『施設整備等協賛競輪in高知(GIII)レポート』 初日編

配信日:2月26日

 高知競輪場で開催の施設整備等協賛競輪「土佐水木賞(GIII)」が2月26日に開幕。初日のメイン・特選レースは佐々木豪と野口裕史の主導権争いを中西大がひとまくりし、近畿勢が確定板を独占した。また、一次予選では117期から3人が1着を奪うなど若手機動型が躍動。全日本選抜競輪参戦組が不在の混戦シリーズならでは1日となった。2日目は二次予選7レースで準決への勝ち上がりを争う。
 なお、高知競輪場では、選手OBによる予想会(後半3レース発売中)が毎日予定されている他、テイクアウトグルメフェア、先着100名様にプレゼント等を用意してご来場をお待ちしていますが、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

太田龍希選手
太田龍希選手
 1レース1番車の太田龍希(写真)がグレードレース初参戦で初勝利。最内枠を生かしてスタートを取った太田が正攻法に構える。後ろ攻めの今野大輔、三登誉哲の順番で位置取りに動くと、松岡孔明が最終ホームをめがけて仕掛けていく。太田は松岡の動きを追ってスピードをもらう勢いでまくった。
 「1レースでキツかったし、1番車を貰えたので緊張したけど、残れて良かった。(8車立てになっても)流れは細切れだったし、変わらない。ただ、1人多いだけで、控え室に緊張感があった。500バンクに慣れているのもあるけど、軽かったし、走りやすかった。直線が大宮より短いですね。脚を使わずに前へ出れたのも良かった。体も問題ないし、残れているからいいと思う。しっかりとダウンをして明日に備えたい」
 志村太賀は太田の強さを称えると同時に気持ちを引き締め直した。
 「太田君は9車立てが初めてと言っていたが、彼を中心に始まるから前中団か前からでいいんじゃないと。切った所をいけばいいんじゃないかと。積極的だから仕掛けてくれるだろうと思っていた。車間を切ったり、振る意味はなかったね。3コーナー過ぎから凄い伸びで、踏み直しが凄くて置いていかれるかと思った。差し込む感じじゃなかったし、情けなかったです」


<2R>

橋本優己選手
橋本優己選手
 薦田将伍が打鐘過ぎに先頭に立ち、そこを嵯峨昇喜郎が最終ホームで押さえて先行態勢へ。前受けから下げた橋本優己(写真)は1コーナーをめがけて一気に巻き返す。嵯峨を2コーナー前に捕らえて先頭に立つと、そのまま押し切ってラインで上位独占を決めた。
 「(初手は)前からがよくてホームから1コーナーでカマしていこうと思っていた。嵯峨さんの出方次第でしたけど、落ち着いていけて良かった。500バンクは変則的だし、昨年の記念のVTRを見てきたかいがあった。2コーナーで下って、いいかなと思ったけど、3コーナー過ぎてからは長いなと思いましたね。自分で組み立てて1着を取れて良かったです。今年はヤンググランプリを狙っている。今回は同期も多いので負けないように頑張りたい」
 宮越孝治は橋本に詰め寄り、交わすことはできたなかったが、復調の手応えをつかんでいる。
 「復帰4場所目だけど、徐々に良くなっていますね。今日は余裕があったけど、差せなかった。でも8分の1車輪差だったので、抜ける感覚もでてきた。走りながらサドルを微調整しているので、そこを煮詰めていきたい」


