『松山競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月12日

 松山競輪開設70周年記念「金亀杯争覇戦」が3月12日に開幕した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため今回も無観客での開催となったが、バンク内では白熱のレースが繰り広げられた。メインの特選は全日本選抜決勝の落車から復帰した松浦悠士がまくって快勝。地元勢は門田凌の落車が残念だったが、5名が二次予選へと勝ち上がった。2日目は二次予選A、Bの7個レースで準決勝進出が争われる。

<1R>

成田和也選手
成田和也選手
 前受けから下げた嵯峨昇喜郎が打鐘からカマして最終ホームではライン3車がきれいに出切る。嵯峨のスピードの前に別線の巻き返しは不発に。番手絶好の成田和也(写真)が鋭く抜け出してオープニングレースを制した。
 「(嵯峨が)すかさず行ったので。(ホーム向かい)風があったのでキツいだろうなと思ったけど、嵯峨も何とか3着だったし、かかりも良かったと思う。(1月平の準決勝で嵯峨と一緒に落車)俺もドキドキしたし、これでいいイメージを取り戻して走れれば。1R、1番車で記念のいい流れを作んなくちゃいけないなと思ってたので、これで盛り上がるといいですね」
 3着の嵯峨昇喜郎はラインで決まったレースにホッと胸をなでおろす。
 「作戦は前か中団で。前ならあんな感じで行こうと思ってた。(レースも)久々なんで。さすがに一発目だし、内容にこだわっていきたいなと思ってた。ラインで決まったのがうれしい。平ではすごく申し訳なかったんで」


<2R>

中西大選手
中西大選手
 最終ホームで杉森輝大が前に出ると、そこをすかさず7番手から中西大(写真)がまくる。中西はバックで杉森をとらえると、村田雅一の追撃も振り切った。
 「負けパターンだと思ったけど、行けたので良かった。差されてないのも良かったです。杉森さんが仕掛けなくても、あそこで行こうと思ってたので惰性をもらって行けた。本当は切って、切ってをすかさず行きたかった。結果は良かったけど、展開はダメですね」
 村田雅一は中西の強さに舌を巻いた。
 「強い。(中西に)余裕がありましたね。あそこ(最終ホーム)すぐついて行ってって感じで、余裕を持ってまくってる。僕は抜けるか抜けんかぐらいの勝負と思ってたら、全然踏み直されました。大が強かった。僕も脚は軽いし、とりあえず二次予選Aに上がれたので」


<3R>

東龍之介選手
東龍之介選手
 打鐘から先行態勢に入った門田凌をすかさず田中晴基がカマして最終ホームから主導権を握る。番手の東龍之介(写真)は矢口啓一郎の巻き返しをけん制しながら抜け出した。
 「(田中が)あそこから行ってくれたので。後ろの亀谷(隆一)さんがいなかったのは分かったし、できるだけ引きつけて、引きつけてと思った。もう少し何かできたかなと思うけど、反省を生かしてまた明日(2日目)。今回からフレームを換えて感じも悪くないし、調整しながらですね」
 前を任せた小林令が4番手の溪飛雄馬とからむと、バックから自力に転じた矢口啓一郎が2着に食い込んだ。
 「令らしいレースだし、そこで自分も判断して行った。(小林が)前々に攻める気持ちが伝わってきました。弟子たちのおかげで頑張らないとって気持ちになってるし、練習できる気力、体力が戻ってきてる。悪くないですね」


<4R>

 赤板2コーナー手前で切って出た鈴木裕は、主導権を握った宗崎世連ラインを受けて4番手を確保。だが、不破将登の反撃も早く、最終ホームで前団に襲い掛かる。中団でかぶった鈴木は、2コーナー手前で土井勲をすくい3番手。2センターから外に持ち出し、追い込み勝負で人気に応えた。
 「外は行けるか行けないかわからなくて、内を見ていました。不破がすんなりいっていれば厳しかったですね。土井さんが内を空けてあの位置になりましたけど、(増原が)車間を空けていたし合わされるなと思って、待ってからいった。キツいレースでしたけど届いて良かった」
 逃げた宗崎を利した増原正人は、真後ろの鈴木との間合いを取りながら追い込むも2着。
 「宗崎君が頑張ってくれた。得意パターンで仕掛けてくれたし掛かりも良かったですね。(不破を)止められたのはタイミングが合っただけ。リハビリしてもう(落車の)怪我の影響はないし自分の感じは問題ないです」


