『道後温泉杯争覇戦(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月14日

 松山競輪場で開催されているGIIIナイター「道後温泉杯争覇戦(GIII)」は、10月13日が大会初日。ガールズケイリンは山原さくら、鈴木美教、柳原真緒が順当に勝利を収める一方、激戦シリーズのS級戦は初日から大荒れに。3連単万車券が5本飛び出し、地元の渡部哲男が白星スタートを決めたメインの特選レースも3連単は3万5千円超の決着となった。2日目の10月14日は、ガールズケイリンが予選2、S級は二次予選6個レースで準決への勝ち上がりを争う。
 開催中は、毎日、14時30分から先着300人様にオリジナルグッズをプレゼントします。また、CTC×松山競輪のコラボキャンペーン、松山競輪視聴者プレゼントなども予定されています。なお、松山競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 藤原春陽が前を取り、人気の山原さくらは周回中に4番手の位置取り。打鍾を過ぎて誘導が退避しても隊列に動きはない。打鍾過ぎ4コーナーで3番手から渡部遥が仕掛けると、これに反応した藤原が踏み上げてペースが上がる。渡部を追った山原は、最終1センターからまくり上げる。渡部を突っ張って逃げる藤原をあっという間に飲み込んだ山原が、追走の廣木まこも一切寄せ付けずに力強く押し切った。
 「(初手の)並びのようなそのままの展開だと思っていました。渡部さんはいつも積極的に動いていると思ったので、勢いを貰っていければって。でも藤原さんも合わせたり突っ張る動きもするので、渡部さんが合わされたら自分でいかなきゃなって思っていました。バックの向かい風は強かったんですけど、いつも通り行けたのかなって。今回はGIIIの4日制で1レース1番車は初めてで緊張しましたけど、いつも通りに走れました」
 初手から山原を追っていた廣木まこが2着をキープした。
 「1番車に山原さんがいて、近い枠だったので後ろが取れればと思っていました。(道中で誰かに)追い上げられないよう必死でした。初手で良い位置が取れて展開が向いたんですけど、バックの風が強くていっぱいいっぱいでした。2日目は展開に恵まれなくても自力自在に動けるような心つもりでいたいと思います」

<2R>

鈴木美教選手
鈴木美教選手
 赤板で6番手から佐伯智恵が動き出し、4番手の鈴木美教(写真)にフタをする。佐伯に塩田日海が続き、包まれるのを嫌った鈴木は6番手にサッと下げる。打鍾で誘導が退避し、スローなままレースが進むと、3コーナーから鈴木がカマす。あっさりと先頭に立った鈴木がレースを支配し、そのまま一切失速せずに逃げ切った。
 「(追い上げられたが)内で粘るメリットがないので、すぐ引いてすかさず行こうと思ってました。(仕掛けのタイミングは)決めていなかったけど、前が緩んだので、早かったんですけどここで行こうと。朝起きた時に腰に違和感があって、嫌な感じがあったけど1着を取れてよかった。影響は多少はあるけどしっかりケアをしていきます」
 初手から鈴木を追った橋本佳耶が2着に流れ込んだ。
 「(初手で鈴木の後ろが取れて)しめしめとしか思わなかったですよ(笑)。(佐伯)智恵が追い上げてくるかと思ったけど、(鈴木に)フタをしてくれたので絶好になりました。あわよくば差せればと思ったけど、脚がないのが分かりますね。軽いって感じはないけど、松山は好きなバンクなので大丈夫。修正点はないので、このまま突っ走ります」

<3R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 スタートは高木佑真が先頭に出て、柳原真緒(写真)は3番手から組み立てる。日野友葵が打鍾前から柳原後位に追い上げて、4番手の猪頭香緒里は柳原の内をすくって位置を上げる。高木がなかなかペースを上げずにいると、柳原は最終ホーム入り口からスパート。高木を叩いて先頭に立つ。そのまま一周を踏み切った柳原が逃げ切りで危なげなく白星発進を決めた。
 「(初手の位置は)ちょっと前過ぎるなって。押さえに来られたら引く準備はしていました。自分のペースで行きたかったんですけど、詰まるのが早すぎて行ってしまった感がありますね。もっと駆け切れれば良かったんですけど、バックの風が強くて。ホームの追い風で駆け切れれば良かったと思います。でも、初日としては踏めているほうだと思います」
 柳原後位に飛び付いた高木佑真は空いた車間を詰めて2着に入った。
 「最近は結構、仕掛けようっていうのが自分の中で一番なのでS取りは考えていなかったんですけど、誰も出なかったので。風も強かったので前々勝負もありかなって。柳原さんが下げたら駆けてもいいかなって思ったんですけど、3番手にいてその後ろが併走だったので。(番手にハマって)最後に詰め寄れれば良かったんですけどもうちょっとですね。状態は結構よくてダッシュにも反応はできました」