<3R>

阿部将大選手
阿部将大選手
 小原丈一郎、藤井栄二の順番に動いたところを阿部将大(写真)が最終ホーム過ぎに叩いて主導権を握る。軽快に飛ばした阿部の掛かりが良く、中団から仕掛けた藤井の進みは一息。阿部はゴール前で踏み直して堂々と逃げ切った。
 「前で回せる脚があるから(仕掛けるのは)どこからでもいいなと。あとは後ろがどこから仕掛けてくるかでしたけど、全然、こないと思ってずっと回していた。7車立てよりすんなりと、楽に出れた。ダッシュが苦手なんですけど、楽に出れましたね。緊張していたけど、一走したことで楽になりました。ダッシュが課題ですね。津村さんもダッシュが楽だったと言っていたし、勝ち上がっていくとあのスピードでは出させてもらえなくなると思う。バンクはずっと向かい風だったけど、モガけば大丈夫ですね。1レース、2レースと117期が勝っていたのがわかっていたから緊張した」
 津村洸次郎は阿部を差し込みにいくも、強じんな踏み直しにあって交わすことはできなかった。
 「余裕があったから車間を空けて(阿部を)支援しようと思って、落ち着きながら状況を見て、(別線が)きている感じがなかったから(踏むのは)まだまだだと。2センターぐらいで(阿部が)厳しいと思ったし、後ろから迫ってきていたから詰めながら踏んでワンツーと思ったら、いつも通りの先行選手のタレじゃなかった。調子は良いですね。ダッシュも楽だったので。今日は阿部君が強かった。抜けなかったけど、ワンツーなので良かった」


<4R>

 河合佑弥が酒井雄多にフタをしてからラスト1周前で先行勝負。関東勢を追った久島尚樹が1センターでまくりに出るが、酒井がその上を力ずくでまくりきって人気に応えた。
 「前を取りにいくのは宗崎(世連)さんかなと思っていた。3車で車番も(1番車を)いただいたからスタートは前中団で、誰も取らなければ、前を取って行ける所から仕掛けようと思っていた。ホームで久島さんがいってくれたことで流れも向いてくれた。踏み合ってくれたから絶好でしたね。ゴールに向けて伸びていく感じがあったから悪くないかなと思う」
 白戸淳太郎は踏み出しでは僅かに口が空いたが、完璧な追走を見せた。
 「酒井君が勝てるレースをしてくれれば、付いていけば2、3着はあるので。まくりの出脚で口が空いているし、かなりきつかったですね。大木(雅也)も頑張ってくれてラインでワンツースリーがうれしいです。脚は軽かったけど、反応が悪いのか、力が落ちたのか、苦しいですね」


<5R>

 矢口啓一郎が最終ホームをめがけてカマすと、櫻井学が連結を外して、野口大誠が番手に嵌る。好展開になった野口が2コーナーからまくるも、九州勢を追った今岡徹二が2センターから外を踏み込んで直線で一気に突き抜けた。
 「風的にも先行が有利だとは思っていた。野口さんが切った所でスイッチできず、矢口さんもいい踏み出しだった。早めにいくつもりだったけど、番手にハマった野口さんが番手まくりを打つと思ったから落ち着いてから仕掛けた。高知はまくり追い込みのほうが決まりやすいイメージがあるから早めに仕掛けて合わされて共倒れになるよりも良いと思った。少しずつ全体を見て走れるようになってきた。最後も伸びているし、いいと思う」
 地元の田尾駿介は、追い込みになった今岡を交わすことができなかったが、8分の1車輪差まで迫っており、状態は問題なさそうだ。
 「(今岡)徹二の好きなように走ってもらった。レースを見ていても、いい競走をしているから信頼して全部任せていた。ライン全員で勝ち上がれて良かった。前検日は不安を持って競輪場に入ったけど、一走してみて戦える状態ではあるなと。道中は余裕を持って回れた。徹二の脚質的にもどんどん伸びていくから差すのは難しいなと思った」


