『小松島競輪開設59周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:7月19日


  小松島競輪開設59周年「阿波おどり杯争覇戦」は7月16日から4日間開催された。優勝は岡部芳幸。溪飛雄馬が柴崎淳に突っ張られて乱れた前団を2コーナーまくりで飲み込み、昨年5月宇都宮以来となる記念優勝を飾った。

決勝戦 レース経過
  成田和也がスタートを取ったが、結局は中団まで車を下げた。並びは柴崎淳-藤原浩が前攻めとなり、岡部芳幸-成田-有坂直樹が中団。渓飛雄馬-石丸寛之-堤洋-室井健一が後ろ攻めとなった。
 淡々と周回が進み、赤板過ぎの1センターから渓が一気に踏み込んで主導権取りに出たが、柴崎が持ち前のダッシュ力を駆使してこれを突っ張った。すると今度は石丸が番手から出て、両者のモガキ合いに。こうなると展開は一気に岡部に傾く。前の様子をうかがいながら脚を溜め、2コーナーからスパート。堤も石丸を捨ててまくり出たが、岡部がその上を力強くまくって1着でゴール。昨年の宇都宮記念以来、一年ぶりの記念優勝を飾った。成田は2センターで室井に強烈なブロックを浴びて大きく膨れたものの、最後は意地をみせて2着を確保した。


岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
  溪飛雄馬、石丸寛之で二段駆けのシフトをひく四国勢と、柴崎淳が激しくモガき合う絶好の展開。これを岡部芳幸が見逃すはずがなかった。落ち着いてタイミングを取ると2コーナーから一気のまくりで前団を飲み込んだ。
 「ギア(3.77→79)をかけてたし、1周なら行こうと思ってた。持ち味を出して北の誰かが優勝できればと思ってたのに、理想の展開になりましたね」
 今年前半は思うような成績を残せなかった。それでも家族や弟子の支えもあって、来るべき日に備えて努力を続けた。前検日前日には同期の徳島勢が集まって激励を受けた。「それが力になった」。表彰式では堪えきれずに涙した。
 「自分だけの力じゃない。家族や弟子のおかげ。結果が出なかった時期を40前という年齢って言い訳にしたくなかったし、コツコツやろうと思ってた。ここで結果を出して、ちょっとは恩返しができたかな。これでやってきたことは間違いじゃなかったと思えるし、ちょっと自信にもなった。今日は1日余韻にひたって、また次のレースからコツコツと年末(GP)を目指します」

 成田和也は無傷の記念初優勝こそならなかったが、室井のブロックを耐えて、ゴール前で岡部に詰め寄った。
 「3コーナーでブロックが来ると思って慌てて車輪をかけた分、飛ばずにすんだ。ちゃんと付いて行ければ抜くチャンスもあったけど、甘くないですね。これからはあそこをちゃんとやっていかないと」

 3着は堤洋、室井健一の徳島コンビで同着となった。2日連続となる石丸の番手で優勝を狙っただが、またしても地元記念優勝はお預けとなった。
 「(突っ張られたのは)まさかのまさかでしたね。それでもどっか入ってと思ってたら、(藤原浩に)しゃくられたのが誤算。かぶると思って、丸さんが踏みよるところを無理やり行ったけどスピードが違った。みんな頑張ってくれたけど、しゃーないね」
 室井も「成田を飛ばしても内から誰も来なかったし、もう一回踏めた。今回で流れが向いてきたね。からまず、ええ流れだった。競輪祭にも出られるし、ほんまに良かった」とサバサバした表情でレースを振り返った。

  徳島勢の優勝を誰よりも望んでいたのは石丸寛之だ。連日、レースの鍵を握る位置を回ったが、思わぬ結果に終わりガックリ肩を落とす。
 「突っ張られても三番手には入れると思ったけどね。強引に行っても岡部さんにまくられるだけだし、呼吸を整えてから行った。徳島の誰かが勝ってくれれば良かったんだけど…」

 前受けから二車で突っ張った柴崎淳は「前を取ったら火が点いてしまった。ホームで休むつもりが石丸さんが来てたし、ギアを換えたので重かったですね」とレースを振り返った。


ゴール




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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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