『被災地支援競輪松山競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月19日
 平成28年熊本地震被災地支援・松山競輪開設67周年記念「金亀杯争覇戦」が今日から開幕した。メーンの特選は渡邉晴智、中村浩士に浅井康太が快勝。注目の109回生は6Rの竹内翼が2着、8Rの太田竜馬は1着でそろって二次予選に勝ち上がった。明日、2日目は優秀の「道後マドンナカップ」をメーンに二次予選6個レースで準決勝進出が争われる。
 明日は先着入場600名様に坊っちゃん団子をプレゼント。愛媛のレジェンド・伊藤豊明氏&瀬戸風バンク応援隊長・宇都宮基師氏による早朝予想会や山田裕仁氏、山口幸二氏による予想会も引き続き予定されています。明日もぜひ松山競輪場でトップレーサーたちの熱い走りをお楽しみください。
<1R>
 オープニングレースを制したのは東龍之介。打鐘から主導権を握った高橋幸司を3番手確保から巴直也がまくるとゴール前で差し切った。
 「巴さんがうまくインを切って、行ってくれたし落ち着いていました。高橋さんが先行するだろうなと思ったので作戦どおりにいきました。いい展開になってくれました。自分は(周りを)見ながら踏めたし、余裕はあった」
 巴直也は動いて、位置を取って、まくってと冷静なレース運びでラインを上位独占へと導いた。
 「高橋君が前受けの時点でカマシだと思いましたね。谷口さんが切った上をいければいい位置取れると思った。ラインで決まっているし仕掛けどころはバッチリ。最後は東君に抜かれているけど、踏んでから出切れる感じはあったしバンクも軽かったので脚は悪くない」
 谷口明正は巴のまくりを追って外に持ち出したが惜しくも5着で二次予選進出ならず。
 「仕掛けるタイミングはあそこでよかったと思うけど、東君に見られていて外に振られたのが痛かった。練習をしてきて調子はいいだけにもったいない」

<2R>
 打鐘前に斬った八谷誠賢を中井勇介が押さえて前に出る。3番手に収まった八谷は4コーナーから仕掛けて主導権を握る。最終ホームで石井毅をどかして九州コンビを追った中田雄喜が3番手外併走の態勢から力強くまくって激戦を制した。
 「組み立てはめちゃくちゃでした。内が空いていたから八谷さんをどかして仕掛けようと思ったんですが、踏まれてしまったので、付いていきました。外併走で焦ったけど無理やり仕掛けました。脚を使いながらも行けているんで悪くないですね。練習してきた甲斐がありました」
 八谷に叩かれた中井は3番手の内で粘る。池田智毅は最終2コーナーからまくった中田の後位にスイッチして2着に流れ込んだ。
 「中井君が前々に踏んでくれたおかげですね。余裕を持って(中田に)付いていけました。ここに来る前は体調を崩してガタガタだったんですけど、勝ち上がれてよかったです」

<3R>
小笹隼人選手
小笹隼人選手
 掛水泰範が主導権を握った上をすかさず小笹隼人(写真)も叩きに行くが志村龍己が踏み遅れたのを確認すると中団取りへ作戦を変更。2コーナー手前からまくり上げると、続いた坂上忠克とワンツーを決めた。
 「ほんとは切った上を行きたかった。たまたま志村さんの口が空いたからまくれただけだし、先行にこだわらなアカンですね。脚は余裕あったけど、気持ちの面で。(中団に)入ってしまったんで。明日は主導権取りたいです」
 小笹を交わせなかった坂上忠克は悔しさをあらわにする。
 「小笹があんなに強いとは…。中団に入れなかったらそのままカマして行ったと思うし、作戦も後ろから。自信があったんじゃないですか。強かったですね。俺も悪くないんだけど悔しいです」
 小笹に中団を奪われた志村龍己は反省することしきり。
 「中団で踏み遅れてるし、調子が悪い。ヤバいです。僕にとってあそこ(中団確保)は生命線だし、下から(踏んだから)とか関係ない。ちょっとよくないですね。(原因は)アップですね。ちょっと疲れてる感じがあるので、今日ゆっくり休んで明日に備えます」

