『久留米競輪場開設58周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:12月21日


 いよいよ開幕! 久留米競輪開設58周年記念『第14回中野カップレース』は21日に開催初日を迎えた。今年最後のG3だけに、各選手が1年間の集大成を賭けた激しいバトルを繰り広げた。特選レースをメインに選手のナマの声を検車場よりお届けします。
 2日目(22日)のファンサービスはミスター競輪中野浩一氏の中野カップ優秀戦展望予想が8レース終了後に行われます。
 4日間通して行われるサービスは久留米競輪情報協会早朝予想会が10時より、毎日先着1008名様にラッキーカードの配布があります。


<1R>
 オープニングレースはレインボーファイナルで特進した松田治之が七番手から豪快なまくりを決めて、ラインで上位独占。してやったりの表情で引き揚げてきた。
 「先行、まくりはどちらでも良かったが、7番(橋爪亮)も先行だろうし、8番(荒澤貴史)も行く気満々だったからね。無理せずまくりに構えた。練習はじっくりできてたので自信を持って挑めたね」
 カマシ不発で中団に入ったが、まくり上げる脚は残っていなかった荒澤貴史は展開の読み違い?。
 「打鐘で踏み上げた時に橋爪君は出させてくれると思ったが…。あそこで僕らを出しても中団取れるでしょう。脚を使っての中団だし、一杯でしたよ」


<2R>
 2レースも阿部秀樹が七番手からのまくり強襲で一次予選を突破した。
 「倉野(隆太郎)君と武市(和人)さんでモガキ合いかと思ったら、武市さんがスッと引いて中団だし厳しかった。武市さんが早目に仕掛けてくれれば乗っていけたが、自分で踏む形になって棟方(次郎)さんを連れ込めなくて悪い事をしました」
 新鋭倉野隆太郎をフルに利した疋田敏が前残りの2着で勝ち上がりを決めた。
 「引き付けて張って残したかったが…。打鐘で脚を使ってた分、末を欠いたんだろうね。A級なら立て直せるけどS級では出切れないともう終わりだからね」


<3R>
鷲田佳史選手
鷲田佳史選手
   3レースは中団まくりを決めた鷲田佳史(写真)が久しぶりの白星を挙げて満足そうな表情を見せる。
 「結果が出ない時期も腐らずに練習はしてました。久しぶりの1着で嬉しいですね。これが来年に繋がれば最高です」


<4R>
西村豊選手
西村豊選手
   4レースは西村豊(写真)が最終ホームからのカマシ先行。落車のアクシデントはあったがシリーズ初の逃げ切り勝ちを収めた。
 「山田(英明)君、小橋川(健一)さんの動きが見えてましたね。もう一度巻き返せるチャンスはあると思った。出切ったところでガシャーンと音がして落車は分かった。1番(江守昇)が追ってきてたのも確認できたしゴール前まで頑張りきれました」
 立て直し強襲の山田英明は落車を避け切ってホッと胸をなで下ろす。
 「危なかったですよ。避けられたのが全て(苦笑)。ツキもありますね。小橋川さんは出てから流すと思ったけど、結構ガンと踏んで行ったのは予想外でした」


<5R>
 5レースは注目の牛山貴広が登場。しかし、カマシ切れずにゴール前は一杯、ゴール後の接触で落車と苦いS級デビュー戦となった。それでも牛山後位から差し脚を伸ばした浦川尊明が気迫の勝利を挙げた。
 「外々を踏み続けた上に、踏んだり、休んだりみたいな感じで一杯でしたよ。あそこまで頑張ってくれたおかげで何とか勝てた」
 2着のベテラン濱田光識も前の葛西雄太郎に感謝しきり。
 「僕と一緒の時はいつも行ってくれるし感謝ですね。今日も打鐘からいい感じで踏んで行ってくれました」


<6R>
 6レースからはひとつ格が上がって選抜戦がスタートした。後続のもつれを尻目に逃げ切りを狙った藤田竜矢はゴール寸前で僅差交わされ2着に苦笑い。
 「廣川(泰昭)君は粘ってくる雰囲気はありましたね。そっくり引いたらキツイでしょうし。落ち着いて自分のペースで踏めたが、ちょっと疲れがあるのか重かった。でも日に日に上がっていくと思います」
 番手奪取からゴール前で藤田を捕らえた廣川泰昭は長谷俊昭まで3着に連れ込んでの二次予選Aへの勝ち上がりにホッとする。
 「スタートは成り行きでしたね。間が空いて追いかけたし、脚を使いましたよ。原(司)さんに斬られたらキツイので原さんの動きを警戒してました。飛び付いたけど、バックでは脚が一杯でしたよ」