<4R>

栗田貴徳選手
栗田貴徳選手
 赤板過ぎに貴志修己が河端朋之を切り、格清洋介が打鍾で叩く。7番手に下げ切っていた河端は、打鍾過ぎ1センターから一気に巻き返す。怒涛のスピードで出切った河端だが、最終4コーナーで失速。中四国ライン3番手から外を踏んだ栗田貴徳(写真)が鋭く突き抜けて、地元で嬉しい1着をつかんだ。
 「(最終3コーナーから)1番(齊藤竜也)と併走だったので、前に車輪をかけながら併走してしのごうと思ってました。その辺は追い込みとしての嗅覚が付いたのかな。そしたら河端君がタレてきて、佐々木(則幸)さんがヨコに並んだのでそのまま踏ませてもらった。河端君の3番手で初速に付いて行けたことが収穫です。岐阜記念に行く前から手応えがあって、岐阜記念の3、4日目と犬伏(湧也)に付いて行けたり、9番手からしのげたり、状態がよかった。A級から地元では1着が多くて、初めての地元GIIIでましてや1着なんて。盆と正月とクリスマスが一緒に来た(笑)」
 河端をかばい気味に踏んだ佐々木則幸は2着。目標の河端が8着まで沈んでしまい、複雑な表情でレースを振り返る。
 「あのパターンになるし、付いていけるかどうかでした。口が空いて、なんとか追いついて。残せればよかったけど自分に余裕がなかった。もうちょい追い込むのが遅ければ残せてたのかな。前回は河端君の3番手で千切れたし、付いていけただけ前回よりはましです」

<5R>

 前受けの稲毛健太は、三登誉哲の上昇を突っ張って出させない。三登が下げると、すかさず松尾信太郎がインを切り、笠松将太が打鍾で叩く。笠松は最終ホームを過ぎても流し気味で、中バンクに上がって他をけん制。6番手の稲毛が内を突いたタイミングで、笠松はスパートする。稲毛は内に包まれ不発で、巧みなペースで翻弄した笠松が逃げ切った。
 「(初手の並びは)理想かなって思いました。でも、ちゃんと切るところを切らないとなって思ったので。じゃないと踏まされるので。風が強くて詰まってしまったんですけど、稲毛さんを見て、そのあと三登さんを見てって感じで駆けました。GIIIで初日に1着なのは初めてなので嬉しいですね」
 笠松マークの佐藤真一は差し迫るも2着。
 「前の方からって感じだったので。やっぱり稲毛君の動きはみんな警戒をしていたと思うので。笠松君も(出切ったあとに)なかなか駆けなくて、スピードを調整しながらでした。最後に差せれば一番良かったんですけどね。前回の小倉が良くなくて、マッサージを入れて来たら軽く感じました」

<6R>

 赤板で磯島康祐が中西大を勢いよく切り、鈴木陸来が打鍾で叩く。下げた中西だが、鈴木が出切るとすかさず巻き返す。この仕掛けに濱田浩司は離れ気味で、最終ホームで内に降りてしまう。中西後位にハマった鈴木だが、いっぱいで仕掛けきれず、4コーナーで鈴木の内を踏んだ福田知也が、中西を外から鋭く交わして1着。
 「スタートで中団が取れて中西君が前を取ったから思っていた通り。中西君が前を取ったからすぐに来るのは分かってたので、後は(鈴木)陸来の踏み方次第。合わせられるようならそれでいいけど、踏み合うよりは番手にハマるくらいのペースで踏んでくれからよかった。濱田さんが降りているのが分かったし、あえて中西君は邪魔せず出させるって判断でした。被ってコースがなくて、陸来に申し訳なかったけど当たらないように内に行って、思ったよりも伸びた。前回よりはかなり良いですね」
 後方に置かれた磯島康祐は、立て直して最終2コーナーからまくる。前をまくり切ることはできなかったが、勢いを貰った須永優太が2着に強襲した。
 「車番が悪くて後ろ攻めになって、思ったよりも巻き返しが早かったから後ろになったけど、磯島君が仕掛けてくれてよかった。もっと別線がラインで踏み合ってくれたらよかった。隊列が整っちゃったので前が遠かったですね。点数が上がると展開に恵まれることが多いけど、恵まれないときにどうやって確定板に入るか。そこを課題にして考えてやっています」