<4R>
 服部克久の動きに続いた市川健太が打鐘前に前に出ると、そこを小林史也が叩いて主導権を握る。3番手から巻き返した市川の出はひと息。人気を背負った服部克久も打鐘過ぎに落車した山本奨をよけるのに脚を使ったのか伸びを欠く。上手くペースに持ち込んだ小林が今日最初の逃げ切り勝ちを収めた。
 「仕掛けるタイミングはあそこ(打鐘)しかなかった。バックは重かったけど、出切ってからはペースで踏めていたし1着取れてよかった」
 小林を追走した松尾淳が2着に流れ込んだ。
 「(小林を)残しにいこうと思ったけど、思い切り踏み直された。ホームから2コーナーと踏み直しがすごかったし、強かった。和歌山のほうが感触はよかったので、しっかりセッティングなど調整していきたい」
 まくり不発の市川後位から中近勢に切り替えた関貴之だったが中割り及ばず3着まで。
 「市川さんが仕掛けてくれたので自分のスペースが空いてくれた。間を割りたかったね。前はかかっていたし、けっこう強かった」

<5R>
中田健太選手
中田健太選手
 打鐘前に飛び出した才迫開がそのままペースを上げていくが、3番手外併走を嫌った吉田茂生が最終ホームで強引に叩いて先行策に出る。後方7番手となった矢野昌彦はすかさず反撃。好スピードで前団を一気に飲み込んで関東ライン3車で上位独占の態勢。最後は番手の中田健太(写真)が追い込んで、矢野と1着を分け合った。
 「矢野さんがドンピシャのタイミングで仕掛けてくれました。抜けないかと思ったけど、付いていく分には余裕がありました。(11月川崎で)落車してから父(健二・56期)に相談して、練習内容を思いっきり変えました。アマチュアのころのように乗り込み中心で、先行もしていたときの内容ですね。やっぱり楽をしていては勝てないと思って。その成果も出てきていると思います」
 1着同着の矢野昌彦は好調時のスピードを取り戻しつつある。
 「スピードの乗りはよかったと思います。股の腫れは大丈夫だけど、座り心地がよくなかったので、サドルの微調整は必要ですね。でも、90パーセントぐらいは出せているし、もうちょっとです」

<6R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 後ろ攻めの竹内翼をけん制しながら打鐘で矢口啓一郎(写真)が前に出ると、竹内は3番手で外併走。2センターから仕掛けるが、番手の溪飛雄馬が離れてしまう。代わって矢口が竹内を追いかけると、車間を詰めた勢いでゴール前逆転した。
 「(溪が離れる)そこまでは考えてなかったけど、最近自分自身で煮え切らないところがあったんで。前回から戻ってる感じはあったし、前々に踏んでけば大丈夫という感覚はあった。その感触をレースで出すには開き直って駆けるしかないなと思って。1周なら駆けられる感じは戻ってるので、キツかったけど少し余裕はあった。気持ちと体が少しかみ合ってきたし、いきなり戻ることはないので、その積み重ねをしていきます」
 2着に逃げ粘った竹内翼だが口を突くのは反省の弁ばかり。
 「(打鐘で)出て行けばよかったけど、一瞬見ちゃった。2センターでフワッとなって溪さんもキツいだろうけど、出ないとと思った。申し訳ないですね。緊張はなかったし、楽しもうと思ってやったけど構えてる部分があった。反省しないといけないですね。脚の感触は悪くないけど、予選で1着取れないとダメ。今日は反省しかないです」
 矢口マークの浦川尊明が3着に食い込んだ。
 「作戦的にはあんな感じ。(矢口は)自力で仕掛けたいとは言ってたけど、2人でからむとなるとあんな感じなんじゃない。まあワンスリーだしね」