<7R>
島田竜二選手
島田竜二選手
   7レースは先行一車の栗田雅也が快調に逃げ、押し切るかに思われたが、内をスルスルと伸びて、横一線のゴールを制したのは伏兵の島田竜二(写真)だった。
 「最終バックで森内(章之)さんの後ろに入る形になりました。森内さんがコースを空けそうな感じがしたら、内が空いて突っ込んだ。まあアタマまで抜けてたかは分からなかったけどね(笑)」
 差されはしたが、油断せずに主導権を取り切った栗田雅也は満足顔。
 「富(弥昭)さんのまくりも来なかったし、自分のペースで逃げられたので、収穫はありました。今日のレース内容なら明日に繋がると思います」


<8R>
太田真一選手
太田真一選手
   8レースは田中誠の後ろを巡って大渋滞。そこをまくった玉木勝実に乗った太田真一(写真)が鮮やかに差し切った。
 「110点クラスの先行型ならイン粘りも考えたけどね。だいぶもつれてたし、そろそろ仕掛けようと思ったところで玉木さんが仕掛けてくれた。思っていた以上に楽しちゃったね。こんな事もたまにはあるんだね」


<9R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   9レースからは特選で超一流選手が登場。吉本卓仁を叩き切った小林大介を利した神山雄一郎が鋭く伸び好調をアピールした。
 「今日は大介(小林)の頑張りに尽きるね。外々を踏まされてたしキツかったはず。よく出切ったと思うよ。僕の手応えはまずまず。富永(益生)君のまくりを止めて踏み出した感じかな。声援も多くて励みになります」
 小林大介は末を欠くも吉本を力でネジ伏せて見せ場は作った。神山の勝利にも貢献でき責任は果たした。
 「九州の開催なのに神山さんへの声援が凄くて、プレッシャーでしたよ(苦笑)。吉本君は一度突っ張ってから流すとは思ってたので、もう一度踏み込んだ。出切れたけど、もう一杯でしたよ」
 3着で2日目の優秀戦への勝ち上がりを決めた地元紫原政文(写真)は吉本の頑張りを評価しながらレースを振り返る。
 「吉本君の心意気を感じたし、嬉しかったね。神山の後ろにスイッチして、神山がブロックした時に内に行こうかと一瞬考えたが、きっと締め込まれたでしょうね。最後はハンドル投げのタイミング差で(成田和也に)負けちゃいました」
 後方に置かれた石丸寛之は見せ場なく終わり、言葉少なに検車場を後にした。
 「タイミングを計って行こうと思った瞬間に富永さんに仕掛けられて呼吸がズレましたね。今日の展開ではデキに関しては何とも言えない」


<10R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   続く10レースは荒井崇博率いる九州勢が先制を決め、番手絶好の加倉正義(写真)がチャンスをつかみきった。しかし、1着にしては表情は渋く完調宣言は出なかった。
 「荒井君の頑張りのおかげで、僕の状態は良いとは言えない。良い時ならもうワンテンポ待って、キュッと踏んで、荒井君、梶山(裕次郎)君と(上位を)独占できたと思う」
 渡部哲男の飛び付きで外に浮かされ苦しい展開を凌いだ梶山裕次郎が加倉に迫り2着ゴール。地元記念で優秀戦に勝ち上がり喜びは隠し切れない。
 「キツかったけど、加倉さんに離れないように必死でした。特選スタートでも十分嬉しかったのに、優秀戦とは(笑)」
 荒井崇博は別線を封じ切るも、後一歩粘れずに二次予選A回りとなった。苦しそうな表情で大の字に倒れ込む。  「哲男(渡部)が、かなり踏み込んだから、出切るまでに相当脚を使わされた。ほんと苦しいですよ…。明日からセッティングを変えてみるつもりです」


<11R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   最終11レースは出入りの激しい流れになったが、最終的には武田豊樹が主導権を取り切った。ゴール前は粘り切れず3着ながらも手応えはつかんだ表情。
 「雨のせいか、重く感じたけどね。気持ちは来年に入ってるので、とにかく良いレースをして今年を締め括りたい。慎太郎(佐藤)は普段山崎(芳仁)に付けてるから僕じゃ物足りなかったんじゃない?(苦笑)」
 その佐藤慎太郎(写真)は不満顔でのクールダウンとなった。
 「良くないかも…。三角では誰も来てなかったし、こりゃ決まるなと思ったんだが…。三宅(伸)さんが見えたけど、もう直線にかかってたし止めるのは難しいよね」
 まくり追い込みで突き抜けた三宅伸は見事にレースを読み切った。
 「一人なら位置取りで粘ることも考えたけど、和田(誠吾)さんに任されてるからね。早めに行けば慎太郎に止められるのは分かってたから、直線で並びかけるくらいの仕掛けで正解だったよ(笑)」

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.