『高知競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:4月14日
 高知競輪場を舞台に開催されている開設64周年記念「よさこい賞争覇戦(G3)」も、14日に3日目を迎えシリーズ後半に突入した。連日、雨の中で行われていたシリーズ前半だったが、3日目は打って変わり好天に恵まれた。絶好のバンクコンディションで、展開されたスピードバトルに競輪場は盛り上がった。決勝進出をかけた準決の3個レースでは、SS班の浅井康太、新田祐大がそれぞれ白星を挙げて順当に勝ち上がりファイナルのキップを手にした。15日の最終日には激戦を勝ち抜いた9選手による決勝の号砲が、いよいよ第11レースで鳴らされる。
 本場では最終日の15日に、開運おみくじ、山口幸二氏によるトークショー、専門解説者予想会、『淀家萬月』の競輪漫談などが予定されています。高知競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
<10R>
稲川翔選手
稲川翔選手
兵藤一也選手
兵藤一也選手
 前受けを強いられた人気の近畿コンビだったが、打鐘を過ぎてもゆっくりと押さえに来た鈴木裕に業を煮やしたのか脇本雄太がそのまま突っ張り主導権。圧巻の逃走劇で押し切り、スタンドのファンを沸かせた。
 「脚がいっぱい過ぎてもう…」と、引き揚げて来た脇本は大の字。息を切らしたが、クールダウンを終え再び口を開く。
 「全部突っ張りですから。きつかったですよ。(鈴木)裕さんもやめなかったんで。それでも調子は悪くなかったし、いつものレースをすれば残れるっていうのがあった」
 脇本マークから稲川翔(写真)が、鈴木をどかして態勢を整え追走。3番手からまくり追い込んだ芦澤辰弘をけん制すると、返す刀で兵藤一也の中割りを阻んで脇本とワンツー。
 「ワッキー(脇本)もしっかりとやることをやってくれたし、心も強くなりましたね。(スタートで)もうワッキーは前を取らなきゃいけない立場だし、それであれ(突っ張り先行)ができるのはすごい。自分の後ろには梶應(弘樹)さんじゃないのもわかっていたし、(中のコースを)割られないようにと思っていた。明日の決勝では逆のワンツー(で自分が1着)になったらいいですね」
 打鐘の2センターから梶應をどかした芦澤が脇本ラインの3番手を奪取。芦澤が外を踏むと、兵藤一也(写真)がソツないコース取りから3着に入った。
 「芦澤君が頑張ってくれた。最後に仕掛けてくれたから。そこから自分はあのコースを踏んだけど、稲川君も締めるよね。最近の中じゃ自分の感じもいいんじゃないですか」
 見せ場を演出した芦澤辰弘だったが、脇本との脚力差を痛感する。
 「(脇本は)あんなに駆けてるから、外を踏めばいけるんじゃないかって思った。そしたら…。あれじゃ何をやってもダメ。それならダメもとで(番手の)稲川さんのところに行けばよかった」

<11R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
浅井康太選手
浅井康太選手
 2車でも中近勢を出させる気はなかった松川高大が、大塚健一郎を連れて高久保雄介を突っ張る。再度、最終ホームから巻き返した高久保は、大塚のブロックで不発。前団の動きをじっと後方でうかがっていた渡邉一成(写真)が、まくり一気。最後は切り替えた浅井康太に追い込まれたが、上々のスピードを披露して2着。
 「道中は風もあったし重く感じました。松川君が(仕掛けて)行く感じがあったし、自分はヘタに動かないでいようって。浅井君が中団に入ってたし、高久保君が浮いていた。その展開もよかった。浅井君が強いんで、浅井君のところまでは全開でと思っていた。最後はその分タレました」
 高久保は力尽きたが浅井康太(写真)は、落ち着いて渡邉のまくりにスイッチ。俊敏な立ち回りで、上がり13秒6の一番時計を叩き出した。
 「高久保君は焦って行っちゃいましたね。自分は反応もいいし、周りが見えていました。あとは踏み応えがもうちょっと。出だしがいいって、(山内)卓也さんも言ってくれているし。明日(決勝)は自分が猪俣(康一)さんの番手にいきます」
 2発目のブロックで高久保を仕留めた大塚健一郎だったが、まくった渡邉、浅井に行かれての切り替えていっぱい。2着の渡邉には4車身離されてのゴール。
 「松川君が頑張ってくれた。(中近ラインを)出させてしまったら、もうチャンスがなくなってしまうし。そこからは高久保君がまだ来るかもしれないから(ブロックに2回)行った。それで後ろのあおりもあるだろうし。ただ、自分の技量不足でした」
 松川ラインに飛び付けなかった三宅達也は、浅井、山内に割り込まれて6番手。
 「松川君があこまで行くとは…。あんなにヤル気だっていうのもわからなかった。飛び付くのに平面からのダッシュできつかった」

<12R>
筒井裕哉選手
筒井裕哉選手
猪俣康一選手
猪俣康一選手
 最終ホームで猪俣康一を叩いた黒田淳が、主導権を奪取。友定祐己、遅れ気味に三ツ石康洋が続くと、それに乗った新田祐大が最終2コーナー外併走から強烈なダッシュでまくる。踏み出しで番手の内藤宣彦をちぎり、最後は2着を6車身離すワンマンショー。新田らしいレースで、インパクトを残した。
 「今日は位置的にもいいところから行けたんじゃないですか。もう踏み出した感じから、行き切ってしまうとは思った。でも、友定さんのブロックが思った以上で。ペダルが入ってしまって、転ぶかなって思った。それでひるんだけど、すぐにニュートラルに入ったんでよかった。(2日目の)優秀で(渡邉)一成さんと決まらなかったし、決勝は決めたいですね」
 新田ラインを追った筒井裕哉(写真)は、最終4コーナーで内藤に大きくブッロクをもらったが2着に入線。自然と笑みがこぼれる。
 「内藤さんのあの一発が痛かった。イエローラインくらいまで行きましたけど、自分のスピードが優っていた。あれがなかったら、もうちょっといけましたかね。決勝は近畿3人だし、僕は(3番手で)必死に食らいつきますよ」
 狭いコースを懸命に踏んだ猪俣康一(写真)は、直線の入り口で内藤の内に進路を取る。2着争いは筒井に軍配も、3着で初の記念ファイナルに進出を果たした。
 「今日はモガき合いをしてもしょうがないし。考えていた展開でもありました。自分の脚の状態は問題ない。前回からフレームを戻したのと、乗り方を変えたのがいいとおもいます。それがしっくりときているんで」
 「完全に力不足です」とは、新田とのワンツーがかなわなかった内藤宣彦
 「新田君が踏んだ時点で無理でした。新田君は俺に気を遣って、外を踏んでくれたんですけど…」
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