<5R>

 打鐘では後方に置かれた吉武信太朗だったが、最終ホーム手前で主導権を奪って堤洋、木村隆弘の徳島勢までライン3車が出切る。4番手から追い込む野田源一、番手の堤らを二の足で振り切った吉武が、地元記念で幸先のいいスタートを切った。
 「前回の別府のあとからステムを伸ばしたら、いいペースで踏めるようになって苦しくなったら顔を上げるクセもなくなった。後ろの状況は良くわからなかったけど、(ラインで)ワンツースリーなら完ぺき。ずっとペースで踏めていたし、最後まで踏み切れた。調子はいいです」
 前回の奈良での落車で2カ月以上のブランクがある堤洋は、ソツなく立ち回って2着。
 「めっちゃ楽だったし、誰か仕掛けてきたら止めようと思っていた。吉武が強かったし踏み直されました。体の不安はまったくないですよ。ここのバンクは軽いのでスカスカする感じはあるけど、徐々に良くなると思う」


<6R>

渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 先行態勢に入った戸田康平を山田諒が強引に叩いたが、そこをすかさず1センターから根本哲吏がまくる。根本が2センターで山田を飲み込むと、続いた渡部幸訓(写真)がゴール前で逆転した。
 「根本は最近調子がいいから、安心して任せてました。自分の状態もいいけど、根本のおかげですね。山田のかかりも良かったと思ったので、3コーナーで近藤に張られるかなと思ったけど、そこをすんなり乗り越えられたのも良かった。展開一本です。恵まれました」
 2着にはなったが根本哲吏は近況の好調さを物語るようなまくりを決めた。
 「俺も駆けたかったんですけどね。なかなか駆けられるメンバー構成にしてもらえない。(復調は)怪我してない分って感じです。強い相手をまくり切ってるし、悪くない。いいと思います」


<7R>

 赤板過ぎに近畿ラインに中団に割り込まれた山崎賢人は、7番手に下げての立て直しを余儀なくされる。先行態勢の橋本智昭が打鐘の4コーナーからペースを上げるが、最終ホーム手前から仕掛けた山崎のスピードがいい。別線を力の違いでのみ込んだ山崎が、ロングまくりで楽に押し切った。
 「誰も出なければ前受けからとも思ったんですけど、中団が取れた。切ったら早めに行こうとは思っていました。自分のタイミングで踏めているし悪くないですね。ナショナルチームでの練習も生きていると思う。セッティングは探り探りで、調整しながらいってみます」
 踏み出しで3番手の小岩大介は離れるも、番手の合志正臣は山崎に付け切って2着をキープした。
 「(山崎は)ジャンの3コーナーで行くかなと思って待った分キツかった。ホームで向かい風なのもありましたしね。竹山(陵太)君のところを乗り越えて付け切れて良かった。最近はずっとFIを走っていたので、久しぶりにピリピリしました」


<8R>

 渡邉豪大、飯野祐太、才迫開の順で押さえて出て、結局前受けだった稲毛健太に反撃のタイミングが巡ってくる。打鐘の3コーナーから仕掛けた稲毛は、最終1コーナーで才迫をとらえて、そのまま軽快に飛ばす。番手絶好の稲川翔が、余裕をもって交わした。
 「安心して(稲毛に)付いていきました。余裕もあったしラインで決まって良かった。脚の感じは普段からあまり気にしないです。(最終)4コーナーでは誰も来ないことを確認して、あとは稲毛が頑張ってくれた」
 結果的にまくりの決まり手になった稲毛健太だが、構えることなく反応の良さが目を引いた。
 「叩き切れると思ったので、流し気味に踏んでラインで出切ってと。重たい感じがしたけど、しっかり踏めているとは思う。ここ最近は練習の感じが悪かった。でも、いつも通り行けるところで叩いて行けました」


