『被災地支援競輪小松島競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:7月9日
 熊本地震被災地支援・小松島競輪開設66周年記念「阿波おどり杯争覇戦」は3日目。今日は準決勝3個レースで決勝進出をかけた最後の勝ち上がり戦が展開された。準決勝では有坂直樹、高木隆弘らベテランが大活躍して決勝に進出。地元からは小倉竜二が決勝戦に勝ち上がり、明日の決勝で平原康多らと頂上決戦を繰り広げる。なお9RにはKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)も開催されるなど、最終日も見どころ満載だ。
 明日はイベントも盛りだくさん。よっぴ&星乃泉水による爆笑ものまねライブ(5、10R発売中)や選手会徳島支部によるチャリティーオークション、阿波踊りなど。さらには四国アイランドリーグ、徳島インディゴソックス所属選手によるトークショーも予定されています。明日もぜひ小松島競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。
<10R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
有坂直樹選手
有坂直樹選手
 赤板から原田研太朗が動いてハナに立つと、打鐘で小松崎大地がすかさず叩いて出る。原田は4番手まで下げたが、北日本勢を追っていた柴崎淳が原田の外で併走。小松崎ペースでレースが進むなか、2コーナーから柴崎が仕掛けるが、小松崎のスピードが良く不発に終わり、原田は被っていて動けない。小松崎を利した岡部芳幸(写真)が番手有利に抜け出して白星を挙げた。
 「有坂(直樹)さんが全て作戦を考えてくれたので、僕はその場その場の判断で動いていた。素直な大地(小松崎)と参謀の有坂さんと一緒だったのでやりやすかったし、自分も調子は良いので離れる事はないと思った。そんなに余裕ではなかったし、何とか交わした様な感じです。マーク屋としての地位は上がっているけど、神山(雄一郎)さんとかと比べるとまだまだなので、もっと技術を上げていきたい。点数通りの走りはできているし、小松島も相性は良い」
 岡部を追って2着に流れ込んだのは有坂直樹(写真)。久し振りの記念決勝に笑顔が絶えない。
 「記念の準決ですら久々だったのに、決勝なんていつ以来か覚えていない(笑)。自分はしっかり内を締めて追走できていたし、余裕はあったので。去年から体重を落としてレースでのキレが戻っている。その成果が出てましたね。嬉しいです」
 見事に別線を封じて北日本を上位独占に導いたのは小松崎大地
 「今日は(唯一3車の)ラインの厚みを殺さないようにだけ考えてました。原田君が先に斬るのは想定内。予想はしてました。気持ちが入ってたわりには落ち着いて走れましたね。(四国アイランドリーグで徳島にいて)徳島では力以上のものが出ると思うし、あと押ししてくれてる感じ。師匠(岡部)と一緒の記念決勝は初だし、いいレースができればそれなりの形になると思う」
 柴崎淳を追った園田匠は惜しくも4着で優出を逃す。
 「3コーナーでスリップしてしまって、そこでスピードを落としてしまった。今回デキがよかっただけに悔しいです」

<11R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
高木隆弘選手
高木隆弘選手
 後ろ攻めの守澤太志がゆっくり上昇すると、赤板から前受けの村上義弘が突っ張って守澤を出させない。そして村上が、そのまま後ろを警戒しながらペースを上げて主導権を握った。突っ張られた守澤は、澤田義和とからんで3番手がもつれる展開に。内に被っていた吉田敏洋は1センターでようやく外へ持ち出すと2角からまくり発進。しかし市田佳寿浩のけん制でスピードが鈍ってしまう。吉田は外に浮いたが、吉田に乗った小倉竜二(写真)が勢いを殺さずに中コースを強襲。鮮やかに直線で突き抜けた。
 「たまたま(コースが)空いたので。勢いをもらって伸びましたね。持ち味を出せたと思います。初日から軽い感じで、感触的にはいいですね。疲れもないですし、決勝まで維持したい。明日(決勝)は松岡(貴久)君に任せます。彼は前々へ踏んでくれるし好きなタイプ。2人でゴール前が勝負できれば」
 小倉を好追走した高木隆弘(写真)が2着。久々の記念優参を決めた。
 「付いていくのでいっぱいでした。でも思いのほか伸びたと思います。このメンバーで走れて、しかも決勝に乗れて。良い思い出になりました(笑)。村上や澤田とは昔、先行で戦ってたからね(笑)。明日も一生懸命、前に付いていきます」
 村上義弘の男気先行に乗った市田佳寿浩が3着で、こちらも久々の記念優参となった。
 「村上さんの後ろで気合が入りました。ひと踏みひと踏みから気持ちが伝わり、ゴールへ向かうにつれてこみ上げてくるものがありました。僕自身、(けん制した時に)後輪が飛ぶくらい緊張していましたね。こういう舞台は数年ぶり。まくってくる人への心構えはしていました。最近よくなって、1着も取れるようになってきたし、脚も良い感じ。これでGのつくところを走れそうな気がします」
 赤板先行で魅せた村上義弘だったが、惜しくも4着となり優参を逃した。
 「(突っ張ったのは)タイミング。(中団がもつれて)ある程度想定していた展開にはなった。最後は脚がなかったです」
 吉田敏洋はまくり及ばず5着まで。
 「余裕はあったんですけど。村上さんの気迫と、市田さんが(3角で)ドリフトして腰砕けになってしまいました」

