『松山国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月14日

 競輪界初のリレーGIII開催は6月13日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。松山競輪ナイターのGIIIシリーズ「第13回国際自転車トラック競技支援競輪」は男女ともに決勝戦が争われ、S級決勝戦は町田太我が力強く逃げ切り、GIII初制覇を果たした。ガールズケイリンの決勝も佐藤水菜が逃げ切りで完全優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 齋藤登志信がスタートで出て北コンビが前受け。坂本貴史-齋藤、久米康平-近藤龍徳、菊池岳仁-金子幸央-相川永伍、町田太我-吉永好宏で周回を重ねる。
 青板2センターで早くも町田が動く。これに菊池も反応し、両ラインが中団外で併走してけん制状態に。赤板を過ぎると菊池が踏み込み、1センターで坂本を押さえて先頭に立つ。対する町田は8番手に戻って出直すが、休むことなく2コーナーから猛然とカマして出る。打鐘2センターでは菊池を叩いて町田が先手を奪取。しかし、吉永は離れて関東勢がそっくり町田後位に入って最終周回へ。117期勢の叩き合いにはならず7番手に置かれた久米がまくりに行くと、1センターでは合せて中から坂本もまくるが、ともに前団には迫れず。一方、町田との車間を詰めた菊池も2コーナーからまくりにいこうとしたものの、町田に合わされて番手に戻る。このまま直線に入り、町田が押し切ってV。菊池は一杯で伸びを欠いて3着に沈み、2着には外を踏んで金子が入った。


町田太我選手
町田太我選手

 競輪界に新風を巻き起こしている117期の中で町田太我(写真)がGIII優勝の一番乗り。初対戦となった同期のライバル菊池岳仁を相手に圧巻の逃走劇で完勝。「チョー気持ちいい。何も言えねぇ」と喜びを爆発させた。
 「菊池君の後ろから攻めたいと思ってました。菊池君が早めに動いてきたけど、早めに叩けば自分にもチャンスがあるなと。後ろの状況は分からず、自分のことで一杯一杯でした。出切ってからは自分のペース。誰か来たから踏んで合わせた感じで菊池君が来ているとは知らなかった」
 昨年7月の本デビューから1年。これまでGIII優出は3度経験していたが、いずれも決勝は9着と惨敗していた。4度目の挑戦でリベンジに成功した。
 「勝つ自信はなくて、どうせまた9着だろうと思ってました。力を出し切ることを考えて、それが結果がつながりました。競輪祭(の出場権利獲得)は嬉しいですね。この後はサマーナイトがあるので、そこに向けて上げていきたい。勝ちにこだわるより、力を出し切ろうと思っています。サマーナイトの前に小松島記念が入っているので、そこでも頑張りたいですね」
 20歳の若武者は走るたびに強くなっている。GIIIウィナーとなった町田が今年の後半戦はビッグ戦線で優勝争いに名乗りを上げる。

 菊池マークの金子幸央は最終3コーナーから外をまくり上げたが、2着に入るのが精いっぱいだった。
 「菊池君が瞬時に判断して、落ち着いて走ってくれました。僕はちょっと焦って、外を踏んじゃいましたね。普段、追い込みじゃないんで、外に行ってしまった。菊池君の内に行けば優勝だったと思う。悔しい気持ちはあるけど仕方ないです」

 3着の菊池岳仁は同期のライバル町田に完敗だった。
 「出てから合わせるつもりで踏んだけど、合わせ切れなかったです。(町田の)後ろが離れているのが分かったので、番手に入りました。詰まったので行ったけど、合わされました。あれで勝てないのは力不足。勝負に行って負けたので仕方ない。町田君がすごい強かったです。全てで町田君が上でした」



ガールズケイリン決勝 レース経過

 1番車の豊岡英子が前受けしてすぐに態勢が落ち着くかに、初手で6番手に位置した佐藤水菜が車を上げて5番手にいた佐々木彩の前に入る。これを見た鈴木美教が最後方から動いて山原さくらと3番手の外で併走する。結局、山原は5番手まで下げ、豊岡、柳原真緒、鈴木、佐伯智恵、山原、佐藤、佐々木の並びで赤板周回に入る。柳原が後続を警戒して徐々に前との車間を切り始めると、山原が動く。打鐘を迎えて誘導が退避し、押し出される格好で前に出た豊岡の後位に山原が一旦入るが、山原は最終ホーム入り口からスパート。柳原が続く。しかし、この日は佐藤の反撃も早く、両者の動きを追って猛然と仕掛けてくる。これを見た柳原も合わせて外に踏み出して、ホームでは山原、柳原、佐藤の3人が並ぶが、スピードに優った佐藤が主導権を奪取。2番手には柳原が入り、口が空きながら佐藤を追ってきた佐々木が3番手追い上げに成功。遅れた山原は4番手、鈴木は5番手となって最終バックを通過する。そのまま逃げた佐藤のペースで直線に入り、柳原がゴール前で詰め寄ってくるが、振り切った佐藤がV。2着は柳原で、3着は懸命に外を踏んで佐々木を捕らえた山原。


佐藤水菜選手
佐藤水菜選手

 強力な機動型がそろったガールズケイリンの決勝戦は佐藤水菜(写真)が逃げ切って快勝。4日間、文句なしの強い内容で完全優勝を達成した。
 「中団が取れて自力選手の間なら後ろが行く前に仕掛けようと。後ろなら冷静に行けるところから組み立てようと思ってました。山原(さくら)さんがいいスピードで行って何をするか分からなかったので様子を見て、ここからならってところで行きました。タイミング重視って感じですね。出切って後は最後まで持つ自信がなくて、回したりして冷静に脚と距離を見計らって踏みました。こんなに自力型が多くて積極的な選手が多い中で先行して逃げ切れたのは自信になります」
 これで5月京王閣のガールズケイリンコレクションを含め、4月豊橋から8連勝。ナショナルチームで進化を続ける佐藤の快進撃はしばらく止まりそうにない。

 最終ホーム過ぎに佐藤の後位にはまった柳原真緒だが、逆転はならず。
 「(山原)さくらさんと踏み合う感じになって、脚を削られました。(佐藤の)番手に入ったけど、脚をためられなかったです。もう少し冷静に追い込みに行ければ良かったですね。(佐藤に)気持ちの面で負けてました。でも、脚はそんなに差がないと思っています。前々に踏んで、いままでにないレースができたのは収穫です」

 4番手確保から追い込んだ山原さくらは3着で確定板入り。
 「道中、追い上げられたりしたんですけど、前々に行くと決めてました。ホームでしっかり反応はできたと思います。4番手で余裕はあったんですが、前がタレないのは分かってました。何とか確定板を死守できたのは良かったです」



次回のグレードレースは、「第72回高松宮記念杯競輪」が岸和田競輪場において6月17日~20日の日程で行われます。
今年のGI大会第3弾であり、前半を締めくくる最後のビッグレースとなっています。
松浦悠士、郡司浩平をはじめとした6名のS級S班の選手や、古性優作、稲川翔、神田絃輔ら地元選手に注目です。グランプリ3つ目の出場枠を獲得するのは果たして誰になるのでしょうか。
6月9日時点の出場予定選手データを分析した、「第72回高松宮記念杯競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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