『施設整備等協賛競輪in高知(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月1日

 高知競輪場で開催された施設整備等協賛競輪「土佐水木賞(GIII)」は、3月1日に最終日が行われた。地元3人を連れた島川将貴が大方の予想通り先手を握った決勝戦だったが、単騎の中西大がまくり、その中西を岩谷拓磨-阿部将大の九州コンビが襲う目まぐるしい展開となり、阿部がS級初優勝をGIII開催で飾る波乱の決着で幕を閉じた。前走から6連勝中で人気を集めた金子幸央は出番がなく、四国勢は宗崎世連が2着に入って意地を見せるのがやっとだった。

決勝戦 レース経過

 号砲で外枠の岩谷拓磨が勢い良く飛び出し、1番車の田尾駿介を制して正攻法の位置を確保する。岩谷-阿部将大の九州コンビが前受けして、中団に島川将貴-宗崎世連-田尾-佐々木則幸の四国勢、7、8番手に金子幸央-志村太賀の関東勢で、単騎の中西大が最後方となって周回を重ねる。
 赤板2コーナーからレースは動き出す。関東コンビに中西で上昇を始め、打鐘経過と同時に前団を押さえて前に出る。すかさず島川がカマして来ると、金子は長い四国勢を出させて引いていく一方、金子が引き切る最終ホーム手前で中西が仕掛ける。中西は一旦、4番手外あたりまで上がると、2コーナー手前から再加速して四国勢に襲い掛かる。島川も懸命に抵抗したものの、バック過ぎに中西がまくり切って先頭に。だが、中西を追って踏み出してきていた岩谷が今度は中西をねじ伏せに懸かる。3コーナーからは中西と岩谷で車体を合わせた状態で直線へ。両者のモガき合いの決着はなかなかつかなかったが、岩谷後位で脚を溜めていた阿部がゴール前で一気に伸びてVをさらった。2着には九州コンビに行かれてから直線で島川を交わして踏み出した宗崎が突っ込み、3着には中西との踏み合いに勝った岩谷が入った。

阿部将大選手
阿部将大選手

 S級の初決勝で初優勝。阿部将大(写真)はGIIIにも初参加だったが、目の前にあるチャンスをつかみ取った。
 「今開催はデキすぎですね。(優勝は)ビックリしています」が素直な感想だった。
 勝因のひとつに、今シリーズに向けて万全の状態で臨めたことを明かす。「普段のFI戦は負荷を与えてのレースだったけど、今回は調整ができた。(全日本選抜競輪出場組が不在で)裏開催だけど、しっかりと優勝を獲れたことは自分の中では大きい。(期待される立場になるが)そこは期待してもらえたら応えられるように頑張りたい。そこで厳しくて勝てなくなっても、その壁を乗り越えることができれば次のステップにつながる」
 決勝戦の前には悩み抜いた末に、岩谷拓磨の番手を回った決断があった。「決勝でハコを回れると思っていなかったけど、岩谷君の調子が良いということだったからお願いしますって感じでした」。
 「岩谷君が一生懸命に走ってくれた。最終バックで中西さんの後ろに岩谷君がハマった所で(優勝を)獲れると思ったし、その感触があった。落ち着いていましたね。レース前は緊張していたが、走ってしまってハイペースになってからそんなことはなかった」と決勝の舞台にも物怖じしない強心臓と冷静さを備えていた。
今後はさらなる期待が集まるが、掲げる目標は最高峰のレースに出場すること。「ヤンググランプリは出られたらいいなぐらいで、(選手として)最終目標はグランプリ。今は力をつけるときだし、中間目標でヤンググランプリに出られたらって感じです。ただ(今回の優勝で)可能性が高まったから逃がさずにいきたい。僕よりも強い同期はたくさんいるし、今回は人の後ろだから獲れた。これからも(同期たちに)負けないように頑張りたい。理想の選手は松浦(悠士)さんですね。強い選手っていうよりも、うまい選手を目指したい。次は大垣記念。調整して決勝に乗れるように頑張りたい」

 宗崎世連はラインの力に助けられながら決勝に進出。決勝でも四国4車の番手回りと千載一遇のチャンスではあったが、力の差を痛感した。
 「悔しい、というより申し訳ない。島川が行ってくれて、いいタイミングがいくつかあったんですけど、行くだけ行かせて僕だけ拾ったレース。コースが空いて、最後に踏んだだけでした。強い島川に、点数を上げてきた田尾、地元を背負ってきたノリさんに申し訳なかった。競輪選手としての力量のなさを感じましたし、僕にはまだ早すぎるステージだった。殻を破る力はなかったです。ただ、競輪祭の権利は取れた。それは、ひとりで取れたものではないので責任がある。これからそれに見合う選手になるために努力をしないと。認めてもらえるようにやっていくことが与えられた使命だと思っています」

 仕上がりの良さを実感していた岩谷拓磨。最終バックから4コーナーまで中西、島川と壮絶な踏み合いになったが、最後は気迫で先頭に立ち、阿部の優勝をチャンスメイクした。
 「(中西)大さんが、行くか、行かないかっていうところでしたけど、行かなくても、俺が行くところでした。今回は仕上がりが良かったし、自信もあったので。優勝したかったが、番手が勝ってくれて、3着で、競輪祭が決まって、良かった。まだFIでも優勝がないので、まずはそこを目指します」





次回のグレードレースは、名古屋競輪場開場72周年記念「金鯱賞争奪戦」が、3月3日~3月6日の日程で開催されます。本開催は、S級S班から古性優作、清水裕友、宿口陽一の3名が、地元愛知S級1班からは笠松信幸、吉田敏洋、高橋和也が参戦予定です。当所記念2Vの実績がある吉田敏洋を筆頭にSS班に地元勢、新田祐大や浅井康太ら実力者たちが今年初記念Vを目指し駆け抜けます。
また、最終日には119期生のチャンピオンを決める「ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞)」も開催されます。「同期には負けたくない。」意地とプライドをかけた一発勝負にも注目です。

2月21日時点の出場予定選手データを分析した、「名古屋記念GIII 金鯱賞争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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