『高知競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月29日

 高知競輪場開設71周年記念「よさこい賞争覇戦」が7月29日に幕を開けた。一次予選では激しい勝ち上がり戦が展開。メインの特選12レースは新山響平の突っ張り先行に乗った佐藤慎太郎が直線で鋭く差し切って1着。北日本ラインで上位独占を果たした。2日目の30日は二次予選7個レースをメインに熱戦が繰り広げられる。
 今シリーズは有観客開催となります。ご来場の際は、各種感染防止対策にご理解とご協力をお願い申し上げます。

<1R>

 後ろ攻めの掛水泰範が打鐘の3コーナーで飛び出して先行態勢を取る。前受けから6番手まで下げた小原佑太は最終1コーナーから反撃。あっさり掛水をまくって圧勝した。
 「後ろからが良かったけど、前を取らされるだろうなと。遅ければ突っ張りも考えていたし、早めに来るなら引いてだったけど、何とも言えない感じでこられて少し突っ張れば下げてくれると思ったんですが、下げてくれなくて。引くのが遅れてしまい迷惑をかけた。それに登りで踏んでしまったのでそこも反省。いいスタートを切れたので、明日(2日目)と明後日(3日目)もクリアして決勝にいけるように。今回は調子がいいから疲れは気にせずに走りたい」
 小原の踏み出しに青森伸也は離れてしまう。小原を追いかける形になった掛水泰範が2着に踏ん張った。
 「ここ最近の中では一番ダッシュが効いたけど、簡単に出切られてしまった。九州が別線だったのでしゃくられるかと思ったけど、なかったですね。何とか2着に入れたけど、前を追えていないから上のクラスでは厳しいのかなと思う。(地元で)プレッシャーもあったけど、勝ち上がれてよかった」


<2R>

河村雅章選手
河村雅章選手
 後ろ攻めの不破将登、小原周祐の順で切った上を朝倉智仁が最終ホームで叩いて逃げる。快調に飛ばす朝倉の番手で絶好となった河村雅章(写真)が余裕を持って追い込んだ。
 「朝倉君があれだけ行ってくれたので、脚は残っていました。展開が良かったですね。あとは自分がどれだけ(朝倉を)残せるか。4コーナーから来そうな感じがあったので、様子を見ながら踏みました。踏み出しでキツい感じはしなかったし、脚の状態はいいと思います。前回の最終日にセッティングをいじって良かったので、そのままいきました」
 朝倉智仁はタイミング良く主導権を奪って2着に粘り込んだ。
 「最初から作戦通りにできました。行けるタイミングでしっかり行こうと思ってました。(ライン)3車が大きかったですね。モニターをちょくちょく見ながら、落ち着いて踏めました。この開催に向けて、練習、調整、休養を取ってきたので、それがいい方向に出ています。あとはもう気持ちだけだと思います」


<3R>

 後ろ攻めの関根健太郎が打鐘の2センターで押さえて主導権を取る。前受けから6番手まで下げた本郷雄三は最終2コーナーから好回転でまくり上げる。番手まくりの桐山を乗り越えた本郷を松岡貴久が直線で鋭く差し切った。
 「自分の感じは良くなってはいなくて、無事にしのいだ感じ。前と後ろのおかげで1着を取れた。(本郷とは)練習も一緒にやっていて、脚があるのは分かっているから何をしても大丈夫かなとは思っていた。桐山さんがけん制してくるのもわかっていたから警戒しながら踏んでいた。抜くのが早すぎましたね(笑)。流れに応じてしのいだ感じです」
 2着の本郷雄三は前回までの不振が嘘のようなスピードを披露した。
 「前取れれば前からで、取れなければ後ろからでした。押さえに来るのが遅くて少し考えた結果、引いた。仕掛けが遅くなったけど、松岡さんが1着で良かった。初速の立ち上げはイマイチだったけど、その後は踏めば進んでくれた。出切るまでに脚を使ってタレたけど、デキは問題ない。少し乗っていて違和感があるから自転車は少し修正する」


<4R>

山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 後ろ攻めから上昇した月森亮輔が前受けから突っ張ろうとした山賀雅仁(写真)を強引に押さえて出る。そこを林大悟がタイミング良く踏み込んで最終ホーム前から先行策を取る。前反祐一郎をさばいて5番手の位置を確保した山賀が早めの追い込み勝負でアタマまで突き抜けた。
 「車番的に前か後ろかなと。結果が一緒なら前から行こうと。林君が来るのは分かっていたので、月森君は突っ張らないといけなかった。1着は取れたけど、その辺が甘いですね。1車引いたら厳しいと思って、前反さんのところで勝負させてもらいました。あとは行けるところから行こうと。バック過ぎくらいですかね。結果、タイミングは良かったと思います。脚的にはサマーナイトよりも良かったです」
 番手絶好の小川勇介は山賀に伸び負けて2着。
 「もう(林に)任せていたので、まずはしっかり付いて行こうと思ってました。月森の動きが自分のとこなのか、中団なのかをしっかり見極めて。山賀さんがちょっと見えず、勢いが違いましたね。ちょっとピリッとしないので修正が必要かな。どちからというと自転車よりも体の面ですね」


