『高知競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:4月11日

 高知競輪場にて開催の令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「よさこい賞争覇戦(GIII)」は、4月11日に初日が行なわれた。初日のメインの特選は清水裕友が上がり13秒7の好タイムでまくり追い込んで勝利。一次予選では5レースで山本拳也が嬉しい地元記念白星スタートを決めた。また、地元勢は田尾駿介、山中貴雄、宗崎世連も一次予選を突破。12日の2日目には、初日特選組の9人も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 記念開催中は毎日、専門解説者、ゲストなどによる「予想会・トークショー」、「日本競輪選手会高知支部」ブースなどが予定されています。高知競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

福田知也選手
福田知也選手
 秋本耀太郎が、畝木努の上昇を打鐘で突っ張る。畝木が4番手に入り直そうと車を下げたタイミングで、新村穣が仕掛けて秋本に襲い掛かる。秋本を最終ホーム過ぎに叩き切った新村の主導権。番手の福田知也(写真)は車間を切り、余裕を持って追走する。秋本が4番手から3コーナーで再度仕掛けるが、進みは悪い。番手絶好の福田が、前との車間を詰めた勢いのままにゴール寸前で差し切った。
 「(周回中に中団となり)畝木君がフタをするかどうかだけでしたね。(畝木の動きは)最近、流行りの突っ張りだったね。新村君は想定していたと思うので、仕掛け所はわかっていたと思います。だいぶフレームがマッチしてきて、体もいいのでかなり余裕はありましたね」
 好機に叩いて出た新村穣が2着に逃げ粘る。3着も望月永悟で、南関ラインで上位を独占した。
 「スタートは内田(英介)さんが早かったので。でも真ん中からでも行けるタイミングを逃さないように、どこからでも仕掛けるつもりでした。たぶん内田さんが前を取ったっていうことは(秋本は)カマシよりも突っ張りたいのかなって思ったので、行けるタイミングを見逃さないつもりで走っていました。仕掛けてから600メートルくらいでしたけど、普段とは違うなっていうのがあったので。自転車は大丈夫なので、体の気になるところがあったのでケアしたい」


<2R>

村田祐樹選手
村田祐樹選手
赤板過ぎに8番手から近藤夏樹がジワリと上昇を開始する。岩谷拓磨が打鐘で近藤を突っ張ると、村田祐樹(写真)がすかさず2センターから仕掛ける。すんなりと出切った村田の先行。ペースをつかんだ村田の前に、4番手を確保した岩谷はなかなか仕掛けきれない。村田はそのまま力強く踏み直し、番手の椎木尾拓哉も振り切った。
 「中団が取れたら、シンプルに一回叩いて先行かなと。岩谷さんが(近藤に)すんなり切らせるかなとも思ったけど、踏んでたので一瞬迷った。踏み合ってから緩んだんで、ここで行かないとと思った。風を少し感じて、軽い感じはなかった。ゴール前はきつかったし、なんとか(押し切れた)って感じですね」
 最終4コーナーから踏んだ椎木尾拓哉だったが、村田を交わせず。
 「(村田が)しっかり切って、駆け切ってくれましたね。すごい強かった。まくりが来る感じはなかったし、最後まで踏み上がっていた。(差せないのが)現状かな」


<3R>

 久米康平が打鐘3コーナーで飯田憲司を切って、阿部将大が4コーナーで押さえる。九州勢が出切ると、すかさず鈴木謙太郎が最終ホーム過ぎに叩いて主導権を奪取。阿部は、車間の空いた3番手から徐々に詰めていき、3コーナーで追いついた勢いのまま外に持ち出す。鈴木をとらえた阿部がそのまま押し切った。
 「久米さんの後ろからが良かったんですけど、久米さんも僕の後ろからが良さそうだったので。(初手の位置取りは)しょうがないかなって。想定外だったんですけど。(一旦前に出て)ちょっと距離が長いかなって思って回していたところだったので(鈴木を出させた)。車間を空ける余裕もありましたし、最後まで踏めたので」
 菅原晃が阿部に食らい付いて2着。
 「展開に恵まれただけですね。抜きたかったんですけど、脚がなかったです。(阿部との連係は)2回目ぐらいじゃないですかね。ちょっとセッティングに悩んでいて、今日(初日)は悪かったので1からまたやりたいと思います」


