『久留米競輪場開設57周年記念(GIII)レポート』 最終日編
 
配信日:8月27日


 久留米競輪場開設57周年記念「中野カップ」は今日が最終日。午後からは小雨もぱらつくはっきりしない空模様で、決勝戦が発走する直前には激しい雨がバンクを叩きつけた。
  その決勝戦は地元最後の砦・吉岡稔真が人気を集めたが、中団五番手からまくり不発。勝ったのはバック九番手から強襲した阿部康雄だった。阿部は通算5回目、新制度後は2度目となる記念制覇。表彰式後には、晴れ間が、まるで勝者を称えるかのように射し込んでいた

決勝戦ダイジェスト

 坂本勉―阿部―峠―坂本英―金山―井上―吉岡―足達―関根の順で周回。
  赤板手前から吉岡がゆっくり上昇すると、関根、金山、井上の順でこのラインを追っていく。打鐘で誘導を交わして先行態勢に入った吉岡は、ペースを緩めて後続の出方を伺う。中団の外に浮いていた井上が2センターから一気に踏み込み、最終ホームで主導権を取り切る。これをうまく追う形になった峠が番手に入り、懸命に追った金山が4番手をキープ。吉岡は5番手で立て直しを図る。後方8番手に置かれた坂本勉が2コーナーからまくって出るも、車はほとんど進まず、他の自力型もなかなか仕掛けようとしない。結局、3コーナーから番手発進した峠が力強く先頭に踊り出たものの、坂本勉マークからインコースを上昇した阿部が直線外一気に伸びて優勝をさらった。僅差の2着に峠が入り、3着は坂本と足達で同着となった。

阿部康雄選手
阿部康雄選手

 絶体絶命のバック九番手から阿部康雄が鋭い伸びを見せた。「(2日目はゴール後に)転ぶわ、(決勝も坂本勉の踏み出しに)離れるわで全然ダメだったのに」と照れ笑いを浮かべるが、4コーナーから空いたコースを突き、上がりは今節トップタイの10秒9。
  「久しぶりの10秒台だけど、無風のところを踏んだから。勉さんに離れた時は、やっちゃった、もうダメだと思ったけどね。諦めずに踏んだら、追い付いた時に前が弾けてコースが空いた。いいところが空いたからどうかな? って思ったけど、少し抜いてると思ったのでヨッシャーって。あまり調子が良くなかったのに、おかしいですね」
 それでもこの優勝で5日後に迫ったオールスターにも弾みがついた。
  「ここで運を使ったからね。まだ運が残ってたら頑張ります(笑)」

 最終ホームで先行態勢に入った井上辰也の番手にはまった峠祐介はゴール寸前で大魚を逃した。
  「スンナリは勝たせてくれないですね。バックで番手にいるなんて考えもしなかったから、井上君を越えて(優勝を)めちゃくちゃ意識しましたよ。少し硬くなったかな? 悔しいけど、しょうがないです」

 3着の坂本英一にもチャンスはあった。
  「4コーナーでコースを迷ってしまった。判断が悪かったなあ。もう差せそうにないから、峠優勝しろって思ってたんだけど…。凄いスピードで誰か来たから吉岡だと思ったら、色が違った」

 3着には同着で足達重満も強襲した。
  「4着だと思ってたけど。昨日といい今日といい、少しの差で賞金も違うし、競輪祭の権利も取れて凄く大きい。もう少し思い切り良くコース突けてたら、もっとチャンスがあったかもしれないですね」

 4連勝、そして優勝でオールスターに弾みを付けたかった吉岡稔真は、まさかの9着。「何も言うことはないです」、そして「オールスターは頑張ります」とだけ口にすると帰り支度を始めた。

ゴール




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