『久留米競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月26日

 久留米競輪開設72周年記念「第27回中野カップレース」(GIII)が6月26日に開幕した。快晴の中、オープニングの一次予選から白熱のバトルが展開。メインの特選12レースは森田優弥の先行に乗った吉田拓矢が絶好展開をきっちりモノにした。2日目の27日は二次予選6個レースをメインに激しい勝ち上がり戦が繰り広げられる。
 今シリーズは有観客での開催となります。入場の際に検温を行います。体温が37.5度以上の方の入場はお断りします。場内では必ずマスクをご着用ください。場内滞留者が1,200名を超えた時点で入場制限を行い、その日の新たな入場はお断りします。感染症対策にご協力ください。

<1R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 前受けの皿屋豊(写真)が後ろ攻めから上昇してきた木村幸希を赤板過ぎに突っ張って逃げる。そのまま絶妙のペースで別線を完封。力強く押し切って人気に応えた。
 「昨日(前検日)は寝たのは(午後)11時頃。緊張してなかなか寝つけなかった。初手は中団か後ろという作戦だったけど、前を取ったら突っ張ろうと。ラインで決まることが目標でした。笠松(信幸)さんが上手くコントロールしてくれた。4コーナーからも上手く踏めていたと思う。かかりも上々でした。疲れは心配だったけど、大きなレースをして残れているので疲れは抜けているのかなと」
 笠松信幸がきっちり続いて2着に入った。
 「初手は誰も出なかったら前っていう感じでした。遅かったら突っ張ってという感じで、(皿屋が)落ち着いて駆けてくれた。2コーナーからどんどんかかっていきました。脚の感じ的には前回の方がいいかな。皿屋君が強かった」


<2R>

嵯峨昇喜郎選手
嵯峨昇喜郎選手
 後ろ攻めから上昇した原口昌平が赤板の2コーナーで押さえて主導権を握る。岡崎智哉が中団にこだわり、嵯峨昇喜郎(写真)は前受けから7番手まで下げる。最終2コーナーから好回転でまくり上げた嵯峨が松岡貴久のけん制を乗り越えて金星を挙げた。
 「初日突破は久々なんで良かったです。(岡崎と中団で)やり合っても意味がないので、バックを踏んで早めに引いて態勢を立て直しました。岡崎さんも苦しそうだったし、合わせられないと思って思い切り行きました。最後は(松岡に)いいけん制をもらったけど、分かっていたから、ちょっと外を踏みました。状態は悪くないです」
 松岡貴久は嵯峨のまくりを止められず2着まで。
 「(S級1班の点数が勝負駆けで)緊張しました。(原口は)出切ってからいつもより距離が長かったですね。3コーナー過ぎに3番(嵯峨)が見えて、どうしようもないところで来られた。難しかったですね」


<3R>

 赤板過ぎに切った櫻井正孝を小川賢人が打鐘前に押さえる。前受けから後方まで下げた稲毛健太はすかさず反撃。最終ホームで小川を叩いて主導権を取る。番手で絶好となった川口公太朗が粘る稲毛をゴール前で逆転した。
 「稲毛君がすごい行ってくれた。後ろが小林(信晴)さんじゃないのも分かった。2コーナーからもいいかかりで強かった。荒井(崇博)さんが余裕あるように見えたので、一回振ってから前に踏みました。(好調の要因は)ダービーの時に1着を取れて自信になったし、オールスターにも出場できるのでオールスターを目指して頑張れています」
 稲毛健太は先行策で2着。手堅く初日をクリアした。
 「九州が1番車だったので、それだったら前受けでいいかなと。しっかり練習もしてきたし、構えずに行くだけ行くって作戦でした。九州勢がどうか分からなかったので、脚を回しながら様子を見ながらいったけど、もっと自分で立ち上げた方がかかったかな。調整せずに来たので、日に日に良くなると思う」


<4R>

桑原大志選手
桑原大志選手
 後ろ攻めから上昇した林慶次郎が赤板の2コーナーで先頭に立つ。中団に収まった荻原尚人は打鐘の3コーナーで1車すくって、坂本晃輝が外に弾かれる。これが邪魔になった佐々木豪だが、強引に巻き返して林をねじ伏せると、続いた桑原大志(写真)が鋭く差し切った。
 「(佐々木が)無理くり行ってくれたし、頑張ってくれました。後ろにもフォローしてもらって、自分は楽な位置を回って何もしてないので、何とも言えないですね。展開に恵まれているのは何よりです。あんまり力が入ってない感じ。慢性的な疲労なのか。でも、みんな疲れているのは同じですからね。この年齢になるとコンディションを安定されるのは難しいです」
 中四国勢にスイッチした井上昌己が外を強襲して2着に。
 「(林が)頑張ってくれたけど、(佐々木の)スピードが違いましたね。キツかったんですが、最後は意外に伸びたのかな。脚は大丈夫です」