<4R>

小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 先頭の大石剣士に、打鐘で吉川希望が並びかけると、大石が突っ張って踏み上げる。吉川は負けじと踏んで、4コーナー過ぎに無理やり先頭へ。一旦車を下げていた小嶋敬二(写真)だが、吉川が出切ったのを見ると追い上げて、最終1コーナーでドッキング。7番手から月森亮輔が仕掛けると、大石は3番手から合わせてまくり上げる。小嶋は大石に合わせて最終バック手前から番手まくり。仕掛けを合わせ切った小嶋が、先頭のままゴール線を駆け抜けた。
 「スタートで大石君の後ろが取れたかと思ったんだけどね。月森君に入られた。大石君が(突っ張ったけど)あの距離は持たないだろうし、どうするのかなと見てた所で離れた。そしたら(吉川が)切ってくれて、流してくれたところで追いつけた。月森君が見えたけど、大石君が月森を(外に)どかしながら来てくれたんで、僕にとっては良い形になった」
 大石が小嶋に合わされると、新田康仁は内に降りて小嶋にスイッチ。そのまま続いて2着を確保した。
 「前からはリスクがあるかなとも思ったけど、けんちゃん(大石)に全部任せていたので。小嶋さんが下がって、追い上げてくるような距離にいなかったし、スピードも追い上げられる感じじゃなかった。誰が追い上げてきても(大石は)対応できると思ったら引いちゃった。(大石が仕掛けたが)外に浮いちゃって、勝ち上がりなんで内に行かせてもらった。ウィナーズで課題が見えて、追加を断ってそこに取り組んできた。前回よりも上積みはあります」


<5R>

山本拳也選手
山本拳也選手
 山田諒が打鐘過ぎに切って、小林稜武が4コーナーで叩く。前受けから下げ切って、すかさず巻き返した渡口勝成は、最終2コーナーで小林をまくり切る。山田がその上をまくっていくが、山本拳也(写真)が2コーナーでブロック。山田の勢いは鈍ると、山本は前の渡口の余力を見極めて4コーナーで前に踏み込む。直線で抜け出した山本が、地元記念を1着でスタートさせた。
 「スタートは前か、中団で、とりあえず山田君を後方に置きたい感じだったので、その通りになったかな。渡口君の反応というか、仕掛け所が素晴らしかったですね。たぶん、出切れると思って流しながら行った感じなので、飛び付かれないように気を付けて。あとは山田君がどこで来るか、どこで止めるかでした。(山田を止めたあと)山口(富生)さんが怖かったので。地元なのでいかせてもらいました」
 山田マークの山口富生は、山田の勢いが鈍ると内に差してコースを探る。ゴール前で内から山田を交わして2着に入った。
 「500だったので前が取れたら良かったですけど、車番的に取れる感じじゃなかったですね。(自分自身の感触は)悪くないと思います。山田君のまくりについて行けましたし。ブロックで止まってしまいましたし、山本君の方に切り替える感じになった」


<6R>

 後ろ攻めから吉田智哉が切って、四国勢に続いた伊藤旭は吉田を切らずに3番手外で脚を止める。内の常次勇人は併走を嫌って車を下げると、九州勢の後ろから伊東翔貴が打鐘2センターでカマして出る。北日本勢にスイッチして仕掛けた常次だが、最終1センターで外に浮く。伊藤は常次の上をまくり上げると、3コーナー過ぎに先頭へと躍り出て押し切った。
 「作戦は特に考えてなくて、初手も取れたところからと。後ろ中団になったんで、まず吉田さんが動いてから考えようと思った。ホームで常次さんが叩きに行ったところに切り替えて、目標にできた。反応はそこまで良くないけど、最大限はできました。(連戦で)疲れはあるし、それをどこまでリカバリーできるか。今から時間や、過ごし方を大切にしたい」
 伊藤マークの坂本健太郎は、佐藤和也のブロックを受けて後退。8番手からまくり上げた吉田智哉が2着に入った。
 「初手は想定通りの並び。近畿勢が前を取って、(伊藤)旭が後ろ中団になると思ったんで、その後ろからが良かった。でも、切って放置されたのが想定外だったし、(1センターで)旭に入られたのも失敗。余裕はあったので、佐藤さんと、坂本さんの併走を見て、決着がついてから諦めずに踏んで、なんとかって感じでした。落車の後遺症みたいなものはあるけど、レースになれば関係ないです」