<5R>

 打鐘3コーナーで相笠翔太が切った上を最終ホームで叩いて磯川勝裕が先行勝負に出る。中川誠一郎は前受けから引いて6番手となるが、2コーナーから反撃を開始。好スピードで前団を飲み込みにかかった中川が2センターでの志村太賀のブロックで車が外に流れると、マークの大坪功一が直線で差し脚を伸ばして1着に。
 「(中川誠は)タイミングと力でいくと思っていたから僕のほうがしっかりしないとダメだなと。カントが浅い分、(中川誠は)コーナーが苦しそうでしたね。(中川誠が)浮いてやめたかと思って突っ込んでしまった。暑すぎてフラフラしましたね。その辺を何とかしたい。2日目以降も突っ込むだけです」
 中川誠一郎もゴール前で伸び返して九州コンビでワンツー決着。
 「作戦はそんなに考えていなくて、引いてのカマシかまくりかなって感じでした。久々に自力を出したからタイミングが合わなかった。2コーナーで立ち上げていった感じですね。踏み出しはまあまあ(笑)。カントがないから熊本の感じでいったら膨らんでしまった。仕掛けたい位置ではなかったけど、届かなかったらダメだと思っていった。自分のコンディションもバンクの感じも悪くないからかみ合わせていきたい」


<6R>

塚本大樹選手
塚本大樹選手
 後ろ攻めからゆっくり上昇した東矢昇太を前受けの島川将貴が打鐘で突っ張る。そこを金澤竜二が叩いて出ると、北野良栄が追いかける。さらにその外を東矢がダッシュを生かして一気にまくる。これで絶好となった塚本大樹(写真)が粘る東矢を鋭く差し切った。
 「ずっと余裕がありました。最近はダッシュがいいので、(追走に)不安はなかった。4コーナーを回るまでは(別線の選手を)止めることしか考えてなかった。若手が強いので一緒に練習するだけで強くなれる。それで成績が上がってきています」
 まくった東矢昇太が2着に粘り、熊本ワンツー決着となった。
 「(初手で)後ろからは最悪でしたね。流れが来たら行こうと思ってました。(島川が)内に詰まっていたので、とりあえず仕掛けようと。(出切るのが)早かったんで、ペースに入れて踏み上げようと思ったけど、踏み上がらなかったです。(塚本)大樹が後ろで頑張ってくれました。結果は良かったです」


<7R>

 後ろ攻めから上がっていった佐々木豪が打鐘3角で先頭に立つ。佐々木がまだベタ流ししていた最終ホーム手前で伊藤信が一気に巻き返す。伊藤は、合わせて踏み上げた佐々木を1センターで飲み込むと、追ってまくってきた小原丈一郎も合わせ切って堂々と押し切った。
 「スタートは中団を取れたらと思っていた。並びは想定外でしたけどね。切って北日本のカマシ待ちのペースでもなかったし、いっちゃえって感じでした。思いの外、楽に出れたし、ペースでいけた。松田(治之)さんが外に振っているのもわかったし、誰かが来るだろうって所で踏み直せた。でも4コーナーからはタレていたから誰かに飲み込まれるかと。あの距離をいって勝てたし悪い状態とは言えない」
 飛び付いてきた佐々木を退け、まくってきた小原も止めてと仕事をした松田はゴール前で僅かに伸びを欠く。佐々木に前を託して4番手で脚を溜めていた三宅達也が鋭く伸びて2着に入った。
 「(佐々木)豪の好きに走って貰えれば良いと思っていたけど、スタートがゴチャついて中団を取れなかった。豪も体が重そうでしたね。パリッと音がしたので、内にいくしかないと思い自分で踏みました。最近は練習を追い込んでやっているからその疲れが出た。朝起きた時から疲れているのがわかった。その疲れが取れると思うので明日(2日目)以降は良くなる」



<8R>

長島大介選手
長島大介選手
 後ろ攻めから切った佐川翔吾を長島大介(写真)がすかさず押さえるが、久島尚樹が最終ホーム過ぎに叩いて逃げる。3番手に下げた長島は佐川に合わせて、すかさずまくって後続を千切った。
 「9割方、先行するつもりだったけど、久島君があそこまで積極的に来るとは思わなかった。スピードが良くて肩が出られちゃったので、引きました。前のレースで島川(将貴)君や佐々木(豪)君が内に詰まってダメだったから引いた瞬間に行こうと。脚は余裕がありました。ただ展開が…。あのまま先行しても小林さんといい勝負ができていたと思います。感じ的にはすごくいいですね」
 離れながらも長島のまくりを追いかけた小林大介が2着をキープした。
 「8番(佐川翔吾)が勢い良く来て、行かせてからと思ったら、長島が仕掛けたので遅れてしまった。強かったですね。しっかり付いて行っても抜けなかったと思います。夏の入り時期はいつもあまり良くない。ちょっと納得いかないところもあるので修正します」


