『高知競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月14日

 高知競輪開設69周年記念「よさこい賞争覇戦」は4月14日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は激しい直線の攻防を制した山中貴雄が地元でうれしい記念初制覇を果たした。9レースに行われた「第1回ガールズフレッシュクイーン」は梅川風子が冷静な立ち回りから早めに追い込んで優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 号砲で飛び出した村上博幸が前を取り、吉田敏洋を迎え入れる。3番手が取鳥雄吾で、取鳥の後ろは清水裕友-松浦悠士と、諸橋愛で競り。しかし、周回中は諸橋が取鳥の後位を回り、清水が5番手。田中晴基-山中貴雄-佐々木則幸が後ろ攻めでレースが進む。
 赤板1センター過ぎから田中が上昇すると、清水も諸橋の外側まで追い上げて打鐘を迎える。田中のラインを追った取鳥は、先頭の田中を2センターで押さえて主導権。併走が続く取鳥の後位は、ホームで諸橋をキメた清水が死守して最終回へ。3番手で松浦と諸橋がもつれる中、中団の田中はバックから反撃に出るが、松浦の横でいっぱいに。しかし、山中は3コーナー過ぎから内のコースを踏み込むと、再び清水の内をすくった諸橋の後ろまで上昇。最後は、取鳥と諸橋の間をこじ開け鋭く伸びてV。地元で記念初制覇を果たした。最終バックからまくった吉田の後位から、直線で伸びた村上が2着。山中に中を割られるも、諸橋が3着に入った。

山中貴雄選手
山中貴雄選手

 今期の競走得点は103点台。記念決勝は2度目の山中貴雄(写真)が地元で大仕事をやってのけた。鮮やかな直線強襲劇。ゴール後は右拳を高々と突き上げた。
 「2日目、3日目は我慢したんで、思いっきり右手を上げました。地元はやっぱりすごいですね。本当によかったです。言葉にならないです」
 同期の田中晴基に前を託したことが功を奏した。中団確保から田中が仕掛けたことで、チャンスが生まれた。
 「(田中)晴基が頑張ってくれました。レースはもうところどころしか覚えてないです。ゴチャゴチャになって、諸橋さんのところ空け、空けって思ってました」
 直前の玉野FIでは予選で敗退したが、今シリーズは厳しい展開をしのいでの勝ち上がり。実力は本物だろう。
 「連日、そんなにいい展開じゃなかったし、二次予選も準決勝も疲れるくらい緊張しました。テンションを上げて、最後まで集中して走れたと思います。優勝できたのは本当に自信になります」
 これで一躍、注目を集める存在になった。今月末には松戸の日本選手権が控えている。初めてのGI出場だ。
 「GIはまだ走ったことがなくて、ダービーが初めてなんです。この優勝がマグレと言われないように、そこでもしっかり頑張ります」
 G3ウィナーの称号を手に入れた山中が勢いに乗る中四国勢をさらに盛り上げる。

 村上博幸が最終バック最後方から2着に突っ込んだ。
 「吉田君に任せて、最後はいい感じで突っ込めたんですけどね。正直、自分の優勝だと思ったんですけど内に(山中が)いました。地元の力はすごいなって感じました。今回はあんまりよくなかったんですが、こうやって着はまとめることができた。ダービーまで考えて練習して、上げていきたいと思います」

 1度は競り負けた諸橋愛だが、内から清水裕友をすくって3着に食い込んだ。
 「競り負けましたね。ホームでちょうどそのタイミングの時に前に駆けられてしまった。遅れてしまったけど、まだ脚は残っていたんで。着はよくてもダメですね。残念です」

 後方8番手からまくり上げた吉田敏洋は4着に入るのが精いっぱいだった。
 「ああなったら一発ためてまくれるかどうか。2センターで止まってしまった。このバンクの特性ですね。今開催は若い子を相手に自力を出せて、ダービーに向けても感触をつかめました」

 チャンスをモノにできなかった清水裕友はガックリ肩を落とした。
 「番手を取り切って諸橋さんとの勝負は終わったと思ってしまった。(ラインの)2人に申しわけないですね。田中さんが止まったんで、(取鳥)雄吾を残せるかなって。外を見た時に諸橋さんに来られてしまった。判断ミスですね」

 後ろが競りとなった取鳥雄吾だが、先行勝負で力は出し切った。
 「(清水)裕友があれだけしてくれたのに、申しわけない気持ちです。もう少し自分のかかりがよければ、諸橋さんも内から来れなかったかもしれない。力不足です」











ガールズ フレッシュクイーン レース経過

 号砲が鳴り、スタート合戦を制した最内枠の梅川風子が前受け。以下は、大久保花梨、内村舞織、鈴木美教、柳原真緒、佐藤水菜、太田りゆで周回を重ねる。
 打鐘後も隊列に変化はなく、最終ホームで誘導員が退避。ホーム線から佐藤が仕掛けると、4番手から鈴木も踏み上げる。しかし、佐藤はその上を飲み込んで、2コーナーで梅川を叩いて先頭に。後方では、柳原と太田が接触し、柳原が2コーナー過ぎで落車する。佐藤の番手を確保した梅川は、車間を詰める勢いで3コーナーから反撃開始。佐藤を捕らえると、初手から後位にいた大久保や、追い上げてくる太田を力強く振り切ってゴールした。梅川に続いた大久保が2着に入り、3着は3コーナー過ぎで大久保の後ろに入って立て直した鈴木。

梅川風子選手
梅川風子選手

 今年から新設されたガールズフレッシュクイーンを制したのは梅川風子(写真)だった。打鐘を過ぎても誰も動かない。6番手の佐藤水菜が残り1周からスパート。前受けからこの後位に収まった梅川が2センターから力強く踏み込んで快勝した。
 「突っ張ろうと思って全力で踏んだんですけどね。(佐藤)水菜ちゃんのダッシュがよくて、行かれました。後ろでもうちょっと休みたかったんですけどね。誰か来ると思って、嫌なタイミングだったんですけど踏みました」
 これで今年の優勝回数は7回。ハイペースで勝ち星積み重ね、年末のガールズグランプリ出場へ好位置につけている。
 「あんまり順位は意識してないです。こういう単発レースができたのは新人にとってはいい目標になると思います。自分の今後の目標は地元の京王閣でまだ優勝したことがないので、優勝したいです」

 初手から梅川の後位にいた大久保花梨が終始、前を追いかけて2着に入った。
 「いいところに入れました。自分の展開だと思ったんですけどね。あれで差せなかったのは力不足です。梅川さんが強かった。流れ込んだだけなんですけど、それでもラッキーでした」

 7連勝中の鈴木美教はうまくレースの流れに乗れずに3着まで。
 「やっぱり500(バンク)なんで、スローペースになりましたね。(佐藤)水菜が行くっていうのは頭に入れてたんですが、その時に梅川さんよりも前にいないとダメ。(大久保と)併走になって、脚がいっぱいになりました。周りが見えてなかったです」

 思い切った先行策に出た佐藤水菜は直線で力尽きて5着。
 「スタートで後ろになったんで、様子を見ながら思いっきり仕掛けようと思ってました。トップスピードが出てなかったので、そこが課題ですね。もうちょっと力をつけていきます」



次回のグレードレースは4月18日~21日まで川崎競輪場で開催予定の開設70周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」となります。
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