<7R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 田口勇介が打鐘過ぎに切って、上野雅彦が4コーナーで叩く。前受けから下げ切った石塚輪太郎は、上野が出切ったタイミングですぐさま仕掛けて、意表を突くカマシ先行に出る。最終1コーナーではライン3車で出切って、近畿勢の主導権。4番手の上野は、2センターから外に持ち出すと、山本伸一(写真)は外に振ってけん制。直線で前に踏んだ山本が、ゴール前で抜け出した。
 「(石塚)輪太郎がいい仕掛けをしてくれましたね。輪太郎の強さは上で通用する強さですね。自分は今日(初日)から新車なんですけど、(2日目以降に向けて)アタリをつけるためにも(セッティングを)いじります。(ラインで)ワンツーを決めたかったんですけど、自分の技量不足ですね」
 叩かれてから中団で立て直した上野雅彦が2着に食い込んだ。
 「あの並びになったら(自分が田口を叩いたあとに石塚が)すかさずくると思っていた。やり合うよりはと思って中団を取ってからって感じでした。結構、飛びつくのに脚を使って、石塚さんもスピードに乗っていてきつかったんですけど、(最終)3角過ぎにはと思って早めにいきました。前回の玉野から感じはいいですね」


<8R>

 前を取った野口裕は、原口昌平の上昇を突っ張るが、原口も踏みやめずに打鐘から両者は踏み合いになる。工藤文彦は外併走から後退し、最終ホームでは野口が原口の番手にハマる。野口は2コーナーで番手から仕掛けて原口をねじ伏せる。が、じっと脚をためていた神田龍が、バックから仕掛けて迫っていく。永澤剛のけん制を外に避けた神田が、ゴール前で前団をとらえた。
 「(原口と野口の踏み合いを)しっかり見て、行けそうなら行こうとは思ってました。自分だけ脚を使ってなかったんで、出は良かった。(1着まで行けたのは)なんとかって感じです。去年は病気が多くてしんどかった。前回の2勝はたまたまだし、自力が落ちてる感じがる。航続距離をもう少し伸ばしたい」
 野口マークの永澤剛は、外に張りながら直線で前に踏むも、神田に外を行かれて2着。
 「マジできつい。ジャンから踏み合いで、原口君もやめなかったから。野口さんが(原口に)ハマってから出ていったけど、誰も来てなかった。追走一杯です。良くないですね。ショックです。落車してから良くない」


<9R>

 鈴木薫が打鐘過ぎに島川将貴を押さえる。中団に引いた島川にフタをしてから望月一成が4コーナーで仕掛けるが、鈴木もペースを上げて望月を出させない。島川は、隊列の短くなった4番手内で、杉山悠也と併走になって動けない。鈴木が望月から主導権を守り切って最終4コーナー。阿部大樹が鈴木の番手から外を踏むが、さらに外を関東ライン3番手から踏んだ岡田泰地が伸び切って1着。
 「前が頑張ってくれたので。最近は後ろの方にいることが多かったんですけど、前の方にいられればなんとかですね。鈴木君が駆ける形だったので良かったです。(今回の追加は)2日前の夕方に入ったんですけど、(状態は)大丈夫です。(一走してみて)軽い気がしました」
 内に詰まってしまった島川将貴は、岡田が外を踏んだ結果、中のコースが開ける。鈴木と阿部の中を割って2着に入り、なんとかピンチをしのいだ。
 「ちょっと、自分が高知はまくりが効かないと思い過ぎていて、前々を意識しすぎました。引いてばかりではダメなんですけど。犬伏(湧也)君みたいに脚があれば全部、引くんですけど。(杉山と併走になって)もっと前が踏み上がってくれたら良かったんですけど詰まってしまって。(最後のコース取りに関しては)初めてあんなところをいきました。ラインに迷惑をかけてしまった。結果的に引いてまくりの方がよかったのかもしれないけど、大事に行き過ぎて、考えすぎてしまいました」


