『松山競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月2日

 松山競輪場で開設72周年記念「金亀杯争覇戦(GIII)」が、12月2日に始まった。初日のメイン、特選では今シリーズただひとりのS級S班の新田祐大がまくりで白星を飾った。また、一次予選からは、地元勢の多くが順当に勝ち上がった。12月3日の2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。初日特選組も加わり激戦は必至だ。
 なお、松山競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。場内のお客様が2500人を超えた場合は入場制限をさせていただきます。開催中は先着プレゼントなども行っています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

野口裕史選手
野口裕史選手
 赤板過ぎに野口大誠を突っ張った野口裕史(写真)が、そのまま先行態勢を取る。6番手で立て直した野口大が、打鐘で再度仕掛けるも不発。番手で好展開が巡ってきた佐藤龍二だが、小岩大介にすくわれる。パワフルに風を切った野口裕が1着。
 「いい勢いできたら出させるのも考えたんですけど、突っ張れるかなという感じできた。ジャンで見ながら合わせて、2回来て合わせたらラインで決まるかなと思った。流しちゃったので、後ろがゴチャついて自分だけのレースにしてしまった。疲れも抜けて体調も大丈夫ですね」
 野口大が合わせられると打鐘の4コーナーで小岩大介が切り替える。最終2コーナー手前からインを進出して、無警戒の内から番手を奪取して2着に入った。
 「赤板で出させてくれれば一番良かったんですけど、野口(野口裕)さんが突っ張ったので(野口大が)落ち着いてもう一度いってくれた。すかさず(野口)大誠が仕掛けてくれたけど脚を使っていたし、那須(久幸)さんも内にきていたので入れてあげられなかった。さすがに外をまくる脚はないので、内に入っていきました」


<2R>

 後ろ攻めの長尾拳太、吉田智哉の順で動いたところを、前受けから引いた石井洋輝が打鐘前から巻き返して主導権。番手の箱田優樹が田尾駿介のまくりを外に振ってゴール勝負を制した。
 「(石井は)いいスピードで回ってきたけど、(最終)バックで詰まってきた。(田尾は)けん制して振ったらどうにかなると思ったけど、(自分が)踏んでも、まくられるかもしれないと。自分は出ていっただけで、その上をいかれそうになりましたね」
 田尾駿介は目標の吉田が内に包まれると、三宅裕武をさばいて最終2コーナーから自らまくりに出た。
 「僕に余裕があって(吉田を)迎え入れられれば良かったが、技術不足。三宅さんまで出られると、僕の着もないと思って、さばいて、長尾君がいくか、いかないか、わからなかったので、(自力を)出していきました。いつもモコモコしていくので、2センターで止まると思ったが、ゴールまで踏めた」


<3R>

 打鐘で静岡勢に出られた谷和也だったが、川村晃司のアシストで3番手に入り立て直す。谷のまくりは簗田一輝の番手まくりに合わされて、切り替えた川村が追い込んだ。
 「小林(則之)さんがすごい勢いで来たので引いてからになりましたけど。谷君も前で風切っていたし、無理やり仕掛けてくれたのでキツそうだった。自分は2場所前からフレームを変えて感覚はいいですね」
 小林が積極策。番手の簗田一輝は、谷のまくりに最終2コーナー過ぎから合わせて踏んで2着。
 「ジャンぐらいから(小林)則之さんがしっかり仕掛けてくれたおかげですね。出切ってから流さず踏んでくれたおかげで一本棒になった。あそこまでいってくれたんで、1着を取りたかったですね。満足できるデキではないけど、いつもよりキツめに練習してきたので疲れが抜けてくれれば」


<4R>

酒井雄多選手
酒井雄多選手
 前受けから下げた酒井雄多(写真)は打鐘で吉本卓仁と併走になるが、2センターで空いた内を逃さずに3番手を確保。最終2コーナー手前から仕掛けてバック線を先頭で通過。そのまま力強く押し切った。
 「吉本さんが切らなかったのは想定外でした。引くと、終わってしまうので、ちょっとでも前に前にと。3番手を取ったけど、スパっとまくった感じはしないですね。(落車後で)完全に良くなかった感じではないが、悪くはないので、4日間戦えるかなと。松山は(この1着でA級の時から7連勝で)いいレースができているし、走りやすい大切にしたいバンクです」
 大森慶一は酒井の動きにしっかりと追走して直線で抜きにかかるも、4分の3車身差の2着。
 「(酒井は)併走かと思ったら、内に潜っていって慌てて付いていった。3番手を取れてまくりにいくだろうと思っていていきましたね。バンクコンディションが重くて、引きずる感じがあってニュートラルに入らなかった。抜きにいったけど、出なかった」