<7R>
 スタートけん制が入り、しびれを切らした川村晃司が前受け。先に動いた亀井久幸が叩いてきた坂本周作ラインを受けて4番手を確保する。戦況を見極めて亀井が最終2コーナーからまくると一気に前団を飲み込む。好展開を生かした番手の飯尾主税が直線抜け出した。
 「ホームで前がかかっていなかったら行くと言っていたけど、亀井君は落ち着いていましたよ。自分は付いているだけだったけど、1着取れて気持ちはいい」
 中団まくりで別線を撃破したのは亀井久幸
 「車番が悪かったので(初手は)前か後ろしかないと思った。ただ、前なら後方になる確率が高いし、(スタートで)我慢して後ろ攻めになってくれてよかった。自分のタイミングで仕掛けることができたし、外を踏んで勝負することができてよかった。一時期よりかは状態も良くなっている」
 大敗を喫した坂本周作が果敢に攻めてレースを作った。
 「出切ってから、川村さんがいつ来るのか警戒していてずっと踏みっぱなしでキツかった。ただ長い距離を踏んで次につながるレースはできた」

<8R>
 太田竜馬が打鐘過ぎに久木原洋を叩いて先制。そのままハイピッチで駆けてレースを支配。圧巻のパワーで人気に応えた。
 「後ろ攻めから押さえ先行と決めてました。後ろで(梶應弘樹が)粘られたのは分かったけど、1周半逃げ切るのが自分の仕事ですから。ペースで踏んで、バックからまた上げていけました。最後までしっかり踏めました。(ラインで)決めたかったんですが、難しいですね。前回よりも状態はいいと思います」
 太田マークの梶應弘樹は最終バックから徐々に離れ、直線は高木隆弘とからんで、梶應、高木、須藤直道の3人が落車した。最終2コーナー、6番手から懸命にまくり上げた小林則之が2着に入った。
 「久木原君が位置取りにこだわったおかげで展開が向きました。まくってやろうと思ったけど届かなかったですね。腰の状態は問題ないんですが、いまいち力が入らなかったです。明日はもっとよくなると思います」

<9R>
竹村勇祐選手
竹村勇祐選手
 前受けの取鳥雄吾は下げて打鐘では7番手に。そこから4コーナー山おろしで仕掛けて出切ったときには前で決まったかと思われたが、瀬戸内ラインを4番手で追った竹村勇祐(写真)が直線鋭く突き抜けた。
 「取鳥君が来るのか来ないのかわからなくって。(来たときに)飛びつこうと思ったら西岡(拓朗)さんのところはスピードが違って、小川(圭二)さんのところは失敗した。でも余裕はあったんで(4番手から)ゴール前勝負だと思ってたら武藤(篤弘)さんに飛びつかれたんで慌てて踏んだら思ったより出た。初日で飛ぶと4日間長いんでよかったです」
 竹村に続いた鈴木誠は笑顔でレースを振り返る。
 「勇祐が苦しいながらも行ってくれたんで助かりました。3番手強引に飛びついたら危ないぞと思ったけど、冷静に立ち回ってくれたおかげで僕も2着。走った感じも悪くないですね」
 カマした取鳥雄吾は3着に敗れた。
 「体が疲れてますね。でも悪いなりにはなんとかできた。直前にウエイトをしすぎましたね。踏めてるけど重たいんで、しっかりケアします」

<10R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 インを切った中川誠一郎がペースを緩めると、根田空史がすかさず叩いて出る。小嶋敬二をドカして菅田壱道が中団を確保すると、中川は絶体絶命の8番手に。すんなり駆けた根田が別線の巻き返しを封じると、番手の渡邉晴智(写真)がゴール寸前で根田をとらえた。
 「根田のかかりがよかったし、彼は相当調子がよさそうだね。僕は気を遣ってもらって1着を取らせてもらった。追加でも1着を取れているし悪くない。今日は全て根田のおかげです」
 根田空史は別線を完封する力走を披露した。
 「少し(中川)誠一郎さんの動きが中途半端で戸惑ったけど、落ち着いて動けたし自分にとっては理想の展開になりました。今日はスンナリ駆けられたのもあるけど、今回からチェーンを新品に変えてセッティングも変えたことで車の進みが全然違う。感触はいい」
 ライン3番手を固めた岡村潤が流れ込んで南関勢で上位独占を決めた。
 「展開が良かった。3番手で自分のやる事はしっかりできた。個々の仕事はみんなしっかりできていたと思う。余裕はあったけど、根田君が強かった。脚は変わらず良い」
 中団を取った菅田壱道だが、不発に終わり悔しい表情を浮かべる。
 「鐘のところで誠一郎さんが突っ張ってくれればまた展開は違ったけど、あれでは根田にスンナリ駆けさせてしまう展開。前がかかっていたしキツかった」

