の松坂洋平に接触した萩原孝之が落車。四国ラインが主導権を握るが小川丈太のペースは上がらず、6番手の松坂が打鐘の2センターで踏み込む。落車を避けた大木雅也が松坂に続いて、南関の2人が出切る。迫る後続を二の足で振り切り、松坂が力強く逃げ切った。
 「バックを踏んで、萩原さんに申し訳ないことをしました。2車だとわかって、自分が動かないと前も動かないと。仕掛けどころだと思って行った。逃げ切れているから、前回よりも状態はいいのかなと。顔見せで軽く感じたので、逃げても残れる感じがした」
 萩原の落車にも冷静に対処した大木雅也が松坂に流れ込んだ。
 「落車は焦りました。巻き込まれると思ったけど、避けられた。松坂君の番手にいって、そこからは付いていくことだけを考えていた。萩原君は残念だけど、勝ち上がれて良かった。抜けていないのは実力」


<6R>

 赤板2コーナーで飛び出した曽我圭佑が先行策。4番手に藤岡隆治が切り替えて、土屋壮登は5番手。8番手の畑段嵐士は、打鐘の3コーナー過ぎから反撃に出る。中団の土屋を乗り越えた畑段が、逃げる曽我をとらえる。余裕をもって追走した中井太祐が、ゴール前で畑段を交わした。
 「(畑段は)普段から前々にしっかりと攻めてくれているんで、(後方でも)心配はなかった。そのあとも(ブロックを)もらってたけど、強いから伸びていくんだと。余裕もあったんで、僕自体もいいと思います」
 結果的に後方からの巻き返したとなった畑段嵐士だったが、さすがのスピードでラインで上位独占を果たした。
 「余裕もあったし、自分的には8番手っていう感じでもなかった。バタバタしてしまって、最後まで踏み切れているような感じはなかった。(前回からは)強めに練習して、直前に緩めてきた。このまま疲れが抜けてくれれば良くなってくると思います」


<7R>

 小埜正義の上昇を前受けから突っ張った山田諒が主導権。小埜は中団に入り、三重コンビは後方で打鐘を通過する。8番手の神田龍は最終ホーム手前から仕掛けて、前団に襲い掛かる。萩原操は付いていけない。果敢に風を切る山田に神田が迫ると、小埜が神田を目標にしてまくり上げる。直線は機動タイプ3車の勝負となり、外の小埜が神田、山田をゴール前でとらえた。
 「(山田の)突っ張りは想定外だったけど、うまく中団が取れた。焦っても仕方がないし、駆けている人も強いからワンチャンスを逃がさないようにと。1着はたまたま。ラインがなければこのレースはできていないし、ラインのおかげです。少しずつ状態を上げていければ。3場所前に投入した新車が軽すぎて扱いきれず、今回からフレームを戻したら感触は悪くなかった」
 8番手からのロングまくりを神田龍は、こう振り返る。
 「中団から小埜さんが切ったところを叩いて先行かどうか考えようと思っていた。そしたら山田君が突っ張ったので、思ったようにならなかった。早めに仕掛けないと萩原さんも付いてこれないから、(最終)ホーム前から踏んだ。踏み出しはいいし、伸びてくれると思ったから感触もいいですね」


<8R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 矢口大樹、岸川哲也の順で出た上を佐々木堅次が押さえて主導権を取る。7番手に下げてタイミングをうかがっていた原田研太朗は、佐々木のペースが上がらず打鐘の3コーナーから仕掛ける。香川勢を連れて先行策に出た原田に、別線は反撃できない。番手の池田憲昭(写真)が原田を追い込んだ。
 「アイツ(原田)も前回はGIを走ってたし、ジャンのスピードは緩かったんだと思う。(原田が)自分で上げていく感じだったんで、付きやすかった。正直、セッティングを変えたのは、ここに来る2、3日前ですけど、(感触は)いいですね。あとはそれに体がなじんでくれば、もっと良くなると思います」
 前回の高松宮記念杯で落車を喫していた原田研太朗が、不安を払しょくする先行策で二次予選につなげた。
 「初日ですし、脚を入れたかったんで先行を考えた組み立てでした。あとはタイミングが合えば行こうと。自分で上げていったんで、(スピードの)乗りが悪かったかなと。(差されたのは)池田さんも脚があるんで。それよりもラインで決められたことが良かった」


