『松山競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月5日

 松山競輪開設72周年記念「金亀杯争覇戦」は12月5日にシリーズ最終日を迎えた。注目の決勝戦は、地元愛媛ラインを率いた松本貴治が先制。強敵・新田祐大が襲いかかったが、松本の番手で水際立った立ち回りを見せた橋本強が、迫る新田を退けて地元でうれしい記念初優勝を飾った。昨年大会の松本に続く地元選手の優勝に場内は大いにわいた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると、新田祐大が山田庸平を制して正攻法の位置を確保。新田-大森慶一、松谷秀幸、松本貴治-橋本強-渡部哲男、山田-香川雄介、稲垣裕之で最終的に隊列は落ち着いて周回を重ねる。
 青板2センターから山田-香川、稲垣で上昇。赤板過ぎに山田が誘導を切って先頭に立ち、中団は切り替えて続いた松本と引いた新田とで併走に。山田がスローに落していく中、新田を引かした松本が打鐘3コーナーでスパート。地元勢の主導権と変わり、4番手に内をすくった松谷で、その後ろに山田。一方、新田も地元勢を追って早めに巻き返して行く。一旦、中団まで上がった新田は最終1センターから一気に踏み出す。2コーナーでの山田のけん制は乗り越えて猛然と上がっていった新田だったが、3コーナーで橋本の絶妙なブロックを受けて勢いが鈍る。そのまま直線に入り、快調に逃げた松本を、橋本がゴール寸前で逆転。新田もすかさず立て直して大外を伸びてきたが、僅かに届かず2着まで。


橋本強選手
橋本強選手

 前回の開設71周年記念決勝でワン・ツー・スリーを決めた地元トリオが今回の決勝戦でも連係。松本貴治の先行に乗った橋本強(写真)が抜け出し、地元で歓喜の記念初優勝を達成。「こんなにうれしいのは初めて」と、喜びの声を上げた。
 地元記念は決勝で2回の2着があり、今年こそはとの思いで臨んだシリーズ。「(69周年記念で)哲男さん、(71周年記念を)貴治が優勝して、(自分は)2着2着ときていたので、優勝したい気持ちでした。初日、2日目と空回りをして準決から吹っ切れて走れました。体は仕上げてきたつもりだし、(準決から)セッティングを戻したら仕上げてきた通り出てくれました。二次予選が終わってからヤバイなという感じで、準決も切り替えて(取鳥)雄吾に申し訳ない気持ちだった」
 ゴール前で優勝を争った相手は今シリーズを圧巻の強さで席巻していた新田祐大。ゴール線では優勝を確信できないほどに力いっぱいハンドルを投げた。 「新田君が後ろから迫ってきたので、これ以上無理だというくらいハンドルを投げました。優勝したかは全然分からなくて、3コーナーのビジョンを見て、よし勝ったと思いました」
 今年は大きなケガも経験。順調とはいえない一年だったが、最後にビッグチャンスをつかんだ。
 「頸椎骨折の大ケガをして、家族にも心配をかけさせたけど恩返しができて良かったです。これで来年も頑張れますね。最近は若手の存在感が出てきて、自分の存在感が薄れてきていたので優勝できて良かったです。(目標は)またGIの決勝で戦いたいですね」

 3連勝で勝ち上がった新田祐大は連日、別格の強さを示していたが、別線の包囲網に苦しめられた。ゴール前は力ずくで外を迫ったものの2着。
 「(松谷秀幸の打鐘の動きでは)やりやすくなったけど、それ以外のレースの部分ですね。いろいろ考えてはいるけど、勝ち上がりでも、レースの全員が自分をどうやって倒そうかっていうレースになる。そこが一番のポイント。解決していくことで一段階上に上がれれば。レースの内容としてはまだまだ甘い部分が多いので」

 71周年記念を島川将貴の後ろから制した松本貴治。今回はあっせん停止からの復帰戦となったが、決勝は地元ラインの先頭で風を切って橋本の優勝に貢献した。
 「一番いい展開になりました。(山田)庸平さんもそうですけど、新田さんをみんなが警戒する展開になって。自分もしっかり自力を出せたし、ラインから優勝者を出せて良かったです。4コーナーを回って一瞬(連覇が)あるんじゃないかと思いました。(あっせん停止からの復帰戦で)初日はデビューしてから今までで一番緊張しました。みんなの力で決勝に上がれて決勝にはなるべく仲間を多く引き連れて上がりたかった。強さんは普段お世話になっている先輩だし良かったです。なにげに3着に残れましたしね」

 地元ラインを3番手で支えた渡部哲男の存在感は大きい。勝ち上がりでは「若い子がたくさんいるし、強もいる。自分は少しでも松山競輪を盛り上げられれば」と、献身的な姿勢がみられた。
 「強が優勝して良かった。お客さんがすごいいっぱい入ってくれるのはうれしい。声援もうれしかったです。(声援があるし)まだまだ頑張らないと。(地元記念は)少しでも決勝に乗るのが目標。こうやって3人が乗れて、前回はワン・ツー・スリー。今回はワン・スリー・フォーだったけど、前回も、今回も優勝はすごい」





次回のグレードレースは、「広島競輪GIII ひろしまピースカップ」が12月9日~12日の4日間に渡り開催されます。
今開催はS級S班から松浦悠士、守澤太志、和田健太郎が、地元広島からはSSの松浦を含む吉本哲郎、池田良、西岡拓郎、西田雅志、今岡徹二、藤井將、町田太我が出場予定です。
本年記念6Vの松浦が地元記念でも貫禄のVとなるか、他の若手・有力選手、SS班選手が待ったをかけるのか、注目です。
11月28日時点の出場予定選手データを分析した、「広島競輪GIII ひろしまピースカップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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