<9R>

 細切れ戦で初手は8番手だった伊藤成紀が赤板1コーナーから上げていって打鐘と同時に前に出る。その上を市川健太、松本貴治の順で押さえて最終ホームを迎えようとしたところで新納大輝がカマし、合せて伊藤も上がってくる。叩かれた松本は、新納に離れて近畿コンビの後位に入っていた坂本晃輝をドカして4番手を確保すると、2センターからまくり追い込みにいく。伊藤が新納の番手から踏み出し、澤田義和のブロックも受けた松本だったが、力で踏み勝って人気に応えた。
 「ホームで飛び付ければ良かったけど、伊藤さんに先に踏まれてしまったのは修正点であり、ミスですね。前中団からペースでいこうと思ったけど、思ったより、別線の巻き返しが早かったのか、流し過ぎたのか反応が遅れてしまった。あそこで引いたらまたワンテンポ遅れるし、地元の2人がついてくれているから少しでも前にいってラインで決めないとと思って捌いた。感触は良い感じではないが、明日(2日目)以降はメンバーも厳しくなると思うから体調面含めて良くしていきたい」
 佐々木則幸も直線鋭く伸びて松本に続き2着に入る。地元記念で好スタートを切りホッと一息
 「1コーナーぐらいはヒヤッとしてました。あそこで引いてくるのかと思ったけど、坂本君を捌いてくれた。5着までに入れる自信はあったけど、坂田(章)君までいるし、早く踏んでくれと思いました(笑)。脚には余裕があるし、仕上がりも悪くない。練習とは違うし、一走したことは気持ち的にも大きい」


<10R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 後ろ攻めの磯島康祐が打鐘の3コーナーで先頭に出るが、前受けから7番手まで下げた山本伸一(写真)がすかさず反撃。最終1コーナーで磯島をあっさり叩いて逃げる。軽快に駆けた山本がマークの松岡健介の追撃を振り切り、1着スタートを決めた。
 「前を取ったら、ああいう流れになるのかなって思ってました。仕掛けのタイミングは良かったと思います。ペースだったんですが、しっかり逃げ切れているんで、状態はいいですね。練習もしっかりできて、その成果がしっかり結果に出ています。ラインのおかげですね。そんなに自転車の部分とか修正するところはなくて、明日(2日目)に向けて体を整えていきます」
 番手好展開となった松岡健介だが、逆転はならなかった。
 「(山本が)自信がありそうだったので、引いて行けるところから行ってくれるだろうと。特にこれといって作戦はなかった。最近の中ではいいほうだと思います」


<11R>

山中貴雄
山中貴雄選手
 後ろ攻めからゆっくり上昇した西浦仙哉が打鐘3コーナーから先行態勢を取る。前受けから7番手まで下げた石原颯は最終ホーム前からのロングまくりで襲いかかる。バックの舛井幹雄のブロックでスピードが鈍った石原だったが、二の足を使ってまくり切ると、続いた地元の山中貴雄(写真)がゴール前で逆転した。
 「(石原に)もう任せて、好きなタイミングでという感じでした。緊張したけど良かったです。(石原は)1回休んでいたんですが、やめる選手ではないし、へばり付いてでも行くと思って安心して付いてました。最後は内、外を気にしながら抜きに行きました。練習はしっかりできたので、そんなに体も重くなくて、いい感じでした。去年が無観客で今年は観客がいるので、やってやろうという気持ちになってます。ここから厳しくなるので、しっかり頑張ります」
 新車を投入した石原颯は2着の結果にも手応えを感じている。
 「前だったら引いてカマシ、遅ければ突っ張りを考えてました。風も強かったので、引いてカマシになりました。1回(舛井幹雄に)張られて失速したけど、全然感じは悪くないです。新車はいい感じです。(上がりタイム)14秒2でタイムも出ている。セッティングも出ているので、いじらずにいきます」


<12R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 後ろ攻めから上昇した眞杉匠を前受けの新山響平が打鐘から突っ張って逃げる。眞杉は叩けずに8番手に後退。5番手からまくり上げた村上義弘も1車しか進まない。これで完全に北日本のペース。最後は番手の佐藤慎太郎(写真)がきっちりチャンスをモノにした。
 「(新山)響平が強かった。任せていたけど、先行選手のプライドで(眞杉に)負けたくなかったんでしょう。バックでもう少し車間を空けたかったけど、付きバテしそうでできなかった。北日本4人でワンツースリーが決まったのは良かったけど、できれば響平とワンツーを決めたかったですね」
 北日本ライン3番手の永澤剛が2着に流れ込んだ。
 「キツくて後ろを見る余裕がなかったです。恵まれているだけですね。前回フレームが壊れて、今回替えたんですが、感触は分かんないです」
 3着の新山響平は突っ張り先行でラインを上位独占に導いた。
 「作戦通りに走れて良かったです。(ラインが)長かったので、それを生かそうと思ってました。早めに(眞杉が)来ても突っ張るつもりだったし、突っ張れて良かったです。(3着は)やったほうです」