<5R>

芦澤辰弘選手
芦澤辰弘選手
 中四国勢が主導権。川口聖二が外併走から最終2コーナー過ぎにまくる。蕗澤鴻太郎が内に包まれて、芦澤辰弘(写真)は伊藤正樹を軽く外に振りながら川口、山口泰生に切り替える。まくり切った川口の外を芦澤が突き抜けた。
 「あれでも蕗澤が外に持ち出すかなと思ったんですけどね。(川口)聖二も飛びかけていたし、もう一発もっていけば良かったんですけど。蕗澤が内に詰まって、聖二も勢い良かったのでうまくやられた感じですね。伸びきっているし脚は悪くないと思います」
 畝木努に切らせてもらえず、やむを得ずの中団外併走だった川口聖二はまくりで2着。
 「畝木君とはモガき合わず、蕗澤君だけを見ていた。全引きするかなと思ったんですけどね。ワンテンポずらして(最終)2コーナーではいきたかった。外併走で蕗澤君と勝負して、併走からまくれているので感じは良かったですね」


<6R>

小川真太郎選手
小川真太郎選手
 打鐘前の2コーナーで先頭に立った望月一成が先行態勢。前受けから7番手まで下げた佐々木豪は、望月がペース緩めると、2センターからすかさず巻き返す。佐々木が抵抗する望月を2コーナーでとらえて、ゴール前で小川真太郎(写真)が差し切った。
 「脚の感触は良くて、余裕をもちすぎて詰めながら付いていった。それで網谷(竜次)さんにキツかったんじゃないかと。今後はそういうところに気をつけていきたい。今日(初日)は先行選手の2人が風を浴びていましたから。競輪祭が悔しかったので、練習をしてきて、感触は上がっているかなと。今回から練習で使っていた自転車なんですよ。以前に平塚で1回だけ使ってボコボコにされたので、練習で部品を換えたりしてセッティングを出して持ってきた」
 地元の佐々木豪は小川には差されたものの自慢のスピードを存分に発揮した。
 「ジャンのスピード次第で、いくか、いかないか決めようと。顔見せの時にホームの向かい風がすごくて、いくのは迷った。けど、地元なので、気持ちで仕掛けないと、と。(最後の直線の)2回目の向かい風に耐えられなかったですね。脚を使って勝ち上がれたのでいいと思う」


<7R>

 樋口開土が門田凌を出させずに主導権をキープする。伊藤信が4番手で、門田は7番手に下げて打鐘を迎える。車間を空けた伊藤が最終2コーナー手前から踏み出して、番手まくりの河村雅章との踏み合いを制した。
 「8番(樋口)があんなに踏むとは思わなかったし下げた時に、どうしようかと思った。突っ張ってくれたので、展開も予想外に良かったですね。(門田が)来てても来てなくてもいこうと思っていたし、河村君も踏んだけどこらえられた。動けている感じはありますね」
 樋口の先行を利した河村雅章は、番手まくりで伊藤に応戦した。
 「伊藤君のスピードが良かったですね。途中までは合わせられたんですけど、最後は伸び負けちゃいましたね。そこまで踏んだ感じは悪くなかったです」


<8R>

 前受けの小林申太が上昇した石原颯を突っ張ると、中団は吉田茂生がキープ。石原は中団の中部勢と車間が空いてしまい、7番手まで車を下げさせられる。好位を確保した吉田は、最終の2コーナーの下りで仕掛けて1着スタートを切った。
 「打鐘で石原君にいかれたら、キツいと思って内に急いで入った。中団と思っていて、あとは石原君が来るか、来ないか、だけを見ていた。磯田(旭)さんに出ていかれる前に早くにいきたいと思った。今期はなかなかうまくいかないし、冬場は苦手だけど、頑張っていきたい」
 地元の渡部哲男は、後方から大外を仕掛けた石原のスピードをもらい直線で強襲。2着に食い込んだ。
 「石原君の駆ける意気込みは伝わったけど、相手の動きが想定外でした。結果、2着でリカバリーはできた。でも、予選なので1着を取りたかったですね。寒いし、バンクは重かったので感触は良くなかった。今日(初日)の1走では(自分の状態は)判断できない」


<9R>

 根田空史を警戒しながら石塚輪太郎が先頭に立つ。7番手に下げた根田は赤板2コーナーから巻き返す。石塚も合わせて踏み上げるが、根田がスピードの違いで主導権を奪取する。加藤圭一は付け切れず、3番手に石塚が飛び付く。が、石塚は仕掛けられず、番手の福田知也が根田を交わした。
 「ジャンからいってくれたんで、何とか(根田を)とらえられたかなという感じ。上がりタイムも良かったし、あの根田君を差せるだけの状態。チャンスをモノにしたいですね」
 1周半以上を駆けた根田空史が、さすがの先行力を見せて南関ワンツー。
 「風も強かったので前を取って引いてから、行けるところで行こうと思っていた。ホームの風が強かったので、先頭もキツいと思ったしペースが上がる前に仕掛けたかった。行きたいところで体が動いているので悪くないと思う。末脚がまだですけど、感じは問題ないですね」