<7R>

岡崎智哉選手
岡崎智哉選手
 後ろ攻めとなった岡崎智哉(写真)は、中団の太田龍希にフタをしてから赤板過ぎに大川龍二を切る。巻き返した太田が打鍾で叩き、受けた岡崎はすんなり中団を確保。最終2コーナー過ぎからまくり返した岡崎が、関東勢をねじ伏せて1着。
 「スタートでけん制が入れば前でもいいかなって思ったんですけど、太田君が出て自分は内に詰まってしまって動けなかったので。押さえて駆ける組み立てでジャンで踏んだんですけど、それ以上に踏んできたので。ホームで行ければ一番良かったですけど、後ろからも来ていなかったので。初日ですし、堅くいきました。前回からフレームを戻していい感じですね。神山(雄一郎)さんと並んだ時に力んでしまったのでもうちょっと技術が上げれば」
 岡崎マークの渡辺十夢が2着に続いた。
 「(岡崎に)もう好きなように走ってもらおうと思っていました。最近の松山は初日の成績が良かったので自信はあったんですけど、岡崎君が強かったですね。全然、抜ける感じはしなかったですね」

<8R>

 藤井栄二が前受け。宗崎世連、渡邉豪大の順で切ると、下げた藤井は山岸佳太の動きを制して打鍾で叩く。これで立ち遅れた山岸は四国勢の内をすくって位置を上げようとするが、宗崎と接触して落車。掛水泰範も乗り上げてしまう。藤井は徐々にペースを上げて先行。そのまま逃げ切るかに、3番手で脚をためていた渡邉がゴール前で外から鋭く突き抜けた。
 「想定していた並びと違って、山岸君と藤井君が逆だと思っていた。自分は前から2番目が取れたから想定通り。自分が切った時に、藤井君と山岸君の位置が入れ替わっていた。とりあえず藤井君を出させて3番手を取って、山岸君がカマしてくるようならスイッチしようと思って車間を空けていました。脚を使っていなかったから、もうちょっと伸びるかなと思ったけど、踏んだ感じがよくなかった。セッティングを変えたので、もうちょっと煮詰めたい」
 藤井栄二は瞬時の判断で山岸を後方に追いやり、得意の先行の形に持ち込んで2着に逃げ粘った。
 「他が切った時に山岸さんが遅れているのが見えたので、先に切った方が山岸さんを後方に置けるなと思った。昨日(前検日)の指定練習では風を感じたんですけど、今日はましだったからバンクコンディションがよかった。展開が向いたのと、近藤君がスタートを取ってくれたのが全て。もうちょっと自転車との一体感を出したいので、セッティングを修正します」

<9R>

新田康仁選手
新田康仁選手
 赤板で中団から真船圭一郎が先に切り、その上を原田亮太が押えて先頭に立つ。佐々木豪は7番手で構えて原田が主導権。最終2コーナーから真船が先まくりに出るが、これを新田康仁(写真)が痛烈にブロックする。佐々木豪も外に浮いて不発となり、返す刀で前に踏んだ新田が先頭でゴールした。
 「(後ろ攻めとなったが)どっちが前でもとにかく(原田が)先行っていう感じだったので。巧くペースで駆けてくれましたね。あとはもう自分がほかのラインを潰すだけだと思ったので。小菅(誠)君も内を締めていてくれましたし、持ち場、持ち場でやることはできたと思います。3人で決まれば一番良かったですけど。悪くなかったと思います。しっかりとケアをして疲れを残さないように」
 真船のさらに外を踏んだ庄子信弘が2着に強襲。
 「(展開は)ああいうイメージで考えていました。(原田が)いい感じのペースで駆けていたので、真船君も無理やりいった感じだと思うので。番手が新田さんだったので、張りにいってダメなら踏むかなって思って(自分は)外を差し込んでいたので。状態は良いと思います」

