『松山競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:11月3日
 松山競輪開設65周年記念「金亀杯争覇戦」は11月3日、4日間の熱戦に幕を下ろした。
 注目の決勝戦は各ラインが力を出し切るハイレベルなレース展開に。単騎でまくった石井秀治の上を行った平原康多と矢野昌彦の番手から前に踏んだ神山雄一郎で壮絶な優勝争いを繰り広げたが、直線一気に外を伸びた井上昌己が優勝をさらった。
決勝戦 レース経過
 号砲で各車見合った状態から平原康多がゆっくり出て行く。正攻法の平原に後閑信一―齊藤努が付けて前団、中団に単騎の石井秀治、松岡貴久―井上昌己―橋本強、矢野昌彦―神山雄一郎が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 赤板前から矢野が上昇すると、合わせて松岡も中団から踏み上げる。矢野が赤板過ぎに先行態勢に入り、松岡がこの3番手を確保。一旦連結の外れた井上だが、打鐘で追い上げて松岡に付け直す。平原は下げて7番手で態勢を整える。矢野がハイペースで逃げる中、単騎の石井が最終ホーム6番手からスパート。これに合わせて松岡も3番手からまくり上げる。さらに最終バックでは神山が松岡をブロックしながら番手まくり。平原も大外を踏み上げて、まくり合戦に。激しい踏み合いを制して平原が直線で先頭に立ったが、最終4コーナーで車を外に持ち出した井上がイエローライン付近を鮮やかに突き抜けた。2着に平原が入り、番手まくりの神山は3着。

井上昌己選手
井上昌己選手
 記念優勝は昨年5月の平塚以来。「1年ぶりぐらいっすよね? よかったです」と井上昌己(写真)は笑顔を見せる。一度は松岡貴久との連結が外れ、最終3コーナーでは4車併走の後ろになったレース展開。「危なくて、ビクビクしてた」と振り返ったが、4コーナーから単独で外へ持ち出すと、神山雄一郎、平原康多で争う外を鮮やかに突き抜けた。
 「脚はけっこうたまってました。前の争いも冷静に見れたんで。危なかったけど、見てる人は面白いレースだったでしょうね。届くところまでと思ってたら意外に伸びました」
 追加参戦だった今シリーズは競輪祭へ向け、連日セッティングを試していた。「今回は色々試したけど、準決勝が一番悪かったんで。でも今日はよかった。あとは練習で微調整して」。本番を前にセッティングのメドは立った。「地元地区だし緩められない」と話す、競輪祭を目前に記念優勝という最高の形で弾みをつけた。

 2着には平原康多。今シリーズは連日、平原らしい機敏で力強い走りを見せたが、僅かに優勝には手が届かなかった。
 「(関東で)ワンツーと思ったけど、やり合った分ね。でも、展開の作り方が最悪。前を取らされる形になったからしょうがないところもあるけど力不足。全部を含めて力不足です」

 鋭いキメ脚を連発しシリーズを盛り上げた神山雄一郎も開口一番「一杯だ」と話すと、壮絶な力勝負を振り返った。
 「矢野の頑張りに応えたかったけど、自力選手が強かったね。(3コーナーで)石井の外に康多がいたし、しょうがない。(2人での争いを制した)平原は強かった」

 地元記念初優出の橋本強は直線で内に進路を選んだがコースが空かなかった。
 「いやあ、面白かったです。2コーナーでドキドキしよった。力みすぎて(内に差し込んで)、あそこでムダ脚を使いました。外は無理だと思って、イチかバチかで入ったけどコースがね。神山さんが上手かった」

 単騎の石井秀治はホームからの巻き返しで栃木コンビに襲い掛かった。
 「(ホームで)詰まったから、そこから。でも最後は(神山、平原と)アンコになって危なかったね。でも力は出し切れたんで。松岡君の上を行けてるし、いいんじゃないですか」

 3番手まくりで記念初優勝を狙った松岡貴久は「(優勝が)遠いなあ。力不足ですね」と悔しさをにじませた。

ゴール
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