<10R>

香川雄介選手
香川雄介選手
 打鐘で橋本瑠偉と、佐藤雅春が踏み合いになり主導権争い。橋本が佐藤を出させずに先手を取り切るが、前団と車間を詰めていた松本貴治の巻き返しも早い。松本は最終ホーム過ぎに仕掛ると、1センターで佐藤と接触はあったものの、抜群のスピードでバック手前ではまくり切る。追走した香川雄介(写真)が松本を差し切った。
 「終始、余裕はあって、抜けたので僕はいいのかな。(松本が出切ってからは)もう来るやつもおらんと思って、しっかりと抜くだけと。何とか抜けた感じ。今日は一次予選だったし、明日(二次予選)からが勝負」
 地元の松本貴治は約4カ月ぶりの実戦。今シリーズは大会連覇がかかるが、緊張の中で復帰戦を走り終えた。
 「(別線が踏み合いになったが)しっかりと車間は詰められていた。久々のレースだけど、悪くなかったです。(佐藤と接触があったが)いい勢いがついていたので、佐藤さんが外併走をしていたけど、バックを踏むのが嫌でそのままいきました。ホームは風が強い感じがしたが、打鐘でレースが始まってからは気にならなかったですね。緊張はしたけど、自然と体が動いた。(連覇の意識は)まずは1走完走できた。もう1走して少しずつですね」


<11R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 一本棒の7番手でタイミングをうかがっていた取鳥雄吾(写真)は、打鐘過ぎにスパートする。渡邉直弥を最終ホーム過ぎにとらえて、橋本強、濱田浩司までラインの3車が出切る。別線に出番を与えず、取鳥が押し切った。
 「(渡邉が)意外と早く切ってくれたので、一撃で決めようと思っていた。バックが思ったより流れなかったので苦しかったですね。(後ろが地元勢で)プレッシャーはハンパなかったですね。最後はいっぱいでフラフラ走ってしまってので、後ろに申し訳なかったです。重く感じましたけど脚は大丈夫です」
 2着の橋本強が取鳥を称える。
 「取鳥君が強気なレースをしてくれました。力が抜けていたし、周りの動きよりも、自分が付いていけるかどうかだけでしたね。バックは楽だったんですけど、踏み直しがすごかった。調子は日ごとに良くなっていくと思います」


<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 和田真久留が先頭に立ってペースを落とすと、南関勢の後ろは好位をめぐって位置取り争いに。3番手を稲垣裕之がキープ、山田庸平は車を下げて5番手、新田祐大(写真)が7番手まで下げたところからレースのスピードがアップ。和田は最終ホーム前の4コーナーくだりから加速して駆ける。後方に置かれた新田だったが、そこからの巻き返しは早い。和田の仕掛けにすかさず反応して踏み上げると、先に仕掛けた稲垣の外を力強くまくり切った。
 「(和田)真久留が抑え込んでくると思ったが、すんなり切りにいって、そのあとの動きが中途半端で残り1周になった。先頭が仕掛けるタイミングを遅くして、じわーっと行っていたので、早く仕掛けないと、やられると思って仕掛けた。自分が行くタイミングで稲垣さんも仕掛けていったので、その動きを見て外を力で踏み込みました。展開が向きましたね。踏み出しは悪くない。粘りは修正できると感じました」
 松谷秀幸は、稲垣のまくりをけん制して動きを止めたが、新田ラインに先を越されると、北日本勢にスイッチ。直線では鋭い伸び脚を見せて、前を走る阿部力也を交わした。
 「新田が(カマして)来ると思ったが、来なかったのが予想外。(最終バックでの新田は)止められない外を来ていたので、スイッチする感じでした。まさか(阿部を)抜けるとは思わなかったけど、自転車は出ているのかな。自転車などは何も変わらずに、体が良くなってきた」
 阿部力也は新田の仕掛けに追走するもワンツーを決めることができずに、松谷に後ろから交わされ、トップレベルを肌で感じていた。
 「新田さんにジカは初めてで、安心感と不安と、ドキドキと緊張感があった。打鐘で流されて、内に詰まっていたので、そこで行かれたら、付いていくのは厳しいと思った。何とか付いていけて良かったです。ものすごいスピードだったので、付け切って安心して、抜きにいけば、続けたかもしれないけど、抜きにいけるイメージがわかなかったです。松谷さんが強かった。(新田を)抜く脚がないと、GIでは戦えないと思い知らされた」