<12R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
平原康多選手
平原康多選手
 打鐘前から平原康多、岡村潤らで好位をめぐって踏み合うと打鐘過ぎから久米康平が一気のカマシ先行に出る。番手の松岡貴久(写真)は1センターから大きく車間を空けると、2センターから番手まくり。4番手を確保していた平原ら別線の巻き返しを封じた。
 「久米のおかげ。さまさまですね。脚を使ってるし、平原さんもそんなに早くは来ないと思った。いつもあんな位置にいないから僕には余裕がありました。悪くはないし、普通に(自転車に)乗れてるんで」
 平原康多(写真)は打鐘から脚を使って位置を取るなど前々に攻めた。
 「2段駆け相手に一本棒の8番手では苦しい。1回でもハナ切んないと勝負にならないと思ってました。いいカマシになってしまったし、早くから(レースが)始まったので脚に来てた。昨日よりはよかったけど、不甲斐なかった。何とかしのいだ感じですね」
 平原マークの神山雄一郎が3着に食い込み、決勝戦最後の切符をゲットした。
 「みんな前々に攻めてるからキツかったですね。前は番手から出れるから、康多も仕掛けが難しかったし、2コーナーのあおりもあったから。僕は最後落ち着いてコースを見た感じ。昨日は失敗したんでね。状態も上出来です」
 8着に敗れた久米康平だが初めて経験した記念の準決勝を清々しい表情で振り返る。
 「ゴチャゴチャしたところを出られた。(松岡が)アシストしてくれたけどタレたんで力負けですね。こういうメンバーで走らせてもらって、レースにも入り込めた。いい経験をさせてもらいました」

<最終日・9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)>
永井清史選手
永井清史選手
山形一気選手
山形一気選手
 「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が最終日の9Rに行われる。ここは北京オリンピックのケイリンで銅メダルの永井清史と競技のスプリントでも活躍する根田空史が人気を二分するか。永井清史(写真)は宇都宮記念を腰痛で途中欠場して以来、約1カ月ぶりの実戦となる。
 「宇都宮でギックリ腰みたいな感じで腰痛が出たけど、もう大丈夫です。根田君も強いんで負けないように頑張りたいです。400バンクで競技用のフレームはどうなんですかね。250バンクなら自信あるんですけど。ラインもないので、流れを見ながら走りたい」
 根田空史は前回の久留米記念で振るわなかったが「久留米は追加だったので。追加はよくないですね、感触が」と理由は明確。次のサマーナイトフェスティバルへ向け、今はしっかり練習している最中で今回は上積みが期待できそうだ。
 「練習はある程度、久しぶりにできましたね。走ってみないとだけど、次のサマーナイトに向けてやってきました。このフレームは去年買って、全プロで乗ったときよりはだいぶセッティングが出たと思います。ケイリンは高校生以来だけど、こっち(競技)のほうが好き。向いてるとは思うので」
 山形一気(写真)は競技のスペシャリストたちを相手に地元の意地を見せたい。
 「今回はこっちのフレームにだいぶ乗ってきました。普段は全く乗らないですけどね。スピード練習やバイク誘導を多めにして、根田の後ろに付いてることを想定して練習しました。感じはまあまあいいと思います。あとはスタート失敗せんことだけ。バックで3番手以内にいないと絶対ムリですからね」
 椎木尾拓哉も全プロのエリミネーションで好成績を残すなど競技にも強い。「(永井、根田に比べたら)僕なんて全然ですよ」と話すが、好位を確保できればチャンスがありそうだ。
 「直前にカーボンには軽く乗ってきました。まずはいい位置におれるようにですね。半年ぐらい前から体をしぼって、道中余裕が出てきた感じはあります」
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