<10R>

森川大輔選手
森川大輔選手
 中村隆生は中団の南潤にフタをして赤板を通過。中村は2コーナーから前を叩きにいくが、これに反応した高橋晋也が突っ張り気味に踏む。中村隆は無理矢理高橋を叩いて先頭へ。関東勢を追った南潤は、最終ホームですかさず巻き返して中村隆を叩く。南の番手で車間を切った森川大輔(写真)が、詰める勢いのままにゴール前で差し切った。
 「南君がレースの流れに臨機応変に対応して行ってくれた。(最終)バックまでは後ろを確認する余裕がなかったけど、バックでは九州が後ろにいるのは分かった。掛かりからしてもすぐには来れないとは思ったけど、4コーナーで一気に来られるのが嫌で車間を切った。できればワンツーを決めたかったけど、その辺は勉強していきたい。疲れはあるけど、日に日にそれが取れてくれれば」
 中近勢を追った久島尚樹が森川に続いて2着。
 「切った上を叩くか、6番(中村隆生)のやる気次第ではそこの4番手と思ってた。(中村隆が)押えに来るのが遅くて、予想と違ったけど南君が仕掛けたからそこには付いていこうと。付いていかないと駄目だと思って、きっちり車間が空かずに付いて行けた。(最終)3コーナーで踏んだけど、進まなかった。感じは悪くないです」

<11R>

 津村洸次郎が赤板で犬伏湧也を切るが、この動きに別線は続かない。後方となった黒沢征治は内から位置を上げて、犬伏をすくって津村を叩く。3番手外で津村と併走になった犬伏だが、打鍾過ぎ2センターで仕掛けて一気に関東勢を叩き切る。最終ホームでは中四国3車で綺麗に出切って別線は反撃できない。マークの堤洋は直線で犬伏に詰め寄ると、タイヤ差で差し切った。
 「(犬伏と)連係は初めてでしたけど、練習では何回もあるので。でもみんな千切れているのを見ているのでビビっていました(苦笑)。津村君が切ったあと誰も来なかったのでパニックになっているかなって思ったんですけど、外併走から行ってくれたので助かりました。抜けるとは思っていなかったので自分が一番びっくりしています。前回が良くなかったのでセッティングを見直して良くなりました」
 犬伏湧也はイレギュラーな展開にもしっかりと対応。2着もパワーと冷静さが光った。
 「変に中団からでペースを落とされてフタとかされるのが嫌だったので、前からでも問題ないかなって思って。(津村の動きに)全員ついてくるのかなって思ったんですけど。(黒沢が内からすくってきて)ちょっと焦ったんですけど、そのあとは冷静に対処できたと思います。タイムがあんまり良くなかったので納得していない部分もあるんですけど、踏み直しはできたかなって。ジャンの所で張られたときに脚を使ってしまったのかなって。(一場所休んで体は)しっかり修正はできたと思うので、レースの組み立てだったりをしっかり」

<12R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 根田空史が赤板で九州勢を突っ張る。松川高大は3番手に入り直して、根田は一旦スローペースに落とす。打鍾前から早目に巻き返した杉森輝大が迫るが、反応した根田が踏み上げて主導権を譲らない。杉森が外に浮くと、武田豊樹は3番手の位置に降りる。最終2コーナーからまくった菅田壱道を、渡部哲男(写真)がブロック。これで空いた内を武田がすくって抜け出すが、なんとかこらえた渡部が外から差し返して地元GIIIを1着でスタートさせた。
 「根田君の頑張りに尽きます。前は取りたくなかったんですけど、出る様子もなかったので前からになりました。杉森君のまくりが早かったのが誤算でした。(菅田を張って)すぐに内を締めたんですけど、俊敏に入られてしまった。そこは自分のミス。その後リカバリーはできました。全体的にタイムが出てなかったし、重いのかな。それを差し引けばいいんじゃないのかな。腰は万全じゃないけど走れる状態です」
 武田と渡部の間を割るようにして踏んだ木暮安由が2着に突っ込んだ。
 「コースを見定めて突っ込むだけだと思ってました。(渡部)哲男さんに当たりながらだったんですけど、出はよかった。フレームを変えてよくなりましたね。もうちょい体調を整えたい」
 武田豊樹は俊敏に立ち回って確定板に食い込んだ。
 「3車だったので、先行主体に考えていたけど根田君は先行力があるので、流れを見ながらでしたね。杉森君が併走する形だったので切り替えさせてもらった。内が重かったけど、木暮君もいるので迎え入れて、迎え入れての競走にはならないように意識していた。もうちょっと伸びは欲しいかな」