<9R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 打鐘過ぎまで佐伯辰哉にフタをした柴崎淳はホーム前から踏み上げて鈴木謙二を叩き切る。番手の志智俊夫(写真)はまくってきた佐伯をけん制。西岡拓朗の中割りもしのいで昨年の当所記念一次予選同様に柴崎とワンツーを決めた。
 「(佐伯を2度けん制して)無駄な動きをしてしまったけど、それがなくてもワンツーは決まってたと思う。柴崎がうまくやってくれて、ホームの風が強いなかでも踏んでくれたので。(去年も柴崎の番手で)景色が同じやなと思ってた。状態も問題ないです」
 柴崎淳も落ち着いた組み立てで2着に粘った。
 「(鈴木の上昇に)合わせて踏んで中団と思ってた。遅れてしまったけど、そこから頭の切り替えがうまくいった。あの流れで普通に切ったら(佐伯と)モガき合い。それならあそこにおったほうが。明るい兆しが見えてる。走ってて楽しいし、もうちょいですね」


<10R>

 赤板で前受けの根田空史を押さえた月森亮輔は瀬戸栄作を突っ張って出させない。7番手に下げた根田空史は前団の動きを見ながら最終ホームで仕掛けると、スピードの違いで一気に月森を飲み込みラインでワンツースリーを決めた。
 「7割くらい後ろからと思っていたんですけど前を取れて良かったです。仕掛けてから伸びていく感じはあったけど車の出が悪かったですね。前回から花粉症がひどくて体が重い感じ。セッティングで修正できるものじゃないし体調を調整しながら臨むしかない」
 福田知也は根田空史の強さに太鼓判を押す。
 「(別線が)踏み合っていたので付き合わないで冷静に(根田が)仕掛けてくれた。瀬戸を越えてからの加速がすごかったですね。抜けていないですけど追走は問題ないし調子はいつもどおりです」


<11R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 打鐘で桜井雄太が先頭に立つも、後方へ下げた太田竜馬(写真)は打鐘の4コーナーから一気に仕掛けて最終1センターで前団をまくり切る。バックを先頭で迎えた太田がそのままの勢いで押し切った。
 「いいタイミングで仕掛けられたと思う。ラインで決まるかなって。出脚は問題ないけど、パワーとかはまだまだなので、落車の影響はちょっとだけあるのかも。今日(初日)はスカスカしていたけど、軽いバンクにまだ対応しきれていないだけで日に日に良くなりそう。高速バンクは好きなので」
 4コーナーを絶好の番手で迎えた地元の濱田浩司だったが、直線で3番手の西田雅志に交わされて3着。
 「情けない…。西田さんが強かった。悪くはないんですけど、もうちょっと微調整は必要ですね。最後がダメだったので。最悪前を抜けなくても、後ろからは抜かれないようにって思っていたんですけど…。仕方ないのもあるけど、ちょっと反省します」


<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘から踏み上げて最終ホームで先頭に立った松本貴治を松浦悠士(写真)が2コーナー、5番手からひとまくり。全日本選抜決勝で落車からの復帰戦を白星で飾った。
 「良かったです。ホッとしました。昨日(前検日)からずっと緊張してたし、思ってたより良かった。1回動いて、5番手だけど位置を取って、そこから自力も出せたので。理想はもう少し早めに、バックを取るぐらいで行きたかったけど、松本君もいいタイミングで来たので。踏み込んだ感触はすごく良かったです。(村上)博幸さんにもゴール前の踏み直しがすごかったと褒めてもらいました」
 松浦を好追した守澤太志だったが逆転はならず。
 「(松浦が)すばらしいですね。レースがうまい。流れに沿ってしっかり仕掛けてくれるので。抜けると思ったけど、やっぱり強かった。怪我明けでこれなんで強いですね。しっかりワンツーが決まったし、僕の感じも悪くないと思う」
 松浦の仕掛けに乗って外に持ち出したかった平原康多だったが、3番手に切り替えてきた村上博幸と接触したのが痛かった。
 「動いて後ろになるような車番だった。腹をくくって行ったけど、危なかったですね。初日の分も2日目からまた頑張ります」