<11R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 後ろ攻めから早めに動いた近藤隆司が赤板で誘導員の後位に入る。前受けから下げた原田研太朗と中村一将が4番手で併走。これで覚悟を決めた近藤が打鐘過ぎの2センターから先行策に出る。最終2コーナーで単騎の根本哲吏が3番手からまくる。これをブロックした中村浩士(写真)が直線で鋭く追い込んで快勝した。
 「近藤が後ろを見ながらうまく駆けていたんで大丈夫かなって。4番(根本)がまくってきたので、そこは自分の仕事をしっかりしようと思いました。今日は前のおかげです。僕も安定したいい状態が続いています」
 近藤隆司は予想外の先行策。それでも長い距離をペースで踏み切って3着に粘り込んだ。
 「どっち(のライン)も積極的だし、来れば引いて中団と思っていたんですけどね。突っ張りは考えていなかったけど、そのときの流れで対応できました。打鐘から7、8割で踏んで、徐々に上げていきました。相手にそういう風に駆けられたら嫌だっていう走りを自分ができたので自信になりました。日に日に体の感じはよくなると思います」
 中村をどかして外に持ち出した原田研太朗がまくり追い込みで2着に強襲した。
 「中村さんにフタをされたけど、叩くかなって思っていたし、付いていって勝負しようと考えてました。思っていた展開と違いました。(近藤の)すんなり先行だし、ホームでも流してましたからね。3コーナーを登っていく感じで、最後の下りで伸びました。自分だけ届く形になって後ろには申しわけなかったけど、組み立てとしては間違ってなかったと思います」
 3番手からまくった単騎の根本哲吏は不発に終わった。
 「単騎でも位置を取って、しっかり自力は出せました。結果は出なかったんですが、納得はしています」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 6番手の松浦悠士にけん制されたことで8番手の高橋和也の上昇が遅くなってしまう。すると前受けの山崎芳仁が打鐘から誘導員を下ろして主導権。2コーナーから荒井崇博がまくると、高橋後位から九州勢の後ろに切り替えていた浅井康太(写真)が直線鋭く伸びた。
 「(高橋が合わされたが)しっかり判断できたんで。でももうちょっと出てくれればって感覚はある。雪の影響もありますね。自分で行こうとしたら和也を目標に荒井さんも行ったんで。優秀は次のG1へ上積みを作るために自力でやりたい」
 山崎の先行で展開が向いた荒井崇博は2コーナーまくりで2着に。
 「俺が勝つにはあれしかないなっていう展開でしたね。ザキ(山崎)やったらまくれるやろうって素敵な勘違い。周回中から勘違いしてたけん、行けたんやろうね。優秀は浅井に。絶対的に強いし、認めてるんで付けますよ」
 荒井マークの合志正臣は3着で「道後マドンナカップ」行きを決めた。
 「今日は(初手)前から2番目しかなかったんで。高橋の先行を荒井がカマす作戦だったけど、山崎の先行は誤算でしたね。でも前が突っ張って荒井の行き頃になった。僕も抜く感覚だったけど、荒井のひと振りでハウスした。あれがなければ抜いてただろうし、状態は悪くないですね」
 高橋を突っ張った山崎芳仁は8着。「浅井を後方に置くのがセオリーだし、高橋も遅かったので。ああいう競走をしていけば脚も付くと思うので。今日はしょうがないですね」とレースを振り返った。
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