<6R>

朝倉智仁選手
朝倉智仁選手
 後ろ攻めの川口雄太が位置取りに動いたところを南潤が出て主導権。前受けから下げた朝倉智仁(写真)は最終ホームで一本棒の7番手に置かれるが、2コーナーから仕掛けると抜群のスピードで前団をのみ込んだ。
 「初手は前か中団って考えていました。川口さんが切った後に南さんがいいペースだったので、無理やりいってもきついので、一瞬構えました。車の出はいい感じですね。あとは金子(貴志)さんの動きと川口さんの動きを確認してでした。まくりになったけど1着はうれしい。高知は大好きです。前回からフレームを換えて、昨日(前検日)、栃木の先輩方にセッティングを見てもらって、前回よりも煮詰まってきたし、修正するところもないですね」
 山形一気は川口雄太を目標にレースを進め、2センター付近から外を踏み2着にくい込む。
 「最後は余裕があったし、外を踏んだ方がいいなと。高知の外は跳ねるイメージがあって考えていたんですけどね。体は軽くて体調もいい。あとは500バンクが特殊なのと、9車のレース勘ですね。最近は、昔のセッティングに戻したら、自転車が流れるようになって、自信もついてきた」


<7R>

 前受けから下げた福永大智が最終ホーム過ぎに藤原俊太郎を叩いて主導権。番手の稲毛健太は車間を空けて別線の動きをけん制。間合いを計って直線で抜け出した。
 「(福永は)引いてすぐにいったけど、距離が長かったと思う。出切ってから車間を空けてラインで決まると思ったけど、横山君が上の方にきていて、踏まないと、いかれると思ったから踏んだ。鐘でこけそうになったけど、出切ってからは落ち着いていけた」
 今回が長期欠場からの復帰戦となった横山尚則。道中は6番手をキープすると、2センターから外を踏み、直線で大外を強襲した。
 「落車もあって自分だけになったけど、(復帰戦で)一走、終えることができて安心している。初手はあの位置(後ろ中団)が良かった。意外と冷静に走れましたね。あまり焦らずにいけました。高知は特殊なバンクと聞いていたから焦って踏むと外が伸びないからワンテンポ置いて踏んだけど、自信のなさがレースに出た。復帰してファンの前で走れたのは嬉しい」


<8R>

 初手で前中団の下井竜が打鐘過ぎの4コーナーから巻き返すと、最終ホーム付近で下井の後輪と片岡迪之の前輪が接触。片岡は車体故障で、下井は2位入線も斜行失格となった。下井の先行に乗った筒井裕哉が絶好の展開を生かして1着スタート。
 「下井君は9車が初めてみたいで、力を試したいっていうレースでしたね。感触は悪くないけど、自力で戦えって言われると厳しい。誰かについてというデキですね。前回までは自力でやってもというデキだったが、今回はどうですかね。若い子がたくさんいるし、付いていくだけです」
 木村隆弘は目標の片岡が車体故障で窮地に陥ったが中近勢の後位に追い上げて3位に入線し、下井の失格で2着に繰り上がった。
 「(片岡)迪之が車体故障になってとっさの判断で3番手に入る形になった。(篠原)龍馬さんに前を回らせてもらっているので、ああなったら前々にと思っていました。あれで突き抜けたら完璧だったが、まあまですね。4コーナーからの伸びはもうちょっと欲しい」


<9R>

岩谷拓磨選手選手
岩谷拓磨選手
 後ろ攻めの飯田憲司、一戸康宏の順番で動いて、谷和也が最終ホームで叩いて主導権。岩谷拓磨(写真)もレースの流れに沿って、先手を取った近畿勢を追う動きから、まくりに出る。岩谷は白上翔に再三けん制を受けるも、力でねじ伏せた。
 「初手は自分たちが1、2番車だったから理想は前から3番目の位置でした。前受けのスタートになってしまったけど、順番はくるだろうと思っていました。白上さんに2発もらったけど、ニュートラルに入れていたから我慢すれば大丈夫だと。ホームで仕掛けたから長かったですね。後半の感じは良かったけど、前半はスパッといきたい。出切るのに脚を使ったからそこは修正したい」
 地元の佐々木則幸は前を任せた岩谷が出切れるか、動きを見定めながらのレース。一旦は連結を外したが、白上の後ろから伸びてゴール前は2着に入り現地集合した。
 「岩谷君に脚があるのはわかっていたけど、(岩谷が)白上君にもってこられて止まったか、どうかなと思い、3番手に入って迎え入れる準備はしようと。あのまま浮いていて内にこられるのは、嫌だったので。それでもいってしまった岩谷君が強かった。判断ミスでしたね。余裕はあったし、地元で気持ちも入っていた」


