『高知競輪開設66周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月17日
 高知競輪開設66周年記念「よさこい賞争覇戦(G3)」は4月17日に最終日を迎え、第12レースに決勝戦が争われた。レースは深谷知広が杉森輝大を突っ張って先行。3番手をキープした単騎の村上義弘が、最終2コーナーからまくって快勝した。静岡日本選手権へ最高の弾みをつけた。また第9レースで行われた「ルーキーチャンピオンレース」では新山響平が107回生のチャンプに輝いた。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、深谷知広が様子をうかがいながら誘導を追いかける。そこに中村浩士が続き前受け。以下隊列は単騎の村上義弘、松岡貴久、小松崎大地-菅田壱道、杉森輝大-武田豊樹-神山雄一郎で周回を重ねる。
 赤板まで隊列に変化はなく、1センターから杉森が武田-神山を連れて上昇を開始。小松崎の外で併走すると、深谷が誘導を降ろして打鐘から先行態勢に入る。杉森はすぐさま踏み込むが、深谷を叩けず不発に終わる。杉森が後退して武田は4番手の外で併走するが、松岡に絡まれ苦しい展開。今度は後方で脚を溜めていた小松崎が最終1センターから巻き返す。3番手の村上も逃げる深谷を射程圏に入れてまくり発進。迫る村上に対し、逃げる深谷も合わせて踏むが2センターで力尽きる。村上が前団を捕らえそのまま押し切りV。中村は小松崎を止めて、村上を追って2着。態勢を立て直した武田が、空いた中のコースを伸びて3着に入る。


村上義弘選手
村上義弘選手
 連覇がかかる日本選手権へ向け、名古屋日本選手権覇者の村上義弘(写真)が貫禄の走りを見せた。深谷知広との力勝負を制した走りは見応え十分だった。レース後引き揚げてきた村上は「まぐれです(笑)」と最高の笑みを見せて、検車場で記者を笑わせレースを振り返った。
 「深谷が突っ張るとは思わんかったけど。1周前やったし。今日は最低でも中団、中団とは思ってました。道中(松岡)貴久が後ろに付いてるし、頑張らなと思った。九州がこういう時期やしね」
 近畿の総大将と呼ばれる所以が、このレースに凝縮していたと言っても過言ではないだろう。
 「強い相手に力出し切って勝負するのが自分のスタイルでもあり、それをするために普段練習を頑張ってる。良いレースができたと思います。自分のスタイルを認めて、後輩も頑張ってくれてると思うし」
 次は連覇がかかる静岡日本選手権。自力でも力強さを発揮し、最高の状態で臨めそうだ。
 「距離が長くて疲れました。今になって自力でG3を優勝できるとは思ってなかったです。目の前の一戦一戦を力を出し切って、お客さんに喜んでもらえる走りをするだけです」

 深谷と即席タッグを組んだ中村浩士は2着に入った。
 「深谷君がすごかった。気持ちが入ってましたね。恵まれました。でも、内から誰か来たので、それを決めて、外もいたから本当に苦しかったです」

 武田豊樹は準決勝で今年初勝利と状態上向きだったが、直線追い込んで3着が精一杯。
 「(杉森輝大に)任せてたんで何とも言えないですけど、僕も対応できるところはたくさんあったかな。悔しいね。良い状態だったけど」

 武田、神山雄一郎に任されながら先行策に出れなかった杉森輝大は、レース後は反省し切りだった。
 「後ろからっていうのは決めてて。そこから押さえて駆けるつもりだったんですけど。深谷の突っ張りは想定外でした。レース後に武田さんからも『ああいう単騎が並んだときの対応を考えないと』と言われました。自分の仕事できてないんで悔しいです」

 突っ張り先行に出た深谷知広は8着に沈んでしまった。
 「(杉森が)来るのが遅かったので突っ張ったんですけど、もっと粘りたかったですね。バックで完全に終わってしまった。せめて2センターまで持てば中村さんの優勝だったと思う。あと半周、しっかりもがけるようにしたいですね」

 小松崎大地は好回転でまくって行き、記念初優勝も視界に入ったが6着に終わった。
 「結論は力不足。展開は良かったし、行かなきゃってところで動けました。杉森の内を踏んで行ければ面白かったんですけど」

 松岡貴久は初手から村上後位を選択。チャンスはあったが生かしきれなかった。
 「(村上の後ろは)それが流れだと思ったんで。他はラインができてたし、僕らは単騎だったんで。村上さんが強かったですね。(村上が)せっかく行ってくれたのに。(熊本への思いは)もちろんありました。メンバー的にも可能性はあったし、家族に電話したときも『こっちはいいから優勝してきて』って言われてたのに…。動きすぎましたね」


ゴール
9R ルーキーチャンピオンレース(若鷲賞) レース経過
 107回生ルーキーチャンピオンレース「若鷲賞」がシリーズ最終日の9レースで争われた。ハイレベルな107回生の精鋭9名による一発勝負は迫力満点。レースは大方の予想どおり茨城トリオが先制。9番手に置かれた単騎の取鳥雄吾が打鐘過ぎの4コーナーから仕掛けて前団に迫ると、最終3コーナーから吉田拓矢が番手まくりで合わせ切る。さらに新山響平(写真)が外を踏み上げて、直線は吉田とのマッチレース。粘る吉田を新山が捕らえ、107期の頂点に立った。
 「前を取って、全部は引かないつもりでした。中団をすんなり取れたし、落ち着いて走れました。取鳥がいい勢いで来て、間が空いてしまったのは計算外でしたね。入られたらきつかったけど、取鳥がそのまま行ってくれた。あれで吉田も動いて脚を使ってからの勝負になったので。吉田にチラチラ見られていて、どれだけ余裕があるのかと思ったんですが、何とか優勝できて良かったです」
 卒業記念レースに続き、またも大舞台で勝負強さを見せた新山。今後は特別戦線での活躍が期待される。
 「これからの目標はヤンググランプリもそうなんですが、点数を上げていってG1に出たいですね。まずは全プロで寬仁親王牌の権利をしっかり取って、G1の準決勝に乗るのが今年の目標です」

新山響平選手
新山響平選手
 人気を集めた吉田拓矢は惜しくも準V。同期のライバルに敗れた悔しさをバネに進化を続ける。
 「打鐘で新山さんが4番手だったので、ヤバイと思いました。流れのなかで番手から出る形になった。これも経験ですね。また一緒に戦うステージがあると思うので、次は負けないように頑張ります」

 新山マークの堀内俊介は3着まで。
 「新山君に付いていっただけですね。最後は内か外か迷いました。その判断が遅れたのが敗因ですね。でも、吉田君と新山君のレベルが違っていた。2人に追いつけるように、できることをやっていきます」

 取鳥雄吾は単騎でも果敢に仕掛けて見せ場を作った。
 「新山さんも4番手で動かないだろうし、前がだいぶ流していたので、思い切って行きました。出切れなかったのは力不足ですね。また次頑張ります」

 打鐘先行の鈴木竜士はシンガリ負け。素直に完敗を認める。
 「ダメでした。悔しいけど、僕に力があれば(茨城で)決められたと思う。やることをやって負けたので、力不足です


ゴール
↑ページTOPへ