<9R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 中団併走から増原正人が打鐘手前で出ると、すかさず伊藤颯馬(写真)が叩いて逃げる。スピードに乗せた伊藤に合志正臣、那須久幸まで出切り、増原は4番手に入る。7番手からまくった伊東翔貴は3番手まででいっぱい。合志に好展開と思われたが、伊藤が踏ん張り押し切った。
 「すんなり出させてもらったから、自分のペースでいけた。自分的にはいいと思う。(最終)バックでは伸びたような感じがする。疲れとかは問題なく、前回からの状態をキープできている」
 合志正臣は4分の3車輪差の2着。早めの巻き返しに見えたが、合志はこう言う。
 「(伊藤)颯馬は叩きにいくのがツーテンポ遅かったね。ただ出切ってからはすごく強かった。バックで流れるから流して、ゴール前でも踏み直していた。いつもタレてくるけど、全然タレてこなかった。抜けなかったのは初めて。感じは悪くなかった。道中も苦しくなかったし、颯馬の方が強かった」


<10R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 7番手の佐々木悠葵が、打鐘手前から仕掛ける。高木翔のスピードを計りながら、最終ホーム手前で佐々木が楽に出切る。高木は3番手に飛び付いて、江連和洋をさばく。吉本哲郎のまくりも人気の関東コンビを脅かすまでには至らず、武田豊樹(写真)が佐々木を交わした。
 「前回(佐々木と)連係した時にマークを外してたんで、そこら辺は集中して走ったつもりです。佐々木君が先行してくれて、展開をつくってくれて自分に(流れが)向きましたね。なかなか結果が出ないけど、なんとかキッカケをと思って、トレーニングを積んでます」
 パワーの違いで高木を叩いた佐々木悠葵は2着も、まだまだ底を見せてはいない。
 「ああいう感じで(前が)流したところを早めに行ければっていう感じでした。(最終)バックでちょっと流しすぎました。体の感触としてはいいと思う。ただ、今日(初日)は自分の得意な展開じゃなかったんで、スピードに乗り切れなかった。(踏み出しは)5割、4割くらいですかね」


<11R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 打鐘では7番手で大きく車間が空いた町田太我だったが、詰める勢いで加速するとあっさり佐藤佑一を叩いて別線を置き去りにする。直線の入り口で町田に並んだ地元の小川真太郎(写真)が、番手から交わした。
 「(思ってた)組み立て通りだったんで、すごく楽に(付いて)いけました。(町田が)気を遣ってくれているのがわかった。自分のなかでは仕上がってる感じもあったので、落ち着いて走れた。脚の感じもすごくいいです。(バンクがリニューアルされて)きれいになったんで、新鮮な気持ちで走れます」
 「全体的に掛かりが悪かった」と、振り返った町田太我だったが、地元勢を連れてラインでの上位独占を決めた。
 「後ろ(7番手)になった時に(前との車間が)空きすぎたんで集中しきれないところがあった。そこを直したい。自分の掛かりが悪かったし、ずっと悪い感じがあった。でも、(ラインで)ワンツースリーできたんで良かった。(2日目以降は)アップのところから見直したい」


<12R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 先行態勢を取った小松崎大地に、7番手の太田竜馬は赤板2コーナーから襲い掛かる。小松崎も合わせるが、最終ホームで地元3車が出切る。すぐに松浦悠士がまくりを打つと、競りの村上博幸、武藤龍生は付け切れない。ただ、松浦にいつものスピードが見られず、前をとらえるまでの勢いがない。4コーナーで阿竹智史は外にけん制して、逃げる太田と阿竹の間を踏んだ小倉竜二(写真)が突き抜けた。
 「(太田は)出足がキツいんで、そこは気をつけて離れないように、いつでもダッシュをできる準備をしていた。(最後は)僕は外に松浦君がいたんで、コースがなかった。とにかく阿竹が外に振って、僕は内っていうのも(阿竹の)頭には入ってたと思う」
 地元の師弟ワンツーは弟子の阿竹智史が2着。師匠に先着を許した。
 「ジャン前から太田君が頑張って行ってくれた。ただ、小松崎君にも抵抗されたんで、太田君もしんどかったと思う。あのタイミングなら次に来るのが松浦君なんで、しっかりと見て止まったように見えた。(外に振って)戻って4コーナーから脚がついてこない感じだった。地元独特の緊張感もあるし、(2日目からも)いい意味で緊張して走りたい」