<10R>

 打鐘過ぎに出た宮崎大空を望月一成が叩き出ると、両ラインで踏み合いになり、隊列が短くなる。戦況を見極めた岡崎智哉が1センターからスパートして鮮やかに前団をまくりきった。
 「展開が向いただけですね。いけるところからは、しっかりと踏もうと。(初日は)前回と違う自転車を使ったんですけど、感触がよくないので、前回までのに戻します。練習では進んでいたけど、レースでは、踏み出しや、トータルで進まなかったし、悪かったです」
 2位入線の勝瀬卓也は斜行で失格。先行で粘った望月一成が2着に繰り上がった。
 「勝瀬さんはいつも仕事をしてくれるっていうのも頭にあって、先行しようと思っていた。自分にもっとトップスピードがあれば、ラインで決められたかもしれないんですけど。課題も含めて成長していきたい。最近は叩いていたけど、暖かくてアップの時から体も動いて積極的に仕掛けることができた」


<11R>

金子幸央選手
金子幸央選手
 日野博幸が菊池岳仁を押さえて先頭に立つと後ろの様子を確認しながらペースを上げて主導権。最終ホーム前で真船圭一郎が巻き返すと、この動きに反応した菊池が仕掛けるが、金子幸央(写真)は連係を外してしまう。後方で態勢を立て直した金子は3コーナーからまくりを決めた。
 「菊池君には申し訳ないです。結局のところ、離れてしまっているから言う事がない。菊池君が頑張ってくれたのに自分が離れてしまったのが原因。離れてからは岡田さんがついてくれていたから1着を目指して頑張った。まくりにいったところは良かったけど、ダッシュの部分で離れてしまっている。(追走の部分は)勉強ですね。しっかりと反省したい」
 岡田泰地は金子の動きに反応してしっかりと追走を決めた。
 「別線が押さえにくるのが遅かったら突っ張る。早目なら引いてすぐに巻き返せる所でいくという作戦でした。菊池君が思っている感覚と金子君と自分の感覚がズレていて連結が外れた。金子君が番手だったからどうなってもついていけば確定板にはのれるなと。ラインでワンツースリー決められず残念。今回からフレームを戻して感覚が良かった」


<12R>

中西大選手
中西大選手
 赤板2コーナーから踏み上げた佐々木豪が打鐘3コーナーで前団を押さえて主導権を握る。前受けから引いた中西大(写真)は四国コンビを送り出して、その後位を狙いにいく。一方、単騎の林大悟や野口裕史はホームから巻き返して佐々木とのモガき合いに。絶好の展開となった中西は冷静に2コーナーまくりでモツれる前団をのみ込み、そのまま近畿ワンツースリー決着に導いた。
 「初手は想定外だったが、前がモガき合いになって展開が良かった。ダッシュはないけど、そこからの加速でいけると思った。展開が向いたとはいえ、ライン3人で決まったのが良かったですね。前回に引き続きいいし、それよりもいい感じがする」
 中西の仕掛けにやや口が空き気味だった椎木尾拓哉だが、懸命に追っていって2着を確保。
 「吸い込まれたので、すごいスピードが出ていた。追走できなくて申し訳なかったです。離れた分、(脚を)使った感じ。まだまだですね。力の入れ方だけだと思うので、修正できればいいけど、実走してみないと、わからない」
 神田紘輔はゴール前で椎木尾に詰め寄ろうとするも、そのまま流れ込み3着まで。
 「後ろから見ていて余裕があった。直線で(椎木尾を)抜けてなくて、修正していくところがある。直前にセッティングをいじって悪い方に出てしまいました。調子はいいです」