<10R>

 打鐘過ぎに切った坂本周作を、佐伯亮輔が2センターで押さえる。長島大介は4コーナーで佐伯を叩いて一旦ペースを落とす。他の仕掛けはなく、長島は腹を決めて先行。最終2コーナーから6番手の坂本が仕掛けて、勢いよく関東勢に迫っていく。吉澤純平が2センターでけん制するが止め切れず、鮮やかにまくり切った坂本が勝利した。
 「石口(慶多)さんが後ろ攻めで、切って、切ってで佐伯君の先行かと思って構えてたんですけど、(想定と隊列が)変わった。長島さんが流していたけど、仕掛けても合わされるなと思った。普段なら見てしまうけど、後ろが(菊地)圭尚さんだし、行ってみた。(高知は仕掛けのタイミングが)早めか、遅めじゃないとスライスすると聞いていたけど、なんかまくれましたね。自分でもびっくり。チェーンを変えたぐらいで、大した変化はないんですけど」
 吉澤純平は坂本のまくりを止め切れず。外を行かれてから前に踏み、2着は確保したが反省の弁を並べた。
 「前からになるかなと思ってた。(長島は)切って、流してから駆けだしたし、そろそろ車間を切らなきゃと思ったところで7番(坂本)が来た。慌てて振ったけど、引っ掛かる感じもなかった。自分が対処できればよかったし、反省点が多いです」


<11R>

橋本強選手
橋本強選手
 打鐘で松岡篤哉が、先頭の後藤大輝に並ぶ。後藤はすんなりと車を下げて、松岡を今度は梁島邦友が押さえる。後藤は、梁島が出切るとすかさず7番手から巻き返す。梁島の抵抗を最終ホームで叩き切った後藤の主導権。7番手から松岡篤哉がまくり上げるが、2センターで勢いはストップ。後藤マークの橋本強(写真)は、直線で一気に抜け出して1着をつかんだ。
 「スタートは前を取って、引いてカマす感じでした。凄いバックを踏みながら引いて仕掛けていったので、タイミング的には良かったんですけど、まだ(自分は)バックを踏んでいるところだったので脚力的にはきつかったですね。感覚的には凄く良くて、前回に引き続きいいと思います」
 梁島邦友は、4番手で態勢を立て直すと、2センターから外に持ち出して2着に突っ込んだ。
 「初手は後藤君の後ろからいこうと思って。目いっぱい踏んで、あとは後ろの2人に任せていたんですけど、いい位置を取らせてもらえたので。師匠の山下(渡)さんに自転車を見てもらって、マッチしているのかなって。もう少し早く仕掛けられれば良かったんですけど。(2日目以降に向けては)500バンクで組み立てが難しいんですけど、後手を踏まないように」


<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 北日本勢が前受けとなり、新山響平は誘導と車間を切って別線の出方を見る。7番手の犬伏湧也は打鐘では動かず、2センターから仕掛けてカマシ先行を狙う。だが、新山は犬伏の仕掛けに合わせて踏み上げて主導権を死守。犬伏は出切れずに最終バックで後退する。周回中から北日本勢の後ろをキープしていた清水裕友(写真)は、2センターから外を踏み込む。新山の番手から前に踏んだ山崎芳仁の外を伸び勝って、初日特選を制した。
 「(新山と犬伏の)どっちが前でも中団からと思ってました。犬伏が動かなかったんで、カマシだろうなと。(自分は)ずっと被ってて、引いたら入られそうだったし難しかった。犬伏が出切れば、そこにスイッチしてまくりにいこうかなとは思ってた。高知のあのコースは届くイメージがなかったんで、2着か、3着かなって感覚だった。それでアタマまで届いてるなら悪くないです」
 山崎が外を踏むと、佐藤慎太郎は迷わず中のコースを選択。内から山崎に伸び勝って2着。
 「新山が良い競走をしてくれましたね。山崎も番手で仕事してくれて、良い競走だった。俺は外を踏めれば良いんだろうけど、脚力的に無理だし、山崎がコースを空けてくれて良いコースを踏めた。状態はキープしている感じかな」
 内、外をいかれた山崎芳仁は3着。
 「(新山か佐藤の)どっちかとワンツーを決めたかったんですけど。(犬伏を)ブロックして、差すだけだと思ったら4コーナーで清水君が見えて、踏んで(佐藤)慎太郎さんとワンツーだと思ったら清水君に行かれてしまった」