<5R>

 前受けの野田源一を押さえた樋口開土を、打鐘手前で門田凌が叩く。その上をカマした奥出良が最終ホーム入り口から先制。門田が3番手を確保する一方、7番手に置かれた野田だったが、2コーナー先まくりの門田を追って猛然と反撃に出る。バックでまくり切って先頭に立つ門田をゴール前で捕らえた野田が地元記念を1着スタート。
 「1番車だったので良い位置から組み立てたかったけど…。ちょっと対処が難しかったですね。門田君が先行しないかなって思ったけど、彼は(奥出を)出す気満々でしたね。あの展開だと井手(健)さんまで連れ込むのは厳しかった。ダービーに向けて練習していたのと、今回に向けてやっていたのと色々と噛み合って良い形で迎えられている。前回(GIIIで)決勝に乗れたし、今の力だったら優勝を目指したい」
 野田に逆転は許したが、門田凌も2着と危なげなく勝ち上がった。
 「樋口君がめちゃめちゃ踏んだので、そこで脚を使った。その分、奥出君も仕掛けが遅れる。ジャン過ぎで奥出君が来ているのが分かったので、出させてからは脚がたまったらすかさず行こうと。必死でした。自分らしいレースをして2着なら悪くないと思います」


<6R>

吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 赤板過ぎにインを切った小原周祐を平尾一晃が打鐘前に叩いて逃げる。小原が3番手のインで粘るが、桑原亮がしっかり位置を死守する。後方で態勢を整えた菅田壱道は最終1センターからまくり上げると、これに合わせるように吉本卓仁(写真)が番手まくりを敢行。しっかり合わせ切って先頭でゴールを駆け抜けた。
 「(地元記念は)もう何年も走らせてもらっているので、気持ちはいつも通りです。(平尾が)しっかり行ってくれました。(菅田壱道は)いま調子を落としているけど、やっぱりGI級の選手なので強い。平尾を残したかったし、引っ張りすぎて、ヒヤッとしました。自分も踏み出しは良くないので、3コーナーで菅田と体が合って焦りました。肩半分、出られたけど、何とか勝てて良かったです。最近は成績もいいので、その流れで走れました」
 後方からまくり上げた菅田壱道は3着まで。
 「どう考えても前を取らされるだろうなって。前を取る形になって、小原君がインを切って、あとは九州勢の動きで、どう立ち回ろうかと思ってました。2コーナーから早めに行って直線で出切れれば良かったんですが、力不足でした。吉本さんは基本、(番手から)出ないと思ってました。しっかり行くべきところでは行けたけど、これが現状ですね。最近はモヤモヤしたレースが多かったんですが、力勝負して負けたので、ステップは上がったと思います。ひとまず良かったです」


<7R>

 片岡迪之が赤板過ぎに誘導を切って、その上を2コーナーで嘉永泰斗が押さえるセオリー通りのレース。しかし、ここからは好ペースで駆けた嘉永の独壇場。中団を確保し、余裕があったように見えた片岡だったが全く動けず、鈴木謙太郎の後方まくりも不発。番手絶好の坂本健太郎が、粘る嘉永をゴール寸前で交わして勝利した。
 「いい展開だけど、苦手な展開でした。スタートけん制もあったので、残り3周では脚が戻らなくてもうダメかもしれないと。引きずり回された感じでした。嘉永君がすごい強かった。なかなか体力ゲージを減らしながら走ることがないので、抜けるかどうかだけでした。地元のGIIIなので諦めずに優勝を目指したい」
 打鐘前先行で九州勢での上位独占に導いた嘉永泰斗のパワーは強烈そのもの。
 「落車のダメージはもうほとんどないです。今日(初日)は少し重たかったので、自分の中ではかかりはイマイチでした。最後までは踏めているけど、道中のかかりはもう少しほしい。ラインで決まって良かったです。セッティングだと思うので、サドルを少し修正します」


<8R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 伊藤稔真が後ろ攻めからゆっくり押さえて先行態勢を取る。中団を確保した恩田淳平は打鐘の4コーナーから反撃。前受けから後方まで下げた取鳥雄吾(写真)もすかさず好回転でまくり上げる。最終バック過ぎに恩田を抜き去った取鳥が復帰2場所目で勝ち星を挙げた。
 「受けて立たないといけないだろうから、早めに前を取って、しっかり自分のタイミングで行こうと思ってました。(打鐘の)2センターで恩田(淳平)さんが行きそうな感じがあったので、詰めて慌てずに行きました。思った以上に車が出ましたね。自分でコントロールできないくらいでした。復帰2場所目で初日くらいしか1着が取れないと思っていたので、めっちゃホッとしました。ケガのおかげでむしろ前よりも踏めるようになりました。セッティングをもう少し煮つめれば面白いと思います」
 強烈なダッシュにしっかり付け切った渡部哲男が2着に流れ込んだ。
 「どこからでも(取鳥)雄吾君なら行けると思ってました。踏み出しのタイミングがちょっと合わなかったですね。(ダッシュが)良かったです。自分の状態はそんなに良くないですね」


<9R>

 初手で3番手に位置した眞杉匠にフタをした状態から踏み上げた菊池竣太朗が赤板過ぎに誘導を切る。その上を金ヶ江勇気が叩いて打鐘前から先制。後方となった眞杉もすぐさま巻き返しに行こうとするが、岡山勢のけん制を受けて金ヶ江に並びかけたのは最終1コーナーを過ぎてからだった。こうなったら金ヶ江も引けず、眞杉に出られると今度は番手の磯田旭のところに飛び付く。内々をすくってきた坂本修一も加わっての後続のモツレを尻目に眞杉が押し切った。
 「せっかく3車だったのにラインに申しわけないです。フタをされるなら後ろ中団でも良かったんですけど。後ろの人はだいぶ付きにくかったと思う。組み立てが甘かったです。体はちょっと重たかったけど、日に日に良くなっていけば。気になるほどではないです」
 番手戦は磯田が競り勝って眞杉に続いたが直線での伸びを欠く。金ヶ江との連結を外して中団で脚をため3コーナーからまくり追い込んだ佐方良行が2着に強襲。
 「金ヶ江君が突っ張ったのでびっくりした。(競り合いのあおりを受けた金澤幸司の)落車もあったのでびっくりしたけど、運が良かったです。磯田君の横を通る時は気を付けていきました。今回のフレームが当たりですね。ハンドル回りをもう少し煮詰めながら、二次予選をクリアできれば」


<10R>

塚本大樹選手
塚本大樹選手
 前受けの野口裕史が赤板過ぎに上昇してきた山本直を突っ張る。山本は下げずに勝瀬卓也の外で番手勝負に出る。後続がもつれて流し気味の野口に対し、成松春樹が打鐘の2センターからロングまくりで襲いかかる。最終2コーナーで成松が野口をねじ伏せると、続いた塚本大樹(写真)が鋭く差し切った。
 「あの展開になって、(成松が)いいタイミングで行ってくれました。ワンツーが決まって良かったです。自分は前回までの調子ではないですね。前回(取手)の決勝でゴール後落車して、ケガは擦過傷程度だったんですが、乗った感じは重かったです。でも、いつも初日は重いので、日に日に体は良くなると思います」
 成松春樹が2着に粘って、九州ワンツー決着となった。
 「(野口は)突っ張ると思いました。ジャンで流していたんで、行こうかと思ったんですが、距離が長いので1回待ってから行きました。思ったより出ましたね。野口さんも自分が見えてなかったと思います。叩いて出るのに無我夢中でした。もう誰も来ないと思って、バックで回して2センターから踏み直したんですが、脚は残ってなかったですね。ちょっと疲れは残ってるけど、スピードの乗りは良かった。日に日に上がってくれれば」


<11R>

 小川祐司が赤板の1コーナーで切って出る。中団から7番手まで下げた寺崎浩平は打鐘前から一気のスパート。あっさり出切って、ペースで駆ける。7番手となった箱田優樹が最終2コーナーからまくり上げるが、5番手の外まで。軽快に風を切った寺崎が楽々と逃げ切った。
 「初手は中団か前で、引いて自分のタイミングで行こうと思ってました。ペースで駆けられた分、脚も温存できたし、最後も踏み返せました。久留米は初めてだったけど、直線が短く感じたので走りやすかったです。プレッシャーはありましたが、しっかり出切ってラインで決められたのは良かったです。疲れはまだ抜けてないけど、明日(2日目)、明後日(3日目)と体が軽くなってくれればいいですね」
 即席でラインを組んだ地元の田中誠は寺崎を交わせず2着。
 「(寺崎は)まだ100パーセントで走っていないと思うので、末恐ろしいですよ。ギアを3段階くらい上げていったので、バックでは差せないって思いました。2コーナーで脚もキツかった。どこを走っても初日が一番悪いので、これ以上悪くなることはない」


<12R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 岩本俊介が打鐘前に清水裕友を叩いて出るが、すかさず森田優弥が反撃。最終ホーム前に岩本を叩いて主導権を握る。これで絶好となった吉田拓矢(写真)は車間を空けて別線をけん制しながら早めに追い込んだ。
 「(森田が)頑張ってくれました。あそこで行けるんで強いですね。(佐藤)慎太郎さんに(打鐘の2センターで)持っていかれたけど、伸びて行った。あとはもう少し僕の技量があれば。森田も苦しそうだったので、前に踏ませてもらいました。(佐藤に)内から来られたので、踏み負けないようにしました。脚は問題ないけど、少し疲れがある感じ。気持ちも疲れているので、どっちもケアしたいですね」
 最終2センターから内を突いた佐藤慎太郎が吉田に鋭く迫った。
 「岩本としては距離が長かったと思うし、先行するか2車出させるか難しい判断だったと思います。かぶって外は踏めなかったので、岩本には悪いけど内に行かせてもらいました。最後は吉田に踏み負けた感じですね。やっぱり自力選手が番手を回ると余裕があるし、自力選手と追い込み選手の違いかな」
 最終バック最後方から香川雄介が3着に突っ込んだ。
 「清水は行けると思ったけど、1センターで(慎太郎に)持って行かれて、バックを踏んだ。僕はイナショウ(稲川)にすくわれたけど、まだ余裕はあった。イナショウが内に行ったら自分のコースはなかったけど、外に行ってくれたのでコースが空いた。しんどさは残っているけど、着は良かった。上出来でしょう」