『高知競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月15日
 高知競輪場を舞台に開催された開設64周年記念「よさこい賞争覇戦(G3)」は、15日に大詰めの最終日を迎えた。SS班の浅井康太、新田祐大に加えて、脇本雄太、稲川翔ら、激戦を勝ち抜いたスピードスターの競演となった決勝。レースは近畿トリオが、果敢に主導権。最終バックでは最後方に置かれた渡邉一成が、直線での強襲を決めて記念制覇を遂げた。
決勝戦 レース経過
 内枠の3車が号砲で飛び出すが、スタートは車番順。前を取った浅井康太が猪俣康一を正攻法に迎え入れると、周回は猪俣―浅井―大塚健一郎―新田祐大―渡邉一成―脇本雄太―稲川翔―筒井裕哉―兵藤一也の並び。
 猪俣の動きを警戒した脇本は早めに上昇を始めるが、猪俣も赤板前からすんなりとは脇本の先行を許さない。車を持ち出し脇本をけん制するが、脇本は構わず2コーナー手前から先行態勢に入る。単騎の兵藤は時間差で近畿トリオに続き、8番手に下げた新田が4コーナーで追い出しをかけると、ホームから脇本がペースを上げる。1センターからは猪俣がまくり発進。稲川のけん制をしのいで脇本に並びかけようとするが、脇本の踏み直しに4コーナーでスピードが合い最後は稲川のブロックに沈む。その外を踏んでいた浅井は3コーナーからまくって来た新田をけん制。2人でからんで外に膨らむと、離れながらも新田を追った渡邉が大外を鮮やかに突き抜ける。4コーナーから稲川の内をすくって抜け出した大塚が2着に入線したが内抜きで失格。新田、浅井が2、3着に繰り上がった。

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 注目されていた主導権争いは、赤板の2コーナーで猪俣康一を押さえた脇本雄太が主導権を奪ってそのまま先行。猪俣はすんなり5番手に下げて、隊列は一本棒。最終バック8、9番手に置かれていた福島コンビだったが、終わってみればワンツーフィニッシュ。2日目の優秀では共倒れの惨敗のリベンジを果たした。一昨年10月の岸和田以来となる記念Vを渡邉一成(写真)がかみ締める。
「もう道中から新田(祐大)の後輪しか見てなかったし、あの展開でも新田ならある程度は行っちゃうかなって思っていた。あとそこからは自分の力でっていうのが頭にあった。もう新田サマ、サマですよ」
 猪俣の先まくりを冷静に見極めた新田の猛攻は、最終バック過ぎ。新田の踏み出しに車間が空いた渡邉は、新田を追いかけて大外一気。あっと驚くどんでん返しで前の8人を飲み込んだ。
「浅井(康太)君を乗り越える時に、けん制が目いっぱいあるのは予想していた。そうなったけど新田は耐えて、前に踏んで行ってくれましたから。自分は余裕を持って車間を空けたんじゃなくて、(新田に)離れました。下りを利用して踏んでいったけど、(最終)4コーナーで内を見たらワッキー(脇本)が伸びていった。いいとこ4、5、6着かなって。それでも踏んでいったら伸びましたね」
 新田目標からまくり気味に踏んで鮮やかに突き抜けた渡邉は、右の拳を突き上げファンの声援に応えた。
「ゴールした瞬間に勝った確信がありました。今年は年明けからずっといいし、ここで優勝できたのはよかった。最後の共同通信社杯もいい形で締められるように」
 半年の自粛が5月から待ち受けている渡邉は、自粛前のラスト走にも全力投球を誓う。

 2着入線の大塚健一郎は、内側追い抜きで失格。ゴール板を3着で駆け抜けた新田祐大が、繰り上がった。
「ワッキーが駆けて、猪俣さんが自分が仕掛けたら、稲川(翔)さんが止める。そういう予想していた展開になりました。猪俣さんが稲川さんのブロックで浮いて、そこを目がけて行ったけど。浅井さんも余裕がありましたね。自分に引っかけるように来たけど、自分も前に踏んで行った。(別線の)先行選手は全部撃破したし、それで浅井さんよりいい着が取れた。優勝できれば最高だったけど、やれる仕事は全部やった。今年一年間、去年よりいい走りをしたいって思っているし。期間が短いけど、それを凝縮した形でしっかり次の共同通信社杯も今日以上の走りができるように」

 稲川のブロックにもめげずに踏んだ猪俣だったが、逃げた脇本の踏み直しに力尽きて不発。猪俣に付けた浅井康太は最終2センターでに新田に合わせて踏む込むが3着まで。
「ラインの猪俣さんがせっかく踏んでいってくれているんで。バックから自分で行っていればよかったけど、そういうわけにはいかないですから。あれで新田君も来てたし、止めておかないと行かれてしまうと思った」

 脇本の番手で願ってもない展開が巡ってきた稲川翔だったが、大塚の中割りに伸びを欠いた。
「優勝のパターンでしたね。優勝かと思ったら、(大塚の突っ込みで)フワッとなってしまった。ただ、そんなことは言ってられないので。そこまでは自分の仕事ができたと思うし、優勝の位置にいるっていうのもわかった。あとはチャンスをモノにできるように」

